オラン・パーマー邸 |
熟練の冒険者達に掛かれば、不利な水中での戦闘もあっけなく片付いてしまう。
水中で蠢いていた大蛸三匹はこんがりと焦げて水面に浮いている。
天井を見上げれば、既にその穴は閉じられている様だ。
■ジン To:ALL |
ふむ。落とし穴用意してるくらいだから、ファラハを奪還しにくる我々のような者が現れることは予測済みだったと考えていいだろうな。 もうだまし討ちは通用しまい。 このまま2階に攻め入るか。 願わくば、我々がタコに食われたと高をくくってくれていることだな。 |
■ウリディケ To:ジン、ALL |
そうね。 発見された以上、一気に攻め入る方が良さそうね。 |
■アール To:ALL |
人が集まる前にカタをつけないと、無闇に被害を出したら犯罪者だよ。 っと、忍び込んだ時点で犯罪者なのか。 |
■アリス To:アール |
だいじょうぶっ☆ あ〜んなモンスター飼ってたんだし、ファラハさんを監禁してる方がよっぽどハンザイだよ〜。 |
冒険者達は一気に二回のレオノフの部屋へ詰め寄せた。
冒険者達を見たレオノフは、壁に掛かっていた剣を取り、冒険者達に立ちはだかった。
しかし手は震え、構えもまともな物では無かった。
■ウーサー To:レオノフ |
よぉ、物取りには好い夜だよな? 見てのとおりの「セイギノミカタ」だ、まあ寛いで話を聞いてほしい。 |
両手で掴んだ火掻き棒をミシミシと軋ませながら、悪鬼そのものの嗤いと共ににじり寄る。
■レオノフ To:ALL |
お、お、お前達! こんな事をして只で済むと思っているのか? 僕は貴族だぞ! |
■アール To:レオノフ |
その貴族様のお宝をいただきにきました。 見たところ目ぼしいものがないようなので、そちらの女性でもいただきましょうか? |
挑発を混じえながら、賊であることを強調する。
素人に見えても油断は禁物とばかり、アールがソードブレイカーを手に待ち構え、ウリディケはエメラルドの宝石がはまった盾を構える。
■ジン To:ALL>レオノフ |
ふむ。普通の人間のようだな? まあいい、また悪いが眠ってもらおうか。 |
ジンは眠りの魔法をレオノフに施した。レオノフが眠ったことを確認するとすばやく近づき、いつでも接触魔法が唱えられるように準備する。
■ジン To:ファラハ |
ファラハ殿、我々の声が聞こえますか? 我々は貴女の味方です。 一体この屋敷で何があったんですか? |
■ウーサー To:ジン |
おおっ、手際良いねぇ……!! |
いっぽう、ウーサーは念のためとばかりに、レオノフの喉元に向けて火掻き棒を構えつつ、可能な限り静かに近づいていった。
目を覚まして暴れだそうとしても、即応で牽制できるようにするためだ。
■ファラハ To:ALL |
あ……え……レオノフ様……。 |
ファラハの目の焦点は合って居らず、朦朧とした状態に見える。
ジンの問いに答えられる状態では無さそうだ。
見方によっては、何らかの薬を盛られている可能性も考えられる。
■アリス To:ALL |
ん〜、毒……かな? それとも、魔法かなぁ? |
ぐるぐるとファラハをさまざまな角度から観察し、目を覗き込む。
■アリス To:ALL |
えっと、これはきっと毒の効果だよっ。 名前は忘れちゃったけど、どこかで読んだ本に載ってたヤツ。 |
アリスの見立てでは、ファラハの状態は何らかの薬品による作用だと思えた。
それを仲間に告げると、ウリディケが解毒の魔法を掛けた。
魔法は効果を発揮し、ファラハの目の焦点が正常になった。
■ファラハ To:ALL |
え……何で私こんな格好を。 確かパーマー邸を訪ねていた筈ですけど……。 それに、何で皆さんが此処に? |
最後の言葉は、ウリディケ・アール・メイシアスの三人に向けられた。
その言葉を受けると、アールは従者のように片膝をついて話始める。
■アール To:ファラハ |
では、説明になるかはわかりませんが、ここはそのパーマー邸です。 なぜ我々がと言われれば、お父上が心配しておられるからです。 どれくらいの時間…日数かは具体的にはわかりませんが、そのくらい経っていると思ってください。 どのようなやりとりがあったかは知りませんが、レオノフ殿に一服盛られたと、そういう事のようですね。 で、どうされますか? |
救助作業を進めファラハに向き合っていたウリディケも、アールの言葉に肯いた。
更にアールは、この状況でも、ファラハなら何がしかの結論を出すだろうとあえて問う。
■アール To:ファラハ |
我々には何かしようという意思はありません。 あなたに「なにかがあったか」も理解できないですし。 とりあえずお屋敷に帰りますか? 彼も連れて行って、お返しに丁重におもてなしするというのも一興ではありますが。 |
■ファラハ To:アール&ALL |
取り敢えず、ソーダック邸に誰か使いを。 父に話を通して連れてきてください。 後の方は、屋敷の使用人達を集めてここに連れてきてください。 私から事情を説明します。 |
■ウリディケ To:ファラハ |
分かりました、私がソーダック邸に使いに行きます。 |
■アリス To:ファラハ&ALL |
じゃあ、ボクが屋敷の人達を集めてくるよっ。 残ったみんなは、ファラハさんにもうちょっとくわしく事情を説明しておいてあげてねっ☆ |
アリスは自分の姿を見返してずぶ濡れのままである事に気付くと、古代語魔法ディスガイズを使用して、"きっちりしたメイド姿の自分"の幻覚を纏い、部屋を出て行った。