オラン・パーマー邸 |
パーマー邸はソーダック邸からそれほど離れていない所にある。
周囲は時折屋敷を訪れる出入りの商人や、用事を済ますために出掛ける使用人などが見受けられるだけで、基本的に人通りは少ない。
ざっと外観を見た限り、ソーダック邸より一回りは広い様だ。
■ジン To: |
(特に警戒しているようには見えんか) |
とりあえず、屋敷の周りをぐるりと1周して、屋敷の内部を覗ける場所がないか探してみる。
屋敷は二階建てで、二階の窓は全て鎧戸で閉ざされている。
一階は普通に窓が開いているが、働く使用人達の姿が見えるだけで、特に変わったところは見られない。
■ジン To: |
(二階の様子が気になるが・・・まあ仕方ない) |
屋敷の裏口、厨房があるあたりに、慎重に近づいてみる。
丁度使用人の一人がゴミが入った桶を持って出てきた所だ。
その使用人はジンの使い魔を見て、不機嫌そうな顔になる。
■使用人A To:タークス |
ほらほら、あっちへ行きな! あんたにやる物は何もないよ! |
どうやら、単なる野良猫と勘違いしている様だ。
■ジン To: |
(ほう。猫を嫌う人間いるとは・・・正気の沙汰ではないな) |
アリスの使い魔に視線で合図を出し、どんなゴミかを視認するよう伝えると、タークスは一目散に裏口から逃げ出した。
アリスの使い魔、隼のゼファーはジンの要請を受けて桶の中身が見える位置に移動。確認を試みた。
ゴミとして出されているのは、野菜の皮や野菜くずなどの生ゴミで、量は七〜八人分に相当する量であると推測される。
■ジン To: |
(他に使用人が集まるような場所で、会話を盗み聞ければいいんだが) |
身を隠せるような物がある場所を探しながら、館を観察つつ周囲を歩いてゆくタークス。
厨房からさほど離れていない所に、使用人達が休憩している部屋を見つけた。
三人位の使用人が雑談をしている。
窓も開放されているので、話は十分に聞こえそうだ。
■ジン To: |
(お。ちょうどいいな。悪いが立ち聞きさせてもらおう) |
使用人達が休憩している部屋の窓の下に近づき、会話に耳を立てる。
■使用人B To:使用人達 |
……坊ちゃん、二階で何をしているんでしょうねえ。 婚約者さんが来てからずっと閉じこもりっきりで。 |
■使用人C To:使用人達 |
二人で、”お楽しみ”じゃないの? 若い二人が部屋に閉じこもってやる事と言ったら、それくらいしか思い浮かばないわ。 |
■使用人D To:使用人達 |
それにしても、婚約者さんも少しは部屋から出てくれば良いのに。 館に来た日しかあたし見てないわよ。 食事は部屋に二人分持って行って、残さず食べてる様だから問題は無いんでしょうけど。 |
そこで、執事とおぼしき初老の男が部屋に入ってくる。
■執事 To:使用人達 |
さあ、休憩はその辺で終わりですよ。 そろそろ夕食の支度を始めて下さい。 |
使用人達は執事の指示に従い、部屋を出て行った。
■ジン To: |
(ほう。やはり2階に篭もっているのかな。よし、とりあえずこのくらいで撤収しておくか) |