オラン・盗賊ギルド |
いつもの様に盗賊ギルドを訪れる冒険者達。
そしていつもの様に受付には二人の女性。
一人は長い黒髪を後ろで一つに纏め、もう一人は栗色の髪で肩で切り揃えている。
二人はちょっと見た感じの印象は違うが、姉妹なのだろうかよく似た顔立ちをしている様だ。
■アール To:黒髪の女性 |
やあ、カトリー。 今日は情報を買いにきたんだが…。 「パーマー」という貴族について、なにかネタはあるか? |
■カトリー To:アール>ミレイア |
ん、アールか。また新しい仕事かい? そうだねえ……ミレイア、何か情報はあったっけ? |
■ミレイア To:カトリー>アール&ALL |
はいはい。 50ガメル相当と、100ガメル相当、200ガメル相当がありますよ。 勿論、より高額な情報は下位の情報を含んでいると思ってください。 |
■ウリディケ To:ミレイア |
あら、親切ね♪ |
■メイシアス To:ミレイア |
んに〜、ではでは最有力(200ガメル相当)情報を下さいな♪ |
■アール To:ALL |
情報をもらう前に、こちらの状況を説明しておくよ。 貴族絡みのやっかいな奴なんだが、とある人物が消息不明なんだ。 その人物とは衛視隊のファラハさん、依頼内容はその保護。 そして対象はパーマー伯爵家…といっても、その二男のレオノフなんだがね。 聞いた情報では婚約者の間柄らしいが、そのいきさつだけでは謎が多くてね。 |
■ミレイア To:ALL |
アールさんの情報も合わせると……、家族構成とかの情報は既にご存じですね。 現在、パーマー家当主とその長男は北方の国境警備に動員されています。 これはオラン国王からの命令ですね。 次男であるレオノフが現在オランの屋敷に居るはずです。 で、そのレオノフについてですが、あまり良い話は無いですね。 良く言えば趣味人、悪く言えば道楽どら息子。 パーマー家の執事の能力のお陰で当主代行としての面目を保っていると言うのが正確なところです。 それ以外には……大分前に石工を大量に雇って何かの工事を実施したみたいですが、屋敷の外観には変化がないので、地下室の増設でもやったのではないかと思われます。 因みに両家の婚姻についてですが、世継ぎが生まれなかったソーダック家が懇意にしているパーマー家の次男を養子にするという約束を15年程前に交わした様です。 貴族達には良くある政略結婚……と言うには若干違いますが、まあそのような物と理解すれば良いのでは無いでしょうか。 |
■アール To:ミレイア |
あとはレオノフの素行について聞いておきたいな。 女性関係とか、だらしないようなら、そういう作戦もアリだしね。 そして石工を雇った時期が何時頃だったかも教えてくれないか。 かなり計画的な匂いがするな。 あと、屋敷の護衛を新たに手配したとかいう情報はないかな。 護衛に限らず、人の出入りが多くなったとか。 |
■ウリディケ To:ミレイア |
正直、現在の使用人のリストとか、警備体制の分かる物があると助かるのですが。 |
■ミレイア To:ALL |
レオノフ氏の素行については……。 水棲生物マニアらしく、家に高価な水槽を幾つも並べているらしいとの事です。 女性にだらしない等という噂はありませんね。 石工を雇った時期は約一年前。 半年くらい掛けて何らかの工事が行われている様です。 私兵の動きなどは今のところ見られませんね。 流石にギルドでも個人宅の使用人や警備体制までは分かりません。 商人達ならまだしも、貴族相手に”警備料”を貰えませんからね。 |
■ウリディケ To:ミレイア |
それから、パーマー家の見取り図とか有りませんか? 改装前のもので構いません。 |
■ミレイア To:ウリディケ |
申し訳ありませんが、それも先程言った理由でこちらにはありません。 貴族相手には、流石にギルドと言え簡単に手は出せませんから……。 |
■ウリディケ To:ミレイア |
いえ、こちらこそ無理を言いました、申し訳ありません。 |
■アール To:ウリディケ&メイシアス |
さて、話からすると地下室ってのが妥当だな。 裏がすぐ取れるかはさておき、調べればじきに明らかになるだろう。 なあ、、ここは早めに潜入するのが近道だと思うんだが。 それに、前もって用意しておいて身柄を拘束するなんてのは、尋常じゃない。 ギルドでもおいそれと手出しできない以上、直に捜索するしかないね。 |
■メイシアス To:アール |
んに〜っ、酷いです! のんびりしてる暇なさそうですね。 |
■ウリディケ To:アール |
そうね、そろそろ帰りましょう。 |
しかし、アールが二人の急いで戻ろうとする動きを手で制する。
アール To:ウリディケギルドの手の届かないところに潜り込むのに、あえてギルドに頼むってのはどうだ?
先発組と同じ手で潜り込むわけにもいかないしね。
■アール To:カトリー |
もし可能ならギルドからの口利きで潜入したいところだが。 ああ、ウェドラー商会の名前で入れそうならそっちでもいい。 口利きしてもらえばそっちに挨拶に行くよ。 俺としては、幹部クラスの人間に目通りしておきたくもあるし。 |
■カトリー To:アール |
口利きするのは構わないけど、相当ふんだくられると思うよ? それでも良かったら紹介状は用意して貰うけど。 |
■アール To:カトリー |
ぐっw 出世払いとか…駄目だろうなぁ。 というのは冗談だとして、だ。この流れからして、貴族の弱みを握るのにギルドが黙ってる手もないだろう。 国王からの信任が厚いならなおさらだと思うがね。 その辺りも踏まえて、紹介料を少しくらいは値切らせてもらうさ。 それにカトリーが依然お世話になった、あのエルフのジンも今回はパーティメンバーだ。まるきり知らない間柄ではないってね。 ん…できれば、俺の有能さもセールスしておいてくれるとありがたい(笑) |
■カトリー To:アール |
有能さ、ってのは自分で示す物さ。 まあ精々頑張んな。 にひひっ。 |
カトリーはアールに悪戯っぽく笑みを返して答えた。
■アール To:カトリー |
じゃあ、口利きの方はしてもらえるってことだな。 俺はあいにくとウェドラーさんをまるきり知らないんでね。 話が通ったら、呼びつけるなりなんなりしてくれって。 な、ノアール。 |
いつの間にか白い猫がカトリーの足下にすりよって、尻尾をくねらせている。
■カトリー To:アール |
ああ、分かった。 希望に添えるかは分からないけど、話はしてみるよ。 上手く行ったら連絡する。 それでいいか? |
■アール To:カトリー |
良い返事を期待して待ってるよ。 もしこちらに連絡取りづらいときはノアールを放ってくれ。 じゃ、頼んだよ。 |
ウィンクと使い魔を残し、急ぎ足でギルドを後にする。
路地に出た3人は、まだ日が高いことを確認すると、歩きながら話し始めた。
■アール To:ウリディケ&メイシアス |
まだ時間があるから石工ギルドを廻って戻ろう。 少しでも正確な情報にして作戦を立てたいところだね。 |
■ウリディケ To:アール、メイシアス |
そうね、「石工を大量に雇って何かの工事を実施した」では、報告できませんものね。 |
■メイシアス To:ALL |
んにん、了解です。裏取りですね。 ではでは、ミレイアさん、カトリーさん、ありがとうございました!またです! |