SW-PBM #164
哀しみのラビリンス

■ どこかの時代の、とあるお話 ■
None #164 Index Next page

【 とある場所 】

今よりずっと遠い昔。
カストゥールと呼ばれる王国のあった時代。
とある所の、男と女のおはなし。
■男 To:女
……、…………。

■女 To:男
なんでよ……なんで、そんな事言うの?

表情を変えず、淡々と言葉を連ねる男。
対して、女は必死の形相だ。
■男 To:女
…………。

■女 To:男
いや! 聞きたくない!

耳を塞ぎ、かぶりを振る。
が、男は委細構わずに言葉を続ける。
■男 To:女
……。…………。

言うことは言った、と男が踵を返す。
それを追いかけようと伸ばした女の手は……空を切った。
■女
どう……して……。
……どうしてなの……?

女の瞳から、涙が零れた。
視線の先に、もう男の姿はない。
■女
みんな……みんな、いなくなる。
なんで? 私の何が悪いって言うの……。

そして、女も姿を消した。
人に傷付けられる事を恐れ、人との関わりを絶ったという。

……それから、気の遠くなる程の時が流れ。
【 ウォイル邸 〜 その一室 】

テーブルに広げられた数枚の羊皮紙。そこに書かれているのは、目下の悩みの種の報告書だ。
部屋の主はそれをじっと見つめたまま、難しい顔で……そして時たま、思い出したかのように唸り声を上げている。
そんな様子を横目に見ているのは2人のメイドだ。ちらりと盗み見をしながらもその手は休むことなく……掃除の最中らしい。
主がそこに居るにも拘らず、平気で掃除を続けているというのもおかしな光景であるが、部屋の主は気にする様子もない。どうやら当たり前の風景らしい。
やがて、ソファに深く沈めていた上体を起こすと、何事かを決心したかのようにその顔を上げた。
■ルークス
……とにかく、何とかしないことには安心できないしなぁ。
やっぱりちゃんと調査したほうがいいか。

メイドの1人がその手を止めて言葉を返す。
■アイレン To:ルークス
では、依頼をしてきますか?

■ルークス To:2人
そうだね。あそこの冒険者なら信用できるし。
お願いするよ。

■ベル To:ルークス
はぁい。じゃあ、早速行ってきますね〜。

と、こちらはもう1人。
かくして、銀の網亭に一枚の依頼書が張り出される――。

None #164 Index Next page

GM:倉沢真琴