拳闘遊戯
「リュナ&うさぎ」という謎のコンビの優勝が決まった2on2部門。
会場の興奮醒めやらぬまま、ステージ上で表彰式が行われようとしていた──が。
■黒ひげレフェリー To:ALL
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いやぁ、見事な、そして圧倒的な強さでしたねっ!
揺れるうさみみのインパクトも十分っ!
ここで優勝賞金2000ガメルと、幸運のしっぽの贈呈……と行きたいところなのですが。
実は、ここでスペシャル企画!
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レフェリーが、最前列のレヴィーヤをさっと指し示すと、会場内の視線がいっせいに彼女のほうに集まった。
■リコリス To:レヴィーヤ&ライチ
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レヴィちゃん、ライさん頑張ってね〜♪ (*゜▽゜)ノ※
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レヴィーヤとライチの髪に結ばれたリボンと同色のポンポンで応援!
■ライチ To:リコリス>ALL>レヴィーヤ
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ありがとっ、リコ♪
じゃ、行ってくるね〜。
(ドワーフ語)
レヴィーヤ、行くよ!
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■レヴィーヤ To:ライチ
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(ドワーフ語)
うんっ!
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冒険者たちに手を振ると、ふたりはさっそうとステージに駆け上がり、戦いが済んだばかりのウーサーとリュナに向き合った。
会場からは、どよめきと期待を込めた歓声が上がる。
■黒ひげレフェリー To:ALL
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去年の優勝者、我々に鮮烈な印象を残した格闘少女、レヴィーヤと戦ってもらいますッッッ!
海の男・ハノクを投げ飛ばしたのは記憶にも新しいッ!
海の色を持つ少女が勝つか、はたまたふわふわうさぎが勝つのかっ!?
今一度、刮目して見よっ!!!
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■レヴィーヤ To:ウーサー&リュナ
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(ドワーフ語)
レヴィーヤ、思いっきりやる!
うさうさにいちゃんも、リュナも、思いっきりやって!
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■ライチ To:ウーサー
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ふふっ。負けたらかっこ悪いよ〜?
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そう言って腕組みをしてレヴィーヤの後方に控えるライチは、笑顔の中に何か悪戯めいたものを含んでいるようにも見えた。
そして、ライチとレヴィーヤがステージに上がった瞬間、空がふと暗くなった。
優しく降り続けていた小雨は不意に強さを増し、テントを叩く雨音もバラバラと激しく聞こえてくる。
海からの冷たい風がひゅうっと音を立て、観客席を薙いで行った。
■ゾフィー To:
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レヴィーヤ、がんば……おや。
いよいよはじまりですかしらね。
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■ライチ To:バルキリー
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(精霊語)
私の中の……もうひとつの魂に応えて、戦乙女よ!
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■ウーサー To:ライチ
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え……え゛ーーーーー!?
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【R1先攻】
GM : ライチ:レヴィーヤに「ファナティシズム」魔力6、MP19-2=172D6 → 1 + 1 + (6) = 8
※1ゾロ!
GM : レヴィーヤ:ウーサーに右こぶしで攻撃5(7-2) 2D6 → 1 + 2 + (5) = 8
GM : レヴィーヤ:右手打撃力5+追加9 15 = 5 (6 + 6 = 12 クリティカル!) + 1 (2 + 3 = 5) + 【9】 キーNo. : 5
ウーサー:回避4 2D6 → 6 + 5 + (4) = 15
ウーサー:防御29+ダメ減5 13 = 8 (2 + 6 = 8) + 【5】 キーNo. : 29
GM : レヴィーヤ:ウーサーに左こぶしで攻撃5(7-2) 2D6 → 3 + 3 + (5) = 11
GM : レヴィーヤ:右手打撃力0+追加9 9 = 0 (2 + 1 = 3) + 【9】 キーNo. : 0
ウーサー:回避4 2D6 → 6 + 6 + (4) = 16
ウーサー:防御29+ダメ減5 12 = 7 (4 + 3 = 7) + 【5】 キーNo. : 29
【R1後攻】
リュナ:ウーサーに「フィジカルエンチャント/シャープネス」(スクワイヤから3点消費)2D6 → 5 + 2 + (6) = 13
ウーサー:鉄刀で攻撃、攻撃力9+1 2D6 → 6 + 6 + (10) = 22
ウーサー:打撃力16+8 0 (1 + 1 = 2 ファンブル!) キーNo. : 16
GM : レヴィーヤ:回避9 2D6 → 2 + 6 + (9) = 17
GM : レヴィーヤ:防御3+ダメ減5 9 = 4 (5 + 4 = 9) + 【5】 キーNo. : 3
レヴィーヤ&ライチ [××]−[×] ウーサー&リュナ
■ライチ To:バルキリー
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……あ、あれ?
ちょっと、帰らないでよバルキリー!?
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■レヴィーヤ To:ウーサー
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(ドワーフ語)
え〜いっ!!
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何故か精霊魔法をスカッてしまったライチには気付かず、ウーサーにこぶしの連撃を繰り出すレヴィーヤ。ちなみに右手にはモザイクブレスレットを掴んでいるため、寸止めでなければそれなりに痛そうである。
■ウーサー To:心の中
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(い、今の右は喰らってたら、マジで持っていかれたぞ……!?)
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躊躇しているように見えたのか、緩い鉄刀の一撃を見てつぶやくリュナ。
■ウーサー To:リュナ
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い、いやだって今! バルキリー! バルキリー!?
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【R2先攻】
GM : ライチ:レヴィーヤに「ファナティシズム」魔力6、MP17-2=15 2D6 →2 + 3 + (6) =11
GM : レヴィーヤ:ウーサーに右こぶしで攻撃7(7+2-2) 2D6 → 5 + 6 + (7) = 18
GM : レヴィーヤ:右手打撃力5+追加9 11 = 2 (4 + 3 = 7) + 【9】 キーNo. : 5
ウーサー:回避4 2D6 → 1 + 3 + (4) = 8
ウーサー:防御12+ダメ減5 14 = 8 (5 + 3 = 8) + 【5】 キーNo. : 29
GM : レヴィーヤ:ウーサーに左こぶしで攻撃7(7+2-2) 2D6 → 2 + 6 + (7) = 15
GM : レヴィーヤ:右手打撃力0+追加9 9 = 0 (4 + 1 = 5) + 【9】 キーNo. : 0
ウーサー:回避4 2D6 → 5 + 4 + (4) = 13
ウーサー:防御12+ダメ減5 13 = 7 (4 + 3 = 7) + 【5】 キーNo. : 29
【R2後攻】
ウーサー:鉄刀で攻撃、攻撃力9+1 2D6 → 3 + 4 + (10) = 17
ウーサー:打撃力16+8 15 = 7 (6 + 4 = 10) + 【8】 キーNo. : 16
リュナ:ウーサーに「プロテクション」2D6 → 3 + 6 + (6) = 15
GM : レヴィーヤ:回避7(9-2) 2D6 → 5 + 4 + (7) = 16
GM : レヴィーヤ:防御3+ダメ減5 6 = 1 (4 + 2 = 6) + 【5】 キーNo. : 3
レヴィーヤ&ライチ [××][××]−[×][○] ウーサー&リュナ
■ライチ To:ウーサー
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……よしっ、さぁウーサー、その装備で避けられる?
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■ウーサー To:ライチ
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 ̄(・ x ・) ̄ はっ! 避けきれねぇのは、覚悟の上だッ!!
 ̄(=゜∇゜=) ̄ 全弾はじきゃあ、どうってこたぁ無ぇッ!!
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■ライチ To:ウーサー
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……そ、その格好で言われると……うくく。
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笑いを堪えるライチをよそに、勇気の力を両拳に乗せて、すさまじい勢いで繰り出されるレヴィーヤの連撃。
避け切れないまでも、片手の鉄刀をも駆使して猛攻を制するウーサーの身のこなしに、会場からため息にも似たどよめきが起こった。
【R3先攻】
GM : レヴィーヤ:ウーサーに右こぶしで攻撃7(7+2-2) 2D6 → 4 + 1 + (7) = 12
GM : レヴィーヤ:右手打撃力5+追加9 11 = 2 (6 + 1 = 7) + 【9】 キーNo. : 5
ウーサー:回避4 2D6 → 6 + 1 + (4) = 11
ウーサー:防御12+ダメ減5+プロテクション1 15 = 9 (6 + 3 = 9) + 【6】 キーNo. : 29
GM : レヴィーヤ:ウーサーに左こぶしで攻撃7(7+2-2) 2D6 → 1 + 6 + (7) = 14
GM : レヴィーヤ:右手打撃力0+追加9 12 = 3 (6 + 4 = 10) + 【9】 キーNo. : 0
ウーサー:回避4 2D6 → 1 + 1 + (4) = 6
ウーサー:防御12+ダメ減5+プロテクション1 16 = 10 (6 + 5 = 11) + 【6】 キー No. : 29
【R3後攻】
リュナ:以降は応援。
ウーサー:鉄刀で攻撃、攻撃力9+1 2D6 → 3 + 4 + (10) = 17
ウーサー:打撃力16+8 21 = 8 (6 + 6 = 12 クリティカル!) + 5 (2 + 6 = 8) +【8】 キーNo. : 16
GM : レヴィーヤ:回避7(9-2) 2D6 → 3 + 3 + (7) = 13
GM : レヴィーヤ:防御3+ダメ減5 7 = 2 (2 + 5 = 7) + 【5】 キーNo. : 3
レヴィーヤ&ライチ [××][××][××]−[×][○][○] ウーサー&リュナ
■リュナ To:レヴィーヤ
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(ドワーフ語)
うさぎアーマー、かんたんには抜けない。
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■ウーサー To:レヴィーヤ>(心の声)
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――ッ!!
(鉄刀が、軋んでやがる! だが――突っ込んで来過ぎだぜ、お嬢ちゃん!!)
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あと一歩のところで有効打を奪えない、レヴィーヤの攻撃。
そこへ、実践ならば致命傷となるような急所へと、鉄刀の刃がピタリと決まった。
■レヴィーヤ To:ウーサー
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(ドワーフ語)
……っ、レヴィーヤ、負けないもんっ!
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■ウーサー To:レヴィーヤ
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さあ来なっ、レヴィーヤ!!
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雨が、まるで怒気を帯びたかのように突然激しさを増した。
テントの中に入り切らない町民たちを容赦なく打ち付け、ずぶ濡れにしていく。
時折吹き荒れる強風に支柱がガタガタと揺れ、あちこちで町民たちの悲鳴が上がった。
【R4先攻】
GM : レヴィーヤ:ウーサーに右こぶしで攻撃7(7+2-2) 2D6 → 2 + 6 + (7) = 15
GM : レヴィーヤ:右手打撃力5+追加9 12 = 3 (6 + 2 = 8) + 【9】 キーNo. : 5
ウーサー:回避4 2D6 → 3 + 5 + (4) = 12
ウーサー:防御12+ダメ減5+プロテクション1 12 = 6 (2 + 4 = 6) + 【6】 キーNo. : 29
GM : レヴィーヤ:ウーサーに左こぶしで攻撃7(7+2-2) 2D6 → 6 + 1 + (7) = 14
GM : レヴィーヤ:右手打撃力0+追加9 13 = 4 (6 + 5 = 11) + 【9】 キーNo. : 0
ウーサー:回避4 2D6 → 4 + 2 + (4) = 10
ウーサー:防御12+ダメ減5+プロテクション1 13 = 7 (5 + 2 = 7) + 【6】 キーNo. : 29
【R4後攻】
ウーサー:鉄刀で攻撃、攻撃力9+1 2D6 → 3 + 3 + (10) = 16
ウーサー:打撃力16+8 14 = 6 (6 + 3 = 9) + 【8】 キーNo. : 16
GM : レヴィーヤ:回避7(9-2) 2D6 → 1 + 1 + (7) = 9
GM : レヴィーヤ:防御3+ダメ減5 5 = 0 (1 + 2 = 3) + 【5】 キーNo. : 3
レヴィーヤ&ライチ [××][××][××][××]−[×][○][○][○] ウーサー&リュナ
■レヴィーヤ To:ウーサー
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(ドワーフ語)
え〜〜〜〜いっ!!!
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■ウーサー To:レヴィーヤ
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く・お・おっ……凌いだッ!!
これで、どうだあぁッッッ!!
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渾身の連続攻撃をギリギリ防いだウーサーは、がら空きとなった彼女の身体に、勝負を決める最後の一撃を繰り出した。
■黒ひげレフェリー To:ALL
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……そ、そこまでっ! 勝負ありっ!!!!
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一瞬、高レベルの攻防に引き込まれていたかに見えたレフェリーが、大声で宣言する。
会場は割れんばかりの歓声と、盛大な拍手で満たされた。だが──
同時に別の声も混じり始めていた。
■カイネ To:ティガ
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なぁ、あれは……波、だよな? 何だか……妙にでかくないか?
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■ティガ To:カイネ
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はぁ? 錯覚じゃねぇのか?
んなことより、あの空のあたりに変な黒い固まりが……何だ、ありゃあ?
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ゾフィーは聞こえた声の示す方角、海そして空に素早く目を向けた。
自分よりも座高の高い人々のおかげで、海はよく見えない──はずだったが、連なる人垣の頭の隙間から、わずかに「うごめくもの」が見えた。
白い飛沫をまき散らしながら、次第にその大きさを膨らませて陸地へと近づいてくる、巨大な高波。
空へと視線を移すと、はるか遠くに豆粒ほどの大きさで、翼を持つものの影が集まっているのが見える。
それらは徐々にではあるが、こちらに近づいてきているようだ。
■ゾフィー To:内心>冒険者達
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(まったく、胴の長い連中ときたら……おかげでろくに見えやしない)
ちょっと、皆様、静かにあちらを御覧になって。
あと、どのくらいの時間がございますかしら。
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■リコリス To:ゾフィー&ALL
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ん〜、空飛んでるのは普通の海鳥よりも大きなものっぽいし、10数羽いそう……。
でも、今すぐにここまでくるってことはないんじゃないかなぁ?
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会場の外や、不穏なざわめきに気づかないまま。
壇上のウーサーは、鉄刀を鞘に収めながらリュナに声をかけた。
■ウーサー To:リュナ
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どうだったい、オレ様の剣技は……惚れたろ? とはいえ魔法の加護が無けりゃあ、取られてたかもな……。
げっ!? 受けてた方の鉄刀の柄が、ガタガタになってやがる!?
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■リュナ To:ウーサー
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ん……ドキドキした。
危なっかしくて。
……もし、レヴィーヤがおとなになったら、再戦してみるといい。
もっと良い勝負になるかも。
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ちょっと目元を緩めて、そうささやいた。
■ウーサー To:リュナ
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大人に、か……? いや……ああ、そうだな……?
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歳を経たナギの隣に並ぶレヴィーヤの姿が「大人」のものである事が想像できなかったウーサーは、表情を隠す覆面が、初めて有り難く感じた。
■レヴィーヤ To:ウーサー
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(ドワーフ語)
うさうさにいちゃん、レヴィーヤはとってもたのしかった!
あくしゅ、して!
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充実感に溢れた瞳でウーサーを見上げて、さっと小さな手を差し出すレヴィーヤ。
■ウーサー To:レヴィーヤ
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ん? おう、オレ様も楽しかったぜ!
去年のルールだったら、危なかったかもな?
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言葉の意味は理解できないものの、愉しげな眼差しと差し出された手から察して、ウーサーは笑顔で(とはいえ、その表情は覆面の下だが)大きな手を差し出し、レヴィーヤとがっちりと握手を交わした。
■リュナ To:ウーサー>レヴィーヤ
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とてもたのしかった、って。
(ドワーフ語)
レヴィーヤ、うさぎもリュナも、同じ気持ち。
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レヴィーヤにびっとVサインを出しつつ、ちょっとかがんでレヴィーヤの頭を撫でた。
■黒ひげレフェリー To:ALL
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さぁっ、それでは今度こそ、表彰式ですっ!!
幸運の白馬の登場──あっ!?
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温かい拍手と、奇妙などよめき、不安げなひそひそ声が混じり合った武道会会場。
そのとき、小さなテントから連れ出されようとしていた白馬が、運営委員の手を振りほどき、まっすぐ客席の冒険者たちのところへと近づいてくるのが見えた。
■ウーサー To:ALL
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お? アレが例の、絵筆の「毛」のほうってヤツか!?
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■レヴィーヤ To:白馬(シンメ)
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(ドワーフ語)
あっ、シンメさま!
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レヴィーヤにつられるようにして、冒険者たちは急いでステージから降り、シンメのそばに身を寄せる。
沈んだ灰色のたてがみと尻尾を持つ純白の馬は、長いまつげに縁取られた優しい目を冒険者たちに向け──何かを催促するかのように、ぶるるっと鼻をならした。
■ウーサー To:シンメ
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ええと……よく理解らんが、シッポの毛を貰ってもいいのか?
とりあえず、お前さんが納得しそうな「絵」だったら昨日の晩、ゴルボロッソのおっさんが完成させてるんだがよ……?
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■ゾフィー To:白馬
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はじめまして。
お探しなのはこちらでして?
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足元に目立たぬようにおいてあった包みをほどき、『静謐』を取り出したゾフィーは白馬の前にそれを掲げてみせた。
白馬は一声、とても高い声でいななきを上げると、しっぽをふさ、ふさと左右に揺らした。
揺れるたびにくすんだ色が消えて行き、かわりに銀色の輝きを帯びて行く。
■レヴィーヤ To:ALL
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(ドワーフ語)
あのときとおんなじ! シンメさま、よろこんでる!
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■ゴルボロッソ To:ALL
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(ドワーフ語)
おお……今まさに認められし我が努力よ! なんという感動!!!
さあ、誰か神馬の尾っぽを──ひとふさ、切り分けるのだ!!
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ゴルボロッソはさすがに幽霊としての自覚があるのか、姿を現さずに、しかし思わずうわずった声でそう叫んだ。
■レヴィーヤ To:???
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(ドワーフ語)
? だれ??(きょと) ……?
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レヴィーヤは突然聞こえてきたドワーフ語に驚き、目を丸くしてあたりを見回す。 そのとき、ざあざあと降り続く雨の音にようやく気付いたかのように、人垣の向こうを見上げて棒立ちになった。
■レヴィーヤ To:海
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(ドワーフ語)
…………とうさんかあさん……?
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■ゾフィー To:レヴィーヤ>ALL
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(ドワーフ語)
レヴィーヤ、今、「えふで」の柄を持っています?
(共通語)
神馬の尾を一房切り取れと、いにしへの絵師の言葉ですわ。
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■レヴィーヤ To:ゾフィー
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(ドワーフ語)
うん、もってる!
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■ウーサー To:ALL>シンメ
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――遂に、来たか!
悪いな馬君、コイツを使わせてもらうぜ!
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ウーサーは抜き放ったショート・ソードで、シンメの尻尾の毛をひとふさ切り取った。
■ウーサー To:ALL
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なあ、おい! このあと、どうすりゃいいんだったっけっか!?
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■ゾフィー To:ウーサー>ALL
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戦利品を得し勇者として、群衆に勝利のポーズをお忘れなく。
今、全員があれに気づいたらパニックになりかねません。
対峙するには、ここは人の目が多すぎますから、できれば海岸に……。
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人垣に邪魔されることなく、昨晩確認した道に出られるか、ゾフィーは白波通りへのルートを目で追った。
テント外の観客たちは、ひどい雨を避けるようにして他の出店のテントの下に逃げ込んでいる。人垣は徐々にまばらになり、白波通りへはすぐに出られそうだ。
■ゾフィー To:ALL
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……いまの状況でしたら、まだ抜けられます。
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■ゴルボロッソ To:ウーサー
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(ドワーフ語)
“蛭子”を宥める虹を描くために、絵筆を完成させるのだ──「こころ」を込めた、完全な魔法の絵筆を。
「柄」に「穂」を巻き付け、「はぷるまふる」を宿す。
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■レヴィーヤ To:ALL
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(ドワーフ語)
にじ!? 七色……の、はし? にじでとうさんかあさん、やさしくなるのか!? つくる、まほうのえふで! レヴィーヤ、やりかた知ってる!!
うさうさにいちゃん、かして!!
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■ゾフィー To:ウーサー&ALL
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「柄」に「穂」を巻き付け、「はぷるまふる」を宿せと。
“うさうさにいちゃん”、レヴィーヤが尾を貸してほしいそうですよ。
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■ウーサー To:ゾフィー、レヴィーヤ
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お、おうわかった! コレだな!?
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レヴィーヤはワンピースのポケットから絵筆の「柄」を取り出し、ウーサーの手から「穂」を受け取ると、それを「柄」にぐるぐる巻きにした。
らせんを描く銀色の細い輝きは、そのまま「柄」に吸い込まれていく。
やがて、柄の頭からやわらかな銀色の「筆先」が、きらきらと輝きながら顔を出していた。
■ライチ To:ALL
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あ、っと……「ハプルマフル」を込めなきゃいけないんだったね。
大丈夫、もうあの時みたいに虹を描くことを怖がってないよ。
1度経験したせいかな?
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ライチが胸元を包み込むように添えた両手から、ほんのりと虹色の輝きが漏れていた。
その手をレヴィーヤの手の中の絵筆に添える──。
「柄」から細い細い、毛糸のような手足をにょきっと生やした「魔法の絵筆」は、まるで起き出した子犬のように身体を震わせたあと、しゅたっとレヴィーヤの肩に飛び乗った。
■リコリス To:絵筆ハプルマフル
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ハップルかわいい〜♪
「ちいさくてかわいいもの」その通りだねっ。
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■レヴィーヤ To:ALL
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(ドワーフ語)
レヴィーヤ、にじ、描きたい! どんなかたち、してるの!?
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■ゾフィー To:ALL
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虹の形が知りたいですって。
どなたか手本を指してあげていただけません?
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■リコリス To:レヴィーヤ
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え? えっと……あ、これ。
この七色の橋が虹だよっ。
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ゾフィーの持つ『静謐』に描かれた虹を示す。
■レヴィーヤ To:ALL
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(ドワーフ語)
これ!? レヴィーヤ、描く!
描くもの、かみ──
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■絵筆ハプルマフル To:レヴィーヤ
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(こくこく)
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魔法の絵筆は、身体ごとこっくりこくこく頷いたあと、細い手でさっと空を指差した。そして、雨を降らせ続ける空に一筆、アーチを描くようになぞらせる。
■レヴィーヤ To:絵筆>ALL
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(ドワーフ語)
お空に、描くの……?
わかった、レヴィーヤ、描く!
にじを描いて、とうさんかあさん、むかえにいこう!
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レヴィーヤは絵筆の胴体をはっしと掴むと、それを高々と掲げた。
とたんに銀色の穂先から、まるで光がこぼれるかのように虹色の色彩があふれ出す。
そしてレヴィーヤは駆けだした。どよめく人垣をくぐり抜け、海に向かってまっすぐに。
彼女の走った軌跡がそのまま虹色のアーチとなって、ぐんぐんと空に昇っていく。
■ゾフィー To:ALL
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描くべきは……空。
「にじを描いて、とうさんかあさん、むかえにいこう!」
まるで風ね、いえ風を越えて走るわ……海へ。
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■ライチ To:ALL
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私たちも行こう!
ナギ、抱っこしてあげるからおいでっ!
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目を丸くするナギをさっと抱き上げ、皆を促しながらレヴィーヤを追うライチ。
人々は空に昇っていく七色の帯を指さしながら感嘆の声を上げ、そしてまた、少女が走り出した方向に迫り来る高波に気づいた者は恐怖の声を上げながら、混乱しつつあった。
■ウーサー To:リュナ
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チッ……ヤベぇな、こうなりゃひと芝居打つぞ!
ちょっと来てくれ!!
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海から来る「もの」たちとパニックになった住人が起こす最悪の事態を想像して舌打ちしたウーサーは、リュナの手を取って再びステージに戻った。
銀の大剣を引き抜き、轟音を立てさせて身体の前に突き立てて注目を集めると、怒鳴りつけるような大音声で叫びだす。
■ウーサー To:街のひとびと
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皆、聞け〜〜〜っ!
あの高波は、今からリュナたち「不知火亭」の冒険者と、オレ様たちオランの「銀の網亭」の冒険者が鎮める!
武道会優勝コンビが保障するんだ、ついでの余興だと思って、此処で座って黙って見てろ!!
納得行かねぇヤツは、オレ様たちを倒してみやがれっっっ!!!
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声量と勢いだけで一気に言い切り、有無を言わさぬうちに、自身たっぷりのガッツポーズを取ってみせる。
リュナもそれに合わせるかのように、観客席に向かってVサイン(無表情で)。
■町民 To:ウーサー
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た、高波だって!?
――あ、あれがっ!?
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■船乗り To:ALL
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面白そうじゃねえか、見学しようぜ見学っ!!
こら、押すな! あぶねえぞ!?
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■コノハナ To:ALL
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あら……一体何が起きるのかしら?
久しぶりだわ、このわくわくした気持ち……♪
ねぇみなさん、ウサミミ戦士さんの言うとおり、ここはおとなしく座って見学していましょう?
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■イアナ To:コノハナ
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ちょっとコノハナ、何のんびり案内してんのっ!?
あ、でも、ステージの上のほうがよく見えるかも……?
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不安げながらも腰を落ち着け始める一般客。そして、海の向こうでの出来事を見届けようと、我先にとステージへ駆け登り始める血気盛んな海の男たち。
その混乱の中を、たっぷり膨らんだ革袋を持って、愉しげに歩き回るひとつの姿。
■トグー To:ひとりごと
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やれやれ……倒せったって、倒せるわけがないだろう?
高波よりも、全身ウサギ武装のあんたのほうが怖いさ、イロイロな意味で。
――リュナも面白い男を見つけたもんだねぇ、まったく。
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■ウーサー To:リュナ
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まあ、こんなもんかっ!? じゃあ行くぞ!!
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ウーサーは縷々儀を鞘に戻すと、覆面とウサミミを取ってリュナに放り投げた。
リュナが受け取るが早いか、いきなり彼女を「お姫様だっこ」に抱え上げてステージを駆け下り、仲間たちを追って走り出す。
■リュナ To:ウーサー
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や…、ば、ばかっ、おろせっ、みんな見てる──っ(///
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■ウーサー To:リュナ
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このほうが早ぇ! 非常事態だ、しっかり捕まっていやがれっ!!
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目を丸くして見送る町民たちの間から、黄色い歓声と拍手喝采が沸き起こる。
この世の終わりのごとくに暴れまくる魔法少女を軽々と抱えたまま、素顔をさらけ出した重戦士は、興奮した人垣を越えて海への道を駆け抜けていった。
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