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SW-PBM Scenario#163
かわいい絵筆

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賢者の学院・研究室



  賢者の学院・研究室

イェンスとソルはリノゲイド教授からの呼び出しに従い、彼の研究室を訪れてみることにした。
一般人は許可無しには訪れることのできない、教授たちの研究室が並ぶ、長い長い廊下を歩く。
もちろん学生のイェンスには勝手知ったる道のりだ。
ほどなくして「リノゲイド」のプレートがあるドアの前にたどり着いた。
■ソル To:心の中
(イェンスの教授ってどんな人だろう?イェンスに似て性格悪いのかなぁ)

ちょっとどきどき。
■イェンス
失礼します。リノゲイド教授いらっしゃいますか?

ノックをして待つこと3秒、「入りたまえ」の声。
そっと中に入ると、いつものように異常なほど整理された本棚と、異常なほど豊富なさまざまな海洋生物の模型が並べられた棚が見えた。
■イェンス To:リノゲイド
お久しぶりです、教授。この度はお声をかけて頂いて光栄です。

■リノゲイド To:イェンス&ソル
うむ、こちらこそ礼を言わねばならんな、イェンス・リマタイネン君。
良く来てくれたね。
まぁ、かけたまえ。熱い緑茶と熱い昆布茶と熱いほうじ茶、どれが良いかね?

くるりと椅子と一緒に回転し、イェンスの姿を認め顔をほころばせる教授。
白髪で白ひげ、細い身体に白衣を身に着けている初老の男性であった。
■ソル To:リノゲイド
初めまして、ソル・アルディードと言います。イェンスの冒険者仲間です。
今日はイェンスについてきました。お邪魔させていただきます。

想像していたのと違いそうで良かった、と胸をなでおろす。
■リノゲイド To:ソル
うむ。そういえば君も学院内で見かけたことがあるね。
今回の話は協力者が多いほど助かる。かしこまらずに聞いてくれて構わんよ。

■イェンス To:ソル>リノゲイド
そう言えばソルさまも魔法使いでしたね。
最近すっかり木刀が似合う様になって…(涙)。
あぁ、えぇと、お茶は…昆布茶をお願いします。
(もしやわたしと好みが同じ?!)

■ソル To:イェンス
おぉ、木刀が似合って来た!?
イェンスに虐げられてがんばって修行してきたかいがあったよ。
あ、お茶はイェンスと同じものでお願いします。

■リノゲイド To:イェンス
うむ、ではちょっと待っていたまえよ。

■イェンス To:リノゲイド
あぁっ、教授が自らお茶を?!

リノゲイド教授はいそいそと立ち上がり、湯の準備をしはじめた。
やがて使い込んだ湯のみに入れられた熱い昆布茶を、イェンスの目の前に置く。
そして自らもずずずと茶をすする。
■イェンス To:リノゲイド>ソル
恐縮です。ほら、ソルさまも座って。

珍しく縮まって恐縮しながらもソルを促して椅子に座り茶をすする。
■イェンス
すばらしいお湯と昆布の配合ですっっっ!!!!

■リノゲイド To:イェンス
はっはっは。そんなに喜んでもらえると私も嬉しいよイェンス君。
この昆布はだね、何を隠そう、遠い異国から独自ルートで……いや、ごふんごふん。
はっはっはっは。今のは聞かなかったことにしてくれたまえ。

■イェンス To:リノゲイド
んん???(もしや教えられない程のレアもの?!それとも違法?!)

■リノゲイド To:イェンス
本題に入ろう。
急に呼び出したのはほかでもない。冒険者でもある君に、ちと頼みたいことがあってね。

■イェンス To:リノゲイド
冒険者としての頼み事ですか…。
今他の仕事を請け負ってはいるんですが…お話だけでもお聞かせ下さい。

■リノゲイド To:イェンス
うむ。
まず聞きたいのだが、イェンス君。君のご両親も生物学者だそうだね。
ホエールウォッチングがご趣味だと小耳に挟んだのだが。
君もご多分に漏れず、海の生き物に特別興味があったりするのかね?

■イェンス To:リノゲイド
確かに両親は魚類の学者ですが、わたしはどちらかと言うと海より山ですかねぇ。
そのせいで観察に夢中になって食料が底を尽き飢え死にしかけましたが。

しかも今やジャイアント・コックローチの標本を持っている事が自慢だったり。
■ソル To:リノゲイド
うちの父が山で死にかけているイェンスを助けたのがまちが…、あ、いやいや、助けたのが縁で今一緒に冒険者をやっているんだ。

あぁ、なんで助けてしまったんだ、父さん…。付き人とか言ってオレをこき使ってるだけだし。ソル、心の叫び。
■リノゲイド To:ソル&イェンス
なるほど、イェンス君は強運の持ち主でもあると。
しかし、山の方に興味があったとは。これは意外だったな。
むむぅ……、そう言えば君は、れんぢゃーの訓練も積んでいたのだったね。

レンジャー、とうまく発音できないらしい。
■イェンス To:リノゲイド
れんぢゃーは山の生物を追っているうちに身につけた技能です。
が、先生はその海関係の生物に何か?

■リノゲイド To:イェンス
うむ。私が海の生物に魅せられ、そちらを主に研究していることは知っているね?
定期的に海に出している調査団からの報告にあったのだが。
最近、海におかしなモンスターが出没しているらしいのだ。

見かけは海や野外でよく見かけるモンスターなのだが、倒したあとに、粘度のある液体に戻ってしまうというのだよ。
しかも、様々な色が混じった状態で。

■ソル To:リノゲイド
それは興味深い話だな。
どこにいつ頃からどんな状況で現れたとか、もっと詳しく教えてくれないですか?
いったいどんな現象なんだろう?

■リノゲイド To:ソル&イェンス
うむ。調査団から報告が出始めたのは、半年ほど前からだ。
半年から今日まで船は5回出しているが、うち被害に遭ったのは3回。
モンスターが突然海中や空から現れ、船を攻撃し、調査員に襲いかかってきたというのだ。
幸い魔術に長けている者たちが多かったから、3回とも撃退に成功してはいるがね。
旅に危険はつきもの、それだけなら、さほど珍しくもない話なのだが……。

眉間にしわをよせて、昆布茶をすする。
■イェンス To:リノゲイド
うぅ〜ん。残念ながらその様な話しは聞いた事がありませんが…。
しかし5回中3回は多い方では?

■リノゲイド To:ソル&イェンス
何しろ調査のために危険区域にも赴くから、遭遇自体はさほど珍しくもないのだよ。
しかし、1度に出現するモンスターの種類が、あまりにも多様でね。

……先ほど私が、モンスターが液体に「戻った」と表現したことに気付いたかね?
“魔力探知”によってその変化を見ていた調査員は、その色とりどりの液体から魔力を感じたのだそうだ。
これがどういうことかわかるかね?

■イェンス To:リノゲイド
魔法生物…と言う事でしょうか???

真面目に適当な事を言ってみる。
■リノゲイド To:イェンス
うむ、その通りだ。さすがはイェンス君、私が見込んだ優秀な生徒だけのことはある。
はっはっは。いっそのこと私の直属の部下にならんかね?
今は山よりも海がナウなのだよ君。はっはっはっは。

とても誇らしげかつ嬉しそうだ。
■ソル To:イェンス
そうだ、このまま直属の部下になってオレの元から離れて行ってくれよ。
良い話じゃないか、もうぜひそうさせてもらえよ。
リノゲイド教授も喜ぶぞ〜。
こんな話2度とないぞ。
な、そうしろよ。っつーかそうしてくれ。

イェンスを追い払うチャンス到来。
■イェンス
(適当に言った事が当たった…)

こちらは冷や汗ダラダラ。
■イェンス To:リノゲイド
見かけが海と野外にも居ると言う事でしたが、それは一体どの様な感じのモノでしょう?

■リノゲイド To:イェンス&ソル
うむ。海にもモンスターと呼ぶべき凶暴な海洋生物がいることは、君も良く知っていると思う。巨大なタコや巨大なウミヘビなどだね。
それらに加えて、空飛ぶ鳥形のモンスターも見かけたということだったよ。
何体かは逃げていったそうだから、すべてを確認できた訳ではないそうだ。

■イェンス To:リノゲイド
なるほど。それで教授の頼みと言うのはその生物の実体の確認、と言う事でしょうか。

■リノゲイド To:イェンス&ソル
うむ、話が早くて助かるよイェンス君。
君たちがもし、船に乗ることがあれば、という話になってしまうがね。
私の調査団は、今年はもう予算が尽きて出せないのでね。はっはっは。

■イェンス To:リノゲイド
(もしやタダ働き?!)
えぇ、もし船に乗る機会があれば是非お手伝いさせていただきます。
(当分乗らないでしょうから大丈夫ですね)

■リノゲイド To:イェンス
はっはっは、不安が顔に出ておるよイェンス君。
安心したまえ。働いてもらった分はもちろん礼をする。
現金またはマジックアイテムでね。とんでもない危険を伴ったなら、危険手当も考えようじゃないか。

イェンス、ソルの湯のみと、自らの湯のみに茶を注ぎ足す。
■リノゲイド To:イェンス&ソル
具体的に言うと、力つきたモンスターが姿を変えた、粘土の高い液体。
これを持ち帰ってもらいたい。
……私の調査団が戦った際には、魔法や飛び道具で海中または海上でトドメをさすことが多く、海に流れてしまって採取不可能だったそうなのだよ。
ああ、これに入る分だけで構わんよ。

そう言って透明度の高い小瓶をひとつ、イェンスに手渡した。
スプーン3杯くらいでいっぱいになりそうな大きさである。
■イェンス To:リノゲイド
(小瓶を受け取り)つまり海上ではない場所で採取しないといけないのですね。
えぇえぇ、生け捕りはわたしの信条ですっ。
このイェンスが居れば粘液だろうが何だろうが生きたまま丸ごと取って来ましょう!!!

突然気が大きくなる。
丸ごと生け捕りに命をかけているらしい。
■リノゲイド To:イェンス
いや人の話聞いてたかねイェンス君。トドメささんと液体に戻らんのだよ!?
……しかしまぁ、同じ生物学を志す者としてそんな君のポリシーも解らんでも無い。
生け捕りでも良しとしよう。ただし肉体を私に安全に引き渡せるように、完全に無力化しておくこと、いいかね?
その後は煮るなり焼くなり私の判断に任せてもらうよ?

■イェンス To:リノゲイド
ふっふっふ。教授、生け捕りにした後生きたままの実体を研究して綺麗なまま保存をするのが極意なのですよ。

明らかに無理があるが。果てしなき妄想は広がる。
■ソル To:イェンス
でもさぁ、見かけは『よく見かける』モンスターなんだろ。
トドメささないと見分けつかないんじゃ…。

■リノゲイド To:イェンス
うむ。しかし、普通は徒党を組まないようなモンスターが一度に現れたら、それと疑って構わないよ。たとえばトビウオとマダコは手を組まないだろう?
しかし万が一、生け捕りモンスターにトドメをさしてみたら普通のモンスターでした、というオチにはならないように頼むよ。

■イェンス To:リノゲイド
おっと、こうしてばかりは居られない身でした。
教授、お忙しい所申し訳ないのですが、今回わたしが請け負っている仕事の事で、少し聞きたい事があるのですが…。
教授程の方でしたらご存知かと思いますが、イーエンと言う古代時代の町をご存知ですか?

■リノゲイド To:イェンス
ふむ? イーエンと言えば、西……エレミア付近にあったと言われる小さな都市国家がそんな名前ではなかったかな。
あの辺りは今でも良質の漁場なのだよ。そして海洋生物も豊富!
しかし天候が安定しないので難所とされているね。
確か今では、イーンウェンという小さな港町があるだけだったと思うがね。

■イェンス To:リノゲイド
似た様な名前で残っているのですね。ふむふむ。
それから、描いたモノが現実になると言う伝説の絵筆の事はご存知ですか?

■リノゲイド To:イェンス
ん? 絵筆? それは夢のある話で結構だが、こう見えて私はまったく芸術関係には疎いのだよ。はっはっは。

■イェンス To:リノゲイド
(こう見えて?)教授の事ですからマルチだと思っていましたよ。

■リノゲイド To:イェンス
マルチとは甘美な響きだが、専門をおろそかにしては本末転倒だからな。はっはっは。

■イェンス To:リノゲイド
では『ハプルマフル』と言う、恐らく人の名前か何かと思うのですが、聞いた事などはありますか?

■リノゲイド To:イェンス
ん? はぷるまふる? ……ふむ、ひとの名にしてはけったいな音だが……そういえば上位古代語にそんな発音があったような気がするな。
それ以上はちょっと思い出せんよ、すまんね。

そして3人のお茶もすでにぬるくなっていた。
■リノゲイド To:イェンス&ソル
さて、聞きたいことはもう無いかね?
では良い報告を待っているよ、イェンス君、ソル君。

■イェンス To:リノゲイド
はい。とても為になりました。モンスターの事はお任せ下さい。
それではこの辺で…。そろそろ図書館も閉まってしまいますし、おいとまさせて頂きます。
美味しい昆布茶ごちそうさまでした。いつかは入手ルートを…あぁ、いえいえ。
では。

■リノゲイド To:イェンス
はっはっはっは。昆布茶のことはひとまず忘れ給え。はっはっは。

■ソル To:リノゲイド
どうもありがとうございました。
こちらも何かわかったら報告します。
何かあったらよろしくお願いします。
それと、ぜひイェンスもよろしくお願いします。

■リノゲイド To:ソル
うむ。いつでも歓迎しよう。

奴は本気だ。


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