#162 探索は潮風の香り

エントランスを遺跡の奥に向かって歩くと、幅2m、長さが5mくらいの通路が続いていた。
通路の先には石造りの扉が見える。

そういうと慎重な足取りで一人進み始める。ウーサーは通路のとば口に立ち、何時でも全速力で前方に走れるよう身構えながら、ニコラスの様子を見守っていた。

部屋で待つメンバーを手招く。

寄っていったウーサーは軽口を叩きながらも、盾を構え直して扉を見据える。

仲間たちの位置を確認してから、ウーサーは扉に手をかけ……反対側の手で持った盾を 構えなおしてから、ニコラスが観察するに足る範囲まで、ゆっくりと開いた。ニコラスはウーサーが開いた隙間から手鏡を差し入れ中の様子をうかがう。部屋の中は先ほどのエントランスと同じ作りで、10m×10m程度の部屋である。
部屋の奥に人間の身長ほどの石像？ らしき物が二つ置いてあるのが分かる。

ジンは、センス・マジックを唱えた。
しかし、部屋の中に魔力を発するものは無い様だ。

カトリーとニコラスは注意しながら石像に近づいた。
石像は人間の背丈くらいで、女性の姿を模るている様に思える。
後方で見ているジンとゼファルディートには分かるが、
この像はウンディーネを形取った物の様だ。

また、ニコラスには分かるが、Aの像は下位古代語で9と書かれたプレートを、Bの像は同様に8と書かれたプレートを持っている。

なお、石像は近づいても動く気配は無い。

ニコラスとカトリーの側に近づいて行ったウーサーは、鎧の音が他のメンバーが石像を調べる邪魔にならないように体の動きを極力止めながら、先に続く扉をざっと見渡してみた。
プレートは石像の一部となっており、取り外しは出来ない様だ。
カトリーは注意深く石像を調べていたが、やがて調べ終わって言った。

人差し指を立てた両手をぐるぐる廻しながら、なにやら確認している。

このお嬢さん方が向かい合った途端罠が発動ってのはすごく有りそうだね。
俺もそれをいじるのは最後でいいんじゃねぇかって思うよ。
何もしねぇって訳じゃなくて、他にやることがなくなって進みようもなくなってからでも遅くねぇんじゃないかなぁ。
全部のからくりを解いて回りたくもなるとこなんだけど、とにかく先に進んで大まかな全体像を掴んで、この遺跡が何なのかってのを判断するだけの材料を集めるのが肝心なんだと思う訳よ。