P.S. 〜その後のミァ〜
冒険者→ギルド幹部への大出世。
だが人間(グラスランナー)、その程度で性根が変わることもなく…
「ご飯〜ごっはん〜♪」
「ふっ、リューちゃん勝負ー!」
「にしし新人どもよ、覚悟しやがれでスヨー!(○△○)カッ」
相変わらずドタバタと賑やかに、笑いと食べ物に満ちた生活を送ったらしい。
…え? ノール? ……さあ(・▽・)?
そんなある日のこと。
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「ばーちゃんばーちゃん」
ミァが声をかける先に居るのは、優雅な引退生活満喫中のユズリハ。
「ミー、これを出しに来たでスヨー」
ぽん。机の上に置いたものは【辞表】だった。
「けっこー幹部ライフも楽しんだし、そろそろミー、また新しいものを見たり食べたりしたいと思ったのでスー。だからこれ、えーとけじめって奴でスカー?(・▽<)-☆」
「なるほどのぅ…」
ミァと辞表を交互に眺め……ユズリハはゆっくり封筒を手に取った。
そして。
「却下じゃ☆」
ビリッ。
「えっΣ( ̄□ ̄;!?」
「ほ〜っほっほっほ。一度わらわの手飼い幹部となったからには、死ぬまでわらわに尽くしてもらうぞよ☆」
「酷いでスヨー! だってミー、ぐららんですし、こう、いろいろ血が騒ぐんでスヨー!!」
「安心せい。だ〜れも行くなとは言うとらん」
「…うよ?」
「つまり旅に出るのは許可するとゆ〜ことじゃ。どうせならどーん!と行ってくるがええ。ただし!! 代わりにちーっとな、密偵でもやってくれんかのぅ〜?」
あっさり言われた。
「……ミーが密偵でスカー?」
某相棒が目指してたな、なんて思いがちらっと脳裏を掠める。
考えたのは数秒。
「んに、おもしろそーだからいいでスヨー♪」
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「さって何処行くですかネー。やっぱケイオスランドですかネー。そんでもって、まだ知られていない食材や料理をがっぽがっぽ胃袋に…(じゅる)」
「(遠くから)ミァっちーーー!!」
「Σはっ、さっさと出かけないとでスー(・▽・)ノすたこら」
そして更に月日は経ち……
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「ほー。ここがゴチになりやすいで噂の銀の網亭デスカーっ」
赤毛のグラスランナーの少女が、しげしげと宿の看板を見上げている。
担いだ背負い袋も真新しい。
どうやらこれから最初の一歩を踏み出す冒険者のようだ。
「たのもーっ!」
中に入った少女は、カウンターにつくなり声を張り上げて言った。
「あちしはノアというデスヨーっ! 冒険者になりにキマシターっ!
お腹ぺっこぺこなのでまずはすぺしゃりゃーな定食をメガ盛りでっっ!」
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