タークスのぼうけん
ジンの指令を受け取って、2階の扉(D)に張り付いていたタークスは階段を駆け下りて1階ロビーへと到着した。
ざっと見回す限り、怪しい気配はない──と思ったその時。
■カボチャ
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(西方語)
まったく……手間を……であります。
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何かをぶつぶつとつぶやきながら扉(A)から現れたのは、先刻のカボチャだった。
扉(A)はカボチャが開けた……のではなく、開け放たれたままだったようだ。
カボチャはふよふよと宙に浮きながら、まっすぐタークスの方──階段へと向かってくる。
■ジン
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(おっと・・・こいつ、まだ館内にいたのか)
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タークスは、すばやく階段の下に身を隠す。
■カボチャ To:タークス
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(西方語)
…………。げっげっげ。
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しかしタークスの気配はカボチャに察知されてしまったようだ。
ゆっくりと近づいてきたカボチャは、何やら愉しげで──かつ邪悪めいた光を三角切れ込みの目の奥で光らせながら、タークスを見つめて笑った。
が、そのまま何をするでもなく階段をふよふよと上って行く。
階段の下からそれを見上げるタークス(ジン)に、まるでこれ見よがしに自らの姿を見せつけるかのように。
カボチャの体は、赤い返り血を浴びていたのだ。オレンジ色に紛れてわかりにくかったが、勢い良く吹き出した鮮血を至近距離で浴びたようにも見えた。
■ジン
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(おいおい・・・誰かやられたんじゃないだろうな)
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カボチャはそのまま2階へ上がりきると、またも自動的に開いた大扉(D)の奥へと消えて行った。
■ジン
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(・・・罠か?とはいえ、リュント達と接触しないわけにもいくまい)
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タークスは大扉が閉まったことを確認すると、リュント達が入った扉へと駆けていった。
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