「一枚の銀貨」亭 |
冒険者達はファラハの情報を元に、「一枚の銀貨」亭を捜して下町へやって来た。
ファラハの情報通りの場所に酒場を見付け、入り口を潜ると、そこはごく普通の酒場であった。
客の入りは上々で、かなり忙しそうである。
■ゾフィー To:カウンターの中の人 |
こんばんは、夕食と飲み物をいただけるかしら。 食事はおすすめのメニューがあるならそれを、あと……ワインを一杯。 |
■給仕娘A To:ゾフィー |
今日は、ラム肉の煮付けがお勧めですよ。 ワインは赤で宜しいですね? |
■ゾフィー To:給仕娘A |
ええ、お願いするわ。 ……あ、やっぱりワインはボトルで頂戴、それから予備のグラスもいただけるかしら。 |
■給仕娘A To:ゾフィー |
いやだなあ、お客さん。 うちにはグラスなんて高価な物ありませんよー。 木のカップで良ければ、二つお持ちしますね。 |
■ゾフィー To:給仕娘A |
あ、あらぁ…そうι おほほ、ごめんなさいね。 ならば、カップで結構よ。 |
少しタイミング遅くエルステッドも店にやってきた。
それに気がついたドワーフ女性の背筋がぐうっと伸びる。
エルステッドはゾフィーよりもやや離れたカウンターに席を取り、
■エルステッド To:カウンターの中の方 |
失礼。軽い食事と飲み物を。 お勧めの物はなにかな? |
■給仕娘B To:エルステッド |
ラム肉の煮付けが今日のお勧めです。 肉が嫌でしたら、蒸したジャガイモとレタスのサラダもあります。 飲み物はエールで宜しいですか? |
■エルステッド To:給仕娘B |
ではジャガイモとレタスのサラダを頂こう。 飲み物は…できたらワインの白はあるかね? |
そう言いつつ、耳はゾフィー周辺に集中。
■給仕娘B To:エルステッド |
分かりました。ではサラダとワインの白をお持ちします。 少々お待ち下さいませ〜。 |
■メイシアス To:カウンターの中のだれか |
おっ邪魔しま〜す。こんばんわ〜おやじさん(仮)エールと…何か軽くつまめる物をお願いしま〜す。と…んに〜、お仕事切実募集中なのですが…何か良いのありません?このままではお財布の中身が…くすん |
とカウンターに突っ伏しながら上目遣いにうりゅうりゅ尋ねてみる。…銀の網亭でたりゃふく食べたので食事は自重。
■店のおやじ To:メイシアス |
おいおい、うちは仕事の斡旋なんかしてないよ。 冒険者なら、冒険者の店に行ってきたらどうだ? あー。それかそこら辺の隊商の連中に護衛として雇って貰う手もあるけどな。 何にせよ、雇って貰うのは一人じゃ無理だぜ? |
■メイシアス To:店のおやじ |
ずがーん。そうだったのですか…残念です。 が…この際ジュースだけでも〜。くきゅうりゅ〜ですよ。 ん〜、一人じゃ無理って事は荷物が多くて馬車がたくさんなのですか? ふにゅ、お仲間集めは後で考えるとして…どこに向かう方達なんですか? |
■店のおやじ To:メイシアス |
そうだな……エレミア方面、パダ方面等々沢山だ。 鉱山街のマイレイから来ている連中もいるな。 |
■メイシアス To:店のおやじ |
ほぇ〜、行ったことないですね〜。マイレイですか〜。 護衛のついでに見て回るのも楽しげですが、どうせなら向こうでもお仕事あった方が一石二鳥で良いですよね。 どんな所なんですか? |
■店のおやじ To:メイシアス |
俺は鉄を掘り出している普通の鉱山街と聞いているが……。 詳しく知りたかったら、あの辺に居る連中に聞いてみな? マイレイから来たとか言ってたからな、 |
■メイシアス To:店のおやじ |
鉱山街ですか〜山にトンネルを掘って鉄を探すんですね。 山の中に鉄の塊が埋まってるなんて…すっごい不思議ですよね! ふむ…素敵仕事と素敵出会い…… ありがとうございます、おやじさん。行ってみますね♪ |
同じころ、食事を運んできてくれた給仕娘に礼を言いつつ話かけるゾフィー。
■ゾフィー To:給仕娘A |
ありがとう。 そうそう、つかぬことを伺いますけれど、マイレイという街に詳しい方って今、店内にいらっしゃるかしら。 差し支えなければ、教えていただけると助かるわ。 |
■給仕娘A To:ゾフィー |
ああ、あそこらへんの方達がその街から来たって行ってましたね。 何でも鉱石を運んできたとか。(と、店の奥の方を指差す) |
■ゾフィー To:給仕娘A |
あのあたりね、お忙しいところありがとう。 |
ゾフィーはひとたびエルステッドに顔をむけたあと、そのまま首と視線を教えられた方向に回した。
そして運ばれてきた料理を慎重に口にもっていきながら、そこに集う人々をさりげなく観察しはじめた。
ワインのコップには手を付けないでいる。
見たところ普通の商人ぽい感じではある。
「疲れたなー」
とか、
「明日回るところは何処だっけ?」
とか、たわいの無い話で盛り上がっている様だ。
暫く様子を見ていたゾフィーだったが、ワインを手に取ると、席を離れた。
商人達のそばに近づき、話題が空いた頃合いを見計らって話しかける。
■ゾフィー To:商人達 |
お話中ごめんなさいね。 あなた方がマイレイから来られたと耳にしたもので、あちらの様子をお伺いしてもいいかしら。 あ、よろしかったらこちらのワインをどうぞ。 |
そこに、カウンターからすすぃと滑り込んでくる姿がひとつ。
■メイシアス To:商人&ゾフィー |
こんばんわ、おやじさんから鉱山街からいらした方がいるとお伺いしました。 鉱山街!! 行ったことないので、よろしければお話に混ぜて下さいな。 あと…もしお仕事話などあれば、ついでによろしくです。 お財布が…というかおやじさ〜ん、注文〜夕飯代くらいはちゃんと持ってきたのに〜(ノ_・。) |
■ゾフィー To:近くの給仕>商人達 |
あらあら、ちょっとあなた、この娘に果物の絞ったものでも持ってきて頂戴。 ついでに皆様も、なにかお飲みになられませんか? お話の口潤しに、よろしければ一杯ずつごちそうさせて戴きましてよ。 |
■メイシアス To:ゾフィー |
ほぁ…ありがとうございます! |
■商人達 To:ゾフィー |
そいつはありがてぇ。 エールで構わんから、二人分頼むわ。 |
■ゾフィー To:給仕 |
では、絞った果汁1杯とエール2杯を、こちらの3人に。 種類や銘柄はおまかせするわ。 |
■給仕娘C To:ゾフィー |
はい、分かりました。 少々お待ち下さい。 |
給仕娘が離れたのをみとどけて、ゾフィーはあらためて商人達に向き直った。
■ゾフィー To:商人達 |
マイレイの話でしたわね。 まずは街での最近の景気とか、羽振りのよい話とかご存じ? 鉱石の採掘は順調なのかしらね。 |
■商人達 To:ゾフィー |
景気自体は悪くないな。 オランで武具の調達が始まったのか、発注が増えてね。 鉱山はフル稼働中さ。 まあ、夜はやってないけどな。危険だし。 流れて来る人間も多いし、街の景気としては悪くないんじゃないかな。 |
■ゾフィー To:内心>商人達 |
(フル稼働の状態なのに夜は休むのね……闇を見通す目を持つ同族達も住まう土地だというのに。 過剰労働をさせないという話だけでしたら、少しは見直すところですけれど、はたしてどうかしらね。) オランで武具……きなくさい話ね、そちらの噂はなにか耳にされまして? |
■商人A To:ゾフィー |
噂では、プリシスへ援軍を出すとか何とか……というのはあるが、 かなり不確定だな。 ロドーリルとプリシスの戦争の話くらいは知っているだろう? |
■ゾフィー To:商人達 |
軍師を引き抜かれたとかいう話くらいでしたら。 それでオランが動くというの、政界やら財界やら神殿やらの名分や駆け引きも活性化していそうですわね。 いずれにせよ、発注が多いのはマイレイにとっては幸いね。 行政担当者の手腕が良いのかしら? |
■商人B To:ゾフィー |
いや、違うと思うな。 オランから来た執政官……名前は何だっけ、ああドーリィ男爵か。 あまり住民の前にも出てこないし、何やっているか分からん。 街の活況は、商会の尽力が大きいと思うがね。 |
■ゾフィー To:商人B |
あら、そうでしたの。 ちなみに、なんというところですの、その街に貢献している商会とやらは。 |
■商人B To:ゾフィー |
街は三つの商会が仕切ってるのさ。 アダマスさんとこと、チェイスさんところと、俺たちが厄介になってるバーレイン商会だな。 これでも、街で一番大きいんだぜ? |
■ゾフィー To:商人達 |
なるほど、規模が最大と言うことは街への貢献度も最大ともいえますわね。 市場が活況とはいえ、3つも商会があるなら競争も激しいでしょうに。 そんな商会と取り引きされているあなたがたの目も、流石と申しあげるべきかしら。 あなたがたから見た、それぞれの商会の印象はいかが? |
■商人B To:ゾフィー |
バーレイン商会は堅実な経営。 払いも確実だし、俺たちとしても仕事がしやすい。 アダマスさん所は、確か半年くらい前にドマリ商会を合併したんだっけ。 それで今や街で二番目の規模さ。 チェイスさんところは、まあ……普通だな。 |
■ゾフィー To:商人B |
あら、景気がよい街とは言っても、合併のような話もあるのね。 併合して大きくなった商会さんには良い話なのかもしれませんけれど。 合併された方の経営者さんは、さぞかし大変だったのでしょうね。 |
■商人B To:ゾフィー |
元よりドマリの旦那は三代目のぼんぼんだったしな。 今は、アダマスさんの所で帳簿整理をやってるらしいけどな。 |
■ゾフィー To:商人B |
帳簿整理を…。 つまるところアダマスさんという人がやり手ということかしらね。 |
■商人B To:ゾフィー |
じゃないかな。 取引がないから詳しくは分からないけど、後発なのに今やNo.2 だから、それなりのやり手なのは間違いなさそうだな。 |
■ゾフィー To:メイシアス>商人達 |
そういえばあなた、先ほど仕事を探していると言っていませんでした? |
■メイシアス To:ゾフィー>商人達 |
ふぇ…あ、はいです。 私草原育ちなので、鉱山見たことないのです。 それでお仕事しながら見物できたらいいな〜っと/// なので、どんなお仕事でも…は重い物とか厳しいやもですが…教えてほしいです。 |
■ゾフィー To:商人達 |
マイレイには流れて来る人間も多いとおっしゃっておられましたけれど……。 この娘あたりが行っても、なにか仕事はみつかりそうかしら。 どこか募集しているところはございませんこと? |
■商人A To:ゾフィー |
そうだな……、賄い婦の仕事くらいならあるとは思う。 悪いが、この嬢ちゃんの腕力じゃヤマの仕事は無理だろ。 |
■ゾフィー To:商人A |
それは、マイレイにいかなければ探せませんの? 彼女には旅費も大変そうですけれど。 オランに募集は出ていないのかしら。 |
■商人A To:ゾフィー&メイシアス |
出している時もあるけど、常時、ってわけじゃない。 まあ、オランで雇う場合は、行きの旅費は商会持ち、ってのが基本だな。 馬車に詰め込まれる事になるけどな。 うちで良ければ、番頭に口を利いてみるけど? |
■ゾフィー To:メイシアス>商人A |
あら、それはとっても気前の良いお話ではなくて? その番頭さんとやらは、オランにおられますの、それともマイレイにですか。 |
■商人A To:ゾフィー&メイシアス |
マイレイだね。 あんたが冒険者だってんなら、途中の護衛にも役立ちそうだし。 ……特別だぜ? |
■ゾフィー To:商人A |
堅実な商会は、採用も堅実そうですものね。 ありがたいお話ですわ…… ……って、もしかしてわたくしも、ですの? |
■商人A To:ゾフィー |
ありゃ、あんたは冒険者じゃないのか? 俺の勘違いなら謝るわ。すまん。 |
■ゾフィー To:商人A |
いえ……このお嬢さんへの特典かと思いましたものでね。 世の中、どこにどんな話が転がっているかわからないですわね。 |
■メイシアス To:商人達 |
そふいえば、おやじさんにお仕事ないかたずねると、隊商の護衛として雇ってもらうという案を頂きました。 んに…まぁ、一人じゃ無理とも添えられてしまったのですがUu ふにゅ…マイレイまでの道は危ないのですか? |
■商人B To:メイシアス |
いや、今のところは危険な情報は無いが……。 護衛を雇うのは、万が一妖魔共が出て来たりしたときの保険だな。 |
フーテは、酒場に入るなり、ゾフィーとエルステッドの様子に困ってしまい、
こめかみにひとさし指を当て・・・、そのまま離れている仲間に、しきりに
テレパシーを送っていたが、動き出した仲間に気づいて、慌ててよっていった。
■フーテ To:ギルドに向かった仲間達 |
とりあえず質問は・・・あと猫が顔をひっかき・・・気をつけて・・・ ぶつぶつ、あっ、ととと。 |
■フーテ To:商人達 |
そういう冒険者向けのお仕事があると非常に嬉しいです。 他にも、思いがけず何かの遺跡を掘り当てちゃったとか、そういう話無いですか? 冒険者が好きそうな地元の言い伝えとかとか、あったら教えてほしいです。 |
■商人A To:ゾフィー&メイシアス>フーテ |
ん? この兄ちゃんは、あんた等の知り合いか? 悪いが、そんな血湧き肉躍るような愉快な話は無いよ。 ごく平凡なヤマの街さな。 |
商人達から目をはずし、黒光りする刃を思わせる鋼色の視線をぎろりとフーテに投げつけるゾフィー。品定めをするかのように、彼を頭の天辺からつま先まで"にらみつける"とため息をつきつつ再び商人達に向き直る。
■ゾフィー To:商人達 |
護衛を受けるのは一人じゃ無理…ね。 冒険者の街オランでは、専門の店でなくとも自然に冒険者が集うということかしら。 ちなみに、ここ2,3日中にマイレイに向かう商人や隊商ってございますの? あったとしても、そこが護衛を募集しているかどうかという問題もありそうですけれどね。 |
ちなみに、ゾフィーににらまれたフーテは、急いでメイシアスの背中に隠れようとしている。
■商人A To:ゾフィー |
うちらで良ければ、オランでの仕入れが終われば帰る予定だから、 一緒に連れて行っても良いけどな。 あまり金は払えないけど、食事くらいは出すぜ? |
■ゾフィー To:商人A |
なるほど、護衛と旅費、同じ方向に向かうならお互い悪くない話ではあるわね。 あなた方はいつお発ちになられますの? |
■商人A To:ゾフィー |
明後日の早朝だ。 明日は、オランでの仕入れがあるんでな。 本気で雇われるつもりなら、明日の夜にまたここに来てくれれば良いぞ。 |
■ゾフィー To:商人A |
わかりましたわ。 よろしければ、冒険者の宿でマイレイ行きを考えている者達に声をかけてみましょう。 いえ、番頭さんのお話ではなく……護衛の話の部分でね。 同じ方向に向かう者が多ければより安全でしょうから。 もちろん、人数が増えるとあなた方にとって御都合が悪いということでしたら、わたくし達だけでまいりますけれども。 |
■商人A To:ゾフィー |
そいつは助かるな。 一応聞いておくが、何処の店だい? |
■ゾフィー To:商人A |
冒険者の店が何軒か集まっている界隈に行くつもりでしてね。 あのあたり『古代王国への扉』とか『青い紅玉』とか『銀の網』とか『荒鷲の祝福』とかいろいろございますでしょう。 |
■商人A To:ゾフィー |
ああ、その辺なら安心出来そうだな。 |
■ゾフィー To:商人達 |
そうそう、名乗りが遅れて失礼いたしました。 わたくしはゾフィーと申します。 あなた方のお名前をお伺いしても宜しいかしら。 |
■商人A(サレジオ) To:ゾフィー |
俺はサレジオだ。 |
■商人B(ドミニコ) To:ゾフィー |
俺はドミニコ。 まあ、宜しく頼むわ。 |
■ゾフィー To:サレジオ&ドミニコ |
では、よろしくお願いします。 良い答えをお持ちできることを願っていてくださいませね。 |
会話が終わり、ゾフィー達は銀の網亭に戻っていったようだ。
エルステッドは一人残り、ゾフィーと会話した商人達の行動を監視するつもりらしい。
二人の商人達は、「護衛を捜す手間が省けたかも?」とか、
「明日回る順番はどうだっけ?」など、たわいもない話を暫く続けていた。
やがて1時間ほど経った頃、酒場の二階へと上がっていった。