#155 雲の上の話

プロローグ

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銀の網亭
銀の網亭の酒場で、吟遊詩人が昔の伝承を歌っている。

「われらのアルバーは〜、魔道師たちと戦った〜♪
幾多の障害を乗り越え〜、剣の時代をもたらした〜♪
魔人、コーレム、空飛ぶ帆船〜、
白き翼の少女と共に───!、幾多の障害を乗り越えた〜♪
果たしてレックスは堕ち〜、帆船は空を漂う〜♪」

大した歌詞でもないのに、詩人の技量のおかげで、異様に感動する。
これは、オランの名家「コルネリア家」の初代当主アルバーの英雄談『白き翼と共に』だ。
浮遊船の船上で行われた戦闘と異種族との恋が歌われている。
しかし、それは昔の話。
現在コルネリア家は、過去の栄光は陰り、汚職にまみれている。
この吟遊詩人も、敢えて英雄談を歌うことにより、誉め殺しするのが目的のようであった。

オラン王宮
とある日の午後、王宮の円卓の間で二人の男が言い争っていた。
一人はコルネリア家の現当主、ヨシュア・コルネリア。
もう一人は新興の大商人、ネイサン・ポートクリフ。
■ヨシュア To:ネイサン
馬鹿も休み休み申せ!
この時季に「ニジイロワカメ」を、王宮にもたらすことなどできるものか!

■ネイサン To:ヨシュア
いいや、出来ますとも。
我が商会の力を持ってすれば、必ずや届ける事ができるでしょう。

そこに、若く特別に身なりの良い男が仲介に入った。
良く鍛えられた虎肩狼腰の躯体、戦士としても超一流のようだ。

ヨシュアが更に何かを言おうとするのを手の平一つで静止する。
■特別に身なりの良い男 To:ヨシュア
もう良い。
いずれにせよ、「ニジイロワカメ」が手に入るのであれば良いではないか。
この商人に、大事な食事会の材料を任せて見よう。
なに……例え失敗しても、大勢に影響は無い。
その商人に責任を取ってもらうだけだ、……虚言の罪の償いをな。


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GM:支倉真琴