オラン衛視隊会議室 |
冒険者達はアンナを担架に乗せて会議室に用意された寝台に寝かせた。
ファラハとニアリースもこちらで待機している。
ファラハは衛視の一人に命じて、茶を人数分持ってくるように言った。
やがて、良い香りの茶が人数分盆に載せて運ばれて、脇にどけられた会議机の上に置かれた。
■ファラハ To:ALL |
折角用意しましたので、皆さんもどうぞ。 とりあえず一服して下さいな。 |
「では、お言葉に甘えまして…」
アールが真っ先に手を延ばし…、2つカップを手にとる。
そしてニアリースの方へそのカップを差し出した。
■ニアリース To:アール |
ありがとうございます。 |
後ろでは、お茶を受け取ったメイシアスが寝台に腰掛けている。
■アール To:ニアリース |
先ほどはお疲れ様でした。 司祭でありながら識者とは、なかなかでいらっしゃいますね。 できれば本について、いろいろとお気づきのことがあれば教えていただきたいのですが。 お手数であれば、もちろんそのままお借りして調べますが、いかがでしょうか? |
アールがにこやかにニアリースへと語りかけている横で、エルステッドは茶を一口すすり、
■エルステッド To:ニアリース |
私達も三角の塔にて学ぶものですので身元については導師の保証を得られるかと思います。 |
器の中のゆらぎをみつめながら、少し思案したふうに。
■ニアリース To:アール&エルステッド |
分かりました。 では、あなた達を信用してお貸しします。 返却されなかったら、わたしが怒られますので、ちゃんと学院へ返してくださいね。 |
差し出された本を受け取り、頭を下げる。
そんなやりとりの横ではノーブが「温かいお茶」を見ながら、そわそわと落ち着かなさそうにしている。
小声でぶつぶつ言いながら、うろうろしている様子にアールが聞き耳を立てる。
■ノーブ To: |
むう、ワシはもう寝てもいいのじゃろうか? しかし、寝る前には冷たい水を飲まないと落ち着かないのじゃし、みながなにかするのに寝てしまってもいいかのう?… それにどこで寝ればいいじゃろうかのう… |
■アール To:ノーブ |
ノーブさん、交代で休みましょうか ニアリースさんがいる今のうちに、先に休んでもらえますか? いずれウリディケさんも戻るでしょうから、それまで仮眠室でしっかり休息を取っていてください。 アンナさんが目覚めた時、誰か神官の人がいないと…心配なので… |
■ノーブ To:アール |
ではお言葉に甘えてしっかりと仮眠するのかのぅ。 |
ノーブはそういいいながら、仮眠をとる為に用意された男性用仮眠室に向かって歩き出した。
ノーブは振り向きざまにアールに当たり前の事を頼んでいった。
■ノーブ To:アール |
あっそうじゃ。何かある時に起こしてくれんかのぅ? |
”右手を上げるだけ”で返事を済ますと、エルステッドと本を中心に向き合いに座って、解読に取り掛かるのだった。
■アール To:エルステッド |
最初の方の解読は、エルステッドさんに任せていいかな? 盗賊ギルドにも報告して、「お駄賃」をもらわないといけないしね…。 とりあえず、本の作者は…と。あと、「本」のタイトルもそういえば書かなきゃね。 |
■エルステッド To:アール |
構わんよ。 ギルドのほうは、私は管轄外だからな。 |
エルステッドとアールの二人は、書物の解読を始めた。
しかし、かなり難解な内容であったため、書物の名前と著者名、それにニアリースが教えてくれた問題の薬品が記載されているページ以外の内容は良く理解できなかった。
これ以上詳しい事を調べるには、大量の時間が必要であるだろう。
■エルステッド To:アール |
……思った以上に難解な本だな。これは。 ……ニアリース殿からいただいた情報と…さほど変わらぬ情報しか入手はできなかったが… |
とりあえず、「知識欲旺盛な御仁」のために、問題の薬品が記載されている箇所のみ書き写し始めた。
そして、黙々と作業をこなすエルステッド。
また、対照的にぶつぶつぼやきながら報告書を作成するアールであった。
書き写しが終わった頃、ウリディケとカロンの二人が部屋に戻ってきた。カロンは部屋を見渡しながら声をかけた。
■カロン To:ALL |
おつかれさまです。 ノーブさんの姿が見えないけど別室で休んでるのかな? |
■アール To:カロン |
ああ、先に休んでもらってるよ。 アンナさんがいつ起きてもいいように、交代で…と思ったんだけど。 起きてパニックにならないか心配してるんだ。 |
■ウリディケ To:ALL |
どう、何か分かった? こちらは、アンナが、ネルド若旦那さんの大店に務めに出てる奉公人で、ご両親はネルドさんとマークさんを襲った前日か当日の朝に知ったって言ってましたわ。 「ほど」って付けてましたから、前か後かは良く分かりませんが。 |
■アール To:ウリディケ |
こっちはさっぱりだったよ。 さすがに専門的すぎて、単語の意味もまともに拾えないや。 ネルドさんか…。そういうつながりなら調べ直さないとね。 |
■ウリディケ To:アール>カロン |
そうでしたか、では文献の方は明日ラーダさまに頼ってみましょう。 あと、ネルドさんはどうなんでしょう? 無茶な質問をしましたから、もし犯人なら逃げてしまってるかも知れませんね。 カロンさんからは、何かありましたかしら? |
■カロン To:ファラハ |
そういえば確認しておかないと。 ファラハさん、アンナさんのご両親に娘さんと面会させてもいいですかね?すごく心配してますのでできればお願いします。 |
■ファラハ To:カロン |
それは構いません。 ただ、自然に目覚めるまでは起こさない方が良いと思いますので、顔を見るくらいしかさせてあげられないと思いますが……。 |
■カロン To:ファラハ |
そうですか、ならあとで知らせに言ってきてもいいですかね? |
■ファラハ To:カロン |
構いませんよ。 是非伝えてあげて下さいな。 |
■カロン To:ニアリース |
あとニアリースさん、確認したいことがあるんですが被害者のネルドさんなんですけどまだマーファ神殿で治療中なんですかね? |
■ニアリース To:カロン |
わたしが神殿を出てきた夕方にはまだいましたよ。 明日か明後日にはもう動いても大丈夫と思います。 |
■アール To:カロン |
ふーん。まだ動けないのなら、慌てて行かなくても良さそうだね。 とりあえず、私は朝まで休ませてもらおうかな。 |
■ウリディケ To:アール>ALL |
怪我はほとんど良くなってるはずですので、もう動いてるかも知れませんが、衛視隊の皆様やニアリースさんに警戒してもらって私達は就寝するのも悪くはないですね。 ただ、誰かが衛視隊かニアリースさん達と一緒に、マーファ神殿に確認に行くのも悪くはない選択だとも思います。 どうしましょう? |
■カロン To:ウリディケ |
アールさんの言うとおり朝まで休んでもいいと思うけど。 みんなが確認に行った方がいいっていうなら俺が見に行って来るよ。 |
■アール To:カロン>ウリディケ |
済まないが頼めるかな。 今の状況で逃げるなんて、自分に嫌疑がかかるコトをわざわざするなら、ネルドさんもいよいよ怪しいけどね。 できたら、他の人は回復に努める事が重要だと思うよ。 |
■ニアリース To:ウリディケ&ALL |
わたしは神殿へ戻っても構いませんわ。 その本の情報を伝えにきただけですからね。 戻っても、当直の神官以外はみんな眠っているとは思いますけどね。 |
■ウリディケ To:ニアリース |
えっ、 ひょっとして、神殿に戻る予定ではなかったのですか? もし、予定があったのでしたら、そちらを優先して頂いた方が宜しいのではないのでしょうか。 もちろん、無理にとは申しませんが、もしよろしければ、どのような予定だったのか教えていただけませんか? |
時々、的はずれなのか、深読みした発言なのか分からないことを聞くものだ…とアールは思った。
もっともこの場合の「深読み」がプライベートなのか別の真意を探ろうとしているのかが分からないところもウリディケらしいのだが。
■ニアリース To:ウリディケ&ALL |
えっと、少々誤解されている様ですね……。 わたしは普段、学院の寮に寝泊まりしているのですよ。 神殿には昼間に顔を出しているのです。 この後は部屋に戻るつもりでしたわ。 それじゃあ、ネルドさんを明日こちらに連れて来れば良いかしら? それとも、皆さんが神殿に来られますか? |
■ウリディケ To:ニアリース、カロン |
そう言えばそうでしたね。 では、カロンさんとマーファ神殿に向かって頂けるのでしたら、是非お願いします。 それほど心配もしてませんが、 カロンさんも、くれぐれも相手に付け込まれないよう、気を付けて下さいね。 もしかすると、何かを知っているかも知れませんから。 |
■カロン To:ALL |
まあ、この時間だし当直の神官さんに様子を聞いてくるだけだから大丈夫だと思うよ。 明日中は安静にしてもらうようにお願いしておけばいいしさ。 |
■ウリディケ To:ALL |
それでは、私もそろそろ眠っておきます。 朝の5時頃には「お祈り」を始めるつもりです。 |
ウリディケはそう言うと、てきぱき甲冑を脱ぎはじめた。
革鎧に着替えるつもりのようだ。
それに合わせてメイシアスも寝台近辺で休む準備をはじめだしている。
カロンは皆に声をかけた後、ニアリースの方を向き出発を促がした。
■カロン To:ALL>ニアリース |
それじゃあ、行ってくるよ。 ニアリースさん、そろそろ神殿へ行きますが用意とかいいですか? |
■ニアリース To:カロン |
わたしは準備できていますわ。 それじゃあ、行きましょうか。 |
そう言って、カロンとニアリースはマーファ神殿に出かけた。
二人は神殿でネルドの様子を確認し、彼が神殿にまだちゃんといることを確認した。
そして、念のため明日も神殿で安静にしているように伝えるよう当直の神官に頼むと、再び衛視隊詰め所に戻ってきた。
ニアリースは、翌朝また詰め所に来ると言って学院の自分の部屋に帰っていった。