オラン・賢者の学院 |
ここは賢者の学院の研究室。
乱雑に書物や巻物が散らかった机の上にかすかに輝く3つの宝珠が置いてある。
その前には一人のローブの男。どうやら賢者の学院所属の魔術師らしいが……。
震える手を伸ばし、宝珠の1つを掴んでローブの懐に入れ、慌てて部屋を出て行く。
後には、2つの宝珠が鈍い輝きを放つばかり……。
そして翌朝。部屋のドアを開けて入室するマーファの司祭服を着た女性が1人。
■ニアリース To: |
おはようございます。 宿直お疲れさまです……って、あれトベルコさんはどこに? 仮眠室なのかしら? 全く、困ったものですわね。 ……あれ、宝珠が1つ足りないですわ。 仮眠室に一緒に持っていったのかしら。 あの人、あの宝珠にかなりご執心だったみたいですし。 全く困ったものですわね! |
そう言うと、彼女は仮眠室となっている部屋へ向かう。
しかし、そこには誰の姿もない。
門番に聞いてみると、確かに夜半にトベルコ氏は学院から外に出て行っているらしい。
事態を把握したニアリースは、責任者であるレイバック導師に報告した。
■レイバック To:ニアリース |
その報告は確かかな? これはいかんね。内々処理したいところだな……。 ニアリース君、君は確か前にローシーズ村の代表で冒険者の店に依頼を出したことがあると言っていたね。 この際だ、彼らに頼むとしよう。 済まないが、依頼書を書くから君が冒険者の店に依頼してきてくれないか? |
■ニアリース To:レイバック |
分かりました。 幸いにして信頼の出来る冒険者の店を知っていますので、そこに頼みます。 トベルコさんの捜索と宝珠の回収、ということでしょうか? |
■レイバック To:ニアリース |
そうだ。報酬の方は研究予算から捻出しておくから心配しないように。 もし、前金が必要ならこれを持っていってくれ。 相場くらいはあるはずだ。 ……よし出来た。宜しく頼むよ。 出来ればお目付け役として君が冒険者たちに同行してくれるとありがたいが……。 |
そういってレイバック導師はガメルの入った皮袋と依頼の書かれた羊皮紙を渡した。
■ニアリース To:レイバック |
確かに預かりました。同行の件も承知しましたわ。 では、行って参りますね。 |
そして、ニアリースは「銀の網」亭へと向かうのだった。