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SW-PBM Scenario#142
6ガメルのルーシア

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プロローグ


 オラン・雑貨屋

人通りの少ない、オランの裏通り。
ひとりの少年が、母に頼まれた買い物の帰り、雑貨屋の前で足を止めた。
■少年
あっ…猫。

雑多に物が置かれたカウンターに、全身真っ黒な子猫が丸くなっていた。
少年の声にぴっと耳をそばだて、その黄色い目で少年をじっと見ている。
■少年
かわいいな〜。
ねぇ、この子も売ってるの?

少年はカウンターで眠そうな主人に声をかけた。

■雑貨屋主人
あ? こいつか?
ははっ、売りもんに見えるか?

こいつは俺が行商に行ってた帰りに拾ったんだよ。野宿しようと思った森の中でね。
気に入ったのかい?

■少年
うん、かわいいし。
でも、気に入ったっていうか…

なんか気になる。

少年は指を差し出して猫の首をなでた。猫は目を細めてぐるぐるとのどを鳴らした。
■少年
えへへ…。

ねぇ、拾ったんならこの子、僕にちょうだい。

■雑貨屋主人
あぁ? …まぁ、拾ったっちゃ拾ったモンだが…
それなりに愛着も湧いてるからなぁ。お客さん受けがいいんだよ、こいつ。
ただで譲るわけには…

主人はからかうつもりだったが、少年はすぐさまポケットの中をまさぐり、その中身をカウンターに置いた。
■少年
…いち…にい…
6ガメルしかない…

これじゃダメ?
お小遣い、もうこれしかないよ…

■雑貨屋主人
はぁ…それがお前さんの全財産なんだな。

少年はこくっとうなずいた。
■雑貨屋主人
しょうがねぇな〜。そこまでされちゃ意地悪言うわけにもいかねぇ。
愛着湧いたっていっても、俺はまだ名前すらつけてなかったしな。
連れて行きな、小僧。大事に育てるんだぞ。

■少年
本当!? いいの?

ありがとう! おじさん!!

少年は黒猫を高く抱き上げ、胸にしっかりと抱きしめ直してから、雑貨屋の主人に手を振って走り去っていった。
■雑貨屋主人
やれやれ…あいつの肉球触るの、好きだったのにな〜

主人はまたカウンターでうつらうつらし始めた。

 オラン・少年の自宅

夜。
少年は猫を抱きしめたままベッドに入った。
■少年 To:猫
お父さんもお母さんも、お前を飼っていいってさ。
良かったな〜。そうだ、名前…

るー…ルーシア。ルーシアにしよう。
えへへ…おじいちゃんの名前と似てて、かっこいいだろ?

…おじいちゃん…

猫の暖かい体温を感じながら、少年はあっという間に眠りについた。
そして眠りの中である風景を見た。

翌朝──
■少年
…変な夢…どこ? …おじいちゃん?

その「変な夢」は、猫と一緒に眠るようになってから、ずっと続いたのだ。

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SW-PBM Scenario#142
6ガメルのルーシア

GM:ともまり