SW-PBM #131 キューソ人を噛む
地下

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■ 【地下】

階段を下り、通路をゆっくりと進んでいく。
やがてその先に光の漏れる扉が見えてきた。
扉の向こうでは、何かうごめいている気配がする。
■スカンピン To:ALL&アビィ
どうやら目的の場所についたようじゃな。アビィ、見つからないように見てきてくれんかの?

声のトーンを下げてひそひそ。
■アビィ To:スカンピン&ALL
(同じくささやき声で)
わかった。
相手が鼠なみの聴覚を持っていないことを願おう。

合図をしたら、できるだけ音を立てないようそっと近づいてきてくれ。

扉に近づき、確認した後小さく隙間をあけてのぞき込むアビィ。
中の様子をみると合図を送る。
■ヘキサ
(合図だ)

皆に目で確認し、息を殺して扉に近づく。
■シャイアン To:アビィ、ヘキサ
(承知した)

シャイアンも続いて扉に近づき、いつでも突入できるように身構える。
■キャス To:ALL
(同じく小声で)一応後ろに気を配っておきますので、中はさしあたりお願いしますね。

他のメンバーが、扉に近寄るのを見て、キャスも背後を警戒しながら扉に近づいていく。
■アビィ To:ALL
鼠に囲まれて、男が一人祈っている。
まわりには普通の鼠の群と大鼠が数匹……金の体毛の奴もいるな。
祈りには、「征服」とか「進撃」とか「我々の楽園」とか、ちょっと剣呑な言葉もまじっているようだが、本気だか、ちょっとねじがゆるんでいるだけなのかわからん。
話し合いに持ち込んでみるか?

■ヘキサ To:ALL
一応、その人の言い分も聞いてみようよ。
奇襲しないんなら、ここでこうしていても始まらないでしょ?

■タナトス To:ALL
え、でも大丈夫かな?
どう考えてもあの人が元凶のような……

僕はここで待ってるから、危なくなったら合図してね。

タナトスに軽く手を上げて、扉を開けて突入するヘキサ。
■ヘキサ To:男
すいませーん。
とある酒場で、ネズミが大量に発生して困ってるんですが……
相談事務所はここでよかったですか?

■男 To:ヘキサ
んんんーっ?
新しい信者の方かな? よろしい、さあどうぞどうぞ。
あなたも一緒に我らの神に祈りましょうぞ。

驚く風でもなく、男はフレンドリーにヘキサの手を取ろうとする。
■シャイアン To:男
いや、違うのでござるよ。
ネズミが酒場の中を荒らしまわって困っているのでござる。
お主がネズミ達を操っているのでござろう?
その酒場からネズミ達を引き上げて欲しいのでござるよ。

■ヘキサ To:シャイアン>男
シャイアンさん、決めつけはよくないよ。

ごめんなさい、仲間が失礼を言いまして。
ぼくの名前はヘキサっていいます。
信者になるかどうかは、お話を聞いてからにしたいんですが。
まずは、あなたの神様について教えてもらえますか?

ヘキサも左手を差し出し、男の手に応じる。
苦笑しつつも、様子を見ることにしたシャイアン。
■男 To:ヘキサ
ははは、ご冗談を。
我らの神なら目の前にいらっしゃるじゃありませんか。

言いながら、目の前の大ネズミ……金色の体毛の奴を指差す。ヘキサもそちらに目をやる。
■ヘキサ To:男
神様?

■男 To:ヘキサ
我らが神に祈りを捧げれば、いずれ楽園を下さるのです。
その証拠に、ほら。既にその第一歩はそこに。

視線をやった先には、壁に穿たれた大穴が。
穴の先は下水道に通じているようである。
その向こうから、薄まっているとはいえあの時感じた刺激臭が漂ってきていた。
■シャイアン To:ヘキサ
あの下水への道といい、そこの大ネズミといい、我々が追っていたネズミの元は、ここと見て間違いないと思うのでござるが・・・

■ヘキサ To:シャイアン
んー、まあそうなんだろうけど……

困ったように言いながら、まだ握ったままの男の手を見る。
■アビィ TO:ALL
うむ、この臭い、間違いないな。
あの大鼠達は、どこかに報告にいくつもりだったようだ。
指令がこのご老体から出たか、金の鼠そのものから出たか……

そういいながら、金の鼠を用心深く観察する。
■スカンピン To:アビィ
しかし、酒場の壁をぶち破ってまでして何をしたいんじゃこやつらは・・・。

■アビィ To:スカンピン
さあな……彼らが理屈で動いているようにはわたしには見えぬ。
あの、金毛の鼠には、少なくともこちらを観察するだけの知能はあるようだが、ほかの鼠はまったくそんなそぶりもない。
酒場をめざす理由を、この男性の口から聞き出すことができればよいのだが…。

■シャイアン To:男
時に司祭どの。お主達の楽園とは、そこの下水道のことでござるか?
お主達が下水に住まうのは自由でござる。
が、しかし地上の人間の住処に進出するのはいかがなものでござるかな?
今までも、ちゃんと住み分けができていたではござらんか。

■男 To:シャイアン
神のなさる事に我らが口を挟む事は許されません。
神は我らのためにその身を汚してくれているのです。
感謝こそすれ、異を唱えるのは筋違いです。
我らはただ祈り、やがて訪れる楽園で暮らせばそれでよいのです。

よーく観察してみると、どうもこの男、目の焦点があっていない。
既に精神に異常をきたしているのか、それとも誰かに操られているのか……。
■ヘキサ To:仲間
あー、そかそか。ん、なるほど。
誰かキャスさん連れてきてくれないかな?
誰かからの影響なら、もしかしたら直るかもしれないし。

部屋の入口付近から部屋の中に入ってきて
■キャス To:シャイアン&ヘキサ
大体、中での話は聞こえていました。
わかりました。ちょっとためしてみたいことがありますので・・。
あと、万一本当にいずれかの神様を信奉している方でしたら、私のしたことが理解できると思いますので、何らかのリアクションがあると思います。
その時は援護を宜しくお願いします。

■ヘキサ To:キャス
うん、任せて。

言いつつ、まだ握ったままの手を示してみせる。
■キャス To:男
すみません。ちょっと失礼します。

男に近づき、肩に触れながらサニティを唱えるものの、男には何ら変化の様子は見られなかった。
■キャス To:ALLPC
どうやら、上手くいかなかったようです。
どうやらあの人の様子は一時的なものではないようです・・。
あと、私の言葉も理解していないようなので、いずれかの神様に使えているのではないとは思いますが・・。
もしかしたら、僕の知らない神様がいるのかもしれませんけど・・。

■ヘキサ To:キャス
そっか……うーん、どうしよう。

このまま男を引き倒していいものか悩み、首をひねる。
■アビィ To:男
司祭殿、あなたのおっしゃりたいことはわかった。
あなたの解釈するカミのラクエンへの道がこの先にあるというのだな。
あなたはいつこの示された道を歩いていくおつもりなのか?
今、このの先には、かなりの刺激があるようだ、カミの身にも、あの刺激はよくないと思うのだが。

■男 To:アビィ
ん、ん〜……。
しかし、いつまでもこの神殿では手狭ですし。
それに食糧の問題もあります。神が新たに創造された楽園はこの神殿よりも広く、また食べるものにも困らないでしょう。
それを考えれば、多少の苦労は……。

解釈するに、あの大穴を開けられた倉庫を次の移住先にするつもりらしい。
■シャイアン To:ALL>男
それは・・・まずいでござる。
あそこにはもう食料など・・・と、言っても無駄でござるか。ふむ。

■スカンピン To:男
そうはいっても、片っ端からたべられてしまってのぉ。店の主人も最近は商売にならないようで、食料ももう残っておらんのじゃが。つまり、もはや楽園ではないと言うことなのじゃが。

■アビィ To:男
なるほど、ところで普段はばらばらに動く鼠達をその“楽園”に集めることができているのは、司祭殿の手腕ですかな。
それとも、なにか別のお力でも?

■男 To:アビィ
……あの。
先ほどから「司祭」とおっしゃられてますが……それは私のことですか?
でしたら間違ってますよ、私はただの信者に過ぎません。
私には何も特別な力などありはしません。ただ、彼らと共に神に祈りを捧げ、その奇跡を信じているだけです。

■アビィ To:男
それは失礼を。では、あなたはなぜその奇跡を確信されたのです?

■男 To:アビィ
頭の中に声が響いてくるのですよ。
そして、その声に導かれるままに従った結果、今の私があるのです。

■シャイアン To:
・・・

腕を組んでしばし黙考。ふと、金色のネズミに目がとまる。
意を決して、そのネズミに近づいてゆくシャイアン
■シャイアン To:金色のネズミ
(男には聞こえないように)
人間の言葉はわかるか?
お前達が新しいねぐらにしようとしているところには、人間が住んでいる。
今いるネズミ共々、あそこを引き払わねば、人間の恐ろしさを思い知ることになるぞ。

少々芝居がかってはいるが、凄みをかけてネズミを威嚇するシャイアン
■金ネズミ To:シャイアン
…………?

シャイアンの言葉が理解できず、しばらくぼんやりとしていたようだが……。
■金ネズミ To:シャイアン
…………!
フーッ! シャッ!

びくり、とその身を震わせたかと思うと、突然牙を剥き出して威嚇してきた。
■シャイアン To:ALL
ふむ。はずれでござるか・・・。
おそらくはジャイアントラットの突然変異種。
知能はただのネズミ程度のようでござるな

警戒を解かず、さらに金ネズミを睨みつけるシャイアン。
ふと視線を下げると、金ネズミの背中に隠れるようにしてこっちをそっと覗いてるネズミに気づく。
周りのネズミ達と比べると目つきが違って見える
■シャイアン To:ALL
(このネズミ、もしや・・・)
やあ、これはこれは・・・皆、このネズミ、どこかで見たことないでござるかな?

そのネズミの存在を、皆に顎で指し示す
■アビィ To:シャイアン
以前宿屋の2階でおっしゃっていた鼠か?
この鼠になら、話が通じるだろうか。

■アビィ To:賢そうな鼠
このままでは、われわれはあなたたちと戦わねばならない。
どちらが勝つにせよ、お互いに被害が出るだろう。
交渉する気があるならばら、話し合ってもらえないだろうか。
宿屋の2階で、われわれを見ていたのは、あなたのようだが。

アビィが問い掛けると、やがて頭の中に直接声が響くかのような感覚が訪れた。
■ネズミ To:アビィ
オマエタチ……マエニ……ミタ。
コイツラ……ツカッテ、アケタアナヲノボッタトコロデ。

敵意と好奇心がない交ぜになったような顔で、ネズミはそう語りかけて(?)くる。
■ヘキサ
わわっ、しゃべった?

■ネズミ To:アビィ
アソコハ、ワレワレガアラタニスムバショダ。
ヒロイシ、キレイダシ、タベモノモアル。

■ヘキサ
……そう、これがこの人の言ってた……

目線をちらと男のほうに向け、そのネズミに向き直る。
■ヘキサ To:ネズミ
そしてすべてを食べつくして、また同じ事を繰り返すの?
元いる人をないがしろにして、そこを蹂躙して、仲間まで巻き込んで……

この部屋を見回して、悲しげな目をネズミに向ける。
■ヘキサ To:ネズミ
永遠に続く楽園なんて、どこにもないのに……

■シャイアン To:ヘキサ、ALL
・・・人間も、森の動物達に同じことをしてきたでござる。
それが悪いと言わぬ、剣の時代の、弱肉強食の掟でござるからな。
こやつらにうらみは無いが・・・

ネズミを睨みつけたまま、懐に手を入れるシャイアン。
今度は、先ほどの威嚇とは目付きが違う。
が、シャイアンの肩にそっと手を置くアビィ。
■シャイアン To:アビィ
・・・アビィ殿。

意を解したのか、うなずいて道を空けるシャイアン。
そのまま、アビィはネズミのもとへ進み出る。
■アビィ To:ネズミ
たべものは、あそこにはもうたいしてのこってはいない。
ねずみたちがほとんどたべつくした。
あそこにいっても、すぐにべつのところにうつらなければならなくなる。
わかるか?

■ネズミ To:アビィ
…………。

■アビィ To:ネズミ
たくさんが、いちどにたべれば、たべものはどこにいてもあっというまになくなる。
すこしずつわかれて、はなれたばしょで、すこしずつたべれば、いくらでもみつけることができる。
おおぜいあつまれば、かくれることはできない、みんなころされる。
ばらばらで、あちこちでくらせば、めだたない、いきていくことができるだろう。
あなたはあたまがいい、よくかんがえてみてくれ。

■ネズミ To:アビィ
バラバラハ、ダメダ。
ワレワレハヨワイ。アツマラナイト、カンタンニオマエタチニコロサレル。
コノニンゲンハ、ワレワレヲマモッテクレルカライッショニイタケド。

言いながら、ちらと男に目を向ける。
■ネズミ To:アビィ
ツカマッタラ、コロサレルカ、マタイロイロヘンナコトヲサレルダケ。
ソレトモオマエタチハ、ワレワレニアンシンシテクラセルバショヲクレルノカ?

■シャイアン To:ネズミ
(言葉を意識にしてネズミに向けるように)
・・・そんな都合のいいものはない。
人間もお前達と一緒。力の無いものは、奪われ、殺される。
力の無いお前達が何千・何万と集まろうと、人間の敵ではないのだ。
だが、力は数だけではない。
お前には知恵がある。その使い方を、この男は教えたのではないか。

■アビィ To:ネズミ
いろいろへんなこと?
あなたがわれわれとはなせたり、そこにきんいろのねずみがいたり、そんなことをしたにんげんがいたのだな。
いったいなにがあったのだ?

■ネズミ To:アビィ
オリノナカニイレラレテ、イロイロナコトヲサレタ。
キガツイタラ、オマエタチトハナセルヨウニナッテタ。
コイツ(金ネズミ)モソウ。コイツハハナセナイケド、チカラガフエタ。

■アビィ To:ネズミ
あなたがほしいのは、じぶんのあんぜんか?それともなかまみんなのあんぜんか?
あつまれば、あなたじしんがねらわれることはすくなくなる。
だが、あつまれば、あなたがたがにんげんやてきのめにみられることはおおくなる。
それはとてもあぶない、みんなはあつまりたいといっているのか?
いまのあなたは、じぶんのあんぜんのために、なかまをかってにつかっていないか?

■ネズミ To:アビィ
ソンナツモリハナイ。バラバラダト、ミンナカンタンニコロサレル。
アツマッテイレバ、オマエラモカンタンニコロセナイ。
……ソレデモ、オマエチタニハカテナイ。ソレハオマエタチガイウトオリ。
モウ、オマエタチノイナイトコロヘイクシカナサソウ……。

■アビィ To:ネズミ
あつまるということは、きづかれやすくなるということなのですが……。
いっぴきならみのがすれんちゅうも、たくさんいるとすべてつぶそうとかかってくることもあるということを、きにとめておきなさい。
やりすぎはきけんだ、こんかいきたのがわれわれでよかったということをいつかしることにならないよういのっています。
あなたがたもにんげんがいないところなら、まとまってもあんしんしてくらせるかもしれません。

■ネズミ To:ALL
ヒトツダケ、ヤクソクシロ。
ワレワレハオマエタチノイナイドコカヘイク。ジャマモシナイ。
ダカラ、オマエタチモワレワレノジャマヲスルナ。

■アビィ To:ネズミ
やくそくしましょう、こんかいのことにかんしては。
ただし、われわれとあなたたちとのみちが、つぎにぶつかったとき、どうなるかはうんめいのかみのおもむくままになるでしょう。
そうならないことをねがうのみです。

■シャイアン To:ネズミ
(言葉を意識にしてネズミに向けるように)
お前がいなくなれば、そこの男も、ネズミ達も元に戻るのだな?
ならば約束しよう。邪魔はしない。
お前達も約束してくれ。
二度と人間の前に姿を現さないと。

■ネズミ To:シャイアン
ワカッタ。

そのネズミがクイ、と首を動かすと、それに倣うかのようにして大小様々のネズミたちは一斉にパーティの入ってきた扉から外へ向けて走り出した。
パーティと会話をしていたネズミは、最後にちらとこちらを向くと、そのネズミたちの後を追うように駆け去っていく。
■ヘキサ To:ネズミ
……いつか、めぐり合えるなら……
そのときは、ともに生きられる“楽園”で……


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GM:倉沢真琴