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SW-PBM Scenario#130
コマンド・メロディー

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受け継がれたメロディー


 エシャ村・ヴェーナーの祭壇

翌日。ユーミルの精神的な疲労も考えて村では延期も検討されたが、「帰ってきてくれたお兄ちゃんと、守ってくれた冒険者のひとたちのためにも」と、ユーミルは気丈に答えた。
こうしてユーミルの成人の儀式──エシャのリュートの継承──は予定通り、彼女の15歳の誕生日に執り行われたのだった。
■ユーミル To:ALL
私の演奏、聴いていってくださいね。ごちそうもたくさんありますし!

美しい刺繍が施された衣装に身を包んだユーミルが明るく言った。

昨日までは戦いの場であったヴェーナーの祭壇。そこには、儀式を祝う村の年長者たち──その中には村長や、シャオの姿もあった──そして一番の功労者である冒険者たちの姿があった。
もちろん、彼らの前にも食事やお酒がふんだんに並べられている。
■シャイアン To:ユーミル
いやあ、ユーミル殿、見違えたでござるよ〜!
衣装や化粧を抜きにしても、とても大人っぽくみえるでござる。
(じゃら〜んとリュートを掻き鳴らしながら)
「女の子〜♪一晩経ったら〜♪お姫様〜♪」
とてもきれいでござるよ〜♪

■ユーミル To:シャイアン
わぁ、ありがとう、シャイアンさん!
こんなに着飾ったのなんて、私初めてなんです。
シャイアンさんの歌も、とっても素敵です!

両手で頬を押さえて喜ぶユーミル。

ややあって、リュートや笛、ライアーの音が静かに響きわたり、それに合わせるようにユーミルとシャオが広場の中央に歩み出た。
シャオは数々の思いを乗せたエシャのリュートを、ユーミルに手渡す。
すると彼女はゴーレムに向き直り、いくつかのメロディーを弾いてみせた。
ゴーレムはゆっくりと歩き出し、長い時間を掛けて広場を一周すると、ユーミルの側に立ち、止まった。
村人からは拍手と祝福の演奏が一斉にわきおこった。
■ユーミル To:シャオ&ALL
やったやった、できたわ!

ユーミルは笑顔でシャオと村人たち、それから冒険者たちにも手を振った。
■シャオ To:ユーミル
おめでとう、ユーミル。今日からは立派なエシャ村の吟遊詩人だね。

祝福の言葉を贈りながらも、シャオは少し複雑な表情を浮かべていた。
それは、昨日まで自身が体験した出来事を記憶から拭えなかったせいかもしれない。
■シャイアン To:シャオ、ユーミル
シャオ殿、ユーミル殿、改めてお祝い申し上げるでござる。
「伝説のリュート」のルーツを体験できて、とてもよい経験になったでござるよ♪
さあ!拙者も明日からサーガ作りを始めるでござるかな〜!
・・・ま、今夜は思いっきり飲もうではござらんか♪

■シャオ To:シャイアン
…はい、ありがとうございます。

シャオはやっと微笑んで、ユーミルにも食事を促した。

新しいリュートの後継者の誕生に、その祝いの宴は夜が更けるまで続いた。
エシャ村から響きわたる美しい祝福のメロディーは、森の木々の間を抜けていつまでも空に響きわたっていた。
 エシャ村・村長の家

そして、成人の儀式から一夜明けた朝。
村長の家でエシャ村を発つの準備をしている冒険者たちを、シャオとユーミルが連れ立って訪ねてきた。
ユーミルは背中にエシャのリュートを担いでいる。
■シャオ To:ALL
みなさん、本当にお世話になりました。
僕だけでなく、リュートも、妹も、村も守ってくださって……
こんなに事が大きくなってしまっても、僕たちに最後まで力を貸してくださったこと、本当に感謝しています。
…これは、僕らと村からの感謝の気持ちです。受け取ってください。

そう言うとシャオは重そうな布袋をテーブルに置き、差し出した。
■シャイアン To:シャオ
うむ、確かに。ありがたく頂戴するでござるよ♪
今回の依頼は、リュートと命令集を分けた点が勝因でござった。
これからもリュートを狙う者が現れるやもしれぬでござる・・・
そのためにも、リュートの合言葉は極秘にし、表向きには失われた事にすることをお勧めするでござるよ。

■シャオ To:シャイアン
……はい。そうします。
でも、リュートとゴーレムによって絶対の守りを確信していた僕たち……村の者たちの心に、本当の落とし穴があったような気が、今は、しています……。
…本当の“守り”とは何なのか、エシャが本当に残したかったものは何なのか……
これからしばらく考えてみようと思います。

■ユーミル To:ユウル&メイプル
あとね、お姉ちゃんたちにこれあげる。
私のお気に入りのリボン。お祝い事の時にだけつけてたの。

ユーミルはきれいな刺繍の入ったリボンをユウルとメイプルに差し出した。
■ユウル To:ユーミル
どうもありがとう。大切にするよ。
(小声)……つけるかどーかはともかく…(苦笑)

■ユーミル To:ユウル
どうして? お姉ちゃんならとーっても似合うと思う!

にこにこ。
■メイプル To:ユウル
そーね。お姉ちゃんのリボン姿、私も見てみたいな♪

両手を口に持ってきたりなんかしながら、上目使いでユウルに迫る(笑)
■ユウル To:メイプル、ユーミル
…そのこぶし二つ、やめてくれないかな〜…
わかった、わかったから。
ユーミルみたく、何かトクベツなことがあった時にはつけるから。ね?

■ハティノス To:ユウル
特別な時だけですかぁ?
もったいないですよ(^^

■タナトス To:
いいなぁ〜

■ユーミル To:タナトス
タナトスさんも欲しいの? じゃ、あげます!

タナトスにも色違いの似たよーなリボンを手渡した(笑)
■タナトス To:ユーミル
え、本当?
ありがと〜〜、僕も大切にするね(^^

■ユーミル To:ALL
えっと……みなさん、助けてくれてありがとうございました。
あと、お兄ちゃんを守ってくれて、ありがとうございます。
私、お兄ちゃんが無事帰ってきてくれてとっても嬉しかったです。

ユーミルはにっこりと笑顔を見せた。
■ユーミル To:ALL
私ね、お兄ちゃんをずっと待ってる毎日は退屈だったから、こんどは私が外に出てみようと思うの。
たくさんいろんな世界を見て、たくさんの人、たくさんの歌に出会いたいの。
もちろん、リュートも一緒よ。

■シャオ To:ユーミル
え……本当?

びっくりする兄。
■ユーミル To:ALL
大丈夫よ、危ない目にあったら、また冒険者のひとにお願いすればいいの。
守ってくださいって。そして、そのお話を歌にするのよ!
だから、一生懸命腕を磨かなくっちゃ。
オランにも行ってみるつもりよ。
みなさん、もしまた会えたら、よろしくお願いします!

ユーミルは無邪気に、ぺこりと頭を下げた。
■ユウル To:ユーミル
…うん、よろしく。
良いサーガが作れるといいね。
(ああ、冒険者に過剰な期待を抱く少女がまた一人…)

こういう行為は止めても無理に出て行ったりしてしまうもの。ユウルはこっそりとシャオに労わりの視線を送った。シャオは申し訳なさそうな苦笑を浮かべて目礼を返した。
■タナトス To:ユーミル
冒険者のひとじゃなくて、僕達って事にしようよ。そして一緒に歌おうよ。

■ユーミル To:タナトス
本当? じゃあ、そうするわ!
約束ね!

タナトスに小指を差し出して、指切り。
■タナトス To:ユーミル
うん、約束!!
指切り♪

■シャイアン To:ユーミル、ALL
成長した雛鳥に、巣立ちを止める事はできぬでござるからな〜♪
(じゃら〜んとリュートを掻き鳴らしながら)
「お姫様〜♪一晩経ったら〜♪冒険家〜♪」
ユーミル殿は良い吟遊詩人になれるでござるよ〜♪

ユーミルは嬉しそうに笑って、自分のリュートを抱きしめた。
隣では、頭を抱える兄がいたのだが……
村人たちに見送られ、一行は村をあとにした。

一瞬にしてやってきた危険、それを見事に振り払った冒険者たちの活躍を、エシャ村の吟遊詩人たちはきっと忘れないだろう。
そして、吟遊詩人ユーミルの手によってその物語がいつか歌にされ、語り継がれる日が、来るのかもしれない……。

Fin


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コマンド・メロディー

GM:ともまり