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SW-PBM Scenario#130
コマンド・メロディー

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残された者


 ヴェーナーの祭壇

広場に再び静寂が訪れた。

女はうつぶせに地面に倒れ込んだまま、動こうとしない。
わずかに血痕がついたシャムシールは、地面に投げ出されている。
■ユーミル To:シャオ
あ、あの女の人、死んじゃったの……?

シャオは妹の問いには答えず、人差し指を口に当てて静かにするように言った。
黙って成り行きを見守ることにしたようだ。

すでに陽は高く登り、広場に木々の短い影を落としている。
頭上には晴れ渡った空が広がっている。
■シャイアン To:ベティカ
言い訳など聞きたくないではござろうが・・・
ユーミル殿やシャオ殿の安全の為、魔法を使うクラジュ殿は倒すほかなかったでござる。
・・・ベティカ殿がよければ、クラジュ殿のレクイエムを弾かせて頂くでござるよ。

女はゆっくりと上半身だけを起こして、シャイアンを見た。
今は怒りではなく、哀しみだけが貼りついたその顔を横に振った。
■ベティカ To:小人族(シャイアン)
……きっと、クラジュが望まない…。

■シャイアン To:ベティカ
さようでござるか・・・承知したでござる。

■ハティノス To:ベティカ
ベティカさん・・・
理由はどうあれ、僕はあなたに恨まれても仕方がありません
ただ、どうしても知りたい事があるんです
人質をとるような・・・こんな方法を用いてまで手に入れたゴーレムで一体何をしようとしてたのですか?

ベティカにきられた肩を抑えながらハティノスが言った
■ベティカ To:神官風の少年
……。…これは、当然の報いだったんだ……。

クラジュは…ゴーレムを手に入れること自体が目的だった。
そして…この祭壇にあるという遺産も、手に入れるつもりだった。

ゴーレムを配下に収めたあとは、自分が知り得る限りの遺跡に向かうと言っていた。
私たちだけでは、手に負えないような遺跡へ……

■メイプル To:ベティカ
そしてあなたは、それに喜んで協力していた・・というわけでもなさそうね。
私たちがいたことも、知っていたでしょう?

■ベティカ To:村人の格好をした少女(メイプル)
…私は、クラジュと一緒にいることが全てだった。
あいつに拾われてから、あいつの冒険を助け、守ることが……
でも……
あるときゴーレムを操れるリュートを歌った歌の存在を知ってから、目の色が変わってしまった。
口数が減って、私たちとあまり話さなくなり……
それを手に入れることに執着するようになった……
クラジュは元々野心家だった。でも、こんな真似をする奴じゃなかったのに……
私が悪いんだ。クラジュの心の変化に気づいていながら、それに気づかないふりをして、いつか終わると信じ込んで止めなかった、私が……。

ベティカは片手で目を覆い、肩を落として静かに嗚咽を漏らした。
メイプルの最後の質問には、ただ首を振るだけだった。
■ハティノス To:シャオ
ゴーレムを歌った歌・・・
シャオさん、そういったものの存在はご存知ですか?
出所はこの村の吟遊詩人と考えるのが妥当だとは思いますが・・・

■シャオ To:ハティノス
いいえ、僕は知りません……。
シャイアンさんがご存じだった、あの歌のことではないでしょうか?

■ユウル To:ベティカ
…ノールって名前のグラスランナー…そっちから情報いってるだろうって思ってたよ。
シャオさんを夜道で襲わせたり、見張らせたりしてたんじゃないの?

■ベティカ To:女剣士(ユウル)
……やはりノールに会ったんだな…。
オランに残ったのはあいつの意志だ。私たちは先にエシャ村へ来た。
あいつがオランで何を知り、何をしたのかは知らない……。
ただ、一人の力でリュートを奪って見せ、手柄を立てようとしていたんだ。
クラジュに認められるために……。

■シャイアン To:ベティカ、ALL
ノール殿もクラジュ殿を慕っていたようでござるな。
クラジュ殿の突然の心変わり、今となっては確かめる術はないでござる・・・。

ベティカはクラジュの方を見て、また目を伏せた。
■ベティカ To:ALL
ノールは…? お前たちを襲ったのか?
あいつも…死んだのか?

■メイプル To:ベティカ
襲われてない・・とは言えないわね
他の楽しいこと探すっていってたわ。いい意味でも、その逆でも、彼は”自由”なんだと思う。あなたは・・どうするの?

”彼から自由になれないの?”という台詞を、なんとかのみこんだ。
それは今いうべき言葉ではなく、彼女が自分で見いだす道だろうと思う。
■ベティカ To:村人の格好をした少女(メイプル)
そうか、生きてるのか……。
別の楽しいこと、か……あいつらしい……。
私は……。

ベティカは立ち上がり、クラジュの元へと歩み寄るとその亡骸を背中に抱え上げた。
■ベティカ To:ALL
もしノールに会うことがあったら、伝えて欲しい。
ベティカはリファールにいると。
わたしたちが出会った町で待っていると……。

■タナトス To:ベティカ
わかった、会ったら言っておくね。

あと、僕からのお願いを1つ。
さっきのように命を捨てるような行動は止めよう、
今が辛くても、生きていれば、いっぱ〜〜い楽しい事が見つかるからね。

■ベティカ To:小人族(タナトス)
……。
……今は、わからない……。
でも、きっとノールもそう言う……お前を、お前たちを見ていたらそう思った。

タナトスとシャイアン──そして全員の顔見る。
■シャイアン To:ベティカ
次に会う時にはノール殿と組んで冒険者になっているかもしれぬでござるかな?
今回は敵同士だったが・・・次は違うと願いたいでござるよ。

■ユウル To:ベティカ
…また、いつかね。

ベティカはふたりの言葉にかすかに頷き(それとも俯いただけか──)森の奥へ去っていった。
あとには冒険者たちと、吟遊詩人の兄妹──そしてゴーレムだけが残された。

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GM:ともまり