後日、オランへと凱旋した冒険者達の元へ2通の手紙が届きました。
「サリアからの手紙」
■サリア To:冒険者の皆様へ |
あれから私は、領主様を通じて偉い司祭様に紹介していただき、『病気』を癒していただくことができました。 レイモンド商会の方は...実はまだ、自分の中では整理がついていません。 バッカス様が私に資産を譲ろうとしたのは、私が、バッカス様の血を引いていて...孫にあたる、ということなのですが、それが本当かどうか、今となっては確かめようがありません。 それに、それでも、私がこの事件の引き金になったのかと思うと...。 私は今、ハインツさんとお爺ちゃんと暮らしています。 『病気』を治して帰ったら、家出したことをすごく怒られました。 そして...私を養女にしたいと申し出てくれました。 もうすぐ、ハインツさんをお父さんと呼ぶことになりそうです。 お母さんのことを思い出すと、やはり寂しい気持ちになりますが、皆様のおかげで、私は今、人として幸せになれるかもしれないと、希望を持っています。 ランバート様、カーガッド様、キャス様、アズラ様、ウォルフ様、ジェニファー様、本当に、ありがとうございました。 [サリア・ゼルバートン] |
「タティアからの手紙」
■タティア To:冒険者諸君 |
サリアの『病気』の件は無事に解決した。 いくつかの障害があり、救済に関する通常の対応法とは、少々違う方式で処置を行ったが、結果は良好だ。 ただ、当然かとは思うが精神的にまだ不安定なところが見受けられる。しばらくは私の保護下に置き、経過を見守ることになるだろう。 サリアの将来を考え、『病気』の詳細については伏せておきたいと思う。諸君らも、協力に応じてくれるものと期待する。 次に商会の件だが、バッカス本人から、サリアはバッカスの直系の孫にあたるとの証言を得た。バッカスの息子であるマイルズが死亡する以前、サリアの母であるナタリエは商会で働き、マイルズと懇意にしていたということだ。 マイルズはナタリエとの関係をバッカスに知らせていたらしいが、当時商売のことしか頭になかったバッカスは、面倒を嫌ってナタリエを解雇してしまった、という事と次第らしい。 また、バルドーは後妻の連れ子であるということだ。バッカスは血統に拘り、バルドーの日頃の行いもあって今回の事件の発端となったわけだ。 今後、遺産を引き継ぐかどうかはサリアの成人を待って決定されることになる。サリアが相続権を放棄すれば、商会全体の資産となる予定だが、このことは他言無用に願う。 バルドーとその一味には、殺人罪をはじめ過去の余罪も明らかになり、近く相応の刑罰が与えられる予定だ。 サリアやその関係者に、復讐がなされる可能性はなくなるだろう。 以上が事件の報告である。 本件の解決は、諸君の冒険者としての力によるところが大きいことは認めざるを得ない。ミーティス殿やブラトニス候が、冒険者を重用する理由がわかった気もする。 冒険者諸君に大いなる感謝を。 [ブラトニス領主代行: タティア・ブラティアス] |