SW-PBM #124 Pigeon Blood Prologue〜消えた宝石 |
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■ 【オラン 某貴族邸】 |
■男A |
……う。 |
廊下に男が倒れていた。
呻き声を上げながら、首を振って朦朧とする意識を振り払い身を起こす。
その身を包んでいるのは、オラン官憲の制服だ。
■男A |
一体……俺は……。 |
状況が把握できないらしい。
ぼんやりと周りに目を向けて、その目に信じられないものが映った。
瞬間的に、その喉から悲鳴が漏れる。
■男B To:男A |
なんだ、どうした? |
同僚らしい男が、悲鳴を聞き付けて飛んできた。
先程までその廊下に倒れていた男は、ただ呆然と開け放たれた扉の先を見つめている。
■男B To:男A |
……何故宝物庫の扉が開いている? |
言いながら覗き込み、その男もまた言葉を失う。
部屋の中央に据えられている台座から、そこに鎮座していたはずの物が忽然と消え失せていた。
■男B To:男A |
宝石が……。 やられた……な……。 |
■男A To:男B |
くそっ! ……ん? なんだ? |
男が床に落ちていたそれに気付く。
月明かりに照らされ、かすかに光るそれは。
■男A |
これは……徽章、か? |
忽然と消え去った大粒の宝石。
そして、鍵の掛けられていたはずの宝物庫の床に、官憲の徽章が一つ―――
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