ウィル達と別れて約半日。小さな森を抜け、草の茂った道を行くと日も暮れかかったところで村らしき影が見えてきた。その集落を囲むように、いろいろな作物が実った畑が広がっており、一日の作業を終えて帰途につく、農夫らしき男達の姿がちらほらと見える。
■キャンドル To:農夫 |
お疲れ様です。 バルリー村の方ですか? |
■農夫 To:キャンドル |
あ?あぁ、そんだけども... |
■キャンドル To:農夫 |
最近、変わった事とかありませんでしたか? |
■農夫 To:キャンドル |
変わったこと?そんだなぁ...。うーん...。 一昨日はハッサンとこで4人目が生まれたなぁ。 ちょっと前はニコライの畑で病がでて、大変だったけんど。 その少し後には冒険者が来たっけな。一日泊まっていったけんど。 あとは...あぁ、東の村(トレット)の周りでゴブリンが出るようになったとかで、うちの村も一応気をつけろっていわれたなぁ。 ゴブリンなんて、おらは子供んときに見たっきりだからピンとこねぇけどなぁ。 で、今日おまえさん方に話しかけられた。まぁそんくらいだけんど? |
■キャンドル To:農夫 |
冒険者が来るのは、やっぱり変わったことなのね(苦笑) |
■ライル To:農夫 |
東の村…トレット村のことですね。 |
■農夫 To:ライル |
そんだ。なんだ、トレットから来たんだったか? |
■ライル To:農夫 |
いえ。俺たちはオランからきました。 (ニッコリと微笑み) 申し遅れました。 ファリスの神官戦士のライルといいます。 俺たちはトレット村の依頼を受けてそのゴブリンを退治しにきている者です。 村長さんにお話を伺いたいのでどこにいるか教えてもらえますか? |
■農夫 To:ライル |
ゴブリン退治ねぇ。まぁ長いことうまくやってきてたみたいだけんど、そうかぁ、ついに退治かぁ。 ...あぁ、村長さね。帰り道だで、まぁ着いてこぅ。 |
■ライル To:農夫、ALL |
はい。ありがとうございます。 みんな、行こうか。 |
■キャンドル To:ライル&アリューム |
ここにも寄ったみたいね。 何か聞けると良いけど。 |
■アリューム To:ALL |
そうだな。気になってたしな。 |
■ライル To:キャンドル |
ここにも寄った? この人(農夫)が見たゴブリンのこと?? 同じヤツなのかな… |
思索に耽り小首をかしげるライル。
■キャンドル To:ライル |
ここに寄った冒険者って、例の冒険者達じゃないのかしら? |
■ライル To:ALL |
ともかく、あの人について行こう。 村長なら何か知ってるかもしれないし。 |
農夫に連れられ、一行はバルリー村の村長宅へ到着した。農夫は村長に冒険者達を紹介すると、農具を担いで帰っていった。
■村長(ヨセフ) To:ALL |
ようこそようこそ。この村の村長をしております、ヨセフと申します。 あぁ、この村はあまり旅人も寄りませんで、宿がないのです。 どうぞ今夜はこちらでお泊まりください。すぐに用意をさせますので。 いやはや、しかしまた、どのような旅の途中ですかな? ああいや失礼、おっしゃりたく無ければそれで結構。ただ、見ての通り刺激の少ない村でしての。ちと話の種に飢えておりますのじゃ。 お気を悪くなさいますな。 |
■ライル To:村長 |
いえ、とんでもございません。お気遣い感謝致します。 俺たちの目的を掻い摘んで申し上げますと、まずトレット村に出没したゴブリンを駆逐する事が第一です。 そして近隣の村々に警鐘を鳴らす意味と、ゴブリンの集落の位置を特定するために情報収集する目的でこうして足を伸ばしている訳です。 |
■村長(ヨセフ) To:ALL |
なるほど。トレットの話は聞き及んでおります。 念のため外で働く者達には注意するよう言い渡してはおるのですが、儂らの村の近辺には、まだゴブリンの影は見えんのう。 トレットでも、ゴブリンが縄張りを越えて動いてるというだけでまだ実質的な被害は出ていないらしいですからの...。 長い間守られてきた縄張りを越えて来たというのは確かに気になることじゃが、儂らの村ではまだ、日照りの心配のほうが重要といったところですかの。 |
■キャンドル To:村長(ヨセフ) |
キャンドルと申します。 どうぞ、よろしく(微笑) こちらの現状をお伺いするのも、大切な目的なのですが、もう一点。 現実問題として、トレット村だけで私達冒険者に依頼を出すのは、経済的に厳しいと言う事もあって、近隣の関係する村と合同で依頼を出してもらう事は出来ないでしょうか?、との確認も兼ねて参りました。 |
■村長(ヨセフ) To:キャンドル |
ふむ...。確かに、心情としては援助したいのは山々なのじゃが...。 ただこの村には...お恥ずかしいことじゃが、あまり経済的な余裕がありませぬ。作物を売って得たガメルは、農具や薬を買うことくらいにしか使われませんが、それですぐに底をつきます。 もし儂らがトレットの皆にしてやれることがあるなら、村を捨てざるを得なくなったときにこの村へ受け入れること、それが精一杯なのじゃよ。 |
■キャンドル To:村長(ヨセフ) |
そうですか・・・ しかし、万が一に対しての補償が出来たことは、収穫でした。 その様に、トレット村へ伝えておきます。 |
■村長(ヨセフ) To:キャンドル |
あぁいや、この意向はトレットの方でもわかっているはずじゃよ。 明日は我が身という言葉もあるでの、困ったときはお互い様じゃ。 ここいらの村の関係は、そういうお互いの補償も含んでおるのじゃよ。 |
■キャンドル To:村長(ヨセフ) |
ところで、お伺いしたいことがあるのですが、数日前に来て一泊していった冒険者がいたと先程、農夫の方からお伺いしたのですが、何をしに来たとか言ってましたか? |
■村長(ヨセフ) To:キャンドル |
古い迷宮を探していると言っておった。詳しいことは言っておらなんだが、昔の魔法使いが造った迷宮で、この近辺にあるらしいということだったの。 そういう話は聞いたこともなかったのじゃが...。 |
■キャンドル To:村長(ヨセフ) &ALL |
迷宮ですか・・・ また厄介なものが出てきたわね(苦笑) |
■ライル To:キャンドル |
そうだね… |
冷静な表情とは裏腹に迷宮の存在の確証を得て心の中でガッツポーズするライルw
■アリューム To:ALL |
確かに。まぁ、興味はあるがな。 |
■村長(ヨセフ) To:キャンドル |
まぁ儂らとしては、発見された迷宮から悪いものが出てこないことを祈るのみじゃよ。 |
■キャンドル To:村長(ヨセフ) |
迷宮に関わらなくても構わないのですが、このあたりの昔話とか、民謡みたいなのがあったら聞かせてもらえませんか? これでも吟遊詩人なので、少しでもお話が聞けたら嬉しいのですが。 |
■村長(ヨセフ) To:キャンドル |
そうさのう...。 そらの月が欠けていくのは 星喰草の花が咲いているから 天まで伸びたその先に 小さな花が咲いたとき それは星の光を飲み込んで 月の光を喰らい続ける 全ての光が喰われる前に 我らはそれを刈らねばならぬ そらの月が満ちていくのは 星生草の花が咲いているから 天まで伸びたその先に 小さな花が咲いたとき それは星の光を生み出して 月の光をよみがえらせる 夜空が光に喰われる前に 我らはそれを刈らねばならぬ ...星喰草の花といううたじゃ。何事も程々が一番、ということかの。 |
■ライル To:村長(ヨセフ) |
星喰草の花…ですか。 興味深い詩ですね。 |
羊皮紙を取り出し素早く書き取る。
■キャンドル To:村長(ヨセフ) |
こんな感じで良いのかしら? |
キャンドルは、リュートで伴奏を取りながら『星喰草の花』を歌った。
■村長(ヨセフ) To:キャンドル |
ほぅ...。お、おお、そうじゃの、そんなかんじかの。 や、年甲斐もなく聞き入ってしもうたよ。ほっほっほ。 |
■ライル To:キャンドル |
キャンドル、まだ何か聞きたいことはある? |
■キャンドル To:ライル&ALL |
特には無いわね。 |
■アリューム To:ライル&ALL |
私も特に無いよ。 |
■ライル To:村長(ヨセフ) |
いろいろありがとうございます。 今晩ご厄介になったら明朝にはトレット村に向かいますね。 |
■村長(ヨセフ) To:ライル |
うむ。では今夜はゆっくりと旅の疲れをとってくだされ。 |
バルリー村の夜は静かに更けていった...。