SW-PBM Scenario#99 | SW-PBM▲ | |
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銀の網亭から始まる事件簿
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レトアール商会 |
皆は、レトアールの主人を伴って高級商店街の屋敷に戻った。
セレーニの待つ応接で、一行とセレーニ、主人そしてギャリソンが会することになる。
セレーニがわけがわからないという顔つきで主人をみた。どうやら先日の昼間に彼女を襲ったのは主人だったようだ。重苦しい雰囲気の中、主人が顔をあげた…。
■レトアールの主人 To:ALL |
…もう、わかっているかとは思うが……バーニーを誤って…殺してしまったのは私なのだ…。 |
主人は一言、一言確かめるように話す。そもそも貴族との取引は商品がぎりぎりになりそうだったこと、その貴族に睨まれたら商売はやっていけないこと。そして…やっと届いた荷物が荷違いで、焦りのあまりバーニーの小屋へ向かい彼を問い詰めたこと。
バーニーはもちろん荷物は届けたと言い張り…しかし主人は実物がない以上、彼が隠匿したのではないかと…そのまま口論がつかみ合いのケンカになり…最後には……怒りに任せてバーニーを火かき棒で殴ってしまった。
そう主人は話した。
そしてその全容をすべて聞き終わる前にセレーニが、わっと泣き出した…。彼女自身、自らの荷物の間違いがなければ…そう思ったようだった。
■クラウディア To:セリーニ |
本当、残念だったね。 でも、自分を責めちゃいけないよ。 今回のことは、すべて間が悪かったんだ。 誰のせいでもない、運命の歯車が微妙に狂ったせいなのさ。 |
そう言いながら、クラウディアはそっとセリーニの肩をたたいて慰める。
■フィアルラ To:セレーニ |
泣くのは決して悪い事じゃないですよ。泣く事で、悲しみは癒されますから……。 けど、いつまでも悲しんでいるのはバーニーさんも望んではいません。 泣くだけ泣いて気持ちが落ち着いたら……また、もとのセレーニさんに戻ってください。 彼もきっと、それを願っているはずです。 |
■ルリィ To:セレーニ |
精一杯、毎日を生きてゆくこと…… それが多分、バーニーさんへの何よりの供養だと思いますわ。ですから――どうか、負けないで頑張ってくださいませ。 |
■セレーニ To:フィアルラ、ルリィ |
………。 |
2人の気遣いにセレーニもかろうじで頷きはするものの涙は止まらない…。
■レトアールの主人 To:ALL、ギャリソン |
実は、貴族との取引は今日が最終日なのだ……。 だから…私は…どんなことをしても取り戻さなければ…そう思って…しかし…初めから間違いだったのだな…もう少し……イヤ、そう言った所で…バーニーは…私の過ちは取り返せはしまい。 …だが、だからこそ…宝石は届けねばなるまい…。ギャリソン、お前が行ってきてくれるか?私は…他に行かねばならないところがある。 |
■ギャリソン To:主人 |
ご主人様……必ず…取引を無事に終えてご覧に入れます。 |
ギャリソンもそういうのが精一杯だった。主人は満足そうに頷くと今度は一行の方に視線をうつした。
■レトアールの主人 To:ギャスパー、ALL |
どうだろうか、世話をかけたついでに…ギャリソンの護衛を頼まれてはくれないか。宝石は君たちの手にあるという話しだし取りに行くついでに貴族の屋敷に持っていく護衛をお願いしたいのだ。 もちろん、代価は支払う。世話をかけた礼も含めてな。どうだろう? |
■ギャスパー To:レトアールの主人 |
ああ、こっちはそれでいいけど…。 一応確認しておくけど、バーニーさんが持っていたリストが、なくした商品の一覧と思って間違いないのかな? |
■エメラルド To:レトアールの主人 |
数や品が間違ってると問題ですしねー。 |
■ギャリソン To:ギャスパー、エメラルド、ALL |
それで大丈夫かと思います。 品物については私が皆さんと一緒にとりに行った際に確認させて頂きましょう。 |
■レトアールの主人 To:ギャリソン |
世話をかけるが、そうしてくれるか。 |
■ギャスパー To:セレーニ |
あとはセレーニさん、か…。 セレーニさん、あんた独り暮らしかい? こんなときに独りでいるのは、あんま勧められないからなぁ…。 |
■セレーニ To:ギャスパー |
一人…よ。これで本当に……。 そうね…今日は家には帰りたくないかも……ファーナの家に…トモダチなんだけど……行きたいから…できれば送ってくれる? |
■ギャスパー To:セレーニ |
ああ、それ位はお安い御用だ。 |
■フィアルラ To:セレーニ |
セレーニさん……。 あなたは一人ぼっちなんかじゃないですよ。悲しみを共有してくれるお友達、そんな人がいるんじゃないですか。 |
■セレーニ To:フィアルラ |
…うん、ありがとう。 |
■クラウディア To:レトアールの主人 |
……で、あんたはどこにいくつもりだい? |
■レトアールの主人 To:ALL |
まずは神殿へ……その後、官憲に出向くツモリでいるよ。 罪を…償わなければなるまい…。大丈夫、安易に逃げたりはしないつもりだ……このフレッドがわが神に誓って。 |
クラウディアの心配を察したのか、主人は決意に満ちた目をして微笑んだ。
■クラウディア To:レトアールの主人 |
それを聞いて安心したよ。 最初の死体見聞の時、官憲には、“犯人は最初から人殺しをするつもりではなかったろう”とは話してあるんだ。 担当のフィレディックさんも、話がわかりそうな人だったし、おそらく事件も公正にみてもらえると思うね。 よかったら、付き添おうかね……証人として? |
■ギャスパー To:ディア、レトアールの主人 |
そうだな。担当の衛視さんとも一応顔を合わせているし、良かったらクラウディアでも連れて行った方がいいかもな。 |
■主人 To:ギャスパー>クラウディア |
そうか…それは話も早いかもしれないな、では頼まれてくれるかな。 |
■クラウディア To:レトアールの主人 |
おやすいごようさ。 |
■主人 To:ギャリソン、ギャスパー、ALL |
さて…もう少しゆっくり…と言いたいところだが、先方はきっと品物が届くのを心待ちにしていることだろう。 すまないが、出かけてくれるかね。 |
■ギャリソン To:ギャスパー、ALL |
お願いできますか? |
■ギャスパー To:ALL |
ああ、それじゃあ行くとするか。 みんな、いいかな? |
■ルリィ To:ギャスパー |
えぇ、構いませんわ。 |
■フィアルラ To:ALL |
はい。それじゃ、私がセレーニさんを送っていきますね。 みなさんはギャリソンさんの方をお願いします。 ん……と。でも一人だと心細いし……エメラルドさん、一緒に来てくれません? |
■エメラルド To:フィアルラ |
ほえ? わかりました〜(o^-^o) じゃ、セレーニさん、いきましょー。 |
■セレーニ To:フィアルラ、エメラルド |
…うん、じゃぁ…お願い。 |
それぞれに重く悲しみを抱えて屋敷を出る。 そしてその重みを少しでも支えようとしてかそれぞれに一行が付き添っていくこととなった……。
誰しもがこの不幸な事件をそれぞれの中で納得していくしかないのだろう。
オラン・某所 |
屋敷を出てそれぞれ、クラウディアはレトアールの主人を官憲まで案内して事情聴取まで付き合った。ギャスパー達も商会の取引に立会い無事にその終了を確認する。不幸な事件の行く末はかみ合わせの外れた歯車をそっと元に戻すようなそんな雰囲気で治まるべくして治まっていったのだ。
そして…傷心のセレーニを連れてオランの街を歩く、フィアルラとエメラルド。友人の家への足取りは決して軽いものではなかった。
レトアールの屋敷を出る際に主人がセレーニに何事か話していたようだったが、セレーニの今後についてのことだったようだ。
■エメラルド To:フィア&セレーニ |
セレーニさん、だいじょぶですか? 今すぐは無理でしょうけど……元気出してください〜。 んと、えと……そ、そういえばレアトールのご主人さんはなんて言ってたですか? あ、言いたくなければ言わないでぜんぜんおっけーですよー。 |
人を励ますのは慣れてないらしい。 それでもぎこちない気遣いはセレーニに伝わっているようだ。
■セレーニ To:エメラルド |
あ…うん、バーニーのものとか…整理する時に呼んでくれるって。それと…困ったことがあったら…ギャリソンさんを頼っていいからって…。ホントは…こんなに優しい人だったんだね、あのご主人もさ…。 |
■フィアルラ To:セレーニ |
そうですね……。 誰も、罪を犯そうとしたわけでもないのに、こうなってしまう事もあるんですね……。 悲しい事ですけれど。 |
■セレーニ To:フィアルラ、エメラルド |
あたしも…ちゃんと気をつけてれば…。 |
きっとこんなことにはならなかったのに…そう続くであろうその言葉はセレーニのほほを伝う涙とともに流れていった。
これから彼女は友人のところでまた泣くのかもしれない、何日も泣き暮らして自分を責めて…それでもいつかはきっと立ち直ることがあるだろう……。
オラン・某所 |
セレーニを友人宅へと送り届けた後。
てくてくと元来た路を戻る途中、フィアルラが不意にエメラルドに話しかけた。
■フィアルラ To:エメラルド |
えと、エメラルドさん。ちょっといいですか? お願いがあるんですけれど。 |
胸から白猫ルビーを引きずり出して。 少し真剣な面持ちで……。
■フィアルラ To:エメラルド |
ルビーを……この子ですけど、預かってもらえないでしょうか? 私、オランを離れて旅をしてみようと思って……長くなりそうだから、この子を連れていくと大変だし。 ルリィさんに頼もうとも思ったんですけど、彼女にはコハクちゃんがいますから(苦笑) |
■エメラルド To:フィアルラ |
え……それはもちろんかまいませんけど〜。 ……オランをはなれて旅に出るって、いきなりどーしてですかー? |
■フィアルラ To:エメラルド |
フェリオさんを……私の片思いの人なんですけれど。その人を追いかけてみようと思うんです。 でも、どこに行ったかも分からないし、見つかる保証もないし……そんな旅にこの子を連れていくのも可哀相ですから。 エメラルドさんなら信頼して預けられるんです。 我侭なお願いですけれど、聞いてもらえませんか? |
言いながら、その想い人が残していったネックレスを握り締める。
突然の申し出にエメラルドも少し困惑気味ではあるものの、仲間のたっての願いを断るような彼女でもなかった。
■エメラルド To:フィアルラ |
そうなんですかぁ……。 わかりました、じゃあフィアさんが帰ってくるまでしっかりお預かりします。 あ、でもその人を見つけたら、ちゃんと帰ってきてくださいね〜? でないとルビーちゃんもきっと悲しみますから(o^-^o) |
■フィアルラ To:エメラルド |
そうですね。必ず帰ってくる……それは約束します。 オランにも、私の大切なお友達はたくさんいますから。 |
■エメラルド To:フィアルラ |
はい……約束ですよ(o^-^o) |
■フィアルラ To:エメラルド&ルビー |
じゃ、お願いします。 ルビー……元気でね。イイ子にするのよ? |
■ルビー To:フィアルラ |
にぁう……。 |
■エメラルド To:ルビー |
おいで〜……っとと。 |
ルビーを受け取ろうとして自分の左手にまだコハクが乗ってる事を思い出したらしい。
どうルビーを持とうか思案中。
■エメラルド To:ルビー |
んーっと……うん。 じゃあ、ルビーはここね(o^-^o) コハクもルビーもなかよくしましょーね〜。 |
フィアを真似て上着の中にルビーを入れる。
フィアと同じくらい薄かった胸が若干大きく見える。
■エメラルド To:フィアルラ |
……思い人、見付かると良いですね。 貴女の進む道にファリスの加護がある様に、祈ってます……。 |
旅立つ仲間に向け、聖印を取り出して祈りを捧げる。
■ルビー To:フィアルラ |
にぁあ〜……。 |
エメラルドの胸元から顔を出す。
ルビーなりの見送りの言葉なのかもしれない。
■フィアルラ To:エメラルド |
はい……。 それじゃ、私はここで。みんなにはエメラルドさんから話しておいてもらえますか? 今みんなの顔を見たら、泣いちゃいそうだから……。 |
そういうフィアの目許には、既に光るものが見えている。
■フィアルラ To:エメラルド |
あ、あれっ、あれっ? だ、ダメですよね、こんなんじゃ……。 せっかく湿っぽくならないよう、笑ってお別れしようと思ってたのに……。 もうずっと逢えないわけじゃないんだし、好きな人を追いかける旅なんだから笑って出掛けられると思ったのに。 ご、ごめんなさい。変なところ見せちゃって。 |
ごしごしと目許を手でこすって涙を拭うと、顔を歪めて無理矢理に微笑む。
■エメラルド To:フィアルラ |
フィアさん……。 ……うぐぅ、お元気で。 |
こっちも目許を服の裾でごしごし。
■フィアルラ To:エメラルド |
エメラルドさんもお元気で。みなさんにもそう伝えてください。 ……うん、もう大丈夫。 それじゃ、行って来ます! |
大きく手を振ると、後はもう振り向くことなく。
フィアは心に残るあのぬくもりと、背中の大きさを求めて旅立っていった。小さな行き違いで始まった事件はこうして小さな旅立ちで締めくくられた。
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GM:彩樹
saiki@na.sakura.ne.jp
編集:倉沢真琴
kushida@terra.dti.ne.jp