| 「銀の網」亭 |
「銀の網」亭はオランの繁華街の一角にある。しかし、ここにやってくる依頼人は、オラン市付近からやってくるものだけとは限らない。 片道一週間近くかかる、多少離れた場所から依頼人が来ることもけっして珍しくはない。なぜなら、それなりに腕の立つ冒険者はここまで来ないと見つからない 事も多いからである。
たった今、「銀の網」亭に活気が溢れ始めた時間帯に姿を見せた初老の男も多分、そういった輩であろう。旅姿ではあるが、身なりからして普段はそれなりの生活をしてると思われる。 しかし、腰に下げてる剣は護身具と言おうか、こけおどしと言おうか、いずれにしても大した使い手では無かろう。冒険を生業としてるものでないことは一目瞭然であった。
いずれにしても、そのものはおやじの元に行き、依頼を出す許可を得にいった。
| ■初老の男 To:おやじ |
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お初にお目にかかります。わたくしはゴート男爵の使いでして、こちらに依頼を出すため参りました。 依頼内容はこういったものです。よろしいでしょうか? |
あまりに丁寧な挨拶と主に依頼書を見せられたおやじは少々戸惑いつつも返答した。
相手につられたか、おやじも珍しく丁寧語になっていた。
| ■おやじ To:初老の男 |
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え?あ、あぁ。 オーガーですか………大変ですね。そこの掲示板に貼っておいてください。 丁度今、腕の立つメンツがそろってますから、すぐに問題も解決されると思いますよ。 |
| ■初老の男 To:おやじ |
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そうですか。お心遣い感謝いたします。 では、失礼いたします。 |
初老の男はそのまま掲示板に依頼書を貼り付け、店の隅のテーブルに腰を下ろした。
周囲の冒険者との品位の違いのためか、その周辺だけ場違いな雰囲気に包まれた。
| ■おやじ |
| あの男爵が村のために直々に執事を使わせるとは………。かなりの事件だな………こりゃ。 |
そう呟いたおやじは、先ほど相手の言葉遣いが自分に移っていたことに気づいたのであった。