早朝、空は曇り薄暗い森の中、再びシェリーの死体のあった場所までやってきます。
空気は肌寒く、冬の訪れを感じます。
陽は低く明かりが無くては森の奥は視界が効きません。
昨日の木陰には既にシェリーの死体はなく、落ち葉もどけられ、代わりに盛り土とその上に石でできた小さな(縦約30cm横約19cm)墓標が立っていました。

墓標に名は無く、年号だけが刻まれています。???-520

アルテナは注意深く周りを見ます。

イルミナもアルテナとはまた違った口調でパトリシアに呼びかけながら辺りに注意を払います。

シロフィーヌはお礼しなくちゃなぁなどと考えながら地面をきょろきょろ見回します。

シェリーの墓標の影から大量の黒い蛾が飛び出し、一瞬視界を遮ります。

蛾は周囲の物影にとまり、墓標の影には黒いドレスを着た8歳くらいの少女の上半身が残りました。
アルテナは周囲の蛾から、あの病死した村人の時と同じような精霊力の変調を感じます。

アルテナからいろいろ聞いていたので努めて平静を装ってお返事

パトリシアは影の中から新しい墓石を引っ張り出すと、石の表面を指で削り取り名前と生没年を刻みます。
おそらくシロフィーヌの名前だと誤解しているのでしょう。

アルテナは鞘から剣を抜いて相手の出方をうかがいます。

おそらく自分の周囲の蛾が病原体であることは知らないのでしょう。
アルテナに聞き返します。

ガラス瓶に蛾を捕まえたテスラが小声で話します。

パトリシアは話題にある程度興味を持ったようで、シロフィーヌを見上げます。

シロフィーヌは山頂の方を示しました。

アルテナは予想外の展開に驚きます。

パトリシアはすぐに訪れるであろう、大嫌いな白一色の世界を想像して顔をしかめます。

パトリシアはそんな思惑などお構いなしに、勝手なことをいいます。

アルテナは剣で切り払おうと間合いを詰めますが、パトリシアは影の中に沈むと、 その後を追うように黒い蛾も影の中に消えていきました。
そして地面の中から、ズルズルと何かを引きずるような音がきこえてきます。
おそらくパトリシアが移動しているのでしょう。
音は山頂の方に向かって遠ざかっていきます。

アルテナはおもしろくなさそうに剣を仕舞います。実はちょっとうらやましい！？

ずんずん歩き出します。

シェリーの墓の前まで行くと、地面に膝を付き目を閉じて熱心に祈り始めます。

アルテナもリシィアの横に立ちます。