賑やかだった昨日とはうってかわり。銀の網亭はいつもの静けさを取り戻していた。
　冒険者といえば。それぞれテーブルに付き朝食を取っている。

　確かに。レジーの固ゆで卵がいつの間にかなくなっている。

　おやじの発言、聞いてやしねぇ(笑)。

　レジーに一方的に犯人に決め付けられたエレボス。
　必死に身の潔白を訴える。

　惜しい。それでは基本過ぎ。

　さすがに孫をゆでる阿呆は居ないだろうと苦笑する。

　そんなのどかな会話の傍らにて。

　メイ探偵レジー。
　犯人取り逃がし‥‥か？(笑)

　どうやら「メイタンテイ」の字は、今しばらくは迷探偵のようである。

　しばらく朝食を楽しんでいると。店に一人、ほっそりした人物が尋ねてきた。
　身長190cmぐらいとだいぶ長身ではあるが。顔つき・身体つきからは男性なのか女性なのかは判別がつかない、ちょっと不思議な雰囲気の人物であった。

　ルツァーはおやじに朝食の注文をし、そのまま冒険者が座るテーブルへと近寄ってきた。

　冒険者は改めてルツァーを見る。
　髪の毛の色は銀、そして瞳は金。肌は病的に白く、服装はオランでは見かけぬ服装で、右手には黒い石のような物のついたお守り(?)を付けていた。

　勧められた椅子にそのまま座る。

　ここで、冒険者をぐるっと見渡す。

　別にからかっている風ではなく。真面目に答える。

　どうやらエレボスには聞いたという心当たりがあるのだが‥‥

　そう言いつつ、ランバートとフレイムフォレストの方を見る。

　エレボス以外の皆には、とんと聞き覚えのない名前だったらしい。

　かなり、困った顔をしている。

　いたって、真顔で答える。

　逆に質問を返されてしまった。

　彼の地なのだろうか。
　すこし、はにかむような顔をしつつ、でも、その瞳は真剣だ。

　確かに所有者がいれば、面倒なこととなるだろう。