SW-PBeM Scenario #91 今を盛りと咲き誇り

5章 顔を現す猫、むき出される本性……或は食中りしそうな食材のこと
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ジュナイル邸  温室奥の部屋

 青白い月はその姿を隠し、かすかな星明りのみ降り注ぐ新月の夜。
 目に見えぬ黒い月明かりを受け、闇に佇む黒耀逢香は、その純白の蕾を今にも綻ばせようとしていた。
■ジュナイル To:おおる
……まだ黒くならないのかに……。

■パオル To:ジュナイル
ふぁ〜〜〜、そうでふねぇ。
早いとこ咲いて欲しいです…。(−−

 ちょっと疲れ気味なのか、眠そうなパオル。
 昼間にしっかりと仮眠を取ったはずなのだが。
■フィアルラ
くー……すー……(--)zzz

 こっちは既に寝ている……。
■レンシオ
さて、どうしたものかねぇ………。

 怪しい者が居ないか、使い魔を使って周囲を警戒する。
■ルリィ
警戒しなきゃなのですけど、ついつい花にも意識を奪われてしまいますわね…(マテ(笑))

■エメラルド To:ALL
来るとしたら……そろそろでしょうね。
何処から来るか分かりませんし、今までの侵入方法とシーフギルドでの情報から考えて、奇襲は警戒していた方が良いかと思います。

 室内をくまなく見渡し、四方八方何処から来ても良い様に神経を尖らせる。
■エメラルド To:ジュナイル
それはそうと、ジュナイルさん。
こんな時になんですけど、例の泥棒が書斎を荒らしに来た時、貴方は何処に出掛けていたんですか?
やけにお急ぎだったみたいですけど、良かったら教えてください。

■ジュナイル To:エメラルド
ち、ちみ、何か雰囲気変わってないかね?(汗
ま、まぁなんだ。仕入れの相談だよ。

■エメラルド To:ジュナイル
夜ですからね……。

 いつになく鋭い質問をするエメラルドに、思わずたじろぐジュナイル。
 ちょっと俯いて笑いながら答えるエメラルドだが、それは答えになっているのか?
■エメラルド To:ジュナイル
それよりも……仕入れですか?
あの時、書斎で紫猫に取られた物とかはありませんでしたか?
華を狙わずに何故紫猫が書斎に入ったのか、が分からないもので。
陽動と言う可能性もありますけど、華は無事でしたし。
その仕入れと言うのは今回の依頼に関係する事ではありません……よね?

 普段とはちょっと……いや、かなり違う、何か意味を含めた様な笑い方でジュナイルを見る。
■ジュナイル To:エメラルド
なるほど、夜だからか……?
いやね、だから、その。

■ルリィ
……?
エメちゃん…夜はオトナの女の顔になるのでしょうか…?(きょとん)

 常ならぬエメラルドの様子に小さく首を傾げる。
 大人の女、なのかなぁ。
■レンシオ To:ALL
………誰か屋敷のすぐ外にいる。武装してる一団だ………複数だな………。

ん?もう一人別口か?窓のところまで近づいて………
きた。


 屋根の上にいた使い魔が、異変をキャッチした。
 しかし、目をつぶって使い魔ヴィジョンを解説してるところは怪しい以外の何者でもない。
■エメラルド To:レンシオ
二組ですか……。

■クロス To:レンシオ、ALL
ホント?
く、警報は作動せずか…。手練れだ。
数で押して来てるのは、別口なのかな…?
来るよ!

 そのとき、音も無く、二階の窓が開いた。
 そこからひょっこりと顔を出したのは、クロスとレンシオには見覚えのある一人の少女だった。
■ナムール To:おおる
あらら、見つかっちゃってた?
……そっか、レンシオさんだっけ? 使い魔が居たのよね……。

■レンシオ To:
………(・-)(片目だけ開いて)
そっちもいるみたいね。

 窓枠に腰掛けながら、ナムールと名乗っていた少女は失敗失敗などと呟きながら、舌を出した。
 その肩には、黒い子猫が乗っていた。
■クロス To:ナムール
…きみは……うわ、ナムール! あんたが月下の紫猫だったのか!

■ナムール To:クロス
ミスティさんから、あたしのこと聞いてなかったの?
それにしても、お客様、その節はどうも。
その後、一回も聴きに来てくれなかったじゃないですか。淋しかったですよ。
でも、クロスさんも、なかなか芝居好きよね。
あの時は、レンシオさんをつけてたの?
続けて二人も入ってきたから驚いちゃった。

■レンシオ To:ナムール
どうもどうも、まぁ、こっちゃ仕事で忙しかったからねぇ。

 そんな会話をしながらも、レンシオの左手にバスタードソードへ、そして右手はメイジスタッフを構えている。
■クロス To:ナムール
聞きに行きたかったんだけど、仕事の都合であまり外出出来なくてさ。
これでも昔は旅の楽団にいたんだよ。ああいう芝居は楽しいんだ♪
…って、そうじゃなくて!(><)
僕らの名前まで割れてるのか…
これでもミスティ姐さんにはかなり払ったんだよ。
そうだよね、きみは黒髪の女の子で西方から来てて、黒耀逢香のことも知ってた。
確かにもうちょっと気を付けとくべきだった。手落ちだったな…。
でもここまでだよ! 花は渡せない。少なくとも咲くまでは。

■ナムール To:クロス
それぐらいなら待ってもかまわないわよ。

■クロス To:ナムール
なんと言われたって、こっちも仕事だから…って、ええっ? 待ってくれるって?

■エメラルド To:クロス
(…………やっぱり覗き見してたんですね……)

 と、一瞬出歯亀クロスの方をちらっと見た後、ナムールに注意を戻す。
■フィアルラ To:ALL
……むにゅう? お客様ですかぁ?

 ようやくお目覚めの姫は、目を擦りながら、まだ眠たそうな顔で辺りを見まわす。
 緊張感のかけらもない声。……とてもクロスと同じシーフとは思えない(笑)
■レンシオ To:フィアルラ
ほれ、起きろ起きろ( ・・)ノ☆
望まれざる客だぞ。

■フィアルラ To:レンシオ
ほえ?
(きょろきょろ)……ん? あそこのお姉さん……じゃ、ないな。
この気配は……裏口から、かな?

 寝起きの割りに、レンシオの使い魔が見たもう一団、裏口の人の気配を感じて、こそこそとそちらに移動。
 そのまま物陰に隠れて様子を窺う。
■フィアルラ
さて、私一人でどーにかなるとは思えないんだけど……どーしよおか、な。

■ナムール To:おおる
ほら、そろそろ咲きそうよ。
でも、まさか、こんなところにあるとはね。
ま、おかげで珍しいものも見られたからいいか。
そちらの小父様も、花を見たかっただけだって言う話だしね。

■レンシオ To:ナムール
で、そちら様としてはこれからどうするのかな?

■ナムール To:レンシオ
どうって、花を見るつもりだけど。
黒耀逢香の花を見る機会なんて、一生に一度も無いと思ってたからね。
だからわざわざこうして今晩まで待ったんだもん。

■ルリィ To:ナムール
予告状では『花が咲く前に』盗む御予定みたいでしたけれど、その予定は変更なさった…ということでしょうか。
――で? 花を見た後はどうしますの?
この花を盗んでどうなさるおつもり?

■ジュナイル To:おおる
な、何をしているのかに!
あいつが賊なんだろう? 早くやっつけるんだ!

■クロス To:ジュナイル
待ってください。今すぐ争う気はないみたいだから、とりあえず花を見ていてください。
花を今すぐ台無しにされる危険はないことになりますから、好都合ですよ。こっちは気をつけておきますから、ジュナイルさんが花が咲くのを見終わった後、決着つけましょう。

■ナムール To:ルリィ
しかるべきところに戻すつもりだけど。
もっとも、その前に邪魔する相手を排除しなきゃならないかもしれないけどね。

■エメラルド To:ナムール&ジュナイル
しかるべきところ……ですか?
私達もこの花がどんな物であるかは存じています。
もしも貴方がこの華の正当な持ち主からの依頼により取り返しに来たのでありそれを証明する事が出来るなら……私達は争う気はないかもしれません。

相手が正当な持ち主の使いであるなら返還に問題はありませんよね?
もし、その場合は返さないとこちらが困ったことになりますし……ね、ジュナイルさん。

■ジュナイル To:エメラルド
そ、そりは……

 その時、黒耀逢香の蕾がゆっくりと開き始めた。
 一点のにごりも無い純白の花びらが開くにしたがい、周りにえもいわれぬ甘い香りが広がる。
■フィアルラ
あ、咲いた……? あれ、でも白いお花……ですよね?

■クロス To:…
(いい匂いだなぁ…)

■ジュナイル
白いままじゃにいか!
黒い花は!

■ルリィ
あらあら…あまりに観衆が多いので、お花さんももったいぶっているのでしょうか?
白いままでも綺麗ですけれど、黒衣を纏った姿(?)も拝見したかったですわねぇ。

 ルリィは、漂ってくる花の香に、緊迫感は何処かへ置き忘れた模様。
■エメラルド To:ナムール
(この匂いはなんでしょう……)
……この事態はどういう事かおわかりになります?
それと聞き遅れましたが……この屋敷に侵入している人数は貴方のお友達ですか?

 エメラルドは、何となく嫌な予感がして匂いを嗅がない様に距離を取る。
 ……ちっ!(?)
■ナムール To:エメラルド
いいえ。
ということは、あなたのお仲間でもないの?

■エメラルド To:
(……それじゃ一体あの方々は誰の――)

 ちょっと怪訝そうな表情でナムールの言葉に頷こうとしたとき。
■ジュナイル To:おおる
ええい、もういい!
この花は私のもにだ!
花は黒くならなくても、大金のなる木を返す馬鹿がいるか!
お前たち、こいつらを殺すにだ!

 そのジュナイルの声を合図に、裏口に潜んでいた一団が飛び出してきた。
 ちょうどそこにクロスが仕掛けて鳴子に引っかかり、けたたましい音を立てながら……。
■フィアルラ
うきゃ〜〜〜っ!
そんなのってないですぅ〜。……あわわ。

 せっかく隠れていたのに、思わず叫んでしまい、慌てて両手で口を塞ぐ。
■ジュナイル To:武装集団
こいつらを殺すのだ!
報酬は思いのま……ま……。

 しかし、そう言いかけたジュナイルの声が、突然に虚ろになった。
 そのまま、ふらふらと黒耀逢香のほうへ近づいて行く。
■エメラルド To:ジュナイル
??

■ジュナイル
この花は、私のもにだ……。

 どうやら、花の香りに惹かれているらしい。
 そして、黒耀逢香から数本の蔓が伸びると、ジュナイルを絡めとりその花の部分へと運んだ。
 そして……
■ジュナイル
……ぎゃぁぁぁぁぁぁ!
腕が! 私の腕がぁ!

 見る見るうちに、黒耀逢香の花びらが黒く……いや、おそらくは真紅に染まっていく。
■ナムール
あららら、大変なことになっちゃったわね。

■エメラルド To:
(……黒い花が咲くって言うのはこういう意味だったんですね……
この光景を見たのがエメラルドじゃなくて私で良かった……)

■ルリィ
………あら(^-^;
黒衣ばーじょんも拝見したかったとは申しましたけど、このようなカタチは望んでおりませんでしたわ(汗)

 ジュナイルの惨状を見て、フィアが物陰から姿を見せた。
 そして、そのまま武装集団に向かって話しかける。
■フィアルラ To:武装集団
う、わ〜ぁ……。
あの、みなさんジュナイルさんに雇われた方……ですか?
私たちも実はそーなんですけど……ジュナイルさんも大変な事になってますし、ここは同じ人に雇われた者同士ってコトで、一旦休戦にしませんか?
誰が考えても、今は喧嘩してる場合じゃないと思うんですケド。

 多勢に無勢。フィアルラ一人でどうなるものでもない。
 武装集団に対する警戒は解かないが、とにかく荒事を避けようと説得を試みる。

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