ジュナイル邸 食堂 |
黒耀逢香の情報を求めて日参するクロス。
一週間ほどしてそれらしい情報が入ったらしく、クロスは奥のミスティの部屋へと招かれた。
■クロス To:ミスティ |
どんな事が分かりましたか? |
いきなり、単刀直入に尋ねる。
■ミスティ To:クロス |
黒耀逢香だったね。 えらくガードが固くって、結構手間どったよ。 確かに、麻薬の原料になるみたいだね。 で、具体的にはどんな事が聞きたいンだい? 分かっている事ならば、情報を売ってあげられるよ。 |
■クロス To:ミスティ |
いまのところ、麻薬の効能とかにはあまり興味はないんですけどね… それじゃ…う〜ん…ガードは姐さんが思ったより固かったわけですよね? まず、ガードが固かった理由を教えてもらえませんか? |
クロスはカウンターに100ガメル積んだ。
■ミスティ To:クロス |
別に、国をあげて麻薬の利益を独占、とか言うわけじゃないみたいだね。 まず第一に、こいつは非常に珍しい花らしいね。あたしたちが聞いたことも無いのも当然。ラムリアース国内だって、知ってる人間の方が少ないんじゃないかな。 しかも、どうやら原生しているもの以外は今のところ存在が確認されてないときてる。 |
■クロス To:ミスティ |
ははぁ…珍しいとは聞いてましたけど、かなりものすごい希少種だったんですね。 でも原料がそんなに珍しくちゃ、市場に流れるほどの量の麻薬なんか作りようがないですよねぇ… |
■ミスティ To:クロス |
だから、麻薬の精製自体、ラムリアース国内では非常に厳しく取り締まられてるのさ。 そうじゃなかったら、あっという間にこんな花はこの世から無くなっちまうだろうよ。 そういう理由で、国外に情報が伝わることは皆無なんだよ。 |
■クロス To:ミスティ |
なるほど、理由は麻薬取締りに加えて希少種の保護ってわけですか…。 で、単純にそれだけなんですか? 何か人的な動きがあって、それで情報が故意に伏せられたり、捻じ曲げられたりしていたって事はなかったんですね? |
■ミスティ To:クロス |
なかなか世の中が分かってきたみたいだね。 あたしが見たところはそういうのは無いみたいだよ。 |
■クロス To:ミスティ |
そ、それはどうも…。 そうですか。わかりました。 それじゃあ、またお世話になります。ありがとうございました!(^^) |
クロスは急いでジュナイル邸へと引き返した。
賢者の学院 スガル導師の部屋 |
クロス同様に、賢者の学院へ日参するパオル。
こちらの目的は、植物学の権威(?)であるスガル導師。
どうやら、こちらもお目当ての相手がつかまったらしい。
■エイシャ To:パオル |
なんだか、お待たせしちゃってすみませんね。 ようやく時間が取れたみたいです。 部屋までご案内しましょうか。 |
エイシャの案内で、スガル導師の部屋へ向かった。
ノックに応え扉を開けたスガルは、この世界では珍しい眼鏡を掛けた白髪の老人であった。
机に向かってなにやら書き物をしていたらしく、手には羽ペンを持ったままだった。
■スガル To:おおる |
おお、お前たちか。 エイシャから話は聞いた。 黒耀逢香の話を聞きたいって? |
■レンシオ To:スガル |
あ、はい。 よろしくお願いします。 |
■パオル To:ALL |
ども、はじめましてパオルです。 じゃあ遠慮無くお邪魔しますね。 あ、ちなみに茶菓子は持参してますんで、お構いなく〜。(^^ |
■スガル To:レンシオ |
で、何が知りたいのかな? 私が知る範囲で、答えよう。 |
■レンシオ To:スガル |
そうですね、とりあえず………
です。よろしくお願いします。 |
■スガル To:レンシオ |
……いきなり物騒な質問だな。 しかも、いくつかの質問は聞く相手を間違えている気がしないでもないが。 そもそも、何故君たちはあの花のことを調べているのかね? いや、それ以前に 、どこであの花のことを知ったのかな? |
■パオル To:スガル |
………それはひ・み・つ☆(うふ |
とか言いながら、クッキーをぼりぼりと頬張る。
■スガル To:パオル |
ふむ。 それでは教えることは出来ないな。 |
スガルは、二人に帰るよう手で促すと、再び机に戻った。
■パオル To:スガル |
うわーん!冗談ですってば〜。(><; えーとですね。 最近、麻薬絡みでゴタゴタがありまして、その関係で『黒曜逢花』と言う植物の存在を知ったんですよ。 それで色々と調べまわってる所と♪えへへ(^^ |
事が事だけに、依頼の事を迂闊に話せず、適当にごまかして答える。
■スガル To:パオル |
……ここ、オランでか? |
案の定、非常に胡散臭い目でパオルを見る。
■パオル To:スガル |
ま、まぁ・・・。オランからそう遠くないような気がする場所って事で。(^-^;; |
■スガル To:おおる |
まあ、そっちの大きいのはうちの人間のようだし、二人ともそれほど悪事を働きそうな顔にも見えないし、いいだろう。 黒耀逢香は、非常に珍しい花だ。 ラムリアースでしか採れないということもあるが、それ以上にラムリアースでも自生しているもの以外は存在しないため、希少性が高いのだ。 |
■スガル To:おおる |
そういうわけで、黒耀逢香を麻薬にするなんてすぐに足が付いて割に合わないし 、流通に耐えるほどの量を作ることはまず不可能だ。 そうだな……まず不可能だろうが、もし仮に栽培にでも成功すれば話は別だろうがね 。 |
■パオル To:スガル |
え〜と、もしもの話ですけど〜。 栽培ってすっご〜〜〜〜〜〜〜く、難しい事なんですか?
あと従来の麻薬に比べて効果はどうなんでしょ? |
■スガル To:パオル |
これまで、成功例が一つもないのだよ。 私も、自分で試してみたいんだけど、何せラムリアースから持ち出しが出来ないからな。 それと、麻薬の効果か。 そっちは専門じゃないので良くは知らないが、結構強力らしい。 とはいっても、宝石のように有るだけで価値があるものならともかく、消耗品だからな。ある程度数が作れないと、商売にならないだろう。そういう意味で、いくらすごいものでも手間の割には見返りは少ないだろう。 取れた実を一年間乾燥させてから処理したりとか、製造も手間みたいだしな。 |
■パオル To:スガル |
ふーん。苦労の割には、お金にならないと…。 ちなみに観賞用の「花」としては、その価値の程は?(どきどき |
■スガル To:パオル |
非常に珍しい花だからな。まぁ、計り知れないだろう。 かくいう私も、見た事が無いから、見られるものならば、相当な金を積んでもかまわないと思っている。 実際に花を見たことのある人間が、どれほど居るのか……。 既に実となっているものの話なら時々聞くのだが、噂の黒い花は、実際に見たものが皆無という点では、まるで伝説上の話といっても過言ではないかもしれないな。 |
■パオル To:スガル |
じゃあ、何かの拍子で手に入ったら、こっちで処分してもらえるんですか?責任持って。 |
■スガル To:パオル |
? 花を処分するのか? 何故処分しなければしけないんだ? それに、責任とは? 何の責任があるのかな? もし仮に黒耀逢香を手に入れたというのならば、もちろん引き取ることに異存は無いが。 |
■パオル To:スガル |
そそ、それです。 危ない代物だけに、その扱いに困るでしょ。 もしもの時に、勝手に焼くなり、捨てるなり、埋めてもいいのか分かんないから、 引き取り手になってもらえるなら助かります。(^-^ |
■スガル To:パオル |
そういうことならかまわないぞ。 もっとも、そういう事態になれば、ラムリアースへ返還する事が一番だろうがね 。 |
■パオル To:スガル |
はい、その時は頼みますね。 面倒な手続きは苦手なもんで…。では失礼しました〜。(^^; |
これで、最悪の場合に黒耀逢香を処分する当てがみつかった。
パオルは、レンシオと共に帰路についた。