SW-PBM #87
覗き魔にご用心!?

どうして今さら……ですか?

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酒場・金の鐘亭
6人はミストに連れられ、小さな酒場へと入った。
場所は高級住宅街を挟み、丁度銀の網亭と反対方向になる。
冒険者専門の酒場という訳ではないらしく、普通の格好をした人間もちらほらと見かける。
扉を押し開けると、店内から歌声が響いてきた。
■ミスト To:ALL
……仕事中みたいだな。終わるまでちょっと待っていよう。
適当に注文していて良いぞ。払いは俺が持つ。

■アルテナ To:ミスト
ふむ、なかなか感じのいい店だな。

■パオル To:ミスト、ウェイター
あ、そうですか?それじゃあ、遠慮無く・・・・。

すみませーん!
こっちに飲み物と食べ物を適当に10人前分お願いしますね!!


■ミスト
…………(^^;)

大テーブルに腰を落ち着けると、ミストは歌声の主、カウンターでリュートを爪弾いている男性に目を向ける。
向こうも気付いたのか、演奏を終えると立ちあがってこちらに歩いて来た。
■男 To:ALL
初めまして。カミールです。

年の頃は20の半ばくらいであろうか。
だが、そうとは思わせないほど細く繊細な声だ。歌を唄っている時の声とまったくトーンが変わらない。
ミストの隣に腰を下ろすのを見計らって、ミストが声を発した。
■ミスト To:ALL
さて、いろいろ聞きたい事もあるだろうからな。
まずはそっちに質問に答えよう。

■レンシオ To:ミスト
質問したいことは山ほどある。
まず、ここ最近の覗き魔騒動、及びにこそ泥ってのはあなた方のことですかな?
もしそうなら、そっちの人も我々の依頼主に直接会いに来れば話も済んでいたんじゃないかな?

■ミスト To:レンシオ
覗き魔、こそ泥ってのは俺のことじゃない。ジールとリディオの仕業だな。
ま、その騒ぎに紛れて俺も用事を済ませようとしていた訳なんだが。
今回に限っては俺が侵入するのに気を引いてもらうため、ちょっと手伝ってもらった事になる。

■ランバート To:ALL
ふーむ、<近所ぅ>の騒ぎに<便乗>しただけなのですね。

■レンシオ To:ミスト
ん?最初から結託してたわけじゃなかったのか?
その用事とは我々をこちらに会わせるだけなのか?

■ミスト To:レンシオ
話の通じない奴だったら直接お嬢さんを攫う、とか考えてたんだけどね。
そこまでしなくて済みそうだったから。

■アルシオン To:ミスト
なるほど、あのときの手紙はそういうわけだったのですか。

■ミスト To:アルシオン
そういう事。
でも良かったよ、その前に草むしりしてるあんたを見ててさ。
屋敷の者だって知らずにいたらあの官憲と一緒にぶん殴ってたかもな。

■カミール To:レンシオ
僕が直接サナリアさんに会いに行けなかったのは、バーモントさんの目があったからなんです。
何年か前に屋敷に呼ばれて演奏を披露させてもらったんですが、サナリアさんに出会ったのはその時が初めてでした。
それ以来、サナリアさんとは懇意にしていたんですがバーモントさんはそれが心配だったようでして。
直接バーモントさんからもう会わないでくれ、と言い渡されてしまって。
立場もあるし、サナリアさんの事も考えてその時は引き下がったんですが、どうしても忘れられなくて。
情けない話ですけれど、こうして舞い戻ってきてしまったんです。

■ランバート To:カミール
まさに情けない話ですねぇ。

■アルテナ
……………。

■レンシオ To:カミール
ほほぅ、なるほど。
で、そちらとしてはどうしたいのかな。

■カミール To:レンシオ
一緒に来て欲しい、というのが本心ですが……何よりもサナリアさんの気持ちを優先したいと思っています。
彼女が今どういう立場に置かれているのかは大体は聞いていますから。
それでも僕と一緒に来てくれる、というのであれば、あなたたちには彼女が屋敷を出る手伝いをして貰えたら、と。

■ミスト To:レンシオ
どっちに付くかはあんたら次第だ。別に強制はしない。
良く考えてくれ。

■レンシオ TO:ミスト
………ふ〜ん。

いいつつ、相手の実力がいかほどの物かちらちら見ながら推し量る。
■レンシオ TO:ミスト、カミール
とりあえず。報酬と条件を提示してくれ。

■ミスト To:レンシオ
カミールが出せる額としては3000くらいだ。
あとはどうしても、というなら俺が補填してもいい。
下手をすれば向こうの依頼をキャンセルする事になるだろうから、その違約金の肩代わり、とかな。

■カミール To:レンシオ
婚礼が迫っている事もありますし、出来ればその日までにはサナリアさんに答えを出して頂きたいと。
あとは、決して強制はしないで欲しい、という事です。彼女の気持ちを最優先してあげてください。
その結果僕の願いが叶えられなかったとしても、それは仕方のないことです。

■ランバート To:カミール
今までの話を総合すると、カミールさんは彼女の今の気持ちは全然確認されていないんですか?

■アルテナ To:カミール
サナリアを連れてどこへいく気なんだ?
幸せにできるのだろうな?

■カミール To:アルテナ
あくまで付いて来てくれたら、ですけど……。
ベルダインに帰って一緒に暮らそうと思っています。

■アルテナ To:カミール
ベルダイン…

■ルーシア To:カミール
…サナリアさんはホントは待ってたんじゃないかな。あなたのこと。
でも、こそこそ攫いに来るのはどうかと思うわ。
お父さんを説得しようとは考えなかったの?

■カミール To:ルーシア
以前バーモントさん宛てに手紙を書いたんですが、会ってくれるどころか返事すら貰えなかったもので……。

■ルーシア To:カミール
ふーん。それで諦めちゃったんだ。

■アルシオン To:カミール、ミスト
私が以前聞いた物語に、婚礼の儀に突然現れて、花嫁をさらっていく、なんてものがありましたが、物語だからいいものの、実際にやったら大変なことになりますね(笑)

■レンシオ To:カミール、ミスト
下手をしなくてもそちらに協力すれば、依頼懈怠で放棄した物と見なされてもおかしくは無いんだがな。
まぁ、サナリア嬢に聞くだけなら聞いても良いが。
手伝うかどうかはばあいによりけり、かな。
で、用件は以上かな?

■ミスト To:レンシオ
取りあえず、はな。
無理を言って付いて来てもらって済まなかった。次に会うときが敵同士になっていないことを祈るよ。

締め切りも近いことだしね(笑)
■レンシオ To:ミスト
それはお互い様だね。
では、失礼するよ。

■パオル To:ミスト
うーん、一度ちゃんと当人同士で話し合って欲しいんですけどね・・・。
ま、ともかく次に来る時は、堂々と正面から来てくださいね♪

■アルシオン
二人でするはずの結婚も、実は二人それぞれが背負っている様々な柵が、なんでも思う通りにはさせてくれないものです。
先ほどの話ではありませんが、やはり二人の覚悟が必要でしょうね。

■カミール To:アルシオン
はい。こんな僕ですが、その覚悟だけは出来ています。
もしサナリアさんが付いて来てくれるというのなら、僕の全てを賭けて彼女を守ります。

■ルーシア To:カミール
期待しないでね。
あんたを取るか、家族を取るかなんて選択、優しいサナリアさんには辛すぎるわよ。

■アルテナ To:カミール
本気なら自分も来ることだな。
少なくとも今の貴様には感じるところはなにも無い。

席を立つ。
ミストとカミールがその背中を見送っていた。

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GM:真琴