SW-PBM #87 覗き魔にご用心!? 追いかけたのは何処ですか? |
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住宅街 |
アルシオンはウィスノーを探して街中に出ることにした。
通りを歩く人を捕まえては話を聞いてみるが、あちこちで喚き声を撒き散らしながら越権行為スレスレの聞き込みをしているらしい。
なんとも分かりやすい目印を残しているものである。
■アルシオン |
また随分派手に。 これじゃ予防にはなっても、犯人を捕まえるのは難しくなりますね。 |
思わずそんな呟きがもれる。
とりあえず、困った顔や怒った顔の街の人に話を訊きつつ、ウィスノーの後を追うことにした。
■アルシオン To:街人 |
すみません、ウィスノーさんがどちらに行ったかご存知ですか? |
■男 To:アルシオン |
え、ウィスノー? ……って、あの官憲の兄ちゃんの事? そいつだったら、彼女にぎゃーぎゃー怒鳴りつけた後、あっちの方に行っちまったよ。 あんた、知り合いなら言っといてくれよ。 官憲が一般市民を脅かしていいのかってな。 |
恋人同士らしい、男の影に隠れて女性が泣きそうな顔になっている。
男性の方も口調こそ冷静だが、その顔に渋面を浮かべている。
結局、最終的な情報のまとめによるとウィスノーは住宅街の外れまで足を延ばしているらしい。
要するに、それだけ広範囲の住民に迷惑を掛けているという訳だ(笑)
■アルシオン |
捜査のためなら市民の感情は二の次三の次ですか。 リコールされないことを祈るばかりです。 |
半ばやる気を削がれながらも、住宅街の外れまで向かうことにした。
勿論、目的が捜索から、これ以上の被害の抑制に変わってしまってはいるが(笑)
ウィスノーが掛けていった迷惑の後始末(代わりに頭を下げる事)をしながら、ようやくアルシオンは街外れへと辿り着いた。
そこで、ウィスノーがきょろきょろと何かを捜し求めているのを目の当たりにする。
近くを通る通行人を捕まえては、相変わらず喚き散らしているようだ。
■アルシオン To:ウィスノー |
こんにちは。 今日はまた一段と、熱のこもった捜査をしておられるようで。 街でも噂になるくらいでしたよ。(良くない噂だけど) |
■ウィスノー To:アルシオン |
む? ……なんだ、お前か。えーと、確か……タオルだったか? |
間違えてる……そしてさらに名前が違う(笑)
■アルシオン To:ウィスノー |
……アルシオンです。 ところで、先程から何を探しているのですか? 突然いなくなったと、サナリアさんも気に掛けていらっしゃいましたよ。 |
■ウィスノー To:アルシオン |
お前に話す必要は無いっ。 どうせボクの手柄を横取りしようってつもりなんだろう。そうはさせんぞ。 ボクの見つけた手がかりだ、事件はボクが解決する。 |
道を外れて、草むらの中へと入っていく。
その途中で。
■ウィスノー To:アルシオン |
付いてくるなよっ。 |
それだけ言い残して、ウィスノーの姿は木々の間に消えていった。
■アルシオン |
童心に返って、ダルマサンガコロンダもいいですね。 |
ウィスノーとの距離をはかりながら、古代語の詠唱に入る。
『カメレオン』の魔法により姿を消したアルシオンが追跡を開始する。
ウィスノーは後ろを気にするでもなく、ずんずんと進んでいく。
そのうちになだらかな下り坂になってきたかと思うと、その奥に何年も雨ざらしにされていたような廃屋があった。
構わずウィスノーはその中に入っていく。
■アルシオン |
いかにも、という感じですね。 入ってみますか。 |
アルシオンが後を追って廃屋に近づくと、中から言い争うような声がしたかと思うと、その後に
■ウィスノー |
ぐぎゃっ! |
ウィスノーの情けない悲鳴が聞こえてきた。
■アルシオン |
いきなり動きがあったようですね。 |
とりあえず中の様子を窺ってみる。
■男の声 |
ったく、なんでこんな奴が来るんだ? 俺は確かにお嬢ちゃんに渡したハズ……だよなぁ。 ……するってーと、コイツが勝手に持ち出して嗅ぎ付けたのか。マズったなぁ、アジトを変えなきゃやばいかな? |
中からそんな声が聞こえてきたかと思うと、廃屋を出てくる気配がした。
ゆっくりと、音を立てないようにしながら物陰へと移動し、男の顔を確認する。そして廃屋の中の様子を覗おうと試みた。
廃屋から出てきたのは長身、細身の男。取りあえずどう見てもウィスノーではない。
服装は黒で統一されており、一目で盗賊か、それに準じた稼業に身を置く人物の雰囲気を感じる。
口元を服と同じ黒の布で覆い隠しているので良く分からないが、アルシオンの知る顔ではない。
男は辺りを見まわすが、アルシオンには気付かなかったようだ。そのままアルシオンが来た道の方へと駆け去っていった。
男が居なくなった後、アルシオンが廃屋に足を踏み入れると。
家具の類は何も置かれていないその空間の中心で、ウィスノーがだらしない顔で倒れていた。
■アルシオン To:ウィスノー |
ウィスノーさん、大丈夫ですか? |
とりあえず外傷を確かめてから助け起こしてみる。
目に見える傷のようなものはないが、頭を押さえて唸っていた。
■ウィスノー |
う、う、う……。くそぉ、よくもボクを殴ったなぁっ! パパに言いつけてやるっ!! |
イイ年こいた、しかも官憲の言うセリフではない。
■ウィスノー To:アルシオン |
む……なんだ、お前。 ハルシオンだったな、何でここに……あっ。 そうか、さては貴様もグルなんだなっ! |
また名前違うし(笑)
興奮しているせいもあってか、ウィスノーはアルシオンを先程の男の仲間と決めてかかる。
今にも掴み掛からんという勢いだ。
■アルシオン To:ウィスノー |
そんな、人を薬みたいな名前で呼ばないでください。 もしやつらの仲間だったら、縛りもせずに起こしたりしませんよ。 |
■ウィスノー To:アルシオン |
た〜い〜ほ〜だぁ〜っ!! |
■アルシオン To:ウィスノー |
落ち着いてください。 彼等に聞えてしまってもいいのですか? |
ぴた、とお得意の喚き声が止まる。
■ウィスノー To:アルシオン |
む……そ、そうだな。戻ってきてまた殴られるのも嫌だしな。 それで? あいつの仲間じゃないというなら、お前は何でここに居る? |
■アルシオン To:ウィスノー |
カードが導いたのですよ。 ウィスノーさんが危機に陥っていると。 だから助けにきたというわけです。 |
微笑みさえ浮かべて、そんなことを口走ってみる。
うんうん、占い師は口も達者じゃないとね(ぉ)
■アルシオン To:ウィスノー |
ところで彼等は何者ですか それと彼等が言っていた『お嬢ちゃん』と『持ち出したもの』についても是非聞きたいですね。 一人だと難しいことってありますよね。 功を焦ったり宝を独り占めしようとして独りで行動し、結果破滅した……なんて話は、掃いて捨てるほどありますね。 |
しみじみと、自分で言ったことに自分で納得してみせる。
■ウィスノー |
し、しかし……いや、でも……やっぱり……ううむ……。 |
悩んでいる。
■ウィスノー |
うーん……うーん……うーん……ううっ、ううむ……。 |
まだ悩んでいる。
■ウィスノー To:アルシオン |
う……分かった。 ただし、今から話す事は他言無用だぞ。 |
■アルシオン To:ウィスノー |
ウィスノーさんの名誉は守りますよ。 |
■ウィスノー To:アルシオン |
うむ。 さっき屋敷で、サナリアさんが留守の間に部屋を検めさせてもらってな。 そうしたら、こんな物が出てきた。 |
部屋の主のいない間に勝手に……それは犯罪ではないのか(^^;)
ウィスノーは懐から何か手紙のような物を取り出す。
■ウィスノー To:アルシオン |
読んでみろ。 |
そこには、サナリア宛てでこの廃屋にて待つ、といった内容が書かれていた。
差出人の名前はない。
■ウィスノー To:アルシオン |
これは何かある、と思って独自の調査でここまで来たのだ。 残念な事にこの通り取り逃がしてしまったがな。 |
■アルシオン To:ウィスノー |
義憤に駆られたりするお気持ちは察しますが、ご自分の身まで危険にさらしては問題でしょう。 相手の規模などもわからずに一人で向かうなどというような無茶をするのではなく、多少は私達に相談してくれてもいいではありませんか。 経緯はともあれ、貴方がこれを見つけたということは、それだけで十分な功です。 ただ、彼はもうここへは来ないでしょう。 彼の素性等については調べなくてはならないと思います。 折角私達がいるのですから、私達にも手伝わせてください。 今度会うときは取り逃がさないように、万全を期すためにも。 |
ウィスノーの自尊心を傷つけないよう言葉を選び、且つ真剣な眼差しで訴えかける。
■ウィスノー To:アルシオン |
うむむむむ……まぁ、そうだな。 貴様らが勝手に捜査する分にはさすがのボクにもそれを止める権利はない。 そして、しかるのちボクにその情報と手柄を譲り渡すというのであれば、咎めだてする理由もないな。 |
勝手な理屈をつけて、1人ウンウンと頷く。
■ウィスノー To:アルシオン |
それでは、ボクは改めて別の調査を始める。 貴様らもせいぜいボクのために頑張るんだな。 |
■アルシオン To:ウィスノー |
ええっ!? まさかウィスノーさん、正義の代弁者である官憲の貴方が、正義を為すことよりも手柄を自分のものにすることの方が大事だ、なんて思っていませんよね? 世の噂では、利権を利用して横暴な振る舞いをする不埒な輩もいるという話ですが、正義を愛するウィスノーさんともあろうお方が、そんなことは致しませんですよね」 |
大袈裟に驚いて見せ、更にたたみかけてみる。
■ウィスノー To:アルシオン |
ふん、分かっていないな。 いいか、正義を行使すれば手柄や名誉というものはそれに付随してくるものなのだ。 そして、その権利を貰い受けるに足るかという問題もある。 例え正義を行使しようと、それを認められぬ存在であるならば手柄とは名ばかりのものに過ぎなくなる。 ならば、ボクが正義を行使し、尚且つ手柄を得た方が世のためにも有用だろう? ……さあ、もうお前と話す事は無い。行け。ボクも捜査を続けねばならんからな。 |
なんつー勝手な解釈(^^;)
これがウィスノーの真骨頂?
■アルシオン To:ウィスノー |
とにかくお互い頑張りましょう。 サナリアお嬢様には、私からウィスノーさんの無事を伝えておきますね。 それではごきげんよう。 |
アルシオンもウィスノーに別れを告げ、屋敷へと戻ることにした。
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