銀の網亭、個室。
一体それが何部屋あるのか、その謎を解き明かしたものは未だいない。
その一部屋に、今日新たに組みあがったばかりのパーティーの一つが隔離……もとい、集合した。
無論、テーブルなどでは吐き出しきれなかったエネルギーを発散させるためである。
とどのつまりが、冒険前の前祝い―――宴会ということだ。

ちらりとおやじの見たその視線の先には、食欲魔人ことパオル。
おやじもそれを見越して多めの料理を運んできたが、それでも間に合うかどうか……。

目の前の料理の山にしかめっつら。

おやじさんも年だから、腰に続いて『目まで』悪くなったとか（笑）

指折りで数え始める。

アルテナ、その辺にしておけ。
君にはおやじから立ち上る不穏なオーラが感じられるはずだ。

テーブルを左手でバンバン叩きながら、おやじにさらに追加注文をする。
ちなみに利き手の右は既に料理を鷲づかみにし、大食い主の口元へと運ぼうとしていた。

大口を叩きながら、そこへ料理を次々とほうり込むパオル。

と大皿に盛られた蒸し鳥肉をアルテナに勧める。
既に半分近く無くなっているが（笑）

見慣れてるその光景とはいえ、毎度の依頼料が家計に消えてゆくレンシオは苦笑い。

つまりパオル一人で10人前ということだったらしい。
これに追加ってことは？　……え？

……全部で20人前になったらしい。

そう言って席に座ると一緒になって食べ始めた。
食べられる時に食べる。冒険者としては、良い資質である。

あいかわらずウケない洒落を言いながら、料理に手を伸ばす。

割り勘で通す気だったらしい……。
てゆーか、いつもは割り勘だったのカイ？　ＧＭは知らなかったよ……。

ちょっと遠い目。大丈夫、どつき漫才になれば君のほうが上だ（ぉ）

真面目に勘違いしているようだ。責任はパオルにある。

うぉい。
おまいが言ったんだぞ？　『幸せの青い鳥を探そう』って。
ちゃんと証拠物件に 仲間募集の張り紙 だってあるぞ？

ＧＭもそう思う。

取りあえず憶えている限りの依頼を教えてくれるおやじ。

おやじはポケットから丸められた羊皮紙を取り出す。

言って、テーブルの上にその依頼が書かれた羊皮紙を広げる。
そこには、覗き魔を捕らえて欲しいといった内容のものがあった。

いまひとつどころか、いま『とお』位ではないのか？

そう言い終えるが前に、部屋を飛び出して行く。
その手にはしっかりと鳥が握られていた。

パオルの食べた皿の量を見てため息をつく。
アルテナ、こんなモンじゃない。パオルの本領はまだまだ、これからだ。

その頃のパオル。
トイレでこっそり『インスピレーション』をかけている。

……無事魔法は発動したようだ。
しかし、よくこんな所で集中が出来たなーと思う（笑）