エストン山脈(居残り組) |
さて、居残り組が相談をしているころである。
バーンの耳が背後の茂みでうごめく音を捕らえた。
その音はごくかすかなもので、細心の注意を払わないとすぐにでも逃してしまいそうな音である。
少し離れた茂みの間を縫いつつ、徐々に徐々に3人が相談をしてる場所へと近づいてきている。
■バーン To:ソフィティア、メルディス |
(小声で焦燥感を滲ませながら) …2人とも自然な状態で話を聞いてくれ。 何かが俺の背後に潜んでいる。取り敢えず様子をみるから適当な話を続けてくれ。 |
バーンの要請に応じて、ソフィティアとメルディスがたわいのない話をくっちゃべってると、物音はさらに一行の元へと近づき………そして、ちょうど背後の茂みで止まった。
■バーン To:ソフィティア、メルディス |
(落ち着いた風体を装い、会話中に下位古代語と西方語を織り交ぜながら、各々に同じ事を伝える) …次に動いた瞬間に飛び掛ります。フォローをお願いします。 |
■ソフィティア To:バーン |
(西方語)わかったわ |
■メルディス To:バーン |
(下位古代語)了解しました |
ソフィティアは傍らに置いてあった武器をそっとたぐりよせた。
次の瞬間、茂みの中から大きな音と共にそれは現れた。
と、同時にバーンとソフィティアはそれに飛びかかり、反応する隙も与えず、一撃を見舞った。
■ジェリー |
いってぇ………ひ、ひでぇっすよ。 |
■バーン To:ジェリー |
おっと!? |
どうやら先ほどまで背後でうごめいていた音の主はジェリーだったようである(笑)
■メルディス To:ジェリー |
ジェリー? |
■ソフィティア To:ジェリー |
「ひでぇっすよ」って、ジェリーは調達組みでしょう。こんなところで何してるのよ。しかも、でっかい音まで立てて。 |
ソフィティアもすでに呆れてる様子である。
■バーン To:ジェリー |
まったくだ。あやうく依頼人を殺すところだったよ、 |
■ジェリー TO:ソフィティア |
あえ?………あ〜、いや、ほらほら。 この通り。 (と、腰にぶら下げていた小動物の死体を出す) 俺のはもう見つかったんっすよ。 |
■メルディス To:ジェリー |
クロス達といっしょに行動していたのではなかったのですか? それにしても、一言ぐらい声をかければこんなことにはならなかったのに。 |
■ジェリー To:メルディス |
え゛〜〜〜〜。 最初は一緒だったんすけどねぇ、こいつ(小動物の死体)を追ってたらはぐれてここまで来ちゃったんすよ〜。 まぁ、昼飯は確保できたと言うことで(^^; |
そんな話をしていたところ、飯調達組が戻ってきた。
小腹を満たせる程度の食材は見つかったようである。
■クロス To:all、ジェリー |
もどったよー。 …って、ジェリー! やっぱり先に戻ってたんだ。 |
同じように先ほどまで手に持っていた小動物を再びぶら下げながら答えた。
■ジェリー To:クロス |
この通り、先に獲物を捕らえたんで戻ってきたんすよ。 |
■バーン To:ジェリー |
………。 |
バーンは無言でジェリーを見つめたが、ジェリーは乾いた笑いを浮かべつつ受け流した。
■アップル To:ジェリー&おーる |
そっか、じゃぁさっそく、なにかつくろうね♪ |
■ソフィティア To:アップル |
保存食も食べ飽きてきたことだし、おいしいもの作ろうね。 |
■バーン To:アップルリーフ、ALL |
(アップルの言葉にひとつ息を吐いて) …お願いします。さあ、飯にしましょう。 |
というわけで、何となくぎくしゃくしながらも一同少しだけ豪華になった食事を取ったのであった。
エストン山脈(崖) |
それからは、一行が恐れてたジェリーが仕掛けているかもしれない罠は特になく、それ以降ジェリーに怪しい行動も見られないまま、数日が過ぎた。保存食もかなり消費し、ジェリーの背負い袋もジェリーの頭と同じ高さくらいにまで減ってきている。
その一行の正面数百メートルのところに高くそびえ立つ崖があった。高低差は100mを越え、大部分が垂直もしくはオーバーハングであり、ところどころに岩棚が点在している。
運悪く足を途中で滑らそうものならあの世へ一直線と言ったところか。
■ジェリー To:ALL |
あれがそうっすよ。グリフィンが住んでるって崖。 どこら辺に住んでるかはしらねぇっすけどね………。 |
■クロス To:ジェリー |
そうなんだ… |
■アップル |
たっか〜い・・・・・・・ |
見上げながら呟くアップルの口は、半開きである。
■ソフィティア To:ALL |
こんな高い壁、行き当たりばったりで登ってもしょうがないし、とりあえず偵察かな? スチアなら上の方みてこれるし、登るのは明日の朝からでどうかな? |
■メルディス To:ソフィティア |
確かに、こいつならこの崖も苦じゃないですけどね。 |
■ソフィティア |
けど……、本当にこんなの登れるのかしら。 |
壁を前にしてかなりゲンナリきている。
■ジェリー To:ソフィティア |
いんや〜。 別にのぼらんでも一日かけて迂回すれば崖の上にでられるっすよ。 |
■バーン To:ジェリー、ALL |
…迂回か。 食料の心配は出るかもしれないけど安全策を選んだほうが無難かな。 みんなはどう思う? |
■ジェリー To:バーン |
いんや〜、食料はあらかじめ多めに買ってあるっすよね? 食料のことはあんまり問題ないとおもうっすよ。 上から巣に近づくか下から巣に近づくかの問題じゃないっすかね。 あたしゃ、下ろうと登ろうとどっちでも問題なくできるんでどっちでもいいんすけどね。 |
■ソフィティア To:ALL |
登るのはちょっと辛いんじゃないかな。上から降りてきた方が良いんじゃない? |
■クロス To:ソフィティア |
うん、でも巣が崖のどの辺にあるかにもよるかな… |
■アップル To:ALL |
食料にはすこし余裕があるよね・・ だったら、まずはスチアに偵察してもらった方がいいんじゃないかなぁ・・ それに、これもあるしね^^ |
懐から手鏡を取り出して、空にかざしながら、みあげてなんか見たりする。
■ソフィティア |
誘き寄せっていうか……直接光を当てれば目潰しになっちゃうんじゃないかな。 |
手鏡を翳しているアップルリーフを眺めて独り言。
■バーン To:ソフィティア、メルディス |
それは名案だね。試してみる価値はありそうだ。 それとスチアの偵察だけど… |
■メルディス To:ALL |
偵察はかまいませんよ。 ただ、登っていくよりは降りてくる方が楽でしょうね。 降りる場所さえ決まってるのならフォーリングコントロールが使えますから。 ま、どっちにしても、崖を登攀してる最中に襲われるのだけは避けたいです。 |
■クロス To:メルディス |
ちがいないね。 |
■ジェリー To:アップル |
グリフィンって光に誘われるんすかねぇ………。 それより、そんな目立つオウムなんか飛ばせたらあっという間にグリフィンの餌になるんじゃないっすかね。 |
■アップル To:ジェリー |
う〜 スチアが餌になっちゃうのはやだ・・。。 |
■メルディス To:アップル |
俺もそれは困りますね。 何せ一心同体ですから、スチアが食われれば俺もただじゃすみません(笑) |
■ソフィティア To:バーン |
どうする? |
■バーン To:ソフィティア、ALL |
ここで無理をしてもしょうがない。 飛び道具の準備をしたまま迂回路を進もう。 スチアに無理もさせられないしね。 |
■クロス To:バーン |
まあ、バーンがそういうなら。 |
■アップル To:バーン、おーる |
そうよね、わたしなんかじゃ、この崖は登れないし・・ 途中でもおびき寄せることができれば、少しは楽なのよね・・ ごめんね、ちょっとまってね |
といって、アップルはベージュのマントを外して、たたんでから背負い袋にしまった。 金属鎧を露出させることで、きらびやか度(笑)をアップさせた・・つもりらしい^^;
■アップル To:おーる |
おまたせ、私の準備はおっけーだよ♪ (すこし上をみあげて) グリフィン、いるのかなぁ・・・ |
■クロス To:アップル |
いてもらわなきゃ困るけど…出来れば、お手柔らかにたのみたいもんだねぇ…(苦笑) |
■アフル To:クロス |
まっ、グリフォンがどっかに出かけてて、お宝いっぱいの巣だけがあるってのが一番良いんだけどね(^^;; |
■ソフィティア To:クロス |
襲ってくるときは腹空かせてるかもよ〜。 |
■ジェリー To:ALL |
まぁ、登るにしても下るにしても、とりあえず巣を見つけてからってことで………。 |
そうして崖に目を凝らし、怪しそうな場所を探し続けることしばらく………崖の中腹辺りにある岩棚になにやら大型の動物の巣が見つかった。グリフィンについて知っているクロスは、それがグリフィンの巣であると分かった。
さらに、クロスはその巣より左上に目測30mほど離れた場所に別の巣を見つけた。
どうやらこちらの方が新しいものと思われた。
■クロス To:ALL |
グリフィンのだよ。間違いない。あ、見て、あそこ。あの巣のもうちょっと左上の方…… |
■メルディス To:クロス、ALL |
ん?さすがに目がいいですね。 俺にはどっちも見つけられなかったですが・・・。 もう片方の巣に住んでいるのは、もしかしてグリフォンよりも強い生物かも知れませんね。 グリフォンと共存していたりしたら、それはそれで困りますが。 |
■アフル To:クロス&ALL |
うーん、上のほうの巣もグリフィンの巣なのかなぁ? グリフィン夫婦の別居状態とか(笑) |
■ジェリー To:ALL |
んじゃ、グリフィンの巣が見つかったってことで上までいくっすか。 こっちっすよ。 |
一行は再びジェリーを先頭に、迂回して崖の上にでることにした。
迂回路を探すため、崖に沿って延々と歩き続けた。日も沈みかけて辺りが暗くなり始めたころに、ようやく崖のがとぎれ、オーバーハングが垂直になり、垂直が急勾配の斜面へと変化する。そこで一旦野営をする。
翌朝、急勾配の坂を転がり落ちないように、斜面に生えた木々に掴まってはゆっくりゆっくり登っていくこと数時間。ようやく一行は崖の上にでた。改めて一行は昨日とは反対方向に向かい、夕方の少し前に目的の真上に到着したのであった。
■ジェリー To:ALL |
結構時間かかったっすねぇ‥‥‥んじゃ、どうします?。 |
■バーン To:ALL |
メルディスさんの精神力にも限界があるだろうから、最初はロープを使って降りよう。万が一気付かれたら魔法をかけてもらい一気に下へ行こう。 その後は第一に陽動、その上で宝物の奪取。最悪の場合戦闘という手順で動こう。 |
■メルディス To:バーン |
そうですね。 確かに戦闘になる恐れを考えれば、余計な消耗は避けたいです。 |
■アフル To:バーン&ALL |
うん、でも、どっちの巣を先に調べる? |
■ソフィティア To:ALL |
上の方が先でいいんじゃない?上から降りるんだし。それより鎧脱いでおいた方がやっぱり良いよね? |
■アップル To:ソフィ&おーる |
おちちゃえば、それまで・・・・っていう気もするけどね^^; あとね、私たちが降りている間に気付かれたときの保険で、ひとり、崖の上にいたほうがいいような気もするの・・ 万一、急に引っ張りあげることになった場合のことも考えて、なんだけどね。 わたしだったら、弓をもってるから、上から狙うこともできるけど・・ みんなで、降りてったほうがいいのかなぁ。。? |
■バーン To:アップルリーフ、ALL |
保険としてアップルの案は押さえておきたいですね。 戦闘の可能性がある以上、俺は降りていくつもりだけど… |
■クロス To:バーン、ALL |
時間が無くて急いで持てるだけのお宝を持ち出すようなことになれば、価値のありそうな物を目利きしなきゃだね。 だとしたら僕は行っといた方がいいかな。 |
■バーン To:クロス、ALL |
うん。後はどういう手順ではじめるか、だけど… |
そんなこんなで昼飯を頬張りながら相談をしてるときのことであった。
メルディスとジェリーを除く全員が遙か彼方から、こちらに向かって飛んでくるものに気づいた。
それは最初は空に浮かんでいる小さな点のように見えたが、徐々に徐々に大きくなっていき、鳥のように思われた。
しかし、さらに近づいてくると、それは鳥などと言う生やさしいものではなかった。
鷲の頭部に獅子の胴体をもつ幻獣グリフィン、それが狩りから戻ってきたようである。一行が眺めるている中、小動物の死体をくわえていたグリフィンは、先ほど一行が見つけた巣に舞い戻っていった。
■アップル To:おーる |
ねぇ・・・・・あれ・・・・・ |
アップルは、グリフォンが戻っていった巣を指さしながら、どこか他人事のような口調で呟いた。
■アフル To:アップル |
うん…、みたいだね(^^;; |
■メルディス To:ALL |
これは、おびき出す方法を探した方がいいかもしれませんね。 降りてる最中に見つかったらひとたまりもないですよ。 |
■バーン To:メルディス、ALL |
ですね。間近で見ると、すごい迫力だ… 食事に集中している間にこっそり近寄るか、逆に刺激しないように食事が終わるのを待って陽動するか… |
■ソフィティア To:ALL |
両方の巣にグリフィンがいるかわからないし、一日ぐらい様子を見たほうが良くないかしら。 片方が空巣ならそれに越したことは無いし、グリフィンにも生活サイクルみたいなものがあるだろうから、様子をみて、機会を見計らって忍び込めば「戦わないでお宝がっぽがっぽ」だって可能だとおもうのよ。 二つの巣とも現役の巣なら……あんな化け物、二匹もあんな場所で相手したくないしね。 食料のほうはまだ余裕あったわよね。 |
■アップル To:ソフィ |
そうね・・個人差もあるとは思うけど・・ 帰りの分を考えても、4〜5日くらいはなんとかなるはずよ。たぶん。 |
と、上からグリフィンの巣を見下ろしてると、再びグリフィンが巣を飛び立っていった。
一行の存在には気づいていないらしく、そのまま遙か彼方に飛び去っていった。
どうやら複数いるらしく、戻ってきた個体と飛び去った個体では若干体色が違っていた。そのまま見下ろしていると、昨日崖の下から見つかった巣とは別にまた一つ巣が見つかった。
かなり古くあちこち傷んでる模様である。昨夜見つけた新しい巣とほど近い位置にあるようだ。
■ジェリー To:ALL |
二匹いるっすねぇ………。 |
予想の範囲内ではあったのだろうが、やはりイヤな状況であったらしくそれ以上の言葉はジェリーからは出てこなかった。
■クロス To:ジェリー |
そうみたいだねぇ… |
クロスも同様に渋い表情。
■ソフィティア |
もしかして、あのグリフィンって番で、さらに子供がいたりなんかしないでしょうね……。 |
■ジェリー To:ソフィティア |
さぁ………どうなんしょうねぇ……… グリフィンに繁殖期とかあるんすかねぇ………。子供がいたらよけい大変かもしれやせんねぇ |
■クロス To:ジェリー、ALL |
大変ていうか…子供を守ろうとして更に輪をかけて凶暴になったりするんじゃ… |
■メルディス To:クロス |
子連れの獣は危険ですからね。 それに・・そういう親を傷つけるのは忍びないです。 |
■バーン To:ALL |
うん…まあ母親と対峙するのは勘弁して欲しいな。男親よりねばりが有りそうだし… それよりさっきのソフィーの話だけど、二匹いるのなら時間をかけて観察しても、いたずらに好機を浪費する事にもなるんじゃないかな? 俺は一匹になった時点で陽動をはじめてみるべきだと思う。 問題はどちらを標的にするかだけど… |
バーンはしばし瞑目するとゆっくりと口を開いた。
■バーン To:ALL |
古い方には長年蓄積された財宝がある可能性がある。 新しい方には元気なグリフォンが周辺の光物を集めて蓄えようとしているかもしれない。 陽動にかかりそうなのは新しい方だけど… |
■ジェリー To:バーン |
まぁ………、ここでずっと待って手も意味ねぇんで行くなら行くでぼちぼち準備でもしておくっすかねぇ。 |
言いつつ、ジェリーは背負っていた袋に頭を突っ込み、中をごそごそ探し始めた。