ブラードを出発してから早２日。一行は長い階段の前へとたどり着いた。
　今まではまぁ平坦な街道であったのだが、ここからが正念場。
　重い荷物を運んできたロバ達は、すでに嫌そうな顔をしているようにも思える。

　そんな中。パトラとは違いあまり冒険者達と話す事のなかったドナンは‥‥頻繁にロバ達に声をかけるようになっている。
　しかも、冒険者達と対峙する時とは違い、ロバには普通に話しているようだ。
　そんなドナンについてパトラは

　‥‥‥
　「お茶目」その一言で、あのポージングを片づけて良いのだろうか‥‥‥少し悩めるところではある。

　ふと。遠い目しながらつぶやくアシスト。

　あまりの素薔薇しさに涙するもの一人(言いすぎ)。

　作詞・作曲：アルティア
　心なしか‥‥ロバの歩みが速まったかもしれない(笑)。
　って、名前フォアとグラですか‥‥

　階段が途切れた先に、確かに道が二手に分かれているのが見える。
　その分れ目には看板‥‥いや、標識が見える。

　分岐点へと歩みを進める冒険者一行。片方には『イストンへ』の標識があるが、もう方方の細い道の方には何も標識が記されてない。
　とりあえず細い道の方の後を調べてみれば、なんとか荷台を進ませる事ができる道幅・状態は確保しているようだ。
　そんなに頻繁に使われている様子はないが、カクジツにこの道は使われているようである。

　その横で、こっそり標識について何も悪戯がされていないかとクレフとアルティアが見たりしていたのだが‥‥特に手を加えられた様子はない。

　誰も異論がないようなので、その細い道を行く一行。
　ある程度歩きやすいように整備されている街道にくらべ、確かにロバ達の負担は増えるが‥‥だまってドナンが後から荷台を押し、少しはサポートをしているようである。

　いや、道はちゃんとあるって。
　って、やっぱり最後は食っちゃうぞ、かい。

　細い道にうつってから２日程。まだ、先は見えない。

　と、アルティアはまだまだ余裕の様子‥‥
　はたして３番は日の目を見る事ができるのか？

　そろそろ不安になってきた４日目。森の木々に阻まれてはいるが、かすかに道の先の先の方に大きな建物が見える。

　と。一番ばてているであろう人物が皆にはっぱをかける。

　確かに。これでこの道が間違っていたら、だいぶ時間のロスであっただろう。

　どうやら、「早く行きたい」と言っているらしぃ。

　一行は、その歩みを。ほんの少しだけ早めた。