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Sword World PBM #64
モノクロームの吐息




銀の網亭・個室

 銀の網亭には、酒場の喧噪を避けて、もしくは喧噪そのものを隔離するように、冒険者達の打ち合わせのために用意された個室がある。
 そんな個室の一つで、ついさっき結成されたばかりの6人組が集まって騒いでいた。
■ルキシュ
 ボク蒸留酒!(強くないが飲むのは好き)
 一度飲んで見たかったんだ。
 わくわく☆
 パーティーの発端はギャスパーだから、キミ音頭とる?

 ルキシュに言われて、ギャスパーはハープを弾きながらちょっと首をアンリの方に傾けてから、ルキシュにウインクしてみせた。
 アンリは唄の合間に、ルキシュに向かって「てへっ」という顔をする。
■コリューン To:ALL
 乾杯かぁ・・・お酒って苦手なんだよね〜★
 ジュースなかったっけ?

■ラス To:コリューン
 ふうん?飲めそうな感じがするけどな。
 ほれ、これならいいか?

 と、ラスは、緑色・ドロドロの液体の入ったグラスを差し出す。

 ルキシュの方は、ギャスパーの視線に笑ってうなずき、アンリにも笑ってみせる。
 そして、ラスがコリューンに手渡そうとしているグラスを見て固まった。
■ルキシュ To:ラス
 な、なにそれ?

■ラス To:ルキシュ
 ああ、これか?
 セロリと、ほうれん草と、ピーマンと、オクラと、モロヘイヤと(以下、延々と)

 ……をミックスした野菜ジュースだよ。
 唐辛子のピリ辛さがアクセントだな。
 うまいぜ、ルゥもどうだ?

 と、ラスは平然と一口。
■ギャスパー
 エルフってのは、あんなもんを飲んでいるのか…(汗

 ギャスパーは、ラスのグラスを見て、思わずハープの演奏を止めてヘルムンスの反応を伺う。
■ヘルムンス To:ギャスパー
 ん?どうかしましたか?

 そう答える彼の手には、淡いピンク色の液体の入ったグラスがあった。

 ルキシュはというと、ラスを見て顔をしかめている。
■ルキシュ To:コリューン
 ボクいらない・・・・。ギャスパー、ボクたちそんなの飲まないからね!
 ・・・・コ、コリューン、飲むの?

■コリューン To:ルキシュ&ラス
 私だって嫌だよぅ〜★ 「野菜はエルフの味」って言うし〜。
 ンス〜味のジュースなんてイヤにゃ〜=^T_T^=

 その様子を見物していたギャスパーは、平然としているヘルムンスやコリューンの言葉を聞いて、ラスが飲んでいるのがエルフの飲み物だと納得したらしく、謎の液体の入ったグラスに手を伸ばした。。
■ギャスパー To:ラス
 珍しい飲み物だな。俺にも一口飲ませてくれ。
 …(ゴクッゴクッ)…
 塩と胡椒が足りないな。これじゃあ薬草食ってるのと大差ねーぞ。

■ラス To:ギャスパー、ALL
 そうか?
 ……
 ん、なるほど、そうかもな。参考にさせてもらうぜ。

 見た目は悪ィけど、けっこうイケるんだぜ。
 親父や兄貴なんかも、涙目で『うまい』って言ってくれてたしな。

■ヘルムンス
 ・・・・。
 しかし、なんで1部の人間ってのはああいう変なものを食べたり飲んだりしたがるんでしょうね・・・。

 関わり合いになりたくないのか、少し離れてワインを飲みながらつぶやくヘルムンス………
■ルキシュ To:ALL
 み、みんな変だよぉ(T-T)
 チャ・ザ様、ボクはどうしたらいいんでしょうか・・・・?
 えい!・・・・う、うーん・・・・

 思い切っていきなり飲み、そしてぶっ倒れる。
■アンリ   To:ラス&ギャスパー
 オレもオレも!!
 オレも飲んでみたい!!

 アンリは、ギャスパーからグラスを奪い取って一口。
 そして、あまりにあんまりな味に複雑かつ微妙な顔つきになる。
■ラス To:ルキシュ
 おいおい……大丈夫か?
 あんまり旨いからって、そんな派手に感動されても困るなぁ。

 ラスは悪戯っぽく、にやっと笑ってみせた。
■ルキシュ
 うきゅ〜〜〜

 その横でルキシュは目を回して倒れている。
■ギャスパー To:ルキシュ
 そんなに不味いなら、一気飲みなんかするなよな。(笑)
 ほれ、口の中をさっぱりさせな。

 そばにあったルキシュのグラスを手渡す。
 が。
■ルキシュ
 あ、ありがとう・・・・あきゅ〜〜〜〜(撃沈)

 どうやら強い酒だったらしい。
 なにやら、幸運神のご加護が………とか呟いている。
■アンリ To:ルキシュ
 本当に口の中も頭の中もさっぱりしたみたいだね♪
 オレにもちょうだい!!

 ルキシュのグラスを奪い取ってぐいっと一気。全部飲んでしまって上機嫌になるアンリ。
■ギャスパー To:ルキシュ
 おい、どうした! …ん、そういや、蒸留酒を頼んでたっけ。(笑)
 ほれ、ルゥ。今度はちゃんとした水だから全部飲め。

 アンリの方は… 大丈夫そうだな。

 (心の声)
 どうせなら、もっとぐらまらすなねーちゃんが…。(T_T)

 心の中でぼやきながら、ギャスパーは倒れたルキシュをてきぱきと介抱し始めた。

 ルキシュは水を受け取ってごくごくと飲む。そしてゆらると立ち上がる。
 ………が、どうも目つきが危ない。
■ルキシュ To:ギャスパー
 ちょっとぉ、これお酒じゃないじゃないのぉ。
 お酒頂戴よ、お酒。
 おねーさぁん、こっちじゃんじゃん持って来てねぇ。
 ほら、あんたたちも飲みなさいよぉ。

 グラス抱えてくすくす笑っている。
■ラス
 ………こそこそこそ…

 ラスは野菜スティックと野菜ジュースを持って、部屋の隅に避難している………
■アンリ To:ルキシュ
 ルキシュのおごりなら遠慮なく飲むよ♪

 アンリは何か企んでいるような笑みを浮かべながら、ルキシュに近づいた。
■ルキシュ To:アンリ&コリューン&ラス
 なぁに言ってるのよ。酒代は男のおごりって決まってるじゃない。ねぇ、コリューン?
 ちょっとラァス! 何そんな隅にいるのよ。
 こっち来てお酌してよ。手酌じゃ美味しく飲め無いじゃない。

 ルキシュは、焦点の定まらない瞳でくすくす笑っている。
■コリューン To:ルキシュ
 誰の奢りでも、私は構わないにゃ☆

 ルキシュの変化はあまり気にならないらしく、コリューンはマイペースに盛り合わせてあった果物を口いっぱいに頬張った。
■ラス To:ルキシュ
 『やぁ、お姉さん、なんのことかな?
 僕は通りすがりの妖精なのサ♪』

 鼻をつまんで声色を作りながら、部屋の外に出ようとしているラス。
■アンリ To:ラス
 ほら、妖精なら耳が尖ってないと!!
 これをあげるから今日から妖精になろう!!

 つけ耳(エルフ型)をラスに向かって差し出すアンリ(どこに持ってたんだ)
■ラス To:アンリ
 おお、悪ィな。ごそごそ…

 装着。
■ラス To:アンリ
 う〜ん、ダメだなこりゃ。グラスランナーサイズだぞ。

 まァいいや、もらっとくよ。
 これで俺も心は妖精、だ。

■アンリ To:ラス
 むむ!?
 そうか、人間はオレ達よりも耳がでかいのか。
 メモメモ・・・っと。

 などと言いながら、そこらへんに落ちていた紙に書くフリをする。
■ギャスパー To:ラス
 ラス、女で苦労するのも修行のうちだぞ。ほれ、ルゥ!

 ギャスパーは笑みを浮かべると、ルキシュをラスの方に押し出す。

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ゆな<juna@juna.net>