SW-PBM Scenario #61B 目次

地上へ


バル・ファリス村

 祭壇からの帰りは、重い荷物(ダークエルフの死体)もあるので、来た近道ではなく通常の道を戻ることになった。行きの 3 倍はかかっただろうか。
 鍾乳洞を抜けて地上へ出ると、すでに夜も更けていた。
■アスタルテ
ふえ〜〜〜なあんか、緊張感が無くなったせいか、超疲れたってかんじぃ。

 村はやはり焼け落ちたままだったが、無人ではなかった。村のあちこちに松明が掲げられ、数人の若者達が亡くなった村人の埋葬を始めている。
 その中にはカレブの姿も見られた。一同を見つけて駆け寄ってくる。
■カレブ To: ALL
無事だったか!……よかった。本当に良かった。

 とりあえずは何よりも無事を喜ぶ。
■アスタルテ To:カレブ
うわあ。おっちゃんただいま♪

■カナル To:カレブ
色々ありましたがね。

■ソフィティア To:カレブ
なんとか、みんな無事よ。

■アトール To:カレブ
おせーよ。寝てたんじゃないのか?(^^;

■カレブ To: ALL
すまん。俺達は夕方近くにようやく着いた。貴族に相談に行った先で、若い者が先発隊として名乗り出てくれてな。君らの名前を出したら、知っている人間がいたようだ。

 村人を運び出している男達には、シャレゼール家の紋を着けている者もいる。キルティング青年も、遠くから笑顔を見せて挨拶している。
■カナル
キルティングも元気そうだな。
あの馬鹿兄貴も、それなりに頑張ってるようじゃないか。

■アフル To: カナル
(キルティングに手を振りながら)
うん、こんなに早く動いてくれるとは思わなかったよ。
ローンドファルさんが動いてくれたのかな?

■ヴィクトール To:アフル&カナル
きるてぃんぐ?ろーんどふぁるさん??

 リッキーと一緒に誰だっけ?とゆーやや疑問符付きの表情をしている。
■カナル To:ヴィクター
ああ、昔の知り合いだよ。
シャレーゼルっていう貴族の家の騎士さ。
気の良いおっさんだから、知り合いになっとくと便利だぞ。

■ヴィクトール To:カナル
へぇ〜、そうなんだ。
貴族のヒトかぁ、何か会うの楽しみだな〜。オレ、そーゆーヒトの知り合いっていないし。

■カレブ To: ALL
神殿の入り口の手紙は読んだ。何人か鍾乳洞へ入ったんだが……会わなかったか?

■ヴィクトール To:カレブ
あ、オレの書いた手紙、ちゃんと役に立ったんだ。

■ソフィティア To:カレブ
途中ではダークエルフとしか会わなかったわよ。何処かで迷ってるのかしら?

■カレブ To: ALL
まぁ、そのうち戻るだろう。
で、ダークエルフはどうなった?

■アスタルテ To:カレブ
もちろん圧勝よ! (^-^)vブィ!

■アトール To:カレブ
途中で戦闘になって大変だったよ。

■カナル To:カレブ
全滅……させたはずですよ。
村の者も、鍾乳洞の中に数人は生き残っていました。

そうそう、お聞きしたいことがありました。
今回の仕事、結局誰かスポンサーはつきました?
それとも、結局ただ働きですか?


■カレブ To: カナル
大した事をしてきたってのに、まずはその話か。まぁ、あんたららしいな。

 安心したらしい。カレブの口元が思わずほころぶ。
■ソフィティア To:カレブ
その調子だとスポンサーがついたみたいね。

 こころなし顔がほころぶ。やっぱり報酬はほしいもんね。
■カレブ To: カナル、ALL
シャレゼール家がスポンサーに付いた。アフルとカナルという名前を出したら、ローンドファル殿が『これは覚悟しておかねば』と笑っておいでだったが……
リーダーのお嬢さんの言ったとおり、6000 ガメルとは言っておいたが、どうなるかな。

■カナル To:カレブ
人をなんだと思ってるんだ、あのおっさんは……。
まあ、事前交渉のない結果のみでは、あまり期待は出来ないでしょうがね。
喉元過ぎればって言うのは、高いところに座ってる人間ほどその傾向が強いですからね。

■カレブ To: カナル
現場の苦労を知らないって事は確かだな。
すまんが、後は直接交渉してくれ。

■カレブ To: カナル、ALL
さて、これから夜通し遺体の確認と埋葬をして……
実質動き出せるのは明るくなってからだな。今夜はゆっくり休んで疲れを取ってくれ。あっちにテントを用意してあるからな。

■ヴィクトール To:カレブ
ありがとー。
あ、埋葬するんならちょっと休んでからオレも手伝うよ。

■カレブ To: ヴィクトール
そうか?あまり無理するなよ。今まで丸一日休みなしでさぞ疲れてるだろうに。
儀式は朝日が昇ってからになる。特に神官にはそのとき働いてもらうことになるからな。

■ヴィクトール To:カレブ
うん、でもこれくらい平気だよ。
オランに帰ってから幾らでも休めるもん。

■カレブ To: ヴィクトール
わかった。実を言うと助かる。嬉しい仕事ではないからな。
では、動けるようになったら出てきてくれ。

 村の男達とカレブ達は早速作業に取り掛かった。冒険者とケニはテントで休めるようだ。戦闘の疲れもあるだろう。
■ヴィクトール To:ケニ他
遅くなっちゃったけど、お父さん達と無事に会えてよかったね。
最初、この村に着いたときはもう手遅れかと思って怖かったけど、ケニや村長さん達は何とか助けることが出来たから、きっと来た甲斐はあったよね。
ファリス様の剣の事はオレ達がちゃんと責任もって賢者の学院に頼んでおくからさ、安心していいよ。

■カナル To:ケニ
乗りかかった船だしな。
剣に選ばれた人間がこう言ってるんだ。
安心しろよ。

■ケニ To: カナルさん
剣に選ばれた……。そうですね、きっとそうです。
きっと、そのファリス様の剣が、将来の争いを止める者としてヴィクターさんをお選びになったんです。そう思います。

■ヴィクトール To:カナル&ケニ
選ばれたなんて、オレそんな凄いヒトじゃないよ〜。
まだまだこれからだもんね。

 大仰な呼び方をされてちょっと恥ずかしいヴィクターだった。
 ケニは改めて表情を引き締めて、一同に向き直る。
■ケニ To: ヴィクターさん、ALL
ありがとうございました。皆さんが来てくれてほんとによかった。わたし、皆さんのこと絶対に忘れません。色々あって今は少し混乱してますけど、皆さんに教えてもらったこと、これからゆっくり考えます。

■ヴィクトール To:ケニ
うん、そうだね。
オレ達もケニや村のみんなの事きっと忘れないよ。

■ケニ To: ヴィクターさん
はいっ!

 ケニは、嬉しそうに微笑んだ。
 鎮魂の儀式は明朝、日の出と同時に行われた。
 家屋の残骸を片付けた跡地に、真新しい土饅頭がいくつも並んでいる。
 しかし。早朝の清々しい光を浴びて、冒険者達の唱える鎮魂の言霊は、冷たい風と共に昨日は戦場だった村を洗っていく。
 明けない夜はないのだ。



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