SW-PBM Scenario #61B 目次

お願い


神殿前

 煤を落としてだいぶマシになったソフィティア、村内の調査に行っていたアトール、神殿の後始末をしていたアフルも出てきて、全員が神殿の前に揃った。
■ケニ To: ALL
えっと、まず皆さんが知りたいことをお話したほうがいいのかな。何でも聞いてください。知ってることなら全部お話します。

 ケニはすっかり落ち着きを取り戻したように見える。
■ソフィティア To:ケニ
お父さん達が出ていってすぐ襲われたって言ってたわよね?お父さん達はどこに行ったの?

■ケニ To: ALL
お父さん達は、狩りに行きました。罠の様子を見に行ったんです。いつもはお昼には帰ってくるんですけど、村のようすを見てそのまま鍾乳洞に行ったんだと思います。村がもうだめなのを悟って。大事なものがその奥にあるんです。

■カナル
(まあ、賢明と言えば賢明な判断だな。
 しかし、神を信仰してるって言うのなら、もう少し家族を大事にするものかと思ったが……。
 いや、鍾乳洞にある物が、信仰に大切な物だというのなら、この方が自然なのか?)

■ソフィティア To:ケニ
すると、ダークエルフが襲ってくるのは、前々からわかってたのかしら?

■ケニ To: ソフィーさん
いいえ。でも、普段から心構えはしておけって。

■アスタルテ
ふ〜ん、ということは、ファリスのというかこの村の信仰の為に大事なものというだけじゃなくって、他人にも価値があるものがその鍾乳洞にあるってこと?
何があるんだろう?

■カナル To:ケニ
それなりに、備えはしていたって事か。
で、鍾乳洞に向かった親父さん達は、いつ頃戻って来るんだい?

■ケニ To: ALL
わかりません。帰ってこないっていうことは……ダークエルフと闘ってるんだと思います。

■ソフィティア To:ケニ
もしかして、いつもダークエルフと闘ったりしてるわけ?(^^;

■ケニ To: ソフィーさん
そんなことないです。実際にイノシシ以外に襲われたのは初めてです。

■ソフィティア To:ケニ
それで、ケニちゃんが見たのはダークエルフだけだったのかな?ダークエルフ以外にも人間とかいた?

■ケニ To: ソフィーさん
わたしは見ませんでした。全部おんなじ言葉で話してたし、全部ダークエルフだったんだと思います。

■アフル To:ケニ
ダークエルフ達ってこれからどうするかとか話してた?

■ケニ To: ALL
はい。何か話してたんですけど、わたしには何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。でも、絶対良くないことに決まってます!

■カナル To:おおる
エルフ語なんか喋られてたら、普通はわからないだろうな。

 ケニが理解できるのは東方語と共通語だけのようだ。
■ソフィティア To:ケニ
私たちは昨日この村のことを聞かされて来たんだけど、いつ頃から閉じ込められてたの?

■ケニ To: ALL
ごめんなさい、わかりません……外は見えないし、長かったような、短かったような……

■ソフィティア To:ケニ
あと、ダークエルフがこの村を襲う理由ってあるの?

■ケニ To: ALL
あります。それで、皆さんにお願いがあるんです。

 ケニはちょっと言葉を止めて、全員の顔を見渡す。
■ケニ To: ALL
一緒に、鍾乳洞に行ってくれませんか?わたし、どうしても鍾乳洞の奥に行かなくちゃいけないんです。お願いします!(ぺこり)

 深く頭を下げている。
■カナル To:ケニ、おおる
どうしても、と言われてもな……。
俺達は、あくまでもこの村の様子を確認しに来ただけだし。
それとも、何か面白いものでも見られるのかな?

■ケニ To: カナルさん
おもしろいもの、ですか?えっと、すみません。そういうものは多分無いです……

どうも、ケニは「面白いもの」からキラキラ光る虫とか動く水晶とかそういう珍品を想像したらしい。
■アフル To:ケニ
どうして鍾乳洞に行かないと行けないのか教えてくれないかな?
その大事なものってのをダークエルフ達が狙ってて、それをケニちゃんのお父さん達が守ってるって事?

■アスタルテ To:ケニ
そう、それ! ボクもそれを聞きたい!!

■ケニ To: アフルさん
はい、そうです。お父さん達は、それを守るために戦っているんだと思います。だから、わたしも早くそこへ行かないといけないんです。
でも、一人では行けないんです……

 これまで、質問に明快に答えていたケニがちょっと言いよどんだ。
■ソフィティア To:ケニ
その鍾乳洞っていうのはここから近いのかしら?

■ケニ To: ソフィーさん
はい!入り口は近いです。でも中はややこしくて、村の人間じゃなければ絶対迷います。だから、きっとダークエルフも迷ってるはずです。
一緒に行ってくれるんですか?

 ケニは期待で頬が紅潮し、瞳がキラキラしている。
■アスタルテ To:ケニ
あったりまえじゃない、そのために来たんだから。

 後ろで頭抱えてる人の苦労なんてまったく知らず、アスタルテはケニの目の前でこぶしを握って見せた。
■カナル To:おおる
ただ働きのうえに、さらに厄介事まで背負い込むのか……。
乗りかかった船なら、最後までつき合えって言うのか?
まあ、様子を見てこいって言われて、「見てきました」だけじゃ芸がなさすぎるな。
ダークエルフが狙ってるって言う物、折角だから眺めに行ってくるか。

■アフル To:カナル
まあ、そのダークエルフ達の戦力ぐらいは確かめておかないと、偵察の意味が無いよね(^^;;

■ヴィクトール To:カナル&アフル&ALL
うん、それにオレこのまま放っておくことなんてできないもん。
帰る前にまだやれることがあるんなら、何か手助けが出来るなら、それをちゃんとやって行こうよ。ね。

 ケニは、うれしさのあまり目に涙を一杯ためている。
■アフル To:ケニ
そう言えば、ダークエルフ達って何人ぐらいいたかわかる?

■ケニ To:アフルさん
はっきり見えたのは、5 人位でした。でも、きっとそれよりたくさんいたと思います。

 足跡を調べたアトールが発言する。
■アトール To:おおる
ざっと痕跡を見た限りじゃ、10人は下らないと思う。

■カナル
(少しばかり多いな……)

■ソフィティア To: アトール
あんなのが10人も……、現場の状況にもよるけど、まともに相手をしたら全滅しかねないわね(^^;

 前回ダークエルフに痛い目に遭っているソフィティアはちょっと苦笑い。
■アフル To:ケニ
ケニちゃんのお父さん達ってどのくらい戦いの心得があるの?

■ケニ To:アフルさん
心得、ですか?うーんと……
あ、みんな弓は上手ですよ。普段から狩りをしてるもの。時々スリングとかジャベリンも使うけど、他の武器はあんまり使わないです。

■アフル To:ケニ
なるほど…。
神聖魔法を使える人とかはいないの?

■ケニ To:アフルさん
村では、司祭様だけがファリス様のお力をお借りすることができます……いえ、できたんです、ですね。
わたしも、見習いとして司祭様にお仕えしていたんですが、まだあまり奇跡の力は上手に使えません。ごめんなさい。でも!わたし、がんばります。

■カナル To:ケニ
まぁ、道案内以外は期待していないさ。
頑張って、自分の身を守ることに専念しててくれれば十分だ。

■ヴィクトール To:ケニ
そうそう、奇跡の力ならオレだって得意だし、みんな今やれることをやればそれで良いんだよ。

■ケニ To:ヴィクターさん
あっ、ヴィクターさんも司祭様なんですね!スゴイです。
わたし、みなさんの邪魔にならないように一生懸命がんばります!

■ヴィクトール To:
あはは、・・・やっぱりオレって司祭だと思われてなかったんだぁ。

やっぱり聖印つけてないせいかなぁとか思って、ごそごそポケットを探ってみたりする。
■ケニ To:ヴィクターさん
ご、ごめんなさい!わたしってば気がつかなくて……

 ケニはヴィクトールに癒してもらったのだが、気絶していて覚えていないのだ。
■アスタルテ To:ヴィクトール&ケニ
む!
ヴィクトールだけじゃなくてボクも司祭だよ!
(なぜか張り合うアスタであった)

■ヴィクトール To:アスタルテ&ケニ
うん、あとアトール兄ちゃんも奇跡の力が使えるんだよね。
だから奇跡の力には不自由しないよ、きっと。
呪いを解いたりとかはまだオレは出来ないけどね。

■アトール To:おおる
でも、これだけ揃っていながらファリスに仕えているのは誰もいないんだけどな(^^;;

■ケニ To:ALL
あ、カナルさんの言ってた司祭様ってアスタルテさんのことだったんですね。それにアトールさんも……!
ファリス様、力強き救い手をお遣わし下さり感謝します。

 仕える神の違う神官が 4 人。ケニはそれもファリス神の采配ということで納得したらしい。
■アトール To:ケニ
ところで、その鍾乳洞ってこの入り口の反対側から下って行く方にあるのか?

■ケニ To:アトールさん
あ、はい!そうです、そっち側です。よくご存知ですね。

 ケニ、自分が言う前からアトールにはわかっていたのかと、ちょっとびっくり&尊敬のまなざしである。
■ケニ To:アトールさん
そっち側を降りたところに、入り口が 2 つあるんです。

■アトール To:おおる
残っている痕跡を見ると、大勢の足跡が反対側から下っているのが解った。
素直に考えると、襲ったダークエルフが鍾乳洞に向かったんだろうな。

あと、遺体の中には拷問を受けた様な痕跡も見られた。
奴らがその鍾乳洞へ行く方法をつかんでいる可能性は高いと思う。


■ケニ To:みなさん
拷問!なんてひどいことを…… ファリス様、ご加護を。
鍾乳洞の中はとても入り組んでいるんです。入り口までは行けたとしても、きっと中で追い越せますよね。

■カナル To:おおる
そうだな、急ぐとするか。

■アトール To:ケニ
話がちょっとそれてしまったから元に戻すけど、いったいその鍾乳洞にある大切なモノって何なんだ?
ダークエルフが大挙して押し寄せ、村の人が家族の安否を差し置いても守りに向かうって事はよほどの物と思うが?
ケニは知ってるのか?

■アスタルテ To:ケニ
そうそれそれ。(実は忘れていた)

 先ほど言いよどんだ内容に質問が戻り、またちょっと考えるケニ。
■ケニ To: アトールさん
はい、知っています。
バル・ファリス村に生きる者はそれを守るために生を受けているんです。だから、わたしも早く行かなくてはならないんです。

■ヴィクトール To:ALL
・・・えーと、何かオレ凄く大切な物なんだなって事くらいしか良く分かんなかったんだけどぉ〜。
みんなは分かったのかな?

■アスタルテ To:ALL
むう、よくわからん・・・

 ケニは困った顔をしている。
■ソフィティア To:ケニ
まぁ、貰っていこうって訳でもないし教えてくれないかな?さすがに、「なにか大切そうな物」の為だけに私たちの命はかけられなわよ。

まぁ、半分行くのは決まったようなものだけど、最低限それぐらいは教えれくれてもいいんじゃないかな?


■ケニ To:ソフィーさん
それは……。
わたし達は『ファリス様』と呼んでいます。ファリス様が正義を守るために下さった宝物です。それ以上は……言えません。村の外の人に言ってはならないことになっているんです。

 ケニはとても苦しそうな顔をしている。明らかに言いたくないらしい。
■ソフィティア To:ケニ
それじゃぁ、ちょっと方向性を変えるわね。その『ファリス様』がなにかは具体的にわからなくて良いわ。で、それがダークエルフの手に渡るとどうなっちゃうの?


■ケニ To:ソフィーさん
……大変なことになります。
何より、ファリス様から授かった大切なものを、こんなことをする奴等に渡すことなんてできません!

 ケニは、泣きそうになって慌てて顔を伏せた。
■ケニ To:ALL
すみません、大きな声を出して……
『ファリス様』は……その、人に力を与えるものなんです。だから、外の人に教えてはいけないんです。皆さんを信用していないわけじゃないんです。でも、うわさはどこからでも伝わるものだから、誰にも言わないようにしなくちゃいけないって、司祭様と村長がそう言うんです。村の者は代々そうしてきたんだって……
わたしからはそれしか言えません。ごめんなさい。

■アフル To:ケニ
力を与えるもの?
それじゃあ、その力を使ってダークエルフを撃退するとかはできないの?

■ケニ To:アフルさん
できると思います。いえ、ファリス様のお力は偉大です。だから、必ず撃退できます。

■カナル To:おおる
(『ファリス様』の力の割には、使用者には制限がないのか?)
使わないにはそれなりの理由が有るんだろうさ。
どうやら、急がなければならないようだし、早速案内して貰おうか。

■アスタルテ To:ヴィクトール&ALL
そうだね、時間もないことだし。
ケニのお父さん達の事心配だからね。

(ヴィクターにコソコソと耳打ち)
でも、ファリスにはすごい物があるんだねえ。
ヴィクトールのところ(マーファ)にはケニが言ってるようなすごい物あるの?
うち(マイリー)では聞いた事ないけど。


■ヴィクトール To:アスタルテ
う〜ん、オレ神殿とかって苦手であんまり行ってないから知らないだけかもしれないけど、オレもそーゆーのは聞いたことないよ。
やっぱり何か特別なんじゃないかな?

■ソフィティア To:ケニ
まぁ、これ以上意地悪しても時間がもったいないし、そろそろ行きましょうか。

 なんだ、初めから行く気だったんじゃん(^^;
■ケニ To:ソフィーさん
えぇっ、意地悪だったんですか〜?

 ぷうっっとふくれるケニ。
■ソフィティア To:ALL
ところで、私たちが鍾乳洞に行くのは良いんだけど、その間にオランから援軍が来た場合「なにもなかった」で帰っちゃう気がするんだけどどうしよう?

■ケニ To:ソフィーさん
なにもなかった、ですか?(きょとん)

 周囲を見まわす。焼け跡に神殿の中には死体がたくさん。これで何も無いということはないだろう。
■カナル To:おおる
そうだな。
逆に、全滅したと思って帰ってしまう方が可能性高いんじゃないか?(苦笑)

■アフル To:カナル
それじゃあ、神殿のところに書き置きでも置いておく?

■ヴィクトール To:カナル&アフル
何か書き置きするの?それならオレやっておこうか?
紙とペンなら持ってきてるし。

■アスタルテ To:ALL
で、それをリッキーに持たせて留守番させとくってのは・・・

■ヴィクトール To:アスタルテ
え、リッキーに持たせとくの?・・・う〜ん、リッキーにかぁ。・・・大丈夫かな。

 心配げにちらっと見やるヴィクトールに対し、ニヤリと意味深に微笑むリッキーであった。
■カナル To:おおる
まぁ、それまでに俺達が戻ってこられないようなら、全て手遅れという気もするな。
残しても構わないと思うが、有効かどうかは疑問だぞ。

■アスタルテ To:リッキー&ALL
(意味深に微笑んでるりっキーをじぃーーーーーっと半眼で眺めながら・・・)・・・やめよう。そんなこと考えたボクはどうかしてなんだ。

 やれやれというように軽く頭を左右に振るアスタルテであった。
■アスタルテ To:ALL
現実問題、今の状況ならカナルが言うように、援軍が来るまでにボク達が解決出来てないようなら鍾乳洞に行った村の人たちは全滅してるかも知れないよ。
だからボク達だけの力でダークエルフをやっつけなくっちゃ。
それに、ボク達に依頼してきたあのおっちゃんが援軍の人たちと一緒にくるんなら、全滅したとしてもきっと探しに来てくれると思うよ。

■ソフィティア To:アスタルテ
違うの。予定ではまだ数日かかることになってるけど、予想以上に軍が早く動いてくれたら……って思っただけよ。鍾乳洞の中でどうなってるかわからないけど、少なくとも負けなければいいならそれだけ楽じゃない?なんだったら3〜4日粘って中と外から挟撃したっていいんだから。

■アフル To:ソフィティア
3〜4日も粘れればいいけどね(^^;;
ま、ここでこうして話しててもしょうがないし早くその鍾乳洞のほうに行こうよ。

■ソフィティア To:ALL
それじゃぁヴィクター、羊皮紙に私たちがダークエルフと村人が闘っていると思われる鍾乳洞へ行く事を書いて神殿のわかり易いところに張って来てくれる?

■ヴィクトール To:ソフィティア
はぁ〜い、任せといてー。

 ヴィクトールは、荷物から取り出した羊皮紙にとりあえず現状で分かっている状況説明とこれから鍾乳洞へ行くことをつらつらと日付と一緒に書き連ねて、神殿の入り口に張りつけた。
■ヴィクトール To:ALL
終わったよー、それじゃ急いで鍾乳洞に出発しよー。

 ケニを含めた 7 人は、焼け落ちた村を後に、ダークエルフの待つ鍾乳洞へ向かった。



連絡先:とよた
E-mail:toyota@t3.rim.or.jp