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序章「『幸せの木』」 |
「銀の網」亭 カウンター |
冒険者の店、「銀の網」亭が開店して間もなく、一人の青年が、扉を軋ませて店に入ってきた。ウェーブのかかった薄茶の髪の間からちょこんと出ている耳が、彼をハーフエルフだと教えてくれる。
■ クレフ To:おやじ |
(からんからん☆) ふぅ…銀の網か…なにもかも懐かしい(爆) …じゃないって。 なんだか今度の仕事のおかげで、感覚が狂っちゃってますねぇ(笑) あ、おやじさん、グレープフルーツのジュースを下さいな。 |
■ おやじ To:クレフ |
お帰り。 グレープフルーツだな。これでいいか? イルミナはまだ来ていないようだぞ。 |
青年は、店のおやじに礼を言うと、さっそく冷えたグレープフルーツジュースに向う。
それと同じ頃・・・。
「銀の網」亭 カウンター |
その少女は、カウンターに突っ伏していた。
黒髪を細いリボンで束ね傍らには、細身のスタッフが置かれている。
■ リュセラ To:おやじ |
おやじさん、水〜。(頂戴) あと、楽して儲かる仕事に、思わず惚れちゃう金持った男〜。(頂戴?) 全部無かったら、今日はもう帰る。 |
■ おかみ To:リュセラ |
はい、お水。 楽して儲かる仕事はともかく、男………ってジークは良いのかしら?(^^; まぁ、良い依頼もいい男も自然とやってくるものじゃなくて自分で探すものよ(笑 |
■ リュセラ To:おかみ |
ジークは、自然にやって来たのよね……。 ん。やって来てあれくらいだから、私が本気で探したらもっといい男が? (夢見てる) |
おかみさんは、苦笑しながら、その場を離れた。
少女は、草色に輝く眼を輝かせながら自分の夢に思いをはせていて、離れて行った事にも気づかないようだ。
「銀の網」亭 カウンター |
扉の軋む音。また新たな客が訪れた。
翠色の洒落たリングメイルを着込む銀色の髪の少女。金と紺の色を宿すオッドアイが、神秘的な雰囲気を纏わせる。ただ、それと共にすこしのんびりとした印象を受けるのは、その少したれ気味の瞳のせいか。それともポーチを出て頭のうえに乗っかった栗鼠のせいか。
■ イルミナ To:おやじ |
ただいまぁ〜 はぁ〜 今回は大変だったけど、みんなのおかげでこうして無事に帰って来れたわ(^^) 親父さん、白ワインをいただけるかしら? |
■ おやじ To:イルミナ |
おかえり。 ああ、白ワインならここに置いておくぞ。 無事で何よりだな。 |
置かれた白ワインを、優雅な手つきで、そっと口に運ぶ。
芳醇な香りと辛口の味が、身体を満たすのを感じ自然と笑顔が浮かんでくる。
イルミナは、少し満足したのか、改めて周囲を見回した。その視界の端に、見覚えのあるリボンが入るまで大した時間はかからない。
■ イルミナ To:おやじ |
あっ、あんなところに...(^^ 連れを見つけたからいってくるわね。 |
そう言って席を立った少女は、グレープフルーツを飲む青年の傍らを通り、白いリボンの目立つ一つ年下の少女の下へ向う。
■ イルミナ To:リュセラ |
リュセラさ〜ん |
■ リュセラ To:イルミナ |
ん? イルミナ? |
イルミナは、リュセラの元へと足早に駆け寄る。人の数が少なければ、青年もその動きに気づいたかもしれないが、人がごった返しているこの場所では、青年の気を、冷えたジュースから奪い取るには及ばなかったようだ。何事もなく通り過ぎてしまった。
■ イルミナ&リュセラ |
イルミナ「こんにちは。この間は大変だったわね。(^^;」 リュセラ「うんうん。あなたは特にね(^^;」 イルミナ「あはは(^^; 本当にみなさんに助けてもらってばかりで(^^;」 イルミナ「ジークさんを待っているの? 私もクレフを探しているのだけど、よかったらまた一緒に仕事しない?」 リュセラ「(ジークなら、絶対「喜んで(^^)」って言うかな) よし、それじゃ一緒にいい男探そっか。」 イルミナ「あっ、はい...じゃなくて(汗)、いい仲間を探しにいきましょうね(^^)」 |
■ イルミナ To:リュセラ |
さて、それじゃ、いい人がいないか探しにぶらぶらしましょうか(^^ よさそうな人がいたら声かけちゃってくださいね(^^ |
■ リュセラ To:イルミナ |
うん。手を付けるのは先に声掛けた方って事で。 張り紙してテーブルで待つのも手だけど……。 あ、あそこに凄い男前。 |
リュセラの視線を追うと、そこには、ウェーブの掛かった薄茶色の髪。
■ イルミナ |
あっ! クレフだわ(^^; とりあえず、彼と合流しましょ(^^) |
イルミナは、リュセルの返事も待たずに、またパタパタとクレフの元へ向う。
■ イルミナ To:クレフ |
クレフ〜(^^ こんなところにいたのね。 あっちでリュセラさんとお話して、今回も一緒に仕事しましょうって(^^ ジークさんはまだきていないみたいだけど。 |
■ クレフ To:イルミナ |
やぁ、探したんだよ…って、私は放っておかれたのか(/_;) (笑) そっか、ジーク達もまたいっしょなんだね。んじゃ、テーブルに行こうか。 |
知り合いとわいわい話すには、カウンターは形が悪い。クレフが、くたびれたように立ちあがる。
■ イルミナ? |
クレフ〜 イルミナ、クレフが居なくて寂しかったの〜。 |
クレフが、狐につままれたような顔で、慌ててイルミナを見ると、その見返してくる顔もクレフと同じく何がおこったかわかっていないのかキョトンとした表情を見せる。
しばし見詰め合ったところで、先に現状に気づいたのはイルミナだ。慌てて視線を外すように、頭の上の栗鼠のように辺りを見回す。
そんなイルミナの背後からリュセラが顔を出し、軽く片目をつぶってクレフに謝ると、身をひるがえして笑いながらテーブルの方に歩いていく。
「銀の網」亭 5番テーブル |
■ クレフ |
(つかつかつか)・・・ふぅ。 なんだか私が知らないうちにメンバーが集まっていたんですねぇ(笑) さてと・・・まだメンバー足りませんねぇ。カウンターに戻ってみようかな・・・(^_^;) |
■ イルミナ |
取り合えず、テーブルに一人はいないとね(^^ ちょっと疲れちゃったから休んでようかしら。 |
■ リュセラ |
ふぁ? ぁ(=▽=) ←席に座ってごーろごろ。 |
良い男を積極的に捜すと言っていた少女、リュセラも、休む方を選択したようだ。クレフは、軽く肩をすくめてみせると、カウンターへと戻っていく。
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