領主の館 |
それから二日後、バーン達の組は何事もなくゴート男爵のいる町に到着しました。
道中、終始うなだれていたライナスは館に着くと同時に、ひく〜い声で別れを告げて一人館の奥の方へと消えました。
その後使用人の案内の元、男爵のもとへと案内されました。
■ゴート男爵 |
おぉ、良く戻ってきた。アイクに預けていた手紙は読ませてもらったぞ。ご苦労だった。 して、どうだったかな?無事解決できたかな? |
■バーン To:ゴート男爵 |
(慇懃に礼を施し) はい。現在ここにいない者達で最後の仕上げをしているところです。 それで、解決の経緯ですが… (ゆっくりと思い出すように事の顛末を説明しはじめるバーン) 手紙をアイクさんに持たせた後、我々は再度ラース村に潜入しました。村の状態などを確認するため、一番始めにラシード長老を魔法で目覚めさせました。ラシード長老の協力のもと、アフルが精霊力の異常を感知してくれたので、そこで暴れている狂える精霊を倒し、事態の収拾を比較的早く行なうことができました。 |
男爵はバーンに続けるように促しました。
■バーン To:ゴート男爵 |
(バーンは頷くと、伴っているジェミーを紹介し、悲痛な面持ちで事態を説明していく) 彼女は貴方の領民でラース村のジェミーさんです。今回の状況は、彼女の精霊使いの訓練の最中に起こった暴走が直接の原因です。幸い村人は眠りの精霊による睡眠だけにとどまりましたが、彼女の理解あるご両親は残念な事に亡くなってしまいました。 我々はラース村の秩序の回復と彼女の未来を慮り、ラシード長老と彼女自身に今後の生き方の選択を委ねました。 彼女は亡くなった両親の為、そしてラース村の為に冒険者として生きていこうと決意しております。 どうか、彼女の罪と、償いの為の生き方を許してあげてはもらえないでしょうか? お願い致します。 |
■ゴート男爵 To:バーン |
う〜〜〜む………なるほど………そういうことが………。 聞くも哀れな話よのぅ………。しかし、冒険者の道というのは簡単なものではあるまい? 誰か援助するものはいるのかな? |
■バーン To:ゴート男爵 |
仰る通り、我々は金銭的な援助は彼女に施せません。 ですが我々は同じこころざしを持つ仲間です。私だけでなく、冒険者を名乗る者達ならば彼女を仲間として迎え入れてくれるでしょう。 それに… |
バーンは一旦言葉を切りました。
■バーン To:ゴート男爵 |
(少し伏し目がちに、悩んでいる体を装いながら) これは言っても良いものか… |
■フェイス To:バーン |
……? どしたの、バーン。 |
■ゴート男爵 To:バーン |
どうしたのかね?続けてもらえるかな。 |
■バーン To:ゴート男爵 |
はい。 今回の調査にご子息がかかわっていたのは手紙の報告通りです。 憚りながら推察するに、ご子息のライエル殿は彼女に好意を抱いているようなのです。 ご自身の誇りにかけて、きっと将来にはご子息が陰となり日向となり彼女を支えてくれる事でしょう。 |
■ゴート男爵 |
おぉ、そうだ。わたしの愚息がさぞや迷惑をかけてしまったことだろう。 しばらく一緒にいて多分、君も分かっているだろうと思うが、まだ息子には他人を理解して援助できるだけの甲斐性などあるまいよ。 足を引っ張るのが落ちだろう。わたしが少しではあるが装備としばらくの生活分の費用くらいみよう。 あとは君たちが基礎など教えてもらえないかね? |
父親にも偉い言われようだったりします(笑)
■フェイス To:独り思う |
(おお、お父さんはできたお人だ…(^^)) |
■バーン To:ゴート男爵 |
(顔を輝かせて深い御辞儀をする) ありがとうございます!新しい門出にまたとない温情と存じます。 彼女に剣術が必要でしたら、ご子息同様に微力ながら力添えをさせていただきます。 あ、そうそう。不躾ながらご伝言をお願いしてもよろしいでしょうか? |
■ゴート男爵 To:バーン |
む、なにかな? |
■バーン To:ゴート男爵 |
ライナス殿に、基礎の反復練習を怠らなければ貴方はきっとひとかどの使い手なれるでしょう、とお伝え下さい。 いずれあいまみえる時、今度こそ仕合ましょう、と。 よろしくお願いします。 |
■ゴート男爵 To:バーン |
ほほぉ………ライナスが………それはライナスだけでなく、わたしとっても嬉しい誉め言葉であるよ。 |
男爵は今一度満足そうにうなずきました。
それからバーンは改めて話を切り出しました。
■バーン To:ゴート男爵 |
それでは、報酬のほうをいただけますでしょうか? |
■ゴート男爵 To:バーン |
ふむ、そうだったな。 契約書も間違いなくここにあるよ。 それでこれらの契約条項に該当したものはどれになるかな? |
■バーン To:ゴート男爵 |
基本条項の前金を除いた残額2400ガメル。 それに加えていただける危険手当該当分は狂える精霊との戦闘です。村に入る過程で倒した2体、あとはジェミーさんの呼び出した精霊3体が対象になりますので… (そこで言葉を切り、必死に暗算をはじめるバーン) …で、…だから、…2500ガメルですね。 残額と合計して4900ガメル、頂いている前金を含めますと総計5500ガメルになります。 よろしいでしょうか? |
■ゴート男爵 To:バーン |
うむ、わかった。 しばらく待っていたまえ。 |
そういうと男爵は一旦席を立ち、部屋の隅に置いてあった箱の中から大きな金貨袋を取り出しました。
席に戻ると中に入っていた金貨を全部机にあけ、その中からバーン達の前で6000ガメル取り分けると別の金貨袋に詰めてからバーンに渡しました。
■ゴート男爵 To:バーン |
依頼料の成功報酬分と彼女が冒険者になるために必要となるだろう金額をあわせた分をまとめて渡しておこう。 よろしく頼んだよ。 それにしても君たちはよく働いてくれた。わたしの私兵団に加わってもらいたいくらいだよ。 |
■バーン To:ゴート男爵 |
(金袋を受け取り、一礼し) 過分な御言葉痛み入ります。 有りがたい御話だとは思いますが…いつかは「車輪」への入団を、と思っておりますので今回はご辞退させていただきます。 騎士団にふさわしい人物になるべく、武勲をたて、名声を上げ、しかるべき教養を身に付けたなら再び参上いたします。 まことに勝手な申し出ながら、その時「車輪」への入団を推挙していただければ幸いと存じます。 |
■ゴート男爵 To:バーン |
ほほぅ……素晴らしい目標だ。 すでにそのように目標があるところも息子に見習わせたいくらいだよ。 では、頑張ってくれ給え。 |
■バーン To:ゴート男爵、ALL |
ありがとうございます。 (ここで言葉を切り、仲間を見まわす) 皆は他に何かあるかな? |
■バーン To:ゴート男爵 |
それではこれで辞去させていただきます。 失礼いたします。 |
こうして依頼を終えた一行はオランの帰路へと着いたのでした。
銀の網亭(数日後) |
依頼料を受け取り、先にオランに戻ってきたバーン、フェイス、ソフィティアの三人は残った三人が後処理を終えて帰ってくるのを待っていました。
その間にジェミーは金を受け取って装備を調え、すぐに冒険者の間にとけ込んでいってました。
そんな折り、ジェミーは数人の別の冒険者と一緒にやってきました。
■ジェミー |
あの………皆さん、唐突ですけど、いろいろとどうもありがとうございました。 いつまでも皆さんのお世話になっているわけにも行かないので………誰かわたしを加えてくれるところを探していたんですけど………。 この人達が声をかけてくれたので、ご一緒させてもらおうと思いまして。 本当にいろいろお世話になりました(_ _) |
■ソフィティア To:ジェミー |
もう見つかっちゃったんだ。これから辛いことも色々あるだろうけど頑張ってね。 |
■フェイス To:ジェミー |
困ったことがあったらいつでも声をかけてね♪ |
■バーン To:ジェミー |
あ、折角だから村にいる3人が戻ってくるまで、ここにいてくれないかい? 皆も挨拶しておきたいと思っているだろうし。 すぐに仕事をはじめたいなら無理強いはしないけど… |
■ジェミー To:バーン |
あ………はい。 では、明日出発予定なのでもうしばらく………。 |
ふと気付くとジェミーの頭の上に乗っかってくる一匹の小さなお猿さん。
それは言うまでもなくリッキーである。彼はジェミーの冒険仲間らしき人物達を興味深げに見つめていた。
■バーン To:リッキー |
リッキー!? (キョロキョロと店内を見まわし) …ヴィクターたちは一緒じゃないのかい? |
バーンの問いかけにウキッと答えて入り口の方を指さすリッキー。
リッキーの指し示す場所で他のお客に混じってキョロキョロしているヴィクター君。
■バーン To:ヴィクトール |
あ、ヴィクター!ここ、ここ。 |
■ヴィクトール To:バーン&リッキー |
ん〜、あ!バーン兄ちゃん見っけ・・・と、その隣にいるのってもしかしてジェミーさん?ん ああぁー、リッキー!そんなとこで何やってんだよ〜。探してたんだぞ。 |
それに続いてアフルが入ってくる。
■アフル To:ALL&ヴィクター |
ただいま〜 ヴィクター、リッキーは見つかった? |
■ヴィクトール To:アフル |
うん、やっぱり先にお店に入ってたみたい。 食べ物のあるところに行くとすぐ行くなるんだから、ホント困っちゃうよね。はぁ〜。 |
ヴィクターのため息に何を感じるわけでもなく、いつもマイペースなリッキーはヴィクターの肩の上に戻って何処からか掠めてきた木の実をかじっている。
■フェイス To:みんな |
みんなおつかれさま〜(^^)。 ……あれ? メルディスがいないなぁ〜。 |
■ソフィティア To:アフル&ヴィクトール |
おかえり。村の人たちはみんな無事だった? |
■アフル To:ソフィティア |
うん、大丈夫。 みんな眠らされてただけだったからね。 |
■ソフィティア To:アフル |
眠らされていただけなら起こしちゃえば問題ないし、良かったね。 |
■ジェミー To:ヴィクター、リッキー |
あ………あの………村の人たちを起こしてくださって………どうもありがとうございます。ご苦労様でした(_ _) 先ほどバーンさん達にも報告してますが………今度からこの人達と仕事することになりましたので………。 短い間でしたけど、本当にありがとうございました。 |
■ヴィクトール To:ジェミー |
・・・そんなお礼なんて別に良いよ(照)オレ達、自分の仕事をしてきただけだし。 あ、もう一緒に冒険してくれる人が決まったんだ?うん、良かったね! |
■フェイス To:ジェミー |
う〜ん、なかなかの行動力。 うん! ジェミーは冒険者できっと成功するよ!! ……あ、メルディスがきた〜(^^)/ |
■メルディス To:ALL |
あ、ここにいたんですか。 ちょっと野暮用があったので遅れました、すみません。 それで・・・こちらの方々は? |
ジェミーと一緒にいる一団を指さすメルディス。
その服の袖の辺りには藁がついている。
■ソフィティア To:メルディス |
メルディスもおかえり。袖のところに藁が付いてるけどどうしたの? |
ソフィティアはトーイの事をほとんど知りません。唯一、冒険前に聞かされた「合体してメルドーイになる」とかいう眉つばな話だけです。
■バーン To:メルディス、ソフィティア |
(ソフィティアの言葉に反応し) ああ、ロバの…トーイに挨拶をしてきたんですね。 |
■ソフィティア |
あ、そっか。ロバのトーイがいたんだったね。 |
冒険の間一緒ではなかったので完全に忘れていたらしい。
■メルディス To:ソフィティア、バーン |
ええ、そういうことです。 顔を見てきたんですが元気そうで何よりでしたよ(笑) |
■バーン To:メルディス、帰参組、ALL |
そいつは良かったですね(^^) (そこでメルディスが指を指している方向に気付き) ああ、彼等はジェミーさんの新しい仲間です。早速見つかって良かったですよね。 そうそう改めて言うのもなんだけど、メルディスさんもヴィクターもアフルも本当に御疲れ様(^^) 報酬はライエル卿から受け取っているから後で分配するよ。 取り敢えずは依頼の成功を祝して酒杯をあけないか? |
■アフル To:バーン&ALL |
うん、そうだね。 それじゃあ、ジェミーさんの初冒険の成功も祈ってって事でみんなで乾杯しない? |
と、ジェミーの新しい仲間にも声を掛ける。
その中でリーダー格と思われる戦士風の男が口を開きました。
■戦士風の男 To:アフル |
あぁ。じゃあ、ご一緒させてもらおうかな。 せっかくだから奢らせてもらうけど、どうだ? |
■バーン To:戦士風の男 |
ありがとう。素直にご馳走になるよ(^^) |
■ソフィティア To:戦士風の男&バーン |
チッチッチ。いけないな、仕事も終わってきたところだしわたしが振る舞うわ。 |
■戦士風の男 To:ソフィティア |
いいのか? 悪いな。 |
■バーン To:ソフィティア |
えええ!?大丈夫ソフィー?(^^;; 銀の鎧は………ま、いっか。 |
■ソフィティア To:戦士風の男&バーン |
毎回はムリだけど、たまには良いでしょう?こういうのも。 |
■ソフィティア To:おやじ |
おじさ〜ん。こっちに、わたしの奢りで人数分のエールもって来て〜。 |
■ソフィティア |
一回こういうのやってみたかったのよね。 |
コブシを握って、何かをグッと噛み締めている模様。
■おやじ To:ソフィティア |
ほほぅ、ずいぶん羽振りが良いなぁ。 (でかい盆に二度にわけて運んでくる) |
■ソフィティア To:おやじ |
えぇ、よろしく。 |
■バーン To:ソフィティア |
ソフィー、ありがたく頂戴するよ。ご馳走様♪ |
他パーティーの残りの三人もグラスを準備したようです。
■フェイス To:みんな |
いいね!! みんなの前途を祝して〜〜〜。 |
■戦士風の男 |
お互いの成功を祝って。 |
■バーン To:戦士風の男、ALL |
かんぱ〜い! |
■ソフィティア |
かんぱ〜い! |
■アフル |
かんぱ〜い♪ |
■メルディス To:ALL |
かんぱい! (・・・酒か(苦笑)) |
お互いのパーティーの幸運と成功を祝った音頭が酒場中に響き渡りました。
依頼を無事こなしたこのパーティーも本日限りで一旦解散です。
次はどんな出会いが待っている事やら。
後日談 |
一行が男爵の館にて依頼をとりまとめてから数日後のことです。ライナスは簡単に荷造りを終え、家をあとにしました。 「一皮剥けて、もうちょっとましな男になったら戻ってくる。」との誓いを立てて。恋に破れた甘ったれの馬鹿ボンも、今回のことで少しは成長したようです。 もっとも、その決意もいつまで続くかは定かではありませんが。とりあえずは一段落、といったところでしょう。しかし、消息を絶った兵士達は依然として行方不明なままです。そして、ジェミーに精霊魔法を教えた精霊使いの行方も依然として知れていません。 この二つは単なる偶然か、それとも関係あるのか………。いつか解き明かされることがあるかも知れません。
冒険のまとめ今回パーティーはゴート男爵から報酬で5500ガメルの収入がありました。
これを頭わりして一人頭916ガメル。余った4ガメルはジェミーにあげたようです。
経験点は2280点(+各自の1ゾロ分)。サンドマン、ノーム、サラマンダー合計5匹を倒した分と今回の事件の加害者でもあり、被害者でもあるジェミー の立場を配慮した行動を評価してのボーナスを付け加えた分です。