Sword World PBM #46 |
- Howl from Behind -
獣の声が聞こえる
- Prologue - |
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??? |
カチ、カチ、カチ………
時計の音で目が覚めた。
いや、単に目が覚めた時に最初に知覚したのが時計の音だっただけだろうか。
■少女 |
(頭…痛い………吐き気がする………) |
カチ、カチ、カチ………
ゆっくりと、もどかしいほどゆっくりと、五感が醒めていく。
時計の音……あの古い振り子時計はずっと時を刻んでいる。音が大きいのが難点だ。
頭痛がする……いつも、目覚める時は、こうだ。
オイルランプの薄明かり……浪費だと分かっていても、小さな明かりを灯していなければ眠ることすらできない………。
───そういえば、闇に震えるようになったのは、いつからだろう………
………そして……におい……血の………
■少女 |
(………血…?) |
カチ、カチ、カチ………
ふらふらと、ベッドを出る。時計の音も、頭痛も……血の臭いも…なくならない………。
違和感が、心臓を鷲掴みにしている。息が苦しい。怖い……
怖い……怖い………
■少女 |
(………また……まただ………) |
カチ、カチ、カチ………
ゆっくりと、オイルランプに手を伸ばし、少しだけ光量を増す。
───明かりに照らされた白い手は、赤く濡れていた。
■少女 |
(………) |
カチ、カチ、カチ………
思うに───
悲鳴を上げるほどの恐怖というのは、実は大した恐怖ではないんだと思う。
呼吸が詰まる、涙も出ない。
出るものなら、悲鳴くらい出てくれればいい。どれだけ楽だろうか。
思考の九割は完全に停止し、残りの一割は混乱していた。
■少女 |
(………) |
カチ、カチ、カチ………
こわばった首を動かし、頭を上げる。
そこには、ランプの明かりに照らされた、一枚の鏡があった。
■少女 |
(………) |
カチ、カチ、カチ………
思うに───
悲鳴を上げるほどの恐怖というのは、実は大した恐怖ではないんだと思う。
本当に怖い時は、悲鳴など声にもならないのだから。
ただ、一つ新しい発見をした。
───声は出なくとも、涙くらいは出るものらしい。
??? |
おはよう。
鏡の中の獣が
迎えに来るよ。
大切なものを
返してもらうね。
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