Sword World PBM #46 |
- Howl from Behind -
獣の声が聞こえる
午後1時…腐った魚 |
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カフェテラス |
盗賊ギルドは、常闇通りに本部が置かれているが、小さなアジトのようなものはオラン中にある。
とにかくそういうことで、フィアルラはオランの大通りから少し外れたところにある小さな建物の前に来ていた。
赤煉瓦風の小さな喫茶店風の建物で、可愛い感じのテラスが付いている。ぱっと見てここが盗賊のアジトだとは思わないだろう。
外のテラスには、いかにも盗賊風の人相悪い男が4人座っていた。
しかし、なぜか4人とも頭に色違いのリボン(?)を付け、死んだ魚のような目でぐったりとしている…。
■盗賊風の男A To:フィアルラ |
よぉ、嬢ちゃん………なんか用かい……… |
無気力というか、生気自体八割くらい抜けたような目で、盗賊風の男が話しかけてきた。
■フィアルラ To:盗賊風のお兄様方 |
あう(汗)。 あ、あの〜、ここに来れば情報をもらえるって聞いたんですけどぉ……。 |
いきなり、今まで接したことのないタイプの連中に(普通接しない)、フィアルラは退いている。
■盗賊風の男B To:フィアルラ |
なんだ……フィア嬢ちゃんじゃねえか………姉御なら奥にいるぜ……… |
どうやら向こうはこっちの顔を知っていたらしい。
フィアルラは、なるべく近寄らないようにしながら(酷)答えた。
■フィアルラ To:盗賊風のお兄様方 |
あ、ありがとうございます。それじゃあ……。 (う〜ん、シーフってあんな危なそうな人達もいるんですか……) |
盗賊稼業というものについてフィアルラが無理解であるということを差し引いても、彼らは特殊な部類だろう…
■盗賊風の男C To:フィアルラ |
おっと、待ちな。 |
相変わらず死んだ魚のような目でこちらを見ている。
■盗賊風の男C To:フィアルラ |
………俺達……悪人ヅラに見えるかい? |
■フィアルラ To:盗賊風のお兄様方 |
い、いえ〜。決してそんな事はないんですけどぉ……。 ただ、みなさんお疲れ気味のようですからぁ……。 それに、みなさん恐いって言うより、……正直に言っちゃうと、ちょっぴり気味が悪いですぅ。 |
これ以上絡まれないようにそそくさと店に入ろうとするが……
■盗賊風の男C To:フィアルラ |
そうかい……悪人ヅラにゃ、見えねぇかい……… そうか、そうだよな。やっぱり、そうだよな………く…く……うぅ…… |
彼は何かをこらえるように額に手を当てて俯いている。
■盗賊風の男B To:盗賊風の男C |
な、泣くなよ……俺達だって…俺達だって、つらいんだ………うぅぅ…… |
なにやら悲痛な雰囲気が漂っている。
ほっといて店に入るなら今のうちだが、不気味に感じつつもフィアルラは声をかけた。
■フィアルラ To:盗賊風のお兄様方 |
あの〜、一体どうなさったんでしょうか? よろしければ、お話を聞くくらいは出来ますけれど……。 |
■盗賊風の男C To:フィアルラ |
へ…へへ……いいんだ、嬢ちゃん。所詮、これが俺達運め…… |
と、突然そこで店の中からほよほよした女の人の声が聞こえてきた。
■女の人 To:フィアルラ |
あらあら、まあまあ、どうしたの? |
店の中からプラチナブロンドののんびりした感じのハーフエルフの女が出てきた。
名前はマリーウェラーといい、シーフでありソーサラーでもある。外見からは年齢は分からないが、既に彼女は一線を退いてこのカフェテラスを経営しながら、盗賊ギルドのアジトとしても使わせている。もしくは、アジトをカフェテラスにしてしまったのか、それはよく分からない。
マリーウェラーの姿を確認すると、盗賊たちの顔が「ぴき」と凍り付いた。
■盗賊風の男B To:マリーウェラー |
あ、姉御……じゃない、マリーお姉さん……俺、あ、いや、僕たち、ふぃ、フィアちゃんが、き、来たから、その、な、な、なんていうか、あの、アハアハアハアハ |
棒読み
■フィアルラ To:マリーウェラー |
あ、お姉さん。この人達、なんだか具合が悪いみたいです。 どこか、休ませてあげられる場所とかありますかぁ? ……なんだか、私が来てから急に、みたいで。 私のせいなんでしょうか? |
おろおろとしているフィアルラ。だが、マリーウェラーはにこにこと表情を変えずに言った。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
まあまあ、気にしないで。この子たち、ちょっぴり恥ずかしがり屋さんなの。 |
■マリーウェラー To:盗賊風の男たち |
そうね? |
■盗賊風の男D To:マリーウェラー |
は、はは、はい。ぼぼぼぼ僕達、はず恥ずかしがり屋さんなんです。 |
棒読み
■マリーウェラー To:フィアルラ |
ところで、何か御用なのかしら? さ、奥へどうぞ。今お茶を入れますね。 |
マリーウェラーは全く周囲の様子を気にした風でもなく、店の中に入っていった。
不思議に思いながらも、とりあえずフィアルラもそれに続く。
■フィアルラ To:マリーウェラー |
あ、ありがとうございます。……でも、いいんですかぁ? あの人達、あのままで……。 |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
ええ、大丈夫よ。さ、こっち。 |
全く取り合ってもらえず、そのまま店の一番奥のテーブルに案内される。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
それで、今日は何の御用かしら? |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
あ、はい。えっとぉ、ここに来れば綺麗なお姉さんが情報を下さるって聞いたんです。 本部は、シーフ登録をしに行った時すっごく恐かった印象があって、それ以来行きたくても行けなくなっちゃって……。 |
年会費払う時は嫌でも行くことになるよ。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
ふふっ、大丈夫よ。わたしもああいう雰囲気ちょっと苦手だから、ここで働いてる子達にも怖い雰囲気にならないように協力してもらってるの。 ほら、あの色分けしたリボン、可愛いでしょ♪役割ごとに色分けしてあるの。とってもいいアイデアだと思わない? |
にこにこ(←全然疑問に思ってない様子)
■フィアルラ To:マリーウェラー |
そ、そうですね(汗)。 |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
それで、どういう情報が欲しいのかしら。 あ、お金の方は大丈夫?ごめんなさいね、わたしの方もお仕事だから。 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
あ、えっとぉ、『ミラー』って呼ばれてる殺人犯の情報が欲しいんですけどぉ……200ガメルで足りますか? |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
そうね、200ガメルで調べられる範囲でってことにした方がいいかしら。 それで、その殺人犯の何が知りたいの? |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
分かるんでしたら、ずばり犯人を教えて欲しいです。 えっと、あとは…… 犯人が使った凶器に〜、 事件の場所と、それぞれの被害者に〜、 事件の日付と時間に〜、 被害者の共通点ですぅ。 あ、あとぉ、 『鏡の中の獣』って言葉に、心当たりはありませんかぁ? |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
分かったわ、ちょっと待っててね。 あ、そうだわ。ケーキがあるの。待ってる間にどうぞ。 |
そう言うと、マリーウェラーは苺ショートと紅茶の入ったティーカップを持ってきた。
■フィアルラ To:マリーウェラー |
あ、よろしいんですか? わーい、じゃあ遠慮なく頂きますね。 |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
それじゃ、ちょっと待っててね。 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
はぁい、いってらっしゃい〜。 |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
(くすくす)食べるのを待たなくていいのよ。食べながら待っててね。 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
あう(汗)。そ、そうですね。それじゃいただきます〜。 |
目の前のケーキが嬉しくて仕方ないらしく、フィアルラはフォークをとって食べ始めた。
が。
甘かった。
とても甘かった。
甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘甘
という甘さである(毒性を示唆しているかもしれない)
砂糖に致死量があるなら、このケーキ一個で達成できるかもしれないというほど甘い。
■フィアルラ To:ひとり言 |
うっ。……あ、甘い、ですぅ。 ……分量を間違えたんでしょうか……? |
そういうレベルではない。
■フィアルラ To:ひとり言 |
うぅ……でも、せっかくマリーお姉さんが出してくれたんですし、ちゃんと食べなきゃ……。 |
涙目になりながら、もそもそを口に運び、紅茶のカップを手に取る。
なぜかガムシロップのような妙な粘性のある紅茶…というか紅茶風のガムシロップかもしれない………
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