SWPBM#45

命運の諸刃(仮)

Chapter14:炎と共に去りぬ

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研究室

 研究室は徐々に徐々に火に飲まれつつあります。すでにシーアン達が入ってきた出入り口は完全に燃えさかる炎でふさがれていました。
 焦げ臭い異臭と共に、クローゼットから二つの死体が倒れ込むように落ちてきました。そして、その死体にも炎は燃え移っているようです。
 ここから抜け出すことが出来る箇所が狭い梯子しかないこと、レクナムがめぼしいものはほとんど回収してしまったこと、以上から証拠となりそうなものを探している余裕はもはやほとんどなさそうです。
 炎はそう簡単には消えそうにはありません。
■シーアン TO:みんな
一旦、ここから出よう。
俺が最後に出るから、早くその梯子を登るんだ!

■ルタード To:シーアン
わしがしんがりを……などとやっている場合でもありませんな。
それでは、さっさと退散させていただきますか。

■バジル To:シーアン
サラマンダーが嬉しそうに踊り狂ってる…
すぐにここも飲み込まれるよ。
あちっ!

■ポム TO:みんな
早く逃げようぜ!

 ポムはいの一番にと梯子をかけ上がって行きました。
■ミュン TO:みんな
こんなに火がはやくまわるとは・・・・

 幸い手際よく行動できたため、火事に巻き込まれることもなく一行は脱出することが出来ました。
 レクナムの家から離れて、一息ついたあたりでポムが口を開きました。
■ポム TO:シーアン&みんな
シーアン、さっきレクナムが落しちゃったのを
あたしが拾っといてあげたんだけど
きっと、レクナムの大切なもんだよね
何の本かな?覗いてもいいと思う?(わくわく)

 言いつつレクナムとぶつかったドサクサに、彼の袋から頂いておいた本を見せました。仲間の手前、盗んだとはもちろん言いません(笑)。
■バジル TO:ポム
すごいやポム!

■ポム TO:バジル
えへへ(^^)

■シーアン TO:ポム
流石だなぁ、ポム。(転んでもタダじゃ起きないな(^^;)
奴の悪事の証拠になるようなシロモノだといいな。
開けてみようぜ。

 本を開いた一同、早速中身を調べてみました。それは研究日誌のようなものでした。しかも、割と最近のものでした。
 死体を掘り出してそれに死霊術を施した過程、実験的に作成した薬の結果、新開発した死霊術の効果等々。………知識として役に立ちそうなものはありませんでしたが。
 しかし、レクナムの行為を世に知らしめるには十分すぎる材料であるといえるでしょう。
■ルタード To:ポム
これはお手柄じゃな、ポムどの。

■バジル TO:シーアン
これを村長さんに見せれば、きっと納得してくれるね。

■シーアン TO:みんな
そうだな。誰か先に行って報告してきてくれないか?
俺はもうちょっとこの部屋に残って、もっと証拠が出ないか探ってみるよ。

■ポム TO:シーアン
おう(^^)/
行って来るぜ

■ルタード To:ポム
わしも行こう。
ここに残っていても、何を探していいものやら分からんしの(笑)。

 ポムとルタードは、連れ立ってレクナムの家から出ていきました。
■アイシャ TO:みんな
あの隠し扉の先はどこに繋がってたのかな〜?
頑丈そうな扉だったから火が燃え広がることはないよね…?

 幸いアイシャの心配は杞憂に終わりました。

村長の家

 ルタードたちが村長の家に戻ると、ちょうど夕食の支度をしているときでした。辺りにはいい匂いが漂っていましたが、ルタードにはそんな余裕はないようです。
■ポム TO:ウェイン
ただいま〜!ウェインさん!聞いて欲しい事があるんだ!

■ウェイン To:ルタード
あ、おかえりなさい。
もうすぐ夕食は出来ますけど………
そんなにあわててどうかしたんですか??

 ルタードは、複雑な表情を見せつつ答えます。
■ルタード To:ウェイン
唐突ですが、今回の墓荒らしの一件について調べがつきました。
取り急ぎご報告しようと、わしらだけこうして先に戻ってきた次第でして。

■ウェイン To:ルタード
え、分かりましたか?
して、その犯人とは?

■ルタード To:ウェイン
すべては医師のレクナムの仕業でした。
彼はかなり練達の魔術師でもあって、亡者を操る研究をしていました。
墓荒らしは、研究の“材料”を手に入れるためにしでかしたことだったのです。

■ポム TO:ウェイン
そうなんだ、死んだ人を動かして手伝わせたり、戦わせたりしたんだ助からない人には、薬の実験もしてたみたいだ

■ウェイン
え………そ、そんな………ことは………まさか………。
して、………レクナムさんはどうされました?

 あまりに唐突な報告だったため、ウェインはしばし絶句していました。
 それに何より、信頼していた治療医が死者を操るものだと言われてすぐに信じられるものではないのでしょう。
■ポム TO:ウェイン
え、ええっと…(^^;

■ルタード To:ウェイン
己の力不足を恥じ入るしかないのですが、レクナム本人は取り逃がしてしまいました。
ただ、レクナムが死霊魔術を研究していたことの証拠は、彼の家にいくらか残っておりまして、いま、ここに戻ってきていない仲間が、散逸しないようにしています。
いずれにせよ、明日にでももう一度、村の方々にもご協力いただいて、レクナムの家を捜索なり片づけなりしなくてはならないかと存じます。

■ウェイン To:ルタード
あぁ………そうですか………。
片づけるなりなんなりしないといけませんね………早いうちにやっておきましょうか………ギャリーに村のものを呼びにいかせますので………。

■ポム 
ギャリー…ショックだろうな…

■ルタード To:ウェイン
あ、ポムが持っておりますのが、証拠品の一つである、レクナムの手による研究日誌です。
目を通していただければ、彼がどのようなことを企て、実際に行っていたかがよく分かると思います。

■ポム TO:ウェイン
はい、これが証拠のヤツなんだ

 そう言うと、ポムはウェインに研究日誌を渡しました。
 心のどこかでまだレクナムを信じていたかったのでしょうが、動かぬ証拠を見てしまった今、彼にはもはやそれすら許されなません。
 本を凝視したまま、しばし呆然としていました。
■ポム TO:ウェイン
ウェインさん、大丈夫か?

■ウェイン
はぁ………まさかこんなことが………

………まぁ………じっとしていても始まりませんねぇ………


 ウェインはもたもたとした動きではありましたが、レクナムの家に向かいました。

 それからしばらくして、火も完全に収まっただろうと思われる頃………。
 村長をはじめとした村人達を引き連れ、ルタード達が戻ってきました。
 しかし、村長の言葉は心なしか、くらく沈んでいました。
■ウェイン
墓荒らしの犯人を見つけてくださったそうで………。
どうもありがとうございました。

………とりあえず、焼け跡の片づけを始めないといけませんね………
夕食の用意は出来てますので、わたしの家に戻って休んでいてください。


 それから集まってきた村人一同は家の取り壊しと焼け跡を埋める作業を始めました。
 もともと、大した作りではなかったので家の取り壊しそのものはすぐに終わったようです。
 地下の焼け跡からは盗み出された遺体も、炭化してはいるものの、見つかったので元の場所に埋葬されることになりました。
 結局、後かたづけは深夜まで続いたそうです。

村長の家

 翌日、一行は前日の戦闘の疲れもあって昼近くまで寝ていました。
 村長は吹っ切れたのか、昨日とはうってかわって笑顔が戻っていました。
 一行はもう一度村長が作ったブランチをつまんでいました。
■ウェイン
皆さん、本当にありがとうございました。
報酬の方は金が用意でき次第、オランまでお持ちしますので少々お待ちください。

あ、そうそうシーアンさんでしたよね?
お約束通り、うちの庭にあるハーブを好きなだけ持っていってくださっても構いませんから(^^


■シーアン To:ウェイン
あ、ああ、どうも・・・。

 そんな気分じゃないのか、声も表情も暗いシーアンでした。
■ウェイン
あの………ところで、ファリス神官の方についてはどうすればよろしいのでしょうか………?

■バジル
あ………あぁ……

 しばらくの間、重苦しくその場を支配した沈黙を、ルタードがどうにか破りました。
■ルタード To:みんな
わし、考えたんじゃがの、ここはともかく、オランのファリス神殿に身柄を届けるのが、平凡なようじゃが、一番まっとうな行いではないかと思うんじゃ。
神殿がシャールンどのの行方を探していることを、わしらは知っていることでもあるしの。

■アイシャ To:ルタード
同じ信仰を持つ人たちだもの。
シャールンさんを受け入れてくれるかも。

■ミュン To:アイシャ
それはどうかわからないですよ・・・・
人間もかなり排他的ですから・・・・・
もっとも、それは人間だけの特性ではないですが・・・・・

■バジル To:ミュン
うん。僕等の種族は特にその傾向が強いね
でも同じ神を信じてる人間達はとても強い繋がりで繋がっているんでしょ?
アイシャが思っているようになれば一番なんだけど。

■アイシャ To:ミュン&バジル
シャールンさんは、ファリスの教えを広めるために頑張ってたのに、
神殿を頼っても受け入れてもらえないかもしれないなんて、かわいそう…。

 シャールンを案じてシュンとしてしまった。
■シーアン To:アイシャ
俺さ、―――シャールンがレクナムの代わりに、この村のヒーラーになれればいいな―――とか思ってたんだよ。
考えが甘いよな・・・

 アイシャにと言うよりは、ほとんど独り言のようにつぶやく。
■ポム TO:アイシャ
とりあえず元気だせ、アイシャ
シャールンの友人は、みんな知ってて庇おうとしてるじゃないか
もしかしたら同じ神殿の中にだって、そんな人がいるかも知れないぜ
ただ……それが希望的なモンになるかは別なんだけどさ…

■ルタード To:みんな
オランに連れ帰っても、結局ファリス神殿で命を絶たれることになるやも知れん。しかし、それは正当な「ファリスの法」のもとに行われること。
もし、わしらがここで――たとえ本人が望んでいるとはいえ――、勝手に彼の命を奪うようなことがあれば、それを私刑とみなされても文句は言えないことになる。
それはわしらにとって、あまりに危険が大きすぎはしないかな?

■シーアン TO:ルタード
・・・・・・そうだな。
とにかく一度ウェインさんと一緒にシャールンに会わないといけないが、ルタードの言ってることは正しいと思うぜ。

■ポム TO:みんな
あたしもシャールンと話した方がいいと思うぞ

 さて、それからしばらくして………
 一行がシャールンの処遇について話し合っているときに、突然高いノック音が響き渡りました。
■ウェイン
………あ、失礼します。ちょっと、応対してきますので………。

 村長は席を立って玄関の方に行きましたが、すぐに戻ってきました。
 しかし、戻ってきたときの彼はなんとも妙な表情をしていました。
■ウェイン
………なんか………シャールン・カスターって………ファリス神官の方ですよね?
を探している人………というか、グラスランナーですか………が来たので場所だけ教えておいたんですが………
お知り合いですかね?

■シーアン To:ウェイン
探してるって?!
おい、行くぞみんな!―――ウェインさんもっ!

■ポム TO:みんな
グラスランナー?
なんだ?場所を聞くなんて、オランのお友達の使いじゃないよな?
…ひょっとして、あれ見てオランから来た冒険者か!

 ポムは席を立って扉へ向かう。
■バジル TO:みんな
尋ね人?一人で?
なんにせよなんだか胸騒ぎがするよ。とにかく、急ごう!!

■ルタード To:みんな
やれやれ、昨日からどうも落ち着かぬことじゃて。

■ミュン To:ルタード
そうですね。グラスランナーですから、にぎやかになりそうですね^^。

 嫌な予感を抱きながら、一行はウェインを加えて一緒に急ぎ足でシャールンがいる家に向かいました。


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GM 大石
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