洞窟・奥 |
ガーランドに先導され、歩き続けること2時間。
一行は洞窟内部の場所に出ました。先頭の手に握られている松明の明かりに照らし出されて、その内部が把握できました。その広さはかなりのもので、高さ6メートル半径10メートルはありそうな ドーム状の空間になっていました。反対側の突き当たりにはまだ奥があるようです。
さらに、ど真ん中には濁った色をした赤で描かれた円形の模様があり、円の中心には首のない人間の遺体が三つ転がっていました。円を見た瞬間、カナルはそれが異界から生物を召喚するために使われるサモンサークルであることを見抜きました。
すでに何かを召喚していたようではありましたが、少なくとも高度なものではないようです。
■カナル To:おおる |
これはこれは……。 なかなかに趣味の良いリビングだな。 |
■ジャン=バッティスタ To:カナル |
そうか?お前さんの師匠とこもこんなもんじゃねぇのか? |
■カナル To:バティ |
掃除ぐらいはこまめにしてたぞ。 |
■スレイ |
(ぼそっ)…カナルがさせられていたんでしょうねぇ…、うんうん |
カナルと師匠セシリアの関係はそのようなものなのです。
■ティトル To:おおる |
うやぁ……。 やっぱり……あそこ入ったらまずいですよねぇ(^^; |
■ジャン=バッティスタ To:ティトル |
うん、100ガメル貰っても入りたくねぇな。 ……でも、1000ガメルなら…… |
■ティトル To:バティ |
はいっちゃいますぅ?(笑) |
■ジャン=バッティスタ To:ティトル |
うーん。……命の代価が1000ガメルってのも馬鹿らしい話だな(笑) |
■カナル To:ティトル |
あまり巫山戯ている余裕もなさそうだしな。 さて、恐らくあれが例の行方不明になった狩人の遺体だな……。 それにしても、この床の模様は、何だ? 血で描かれているのか? その絵を描くためだけにこの狩人を使ったんだとすると、大した芸術家だな。 |
ガーランドはしばらく不審そうに円を眺めていましたが、やがて一言呟きました。
■ガーランド |
あれは………以前に来たときにはなかったのだが………。 |
■カナル To:おおる、ガーランド |
真っ当な物ではないようですね。 まさか、これを使って、あの生き物を作り出したのか? |
少し嘘ですね
■ガーランド To:カナル |
ほぉ、そうなのか。 我はこういったものには詳しくないので、皆目見当つかぬのだが………。 |
■イスカ To:カナル |
魔術師にはそんな事ができるのか? |
■カナル To:イスカ |
出来ないことはないが、どちらかというと、暗黒神の使徒の領分かな。 |
■イスカ To:カナル |
暗黒神か、話には聞いたことがあるけれど・・ そいつが、これ(床の模様をいやそうに指して)を使って、この世にありえぬ動物を作り出したわけ? |
■スレイ |
…ふふふ、暗黒神の使徒ですかぁ。やっと見ることができます♪ |
■カナル To:イスカ |
俺も、さほど詳しいわけではないのでね。 (ガーランドは、本当に何も知らないようだな……) |
再び、調べ始めたカナルの見た限りでは、このサモンサークルは触っても害はなさそうなので付近を調べてみることにしました。
遺体の特徴からして、全て失踪した村人であることに間違いないようです。切り落とされた頭部以外には目立った外傷はありません。切り口からして刃で引き切ったというより、力任せにぶったぎったようです。
■スレイ To:おおる、ガーランド |
しかし、一体誰がこんなことを……。 そうだ、この奥はどうなっているんですか? |
■ジャン=バッティスタ To:スレイ |
一体誰が、たって、悪者に決まってんだろ(笑) こういう芸術を冒涜する輩にはお仕置きが必要だぜ |
■カナル |
お前が言うなよ、お前が……。 |
■ジャン=バッティスタ To:カナル |
ふっ、俺様が言うからキマルのさ。 |
■ガーランド To:スレイ |
多少広い空間には繋がっているが、行き止まりだな。 |
■イスカ To:All |
気味は悪いが、もうちょっと奥も覗いてみようか。儀式の主の手がかりがあるかもしれない。 何もなさそうだったら、引き返して村に戻ればいいし。 |
ガーランドの返答を聞きながらサークル付近を調べていたスレイは、サークルの周りについている極めて薄く残っている3種類の足跡を発見しました。
鳥のもののようでも大きさの点では普通のそれを遥かに凌駕する大型の足跡。虎の後足に熊の前足をつけたような四足獣の足跡。そして、もう一つは平均的なの大きさの靴を履いた足跡です。
■スレイ To:おおる |
そうですね……。あっ、足跡があります。 巨大な鳥の足跡……他にこれはトラクマですかね。そして………ん、これは? |
■ジャン=バッティスタ To:スレイ |
ふーん、サーカスも真っ青の珍獣の宝庫だな■スレイ To:おおる売れば儲かるかもしれませんねぇ。……そうそう、他に人間の足跡が―― んっ?!向こうから何か近づいてきます! |
■ティトル To:スレイ&おおる |
!…何……だか、いやな感じがしますぅ……。 |
■カナル To:おおる |
まぁ、見当は付くがな……。 |
■ジャン=バッティスタ To:おおる |
さてさて、珍獣使いはどんな顔かな |
その時、耳の鋭いスレイの耳に低い足音が徐々に近づいてくるのが反対側から聞こえました。一つではありません。 反対側の入り口から姿を見せたのは、虎と熊を掛け合わせたような大型の肉食獣。巨大なハゲタカの体にライオンの頭をつけたような怪鳥。
さらに一昨日に村でみた臆病そうな村人、ベイルでした。その時見かけた臆病そうな外見とはうって変わってにこやかに一礼してきました。
■ベイル To:ALL |
どうもどうも、お待ちしておりました。 思ったより遅かったですね。 |
■スレイ To:ベイル |
ベイルさん?一体これは……? |
センスオーラして辺りと、複合生物&ベイルの精霊をチェックするスレイ。
複合動物の周りから通常の生命の精霊は感じられません。ベイルからは生命の精霊は感じられるものの、同時に別の精霊も感じられました。さらに奇妙なことは恐れているような様子もないのに、シェイドが通常より多く存在していることでしょうか。
■スレイ To:おおる |
!!……トラクマなどからは生命の精霊を感じません。どうやら異界の存在のようですね… あと、彼の精霊のバランスも変ですよ…… |
■カナル To:ベイル |
これは失礼。 しかし、わざわざ待っていて頂けるとは。こちらから会いに行く手間が省けましたな。 しかし、なぜまたあんな騒ぎを。 こちらの方を、行方不明のカモフラージュにでも使うつもりでしたか? あわよくば、呼びつけた冒険者と共倒れでも? |
■ティトル To:ベイル&おおる |
???? なんだかわかんないですけど……。 あんまり歓迎されてないですよねぇ……。 |
ティトルはカナル氏とベイルの会話についてけないのである(笑)
■ジャン=バッティスタ To:ティトル |
うんにゃ、ご招待してくれたみたいだよ、ティト。 きっとティトの体にも羽根とか鱗とかつけてくれるんじゃない |
■ティトル To:バティ |
う〜ん……カッコいいですかねぇ……? なぁんかカッコ良くなさそうですぅ…。 |
■スレイ |
…ふらいんぐてぃとる……う〜む(−−; |
■ベイル |
いえいえ………騒ぎを起こせばあなた方のような冒険者にやってきていただけると思ったからですよ。 私の後ろに控えているこやつらも、そこに転がっている死体を生け贄に異界から召喚した私の僕。しかし、力のあるものを召喚するにはちょっと力不足でしたからねぇ………。 あなた方に生け贄になってもらえば、より力のあるものを召喚できると言うことでして………。 |
ベイルは一行の横にいるガーランドをみながら言葉を続けます。
■ベイル To:ガーランド、ALL |
この体は借り物でしてねぇ……… この洞窟に祭壇を構えた直後に、錯乱した様子で以前の所有者が洞窟までやってきたので、事情を聞いたあとでこの体を頂いたのです。まさか本当にあなたのような巨漢がいるとは思いも寄りませんでしたがね。臆病な人にとってはあなたはさぞや、驚愕の対象となることでしょうに。 それにしても屈強そうな人がたくさん来てくれてこちらとしては何よりです。私より力あるものを呼び出せるかもしれないのですから。 |
■カナル To:ベイル |
それでは、アイクさんが見たハゲタカなら、そいつにでも連れられてここに来たのですかな? |
■ベイル To:カナル |
ご名答。 |
ベイル(だったもの)の言葉を聞き流しながら、ガーランドはただただ沈黙を続けています。
■スレイ To:ベイル |
つまり、わたし達はあなたの計略に、はまったと…? |
■カナル To:ベイル |
ふむ、それは困った。 村長から報酬を貰ってオランへ帰らなければならないので、こんな所で生贄になっている暇はないのです。 その狩人の遺体も葬ってあげたいですし。 それに、ベイルさんの体もね。 借りた物は返さないといけないって、そう教わらなかったのかな? |
■ベイル To:カナル |
はっはっはっはっは。 愉快な方ですねぇ、あなた。しかし、いつまでそうやって余裕でいられますかな? 長きに渡って研究してきた暗黒の儀式の神髄。魔神との契約によって授かった第二の肉体。 今見せて差し上げましょう! |
言い終わるや否やベイルだった者の体は一回り大きくなったかと思うと急激に変化しました。数秒でそれは終わったようですが、もはやその姿は人間のものではありませんでした。
しかし、その正体は誰にも分からなかったようです。
■ベイル |
フフフッ、ドウデス?オドロキマシタカ? コレゾ、ギシキデエラレタ、アラタナルチカラ。 オモイシラセテサシアゲマスヨ。 |
■カナル To:ベイル |
なるほど、たいそうな技だ。 そうそう、聞き忘れたんだが、本当の体はどこにあるんだ? もしまだ残ってるのなら、ちゃんと埋葬してやるよ。 |
■ベイル |
モトノカラダハ、コノオクデス。 モットモ、アリエナイコトデスガ。 |
■ジャン=バッティスタ To:ベイル |
急に電波系になりやがって…… 「ギシキ」ならこっちだって負けねぇぜ |
ストラトを取り出してMAXボリュームで不協和音を奏でるバティ
しかし、それに動じることもなく元ベイルは軽く拍手を交えて返してきました。もっとも肉質が変質しているためか、良い音はでませんでしたが。
■ベイル |
ミゴトナエンソウデシタ。 ソレデハオレイヲサセテクダサイ。ワタクシノゼンリョクヲモッテアタラセテイタダキマショウ。 |
言うなり、ベイルは背中に折り畳んでいた翼を大きく広げました。
■カナル To:バティ |
良かったな。気に入って貰えたみたいだぞ。 |
■ティトル To:バティ&カナル |
(耳を押さえつつ(笑)) さぁっすがバティさんですぅ〜♪ |
■ジャン=バッティスタ To:おおる |
しかし悲しいねぇ、俺様の芸術の数少ない理解者があと数分で消えちまうなんてな |
■ベイル |
………コチラコソザンネンデスネ……… イダイナルゲイジュツカガ、アトスウフンデイナクナッテシマウコトモ。 |
■スレイ To:おおる |
こ、これがバティの”新必殺技”でしたか……(冷汗) |
場違い且つおマヌケな会話を続けながらも次章、戦闘に入る………