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「祝勝会−人生万事塞翁が馬」 |
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オラン−「びいどろ」にて |
その日の夜、フェン、リアン、ダグ、ネイそしてパーティの一行は「びいどろ」へとやってきた。
もちろん、祝勝会のためである。
レース後すぐに移動したフィリス、アップルと「びいどろ」のマスターによって、あつあつの料理と飲み物の準備は万端であった。
そこへドアを開けてどたどたと激しい音がして、1人の初老の男が入ってきた。
どうも、本人はこっそり入ってきたつもりらしい。
■ フェン To: 入ってきた男 |
ハルトマンさんじゃないですか。 こんなところへわざわざありがとうございます。 でも、どうしたんですか?お一人です? お付きの方が心配しているんじゃないですか? |
■ ハルトマン To: フェン |
いやー。めでたい席なんで私も同席させて貰いたいと思ってなあ。 私も混ぜてもらいたいのーと思ってなあ、ケスとクカにはちょっと別のところへ行ってもらったんじゃよ。 |
ケスさんもクカさんもかわいそうに………。
どうやらハルトマンはお忍びでやってきたようである。
■ フェン To: ハルトマン |
……じゃ……じゃあ、とりあえずこちらへどうぞどうぞ。 丁度、乾杯をしようとしていたところなんですよ。 |
■ ハルトマン To: フェン |
そう思ってなあ……ハッチの秘蔵の490年もののスパークリングワインを持ってきたんじゃよ。 せっかくのテン・ハイの優勝じゃ。 是非これを使ってやってくれい。 |
ハッチさんもお気の毒に……。
このスパークリングワイン、買えば200ガメルはする逸品である。
■ ホルト(こっそり) |
う〜む、てっきり堅物だと思っていたのだが、意外と愉快なご老体だ。 それにしても流石と言うべきか、あれはなかなかの代物だな。 よもやこんなところで飲めるとは思ってもみなかった。 |
■ フェン To:ハルトマン and ALL |
……あ、ありがとうございます。 じゃあ、皆さんグラスは行き渡りましたね。 |
丁度、皆のグラスにスパークリングワインがそそぎ込まれたようである。
■ フェン To:パオル |
それでは、乾杯の発声は騎手のパオルさんお願いします。 |
■ パオル To:フェン、ALL |
は〜い!(^-^)/ それじゃあ皆さん、グラスを持って下さいね〜! あ〜、あ〜あ。 えーと・・・、それではテンハイの優勝を祝して! ハルトマンさん、ゴチになりま〜っす!! |
■ エデン To:おおる |
それでは、ゴチになりますわ。 |
■ フィリス To:パオルさん、ALL |
ご、ゴチになりま〜っす!(唱和)…ゴチ?方言なのかな^^; |
■ エデン To:フィリス |
確か魚の名前でしたかしら……? 何かの隠喩ではなくて? |
■ フィリス To:エデンさん |
魚…魚ですか。でも魚になるって…うーんとりあえずメモしとこ¢(.. ) 「ゴチになる:パオルさんの乾杯のかけ声:ゴチ(魚?)に掛けた隠喩らしい…」さて…カルーアミルクでも飲もうかなっ♪^^ |
スパークリングワインで満足できなかったのか、フィリスは奥に引っ込んでカルーアミルクをつくりだした。…ジョッキに。
大丈夫なのか……フィリス!
■ えでん To:リアン |
はい。リアンにゃん、あーんして。 |
リアンに何かいろいろと喰わせてやろうとするエデン。
それに対して、リアンは……。
■ リアン To:エデン |
いいよー。エデン姉ちゃん、自分で食えるよー。 |
予想通り逃げようともがいていた。
■ エデン To:リアン |
酷いわ、リアン様……そんなに私がお嫌い? |
■ リアン To:エデン |
そ……そんなことないよ……お姉ちゃん。 食べる……いや、食べますってば〜。 |
泣きそうになりながら、エデンの差し出したタマネギ……しかも生……を食べるリアンであった。
■ エデン To:リアン |
ふふ……、素直なこと……。 別に、いつかの虫芋の事を根に持っていたわけではなくてよ……。 ……そう、ほんの少しだけ……。 御免なさいましね……お水でも如何? |
■ リアン (心の声) |
そ……そんな……まだ覚えていたの……。 女の人って……怖いかも……。 |
怖いのはエデンだけかも……。
それはともかく、差し出された水を黙って飲むリアンであった。
グラスを片手に、それを横目にしつつ遠くを見る振りをしてホルトが一言。
■ ホルト(独り言) |
ふっ、少年よ、女の怖さを知らねば一人前の男にはなれないものなのだよ… あるいは知らないままの方が幸せかもしれんがね。 私はそれを物心つく前から悟らされた… …ここのところ、路銀が少なくなって安酒しか飲んでなかったから、本当の酒の味を忘れかけていたよ。 仕事中に余り羽目を外すわけにもいかなかったから、酒精そのものにも随分とご無沙汰してたしな。 う〜ん、この香りがたまらない。 |
……でも、ここって大衆食堂なんですけど……。
宴もたけなわの頃、フィリスはこっそりとハルトマンを「びいどろ」の角にあるテーブルへと誘った。
なにやら相談でもあるのだろうか?
■ ハルトマン To: フィリス |
お嬢ちゃん、どうしたんじゃ? このじいさまになにか用かのう。 |
■ フィリス To: ハルトマンさん |
えと、不躾なお願いだとは思うのですが…テン・ハイさんの世話係にリアン君を雇ってもらえないでしょうか? リアン君は今までずっとテン・ハイさんの面倒を見てきました。ずっとずっと、兄弟のように寄り添って生きてきたと聞いています。 テン・ハイさんにとってリアン君はとても大きな存在だと思うんです。リアン君が辛い気持ちになってるのを見ただけで調子を崩すくらいなんです。それが突然引き離されたりしたら…。 お願いです、どうかリアン君とテン・ハイさんを一緒に居させてあげてくださいっ! |
ふかぶかと頭を下げてハルトマンの返答を待つフィリス。
■ ハルトマン To: フィリス |
ふむ。そうじゃの。 実は、ワシもそれをかんがえておっての。 ただ、金を貸すわけにもいかんし……どうしようかの。 うちにリアンを引き取るならフェンも一緒に来ないとまずいからの。 うちとフェンの家はリアンの足じゃあ2時間はかかってしまうし、道中も危ないでな。 なんといっても、親子を引き離すわけにはいかんでなあ。 昔からフェンの奴は、うちの馬の面倒をみてくれんかと話しても、うんといわん奴だったからの。 うちの厩をまかせるに足る人材じゃと思っておるんじゃが。 |
■ フィリス To: ハルトマンさん |
うーん…どうしてフェンさんはハルトマンさんの馬を引き受けないんですか? |
■ ハルトマン To: フィリス |
う〜む。それがわしもようわからんのじゃ。 フェンの両親が開拓したあの畑を手放すのが惜しいのかのう。 |
■ 謎の声 To: フィリス、ハルトマン |
フフフフフ・・・、話は聞きました。 説得ならばボクもお手伝いしましょう! |
謎の声と共に、隣のテーブルの下から這い出してきたのはパオルであった。
酒でも飲んだのか、ほろ酔い気味のようだ
■ フィリス To: パオルさん |
ひゃあっ!(((・・;)/…び、びっくりしたびっくりしたびっくりした…(・・; |
■ パオル To: フィリス、ハルトマン |
はろはろ〜♪ ゴチになってま〜す!(*^−^*)丿 |
そこへ、お酒と食べ物をあらかた食べて満足したカルソニックもやってきたようである。
■ カルソニック To:パオル |
・・・頭、打つぞ・・・・。(汗 |
■ パオル To: カルソニック、ハルトマン |
カルソニックさんにも、はろはろ〜♪ (*^−^*)丿 ところで何故、畑を手放さなくちゃならないんですか? |
■ ハルトマン To: パオル |
手放すといったら、語弊があるかもしれんのう。 だが、さっきも嬢ちゃんにはいったんじゃが、うちの厩はフェンの家とはかなり離れているもんで、結局今の畑をフェンが耕すことは出来なくなってしまうんじゃよ。 それがいやなんじゃないかと思っておるんじゃがのう。 |
■ パオル To: ハルトマン、ALL |
ふむぅ・・・。(ーー |
■ カルソニック To:フィリス、ハルトマン、パオル |
恐らく・・。 リアンがテン・ハイに思い入れが有る様にフェンさんも畑に思い入れがあるんじゃないか・・と思うのだが。 畑を手放す理由は・・・借金が賞金だけでは足らないからじゃないのか? |
■ ハルトマン To: フィリス、パオルandカルソニック |
おお、兄ちゃんの言うとおりだと思うぞ。 ただ、借金の肩代わりはわしもできんのじゃよ。 わしも他の農民の手前、フェンだけ特別扱いはできんしの。 でだ。 今思い付いたんじゃが、ダグに畑を任せて、フェン親子にはうちに住み込んで貰うよう説得してみようかと思うんじゃ。 どうじゃ、嬢ちゃんらも一緒に説得してくれんか? 機嫌のいい今なら首を縦に振ってくれるかもしれんでのう。 |
■ パオル To: ハルトマン、ALL |
ふむふむ、なるほど。 わっかりました!ボクも協力しますよ。(^ー^)b |
■ フィリス To: ハルトマン、ALL |
じゃ、フェンさんを呼んできますね〜。 |
そういってから、フィリスはフェンを呼びに行った。
そんなに広い店でもない。
フェンはすぐにやってきた。
■ フェン To: ALL |
どうしたんですか? 皆さん。 ハルトマンさんまで。 |
■ フィリス To: ALL |
余計なお節介かと思ったんですが…このままリアン君とテン・ハイさんを別れされるのが忍びなくて、なんとかならないものかとハルトマンさんに相談していたところなんですけど…。 もしフェンさんさえよろしければ、リアン君と一緒にハルトマンさんのところでテン・ハイさんや他の馬の面倒を見てほしいという話になったので、フェンさんの考えを聞かせていただきたいんです。 |
■ フェン To: ALL |
う〜ん……。 その話はハルトマンさんから前にもして貰ったことがあるんだけど……。 親父が頑張って開墾したあの土地を手放すのは……やっぱり抵抗があるんですよ。 |
■ フィリス To:フェンさん |
そうですか…。ではこういうのはどうでしょう。手放すのでなく、農地をいくつかに分割してダグさんとかの近隣の農家の人に年契約とかで貸し出すんです。で、毎年借り賃としていくらか徴収させてもらう、と。借り賃を無理のない一定額にしておいて、それ以上の収益は農家の人のもうけなるようにすれば、一生懸命土地を肥やしてくれますし、荒れることもないでしょう♪^^)h で、フェンさんは…ハルトマンさんのところでリアン君と一緒に馬の面倒を見つつ、お金を貯めて家をちゃんと建て直す資金をつくる、と。 そして将来、家や馬房が再建できたら農場に戻り、畑を耕しつつハルトマンさんから何頭か馬を預かったりして、成長したリアン君と調教のお仕事をする、と。…こんな案はいかがでしょう? |
■ パオル To: 心の声 |
(フィリスさん、頑張って下さ〜い!!フレ〜!フレ〜!(≧▽≦)!!) (うーん・・・ココは今一度、リアン君の気持ちを確認してみるかなっと) |
そそくさとリアンのところへ向かうパオルであった。
■ フェン To: フィリス and ハルトマン |
そうじゃの。 ダグなら……任せてもいいかもしれんの。 ダグもよく頑張っているのに実入りが少ないというのも何だし…… なあ。 ハルトマンさん、その仕事受けさせて貰ってよろしいのですか? |
■ ハルトマン To: フェン and ALL |
フェン!それは本当か? そりゃあうれしいわい。 これで一件落着かの。 |
■ フィリス To:ハルトマンさん、フェンさん |
やったー♪ハルトマンさん、フェンさんありがとうございますっ*^^* そうと決まれば秘密会議も終わりっ☆フェンさんの就職祝いも兼ねて、ぱーっと行きましょうっ♪(≧▽≦)/ じゃあ私、このことをリアン君に知らせてきますね〜♪ |
さて、その頃、リアンを捕まえたパオルであるが……
■ パオル To:リアン |
はろはろ〜♪ 食べてますか〜?飲んでますか〜?楽しんでますか〜?*^−^*)丿 時にリアン君、テンハイがハルトマンさんに買われるそうだけど、君の気持ちはどうなの? その・・つまりだね。君の正直な気持ちを聞きたいんだよ。 テンハイも君がいないと寂しいんじゃないのかな?っと思ってね。 |
■ リアン To: パオル |
うん……出来れば、テン・ハイとは別れたくないけど……。 ……しょうがないかなって思うようにしているんだ……。 |
■ パオル To:リアン |
しょうがない? 本当に、それでいいのかい? 確かに世の中しょうがない事もあるさ。 でもね、しょうがないで諦めるには、君もボクもまだ若いとは思わないかい? |
■ フィリス To:リアン君、パオルさん |
リアン君リアン君リアン君リアン君リアン君っ!フェンさんこれからハルトマンさんのところで働くんだって!リアン君、またテンハイさんと一緒にいられて面倒見たりお世話したりできますよーっ♪(≧▽≦)/ よかったねーよかったねーよかったねーっ♪(ぎゅ〜☆) |
感極まって、いや、勢い余ってか、リアン君に抱きつくフィリス。
手に持ってるカルーアジョッキの中身はすでに空であった。
■ パオル To:リアン、フィリス、ALL |
・・・ともかくだ! できるとかできないじゃなくてさ、とにかくやってみようよ! 諦めるのは、その後でもいいじゃないか・・ってアリャ?(・・? はい?フィリスさん、今なんて? |
■ フィリス To:パオルさん、リアン君 |
だから、リアン君はテンハイさんと一緒にいられるんですっ。 よかったよかったーっ(≧▽≦) |
■ パオル To:フィリス、ALL |
へ?え?お!? わーい!よかったぁぁぁ!!(≧▽≦)!! |
■ リアン To: パオル |
お、お姉ちゃん……く、苦しい……。 |
さっきはエデン、今度はフィリス。
リアン……うらやましい奴である。
本人はそう思ってないだろうけど。
■ エデン To:フィリス |
フィリス様……少し馴れ馴れしいのではなくて? リアン様に失礼ですわ。 |
■ カルソニック To: フィリス リアン |
・・首が絞まって窒息するぞ・・(汗 リアン、大丈夫か? |
■ フィリス To:エデンさん、リアン君 |
あ、エデンさん〜♪リアン君とテンハイさんが一緒にいられることになったんです♪一緒にお祝いしてください〜♪ |
どうやら、酔っぱらっているのか、フィリスはエデンの話もカルソニックの話も聞こえていないみたいだ。
■ リアン To: カルソニック and フィリス |
な……なんとか……。 で、フィリスお姉ちゃん、さっき言ったことって本当なの? |
カルソニックの後ろにそそくさと隠れながら、フィリスにそう話しかけるリアン。
顔にはこぼれんばかりの笑みが浮かんでいる。
■ フィリス To: リアン君 |
もちろん本当ですっ♪嘘ついたらウィスプ100匹どんとこいですっ♪(≧▽≦)g …よかったねリアン君。これからもテン・ハイさんと仲良くね(^^) |
リアン君と顔の高さを合わせ、にっこりと微笑むフィリス。
■ リアン To: フィリス |
やったー! |
そういうと、リアンはフィリスにがしっと抱きついた。
う、うらやましい……。やっぱり、子供は得である。
何とか、フィリスがリアンに話を伝え終わった頃、ホルトが皆の飲み物を持ってやってきた。
何故かベストに蝶ネクタイのウエイター、もしくはバーテンスタイルに着替えている。
そして、さも分かったような顔をしてパオルに相対しながら話しかけた。
■ ホルト To:パオル、フィリス.仲間 |
パオル… おやフィリス、ジョッキが空じゃないか。もう一杯どうだ? リアンとテン・ハイのためにさ。 それと、俺達の本当の意味での勝利を祝って。 “銀の網”のおやじさんには悪いけど、今夜は少しばかり早く依頼の達成を喜んでも構わないだろうから…リーダー、頼む。 |
そう言ったホルトの手にはフィリス用の新しいカルーアミルクのジョッキと、他のみんなの分の飲み物が載ったトレイがある。
■ フィリス To:ホルトさん |
あ、それカルーアですか?ありがとうございます〜♪(*^^*)/ |
■ パオル To:ホルト、ALL |
はいは〜い。(^0^)ノ じゃあ、そこのバーテン風のお兄さ〜ん!皆さんに飲み物を配って下さいな。 |
■ ホルト To:仲間達 |
ほい、フィリスにはカルーアな。こぼすなよ、ほらしっかり持って。 そして、パオルにはこの時のためにわざわざ銀の網から持って来たサラマンダラテルだ。 ちなみに酒代はつけてあるから後で払っといてくれ。 アスタとカルソとエデンにはこれとこれとこれな。俺はこれと。 よし、リーダー終わったぞ。 |
■ パオル To:ALL |
は〜い!でわ皆さん、手には飲み物をもっていますね〜? オホン!それでは、色々とおめでたいのを祝して! 乾杯〜!!(*^−^*)/□☆ |
2度目の乾杯……今度はリアンも心から乾杯できたみたいである。
そして、祝勝会は夜遅くまで続けられた……皆の喜びを表すかのごとく。
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