Sword World PBM #35「テン・ハイ」                


「調教−新騎手決定」


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フェン家−家の中にて 
 その晩、フェンの家に、ダグ、アップルがやってきた。
アップルとリアンは別の部屋でお話をしているようだ。
フィリスとダグが現在の状況を説明した後、一行は今後の対応の相談を始めた。
■ フェン To: ALL 
 うむ。困ったことになりましたねえ。 
あいつらを官憲に訴えても、多分、そんなこといってないで終わりでしょうしねえ……。 
なんとか、ならないものでしょうかねえ……。 
 
■ ホルト To:ALL 
それはまだわかりません。 
しかし、一つ、わかった事があります。 
依頼を受けた時から可能性としては考えていたのですが、奴等はテン・ハイの賞金を目的としてないのかもしれない、ということです。 
つまり、テン・ハイを優勝出来なくすることで、奴等は利益を得る。 
そういう可能性です。 
どうやってか、また、これが本当なのか、まだ断定はしませんが… 
 
■ パオル To:ALL、ダグ 
ふむ・・・、まぁ相手としては金の為ならなんでもするって輩ですからね。 
今まで以上に警戒が必要になりますよね。 

そう言えばダグさん。確認をしておきたいのですけど。 
ダグさんを脅した三人というのは、男三人ですか? 
あとアップルさんのバイトって毎日なんですか? 

 
■ ダグ To: パオル 
 ええ、そうだが。 
この前フェンさんのところに来てたあの3人だ。 
アップルのは、一応仕事だから、週に一回休みがあるだけだど。 
 
■ カルソニック To:ALL 
相手が脅迫に対して何らかの対策を講じないとジリ貧になりそうだな。  
ここで考えられる対策は2つ。相手を退けるか、それとも相手の妨害をやり過ごしてそのまま時が過ぎるのを待つか。 
前者の場合更に強硬手段に出てくる可能性が高いが一時的に凌げる。 
だが奴等を叩いても別の輩が来るから徹底的に叩くのはマズイ。 
チームワークの悪い3人をせいぜい利用させて貰おう。 
後者の場合は相手の油断を誘えると言う事だ。 
  

俺としては相手を退けて被害対象になりそうな人を護る方がいいと思う。 
後ろ向きな考え方はイヤだしな。 
・・・どっちの手段がいいかな? 

 
■ パオル To:ALL 
つまり・・、「守りに徹するよりも打って出る」ですか・・・ふむ。 

上手く相手の尻尾を掴めたら、官憲に訴える事もできますかね? 
うーん・・・・・、ボク的にはガートランドの罪を暴いて正義の鉄槌を下したいとは思うんですけどねぇ。 

 
■ ダグ To: ALL 
 でもだ……。 
フェンさんには申し訳ないだが、おらたちが命狙われるのは勘弁ですだ……。 
いくら安全といわれてもだなあ……。 
出来れば……。 
 ダグは、カルソニックの方をちらちら見ながらすまなそうにそうつぶやいた。
■ エデン To:ダグ 
騎手になるには具体的にどのような条件が必要かしら? 
私達の誰れかで、代わりが務まるものでして? 
 
■ ダグ To: エデン 
 騎手の条件っていったら、前にも話しただが、体重が70kg以下なことがまず必要だが。 
70kg以上あったら、そりの重量が決まっているで、馬に余計に負担がかかるだからなあ。 
ちなみに、軽ければ軽いほどいいってもんでもないだ。 
どうせおもりで調整させられるで。 
それと、年が15歳以上、40歳以下なことも条件だな。 
これはまあごまかせるっていやごまかせるだがな。 
後は……、ある程度力が強くないと、馬を御することができんでつらいだなあ。 
で、条件に当てはまる人っていっだら、パオルさんとアスタルテさんとホルトさんなら大丈夫でないだが? 
まあ、前にも話したように、週3回ぐらいの練習なら数週間の訓練が必要だがなあ。 
 
■ エデン To:ダグ 
では、その三名の誰れかに騎手の訓練をして戴けまして? 
それと、ご自身の練習も……。 
これ以降は私たちの何名かが護衛致しますけれど、それでもなお危険があるようでしたら、テン・ハイには私達が乗りますわ。 
それで宜しいかしら? 
 
■ ダグ To: エデン 
 騎手の勉強だったら、フェンさんにお願いした方がいいと思うだ。 
皆は、知らないかもしれないだが、フェンさんって言えば、ダービーを勝ったり大きいレース勝ったりしていた大騎手だでな。 
 
■ パオル TO:独り言 
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・(ーー)(思案中) 
 
■ フェン To: ALL 
 そうですねえ。 
毎日特訓すれば……後3週間あるからなんとかものにはなるかもしれないですね。 
馬を御するのですから、出来る限り力強い人が向いていますが……冒険者の方なら力も十分ありますし大丈夫かもしれないですね。 
テン・ハイの方にも慣れて貰わなければいけないですから、かなり厳しい修行になるとは思いますので無理は言えないですが……。どうしますか? 
 
■ ホルト To:ALL 
…(熟考)是非お願いします、フェンさん。 
俺はカルの意見に賛成だ。 
守っているだけではいずれ限界が来る。その方法はまだ考える余地があるがな。 
そしてパオル、ガートランドに怒りを燃やすのは良いが、それは二の次だ。 
別に忘れている訳じゃないだろうが、俺達の仕事は飽くまでフェンさん親子を守ること。 
もっとも、必要があればそれも辞さない覚悟は必要だけどな。今はまだ良い。 

そしてフェンさん、このままではダグさん兄妹を守りきるのは正直、難しいと思います。 
少なくともレースが終わるまではこの先、ダグさんにここに来ない様にする訳にはいきませんか? 
勿論、畑仕事と調教は我々が引き受けます。 
不馴れなことですが、私達二人でダグさん一人分位は働けるでしょう。 
ダグさん自身、そしてみんなはどう思いますか? 

 
■ ダグ To: ホルト 
 農作業は、あんたらが頑張ってもむずかしいと思うで……。 
フェンさんが、毎日あんたらの誰かに騎手のやり方教えることになったら余計に俺がいないと困ると思うだが。 
騎手が他にいると分かったら、あいつらもあきらめるでねえか? 
 
■ エデン To:ダグ 
それでは表向きは騎手辞めて、農作業の方だけ手伝って戴きますわ。 
確かに騎手に代わりが居るとなれば、ダグ様に固執することも無いと思いますし……。 
折を見て、彼の方々が居ないときにでも練習や調教はできますでしょう? 
アップル様の方は数名で始終護衛致しますわ。 
 
■ ダグ To: エデン 
 うん。そうだな。 
別に騎手がいれば、俺ら狙ってもあいつらにはなんの得もないでなー。 
ただ、調教は、当日の騎手をあんたがたがつとめるならあんたがたがする方がいいだど。 
なあ、フェンさん。 
 
■ フェン To:ALL 
 そうだな。 
冒険者の方々なら乗馬の素養はあるでしょうし、テン・ハイもあなた方とはかなり仲良くなっていますし、毎日みっちりと朝から特訓すれば、レース当日までにはなんとかものになるでしょう。  
あと、レースが終わるまでは、汚いところだがダグもアップルもここに宿泊した方がいいかもしれんな。 
そして、夜、ダグには騎手になる方に鞭の使い方などを教えてやってくれれば大丈夫だろう。 
でも、皆さん騎手まで引き受けたりして大丈夫なのですか? 
 
■ パオル To:フェン、ALL 
ダグさんとアップルさんが、ここで泊まってくれるならありがたいですね。 
護衛もしやすいですし、騎手はボクらでやってみますよ。 
まぁ任せて下さい!なんとかやってみますんで。 

でアップルさんの護衛は引き続き行いましょうか。一応、念のためにです。 
とりあえず、やってみましょう! 
できるできないではなく。これはやらなきゃならないことですから!! 

 
 立ち上がり拳を天に向けて吠えるパオル。ちょっとあっちの世界にいっているみたいである。
 
■ フィリス To:ダグさん、ALL 
じゃあ私はアップルさんのお店…びいどろでしたっけ?そこで働かせてもらえるようにお願いしてみます。 
それなら一番身近で護衛できますし。 
 
■ ダグ To:フィリス 
 そうしてくれるだ? 
それは心強いだなあ。 
 
■ ホルト To:ALL 
(やった!)よし、それでいきましょう! 
ダグさんもそれでよろしいですか?アップルさんには後程。 
そうすると騎手はパオルが適任かな? 
3人の中じゃ一番力があるし、護衛もやりやすいだろうし、何より、テン・ハイに好かれそうな性格してるしな。 
そうだ、やらなきゃならないことなんだ!!(しっ、しまった、つられて…) 
 
■ ダグ To: エデン 
 ……う……、おらどうすればいいだ? 
今までの話だと、しばらくここにご厄介になるのはよく分かっただが……。 
 
 今まで目をつぶり、腕を組んだまま壁によりかかっていたカルソニックがゆっくりと皆に確認する様に話始めた。
 
■カルソニック To:タグ、アップル 
 やはり私の読みどおりになったらしいな(笑) 
まぁ、自分の意思とは違った方向になったかもしれんが 
あなたの妹とあなたを護る為だと思ってくれ。 
 
 何を読んでいたんだ?カルソニック!
 
■カルソニック To:ALL 
 さて・・こうなったからにはとことんまで作戦を立てさせてもらおう。 
騎手候補は俺達の中で1人選出してできる限りジョッキーとしての能力を上げる。 
これは騎手としてレースに出場するだけでなく、ダグさん兄娘のエスケープゴートする為でもある。 
だから仮想敵であるガートランドの刺客にちょっかいを出されるから単独での戦闘能力も無いと困る。 
危険な目に遇うのが確実だから心してくれ。 

そしてにダグさんの家にトラップを仕掛け、誰かが入ったらその侵入した形跡を簡単に分かる様にする事。 
これは一時的に開いた家に侵入者への警告と、侵入者に対する罰則の意味もある。 
この辺りはエデン、やってくれるな? 
そしてそのトラップへのチェック毎日忘れずにする事も大切だ。 

あと、アクーニョとか言う女へコンタクトを取って、奴等の情報を再確認する事・・。 
これは奴等が俺達を引っかける餌なのかもしれないから十分注意すること。 
情報源としては最大になる可能性も高いから・・これもエデン、お願いできるかな? 
もし、他に何かやらなければならない事があるなら言ってくれ・・・。 

 
■ エデン To:カルソニック > ダグ 
承りました。それでは昼間、ダグ様のお宅に行って参りますわ。 
けれど、アクーニョ様とお会いするのは難しいですわね。 
彼方にいらっしゃれば伺ってみますけど……アクーニョ様次第ですわ。 

ダグ様は貴重品と生活に最低限必要な物を此方に移して戴けまして? 
それと、農具の一部をお借りしますわ。 
着替え等は私が毎日此方までお届け致します。 

 
■ ダグ To: エデン 
 わかっただ……。じゃあ、このあと取ってくるだ。 
 
 というわけで、一行は今後の護衛体制や対ゴロッキー一味の為の戦術をこの日遅くまで練った。
その結果、次のような体制となった。

騎手の特訓−パオル
特訓の付き添い−アスタルテ
アップルの送り迎え−カルソニック、ホルト
日中のダグ家の見張り−エデン

である。
そして、フィリスはというと、アップルと一緒に「びいどろ」でウェイトレスを始めることとなった。
これで「びいどろ」の、独身男性客も倍増である。
また、エデンの卓越した技術によって、ダグ家周辺に罠がいくつも仕掛けられていった。
最も大きな罠は、馬糞を中にたんまりと敷き詰めた落とし穴である。
こうして、ダグ、アップルをも巻き込んで、対ゴロッキー一味対策は行われることとなった。
また、ダグは、その間3週間は毎日フェン家で農作業をすることも決定した。
ちなみに、夜は、アップルとリアンが一緒に寝て、ダグとフェンは冒険者の部屋で寝ることとなった。
一部の期待していた冒険者には残念なことである。

 
■ ホルト To:カルソ、エデン 
トラップって…俺は気が進まないな。 
こちらに侵入の有無がわかる様なものだけで十分だと思うぞ。 
むしろ、下手に奴らを怒らせる危険の方が大きい。血の気の多そうなのもいることだし… 
それとエデンがアクーニョと接触するのはお勧め出来ない。今までが今までだしな。 
ついでに、今彼女がどうしているのかは知らないが、奴らと縁を切ったとしても、だからと言って我々に情報を漏らす理由がない。逆の理由はあってもな。 
しかしまぁ、このままではどうしようもないのも事実だ。 
ダメもとで当たってみるのも手か… 
 
■ エデン To:ホルト 
あら?私、アクーニョ様は嫌いでは御座いませんわ。 
相手がどう思っていらっしゃるかは別ですけれど……。 
 
■ カルソニック To:ホルト、エデン 
 ・・・いや、相手が不法侵入した時点で官憲に訴えて相手より上位の立場になれると思ったからトラップを仕掛けようと思ったんだが・・。 
トラップと言ってもブービートラップや他にも致死力の無いトラップを仕掛ける事も考えればいいしな。 
その辺りはスペシャリストであるエデンに任せようと思う。あくまでも作戦の提案さ。あと、アクーニョに対しては・・罠だと言う可能性は否定出来ないのだが・・・・ 
「理由が無いのなら作ればいい」それだけの事・・・。金で買収するなり何なりと・・・。こんな所でどうだい? 
 
■ パオル To:カルソニック、エデン 
ちょっと待って下さい。買収するにもボクらにそんな余裕はありませんよ。 
アクーニョさんにしてみても、信用をはした金で売ろうとはしないんじゃないんですか?あと不法侵入をリッショウするのは難しくないですか? 

そのへんはエデンさんの意見を聞きたいですけど。 

 
■ エデン To:おおる 
ダグ様さえよろしければ、罠は作りますわ。 
ダグ様が御不在と知れば、ダグ様のお宅に何をするかわかりませんし……。 
彼らの罪はともかく、私共に協力して下さるダグ様の財産は守るべきだと思いましてよ。 
 
■ ダグ To: エデン 
 罠はあとで取っ払ってくれるなら問題ないだよ。 
よろしくおねがいしますだ。 
 
■ ホルト To:ダグ、フェン 
 それでは明日の朝にでも、ダグさんのもう一つの勤め先の家の方に事情を説明しに行くのが良いでしょう。 
元々私達が言うべきことでもありませんし、非常に差し出がましいとは思いますが… 
 
■ ダグ To: ホルト 
 それは、明日自分で話に行くだよ。 
フェンさんの家が忙しいんでしばらくいけないっていったら大丈夫なはずだで。 
 
 というわけで、その日からダグとアップルはフェンの家に泊まり込むことになったのであった。

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