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帰還の途 |
翌日。
■ レナ To:みんな |
おねぃちゃんたち、元気でね〜!また来てね〜 |
■ ベッキー To:みんな |
お歌とかお話とか、いっぱい覚えておくから、 ぜ〜ったいまた来てね!約束だよ〜 |
子供たちが村と森の境まで見送りに来た。
■ リグ To:レナ&ベッキー |
うん、わたしも今度来る時には色んな歌を覚えてくるから歌いあっこしようね。
じゃ、まったね〜♪ |
■ 子供たち To:みんな |
まったね〜♪ |
■ ジル To:独り言 |
(結局、最後まで何を言ってるのか全然わからんかったのぉ。。。。) |
リグと村の子供たちの東方語でのやり取りに、こっそりそう思うジルであった。 東方語、勉強しようね。
村を出てしばらく歩くと、小さな泉とそこから流れ出す小川を渡った。 リグの腰の水袋がちゃぽんと弾む。
■ リグ To:おおる&ぎょびちゃん |
この泉だったらぎょぴちゃんを放してもいいかな。 遺跡の泉にも良く似てるみたいだし。 (水袋がちゃぽんちゃぽんとさらに弾む) はいはい、いま出してあげるからね。 元気だなぁ、この子は(^^) |
リグは、水袋をはずして泉に向かう。 カナル、焦る。
■ カナル To:リグ |
(やばい! 金ヅルに逃げられ……もとい、こんな所で
暴れられたくないぞ) リグ、放すのは待て。 ……そいつは魔法の生き物だ。下手にこういうところに 放すのは良くないぞ。 どういう物を食べているかも分からないし、きちんと 学院の方に渡した方が良い。 この金魚が飢えて死んでしまうのは可哀相だろう? |
泉に向かう足が止まった。
■ リグ To:ぎょぴちゃん&カナル |
そっか、普通の金魚に見えるけどぎょぴちゃんはラングドーフさんが造ったんだもんね。 でも、学院に持っていくと、この子って解剖とかさないかなぁ。 ちょっと心配。 あっ、でも、バイナルさんなら大丈夫かな。 優しそうな人だったしね。 |
■ カナル To:リグ、おおる |
(優しくても独身だけどな……いや、優しいから、か?)<関係ない リグがお願いすれば、大丈夫なんじゃないか? さて、さっさとオランに帰ろうぜ。 |
■ ジル |
ワシもそろそろオランのエールが恋しくなってきたわい。 みんな、いくぞい。 |
リグが水袋を戻すのを確認して、ジルから号令がかかる。再び歩き出す一行。
歩きながら、スレイは思う。
■ スレイ |
(…カナルの思惑が手に取るように分かってしまう自分って…(汗)) 成長したなぁ…(しみじみ) |
カナルの後ろで、一人肯くスレイ君だった。
■ カナル |
(なんだか知らないが、首筋に薄ら寒さを感じる……。 誰か、良からぬ事でも考えてるな……) |
こうして DreamWeaver 達は、遺跡で拾った魔法生物を伴ってオランへの家路についたのであった。
図書室 |
オランはいつもと変わり無く一行を迎えた。 銀の網亭もいつもの通り、変わらず開店していた。
オランに戻った後、スレイは 1 週間ばかり鼻歌混じりに学院の図書館に通った。遺跡ではわからなかった事を調べるためだ。
■ スレイ |
(小声)らら、る〜♪知識がわたしを〜よ・ん・で・い〜るぅ〜♪♪よ・ん・で… …おっ、これにも書いてあるかな?(^^) |
あちこちの棚からいろいろな本を引っ張り出して来ては積み上げていく。側を通る司書に時々コワ〜い目でにらまれる。
■ ユージア To:スレイ |
…ちゃんと元の場所に戻せるんでしょうねぇ? |
■ スレイ To:司書のおねーさん |
番号も貼ってありますし大丈夫ですよ〜。 …たぶん。(うぅ、そんなにジっと見ないで下さい〜) はぁ、まぁ善処しますです、ハイ…(^^; |
最初に調べたかったのは、そこら中にあったのに最後までよく分らなかった遺跡の「模様」のことだ。ラングドーフの日記には「巨人の遺跡」と書かれていたが、はたしてどういうことなのだろうか?「巨人」「遺跡」をキーに、片っ端から本を読み漁ったところ、次のような事がわかった。
魔力を封じ込める為のまじないの働きをする図案があるらしい。模様のパターンを解析すればその効力を失わせることができるので、新しい模様が見つかればかなりの価値があるだろう。
しかし、あの遺跡の模様がそれに該当するのかどうかは、残念ながら不明だった。
■ スレイ |
へぇ、模様を描くだけでだけでそんな事ができるんですか…ふむ。 もしかしたら、 ディナンの魔法が地上に届かなかったのはこれが関係しているのかも…… ………あの巨人の遺跡はすごい発見なのかも知れませんねぇ。 |
そして、次はラングドーフのことが何かの文献の端にでも出ていないかと調べ出した。バイナルの部屋で見た女性の肖像がラングドーフであると信じ、またもや本を読みまくる。ディナンとデュナンのことも載っていないかなと思いつつ。
すると、バイナルの部屋にあったはずだった(見つからなかった)資料の原本が出てきた。これは追放の訴状のようだ。空中都市レックスの太守の印がついてある。
グラスランナーや蛮族を「使用人」と称してレックスに上げたことにより、レックスに住む権利を剥奪、追放に処すとの内容だった。
ラングドーフが男性である事もこの書類からわかった。
■ スレイ |
な、なんですと?! <( ̄□ ̄;) |
実はラングドーフは「彼」であったことに驚愕のスレイ。じゃあ、バイナル氏の部屋にあった女性の肖像はいったい…?あとで本人に聞いてみようと心に誓うのであった。
魔力付与師としてのラングドーフの業績については、上記の事情によりほとんど残っていなかった。ようやく見つけたのは「潤いの小剣」「乾きの小剣」の 2 つに関する記事。 乾きの小剣が吸込んだ水分を潤いの小剣が放出するというもの。乾きの小剣は自分に一番近い場所から水分を吸収するらしい。人が持っていれば人から、そうでなければ空気中から。吸収できる量に制限はなく。コマンドワードでコントロールできる。
■ スレイ |
「潤いの小剣」に「乾きの小剣」ですか…、使えますね。 これがあれば、池だろうが河だろうがすぐに造ることができる…。 やっぱりすごい魔術師さんだったんですねぇ。 |
他にはラングドーフに関する資料は一切見つからなかった。
次に、過去に魔法を使ったグラスランナーがいないかなどについて、文献を調べた。 なぜグラスランナーであるディナンが魔法を使えたのかを解明したい。
しかし、「コモンルーンを持ったグラスランナーは脅威である」というようなことは書いてあったが、生来の能力で魔法を使ったものについては記録がない。
呪いや憑依だとかその他の要因があって魔法を使えるようになった場合はありえる、とのことだった。
■ スレイ |
『シーリング・ミラー』に入っていて、魂だけだったからでしょうかねぇ… |
これについては、もはや推測するしかない。
そして、どうして魔法が使えない種族がいるのか等が書いてある本が見つからないかと探してみる。
これについては、「神様がそう決めたから」と書いてある宗教書があっただけ。
■ スレイ |
あう…(^^; これはバイナルさんの研究に期待をするしかありませんね〜 |
それがわかれば世紀の大発見だ。
はてさて、バイナルが謎を解くのはいつのことやら…
バイナル研究室 |
後日、DreamWeaver は揃って再びバイナルの研究室を訪ねた。 相変わらず部屋は散らかり放題だ。まだ助手が帰って来ていないのか、それとも元々こうなのか…
訪ねてきた一同を、バイナルは喜んで迎えた。
■ リグ To:バイナル |
バイナルさん、こんにちは〜(^^) 無事、帰ってきました〜。 |
■ バイナル To:ALL |
おぉ、諸君か。よく無事に帰ってきた。まあ入りなさい。 |
女性は椅子に、男達は適当に本や箱の上にでも座らせて、バイナルは嬉しそうに話しかけてくる。
■ バイナル To:ALL |
さて、どうだったね?夢の先には何かあったかね? (^^) |
待ってました、とばかりにカナルが切り出す。
■ カナル To:バイナル |
ええ、いろいろと有りましたとも。 門を作り出すグラスランナーや、謎の緋紋など、いろいろと。 |
■ スレイ To:バイナル |
そうそう、いろいろ有りましたよ〜♪(にま) |
長い付き合いですっかりカナル色に染まってしまったスレイが肯く。
■ リグ To:バイナル |
いっぱいありすぎて、整理するのが大変だね。(にこ) 何から話したら良いんだろぅ。 |
リグだけは悪徳商人達とは違った微笑みを浮かべている。 バイナルは興味深げに膝を進める。
■ バイナル To:リグ、スレイ、カナル |
ほほぅ、それは一体どういうことだね?ぜひ詳しく教えてもらいたいな。 |
■ カナル To:バイナル |
その前に……。 今回の我々の探索を、学院の探索に於ける事前調査と言う形には していただけませんでしょうか? このようにしっかりと結果の出た調査ならば、無駄な調査費を 費やすよりはずいぶん学院側としても有益であると思いますが。 いかがでしょう? |
やっぱり出た…。これが名物、カナルの舌先三寸。
■ バイナル To:カナル |
ふむ…。 ということは、まだ学院が調べる価値があるものが残っているということだな? それは確かに興味深い。で、どのような情報を提供できるのだね? |
■ カナル To:バイナル |
提供できます情報は、古代王国期の遺跡の場所についてです。 それ以上は、情報を買っていただきたいのですが。 |
■ バイナル To:カナル |
…お主、研究者より商人にでもなったほうがよいのではないか?(汗) |
■ カナル To:バイナル |
よく言われます。 |
澄ました顔で、面白くもなさそうに答えるカナル。 バイナルはしばらく悩んでいたが、この申し出を受ける事にしたようだ。
■ バイナル To:カナル |
おほん! 仕方ないな。 では提供できる情報をレポートにまとめて提出してもらおうか。 後日で良いぞ。 そのレポートのインデックスとそちらの言い値で最終的な買い取り料を 決めさせてもらう。それでよいか? |
■ カナル To:バイナル |
かしこまりました。 それと、その遺跡で少々変わった生き物を……。 |
■ リグ To:バイナル |
そうそう、すごく可愛いんだよ。 |
リグの目が輝く。魔法生物の金魚を連れてきていたのだ。
カナルは、この生物について下位古代語で説明した。 せっかく金魚を可愛がっているリグにその本当の姿を知らせて悲しませたくないからだ。
だから、バイナル。余計なこと言うなよ……。
と心の中では祈っていた。祈りは通じたらしい。
■ バイナル To:カナル |
魔法生物とな。ううむ、どうも私はそういうものに縁があるらしいな… それで、その金魚とやらはどこにいるのだ? |
ずいぶん前に、やはり知性と人格を持った魔法生物で苦労したことを思い出すバイナル (この辺の事情については、シナリオ#02 参照)。
■ カナル To:バイナル |
こちらに……。 |
と言って、リグを示す。
■ バイナル To:リグ |
どれどれ、ちょっと見せてもらえるかな? |
■ リグ To:バイナル |
はい、この子だよ。 |
水袋を差し出すリグとバイナルの間をさりげなく遮るように、カナルが身を乗り出す。
■ カナル To:バイナル |
この生き物も、学院で引き取っていただけないでしょうか? そういったお約束を頂けるのでしたら、バイナル師にお渡しいたします。 |
■ バイナル To:カナル |
そうだな、いくら金魚とはいえ野放しにしておくわけにはいかないだろう。 では、私が預かろうか。袋をよこしなさい。 |
■ リグ To:バイナル&ぎょぴちゃん |
お願いします、バイナルさん。 よかったね、ぎょぴちゃん。 |
■ スレイ |
(そういえば、狂暴化したところは見ていませんねぇ・・・) |
スレイは、バイナルの手が滑って袋を落とさないかと、ジーっと見ている。 が、先程カナルから下位古代語で注意を受けていたバイナルは、細心の注意でそれを取り扱った。水袋の口を開けてのぞきこむ。
■ バイナル To:リグ |
ギョピチャン…という名か。ふむ。 では確かに預かったよ。 |
危険な(?)魔法生物も無事片付き、遺跡に関するレポートを提出すれば報酬ももらえるようだ。これで一安心。
■ スレイ TO:バイナル |
そうそう、バイナルさん。最近ラングドーフについて調べていてわかったんですけど、
ラングドーフって男の人だったんですね。 ということは、この前あった女の人の絵は一体なんだったんですか? いろいろ書いてありましたけど? |
■ バイナル To:スレイ |
グ…グォッホゴホゴホゲホ…。 なななな、何でもない。君は知らんでよいことだ。 |
どうやら、お見合いは上手くいかなかったらしい…
■ スレイ TO:バイナル |
そうですかぁ?わたしの耳が”何かあるっ?!”って言っているんですけどねぇ・・・。 じーーーーーーーっ (−−)> |
スレイの耳がピクピクしている。 バイナルは、スレイにじーっと観察されて冷汗だらだら。
■ バイナル To:スレイ |
(だらだらだらだらだらだら) |
■ スレイ TO:バイナル |
ま、いいです。今度遊びに来てもいいですか? バイナルさんのしている事を詳しく聞きたいんです。 いっぱい勉強してきますからっ♪(^^) |
真意は「バイナルの研究の事を詳しく聞きたい」だったが、あらぬ方に誤解するバイナル。
■ バイナル To:スレイ |
わ、私の事?なな、何の勉強をするというのだ…?(汗) |
■ スレイ To:バイナル |
ふふふふ…頑張りますよぉ(^^) |
スレイ、バイナルに精神的ダメージを与える…。
バイナルは「早く結婚しよう」と心に誓うのだった。
怪しいエルフにあーんなことやこーんなことをされる前に…
後日談 |
約束どおり後日、DreamWeaver からバイナルへ遺跡に関するレポートが届けられた。どうやら言い出しっぺの法則でカナルが中心にまとめたものらしいが、他のメンバーの手出し口出しによりかなり充実したレポートに仕上がったらしい。
バイナルは一読し、これに破格の 3000 ガメルという値段をつけた。さらにカナルの口車で 100 ガメル上乗せさせられた。
カナルがこっそり拾っておいたシーリング・ミラー。鏡の部分は砕けてしまってもうないし、魔力も失われている。が、これには巧妙な細工の枠が付いていた。300 ガメルにはなりそうだと持って帰ってきたのだが、これが古道具屋に 296 ガメルで売れた (4 ガメルは負けさせられたらしい)。
遠く離れたヤッファーの地では、今も崖の上を風が渡っている。
遺跡は、冒険者たちの開けた穴によって次第に風化して行くだろう。
しかし、ラングドーフとお供のグラスランナーの伝説は、確かな形となって未来に残るだろう。そして、そこには新たに DreamWeaver の伝説が付け加えられることになるのだ。
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