砦本館 2階 使用人室 2nd Day 15:40- |
セレンは使用人室で横になっていた。
熱は引いてますが、まだ疲れが残っている様子。
部屋に人が入って来ると、目を向けて来る。
会話をしても大丈夫そうである。
■ フェリオ To:セレン |
セレンちゃん・・・起きてたのか・・・。 具合はどう? |
■ セレン To:フェリオ |
もう大丈夫です。 甘えて、寝かせてもらってますけど(^^; フェリオさん、煙突掃除でもしたんですか? |
煤だらけの姿を見て聞いてくる。
■ フェリオ To:セレン |
ん、いや・・・ウォルクライを殺してきたんだよ・・・。 彼がみんなを誘拐した犯人だったんだ。 だからコレットや・・・他の行方不明になった人達を助けに行ったんだけど・・・・・・・・・。 |
重苦しい沈黙。
■ セレン To:フェリオ |
だけど? |
■ フェリオ To:セレン |
俺は・・・・・・誰一人助ける事は出来なかった・・・・・・。 結果的にウォルクライを殺しただけの・・・ただの人殺しだ・・・。 すまない・・・。 |
突然の宣告に戸惑うセレン。
■ セレン To:フェリオ |
コレット、助ける事が出来なかったってどういう事? …あ。これ、夢だよね…。 風邪の熱で、変な夢見てるんだ。そうだよね? |
言いながら、涙がこぼれる。
■ フェリオ |
・・・・・・・・・。 |
■ セレン |
変な夢。 コレットは、ひょっこり戻って来るんだから、何も…なにも泣く事なんか無いのに。 |
フェリオから目を逸らして、止まらない涙をシーツで拭く。
■ フェリオ To:セレン |
彼女が何を言いたかったのかはわからないけど・・・消える直前に彼女は『箱庭の夢』って言ってた。 それがコレットの最後の言葉だったよ・・・。 |
フェリオはコレットの今や遺品となった所持品の入った袋を回収する。
■ フェリオ To:セレン |
これ・・・借りて行くね・・・。 |
だがフェリオの確認に、ただすすり泣く音だけが聞こえ、返事は返って来なかった。
砦本館 2階 廊下 |
使用人部屋から出てきたフェリオは扉の前に立っていたアルスと出会う。
■ フェリオ To:アルス |
アルスさん・・・。 今、彼女を支えられるのはあんただけだ。 彼女を護ってやれよ・・・。 |
■ アルス To:フェリオ |
ああ。一人じゃ立ち直れないだろうからな…こういう時は。 |
アルスはそう言って部屋に入って行った。
■ アルト To:フェリオ |
……お疲れフェリオ。 辛い役やらせて……ごめん。 |
フェリオの方を見て俯く。
砦本館 2階 使用人室 2nd Day 15:50- |
セレンの泣き声が止み、アルスが部屋から出て来る。
■ アルス To:フェリオ、アルト |
泣き疲れて寝たよ。 俺達やウォルクライより、自分を責めてるみたいだな…。 |
■ フェリオ To:アルス |
そっか・・・。 |
■ アルス To:フェリオ、アルト |
俺を恨んでくれれば楽なのにな。 |
■ アルト To:アルス |
……恨まれたいなら、これからもっと彼女を大事にしてあげなよ。 あまりに幸せ過ぎて、コレットに申し訳ない…って文句言われるくらいにさ? ………セレンのこと、後は頼んだよ。 |
■ アルス To:アルト |
大事に、か。 何が俺にできるか、考えてみるけどよ。 |
安請け合いになりそうなことだけにさすがに即答はしなかった。
ロスフェル市街 城跡 箱庭 2nd Day 16:10- |
箱庭の前でたたたずむジーク。
■ ジーク |
箱庭の夢・・・・。 ウォルクライは彼女たちにあんなに酷いことまでして・・・・・。 いったい何を追い求めていたんでしょう? |
先日と変わらず無邪気に子供達が遊ぶ声が遠くに聞こえてきた。
そして箱庭は箱庭で、もちろんジークの問いのは答えず、ただそこにあるだであった。
■ ジーク |
・・・・・この街の人間ではない私には、わかるはずもないですかね? |
――と、誰かが突然後ろから目隠しをして来ます。
■ 女の声 To:ジーク |
だーれだ? |
■ ジーク To:女性 |
おわっ リュ・・・・・セラさんじゃないか(^^; え〜と・・・・どなたでしょう(^^; |
■ 女性 To:ジーク |
リュ? |
手が外された。
振り向くとティアードが立っている。
■ ジーク To:ティアード |
ティアードさんでしたか(^^;; |
■ ティアード To:ジーク |
独り寂しそうに、何考えてたんですか? |
■ ジーク To:ティアード |
いえいえ(^^ゞ これに見とれていただけですよ。 |
模型を示す。
ちらりと見て、
■ ティアード To:ジーク |
これ、箱庭って言うんですよね。 地震で幻になった、未来の街…。 |
■ ジーク To:ティアード |
未来の街・・・・ですか・・・。 でも、奇麗ですよね。いつかは本当にこのような街になるんでしょうか? |
■ ティアード To:ジーク |
…私に聞かれても(^^; ルドラ様に聞いてみてはどうです? ただ――。私は綺麗な街でなくても、今のこの街の方がただの模型よりずっと素敵だと思いますよ。 |
■ ジーク To:ティアード |
そうですね(^^ 理想の街より今の、人の住む街の方がずっといいです。 |
■ ジーク To:ティアード |
ところでティアードさん、どうしてここに来られたんですか? |
■ ティアード To:ジーク |
……。 女の子には色々秘密があるんです。ジーク様。 詮索すると、嫌われます。 |
教えてくれない。
■ ジーク To:ティアード |
これは失礼しました。 でも人に会えてほっとしましたよ。 やっぱり一人で感傷に浸るのは・・・・・性にあわないようですので。 |
■ ティアード To:ジーク |
えぇ(^^; こんな天気の良い日に、感傷に浸るというのはもったいないです。 |
■ ティアード To:ジーク |
では、用件も済んだのでお先に戻りますね。 眺めるのに付き合うのは、リュなんとかさんでないと駄目のようですから。 |
■ ジーク To:ティアード |
えっと・・・・(^^; ・・・・・・リュセラさんではないんですか?(^^; |
それを聞いてティアードは溜め息ひとつ。
■ ティアード To:ジーク |
…もし、私がリュセラさんならこう言うと思います。 「聞かないと判らない?」と。 ――では、失礼します。 |
■ ジーク To:ティアード |
わかっていても言葉で確認したいこともあるのですよ(^^ 私は、言葉を音に載せて歌う吟遊詩人ですから。 また・・・・砦で。 |
■ ティアード To:ジーク |
判っていて聞く時は、自信を持って下さい…。 |
ちらっと振り返ると、そう言って帰って行った。
ロスフェル市街 貧民街 2nd Day 16:20- |
ヴェア、アルト、フェリオ、エデンの4人は、アルスの案内でコレットの実家に向かう。
アルスは歩きながら、
を話してくれた。
- 母親の名前は「イーシャ」という事。
- 父親は出稼ぎに出て、音信不通らしい事。
- コレットに兄弟姉妹は居ない事。
■ アルス To:全員 |
セレンは前から、 "もしコレットが戻って来なくても、その事を彼女の母親には絶対に伝えないで" と言ってたな…。 |
■ フェリオ To:アルス |
それはわかってるよ。 コレットがいなくなったら・・・独りっきりになっちまうもんな。 言える訳ねぇよ・・・。 |
■ フェリオ To:えでん(猫) |
・・・・・・言うなよ。 |
エデンに釘を刺しておく。
■ エデン To:フェリオ |
……そう……判りましたわ。 つまりは「これから皆でコレット様のお母上を騙しに行く」と……そう言うわけですのね? |
■ フェリオ To:えでん(猫) |
あぁ、そうだよ、騙しに行くんだ。 |
■ アルト To:全員 |
騙す……か。 やっぱ、気が重いね。 ……でも、一人娘の死を母親に知らせるべきかどうか…… それを決定する権利は、コレットのことを何も知らない私たちよりも、親友だったセレンの方が持ってるのかもしれないね…。 |
■ エデン To:フェリオ |
何か釈然と致しませんけれど、皆様がそう仰るなら異存はありませんわ……。 |
アルト達はコレットの実家があるというロスフェルの貧民街へと足を向けた。
ロスフェル市街 貧民街 コレットの実家 |
コレットの実家は、粗末なバラックの狭い1室であった。
開いている扉(又は窓)から、イーシャが1人、室内で糸巻きの内職をしているのが見える。
アルトは外から、開いている扉をノックした。
■ アルト To:イーシャ |
初めまして。……仕事中に突然、悪いね。 私の名前はアルト。 コレットって娘の事で話があるんだけど……ちょいとお邪魔してもいいかい? |
■ ヴェアリアス To:イーシャ |
はじめまして…………あ、通じてない……? |
最初、共通語で話し掛けても意味が通じない様子であった。
東方語で言い直して初めて通じる。
座ったままで「どうぞどうぞ」、と歓迎される。
来客の中にアルスの姿を認めるイーシャ。
■ ヴェアリアス To:イーシャ |
…………。 あ、あの言いにくいことが……。 |
■ イーシャ To:アルト 東方語 |
娘は、元気でお勤めをしてるんでしょう(^^) 様子はどうだい。頑張ってお役に立ってるかい? |
■ ヴェアリアス To:イーシャ |
………え、……あの……その。 (い、言えない………)(/_;) |
■ えでん To:イーシャ 東方語 |
コレットにゃんは元気にゃん。 いつも一生懸命働いてるにゃ〜。 でも忙しくてあまり帰れないから、お母さんの様子を見て来て欲しいと頼まれたにゃ。 |
■ フェリオ To:イーシャ 東方語 |
まぁ、こんな大人数で来ちゃ邪魔かとも思いましたけど。 街を見て回りたかったもんで・・・。 コレットちゃんは・・・元気に働いてますよ。 |
■ イーシャ To:全員 東方語 |
こんな所までわざわざ(^^ コレットが外で働くと言った時には心配しましたが、大丈夫そうで。 …あの子を働かせてくれて、ルドラ様には本当に感謝してます。 |
■ イーシャ To:全員 東方語 |
そうそう。 砦からは先程も人が来たんですよ。 娘の代わりにと、今月も結構なお金を届けてくれて…。 丁度、入れ違いでしたね(^^; |
■ えでん To:イーシャ 東方語 |
にゃ〜? 毎月来てるにゃん? 使用人の服装をしていて眼鏡をかけた女の子かにゃ……? |
■ イーシャ To:エデン 東方語 |
ああそう。眼鏡を掛けてたね。 初めて見る娘だったけど、砦で働いてるって。 |
■ アルト To:イーシャ 東方語 |
ティアードの事だね。 ……コレットも、ここには時々戻って来てるのかい? |
■ イーシャ To:アルト 東方語 |
次は仕事を覚えるまで帰らないと言っていたから、まだ少し掛かりそうだね(^^; |
■ アルト To:イーシャ 東方語 |
そっか………。 でも、コレットの母さんが元気そうで良かったよ。 コレットも、聞けばきっと安心するんじゃないかな…。 |
少し微笑んで、
■ アルト To:仲間 > イーシャ 東方語 |
さて……あまり長居しても悪いし、そろそろお暇しようか。 突然邪魔して、すまなかったね。 |
一行は、コレットの実家を後にした。
ひな鳥亭 2nd Day 16:40- |
箱庭を後にしたジークはその足でひな鳥亭へと向かった。
もはや通いなれた感のある店の中へと入る。
■ ジーク To:エスト |
こんばんわ。 |
■ イーバル To:ジーク |
オハヨー。 |
■ ジーク To:イーバル |
はい、おはよう(^^ |
■ エスト To:ジーク |
あれ、どうしたの? |
■ ジーク To:エスト |
いえ、明日発つことになったのでご挨拶にと。 |
■ エスト To:ジーク > オリバー |
昨日の夜、そう言ってたっけ。 残念…。暇なら毎日来てもらって、歌唄ってもらうのに。 ね、オリバー。 |
最後は、床に寝てる犬に向かって。
■ オリバー To:エスト |
ワゥッ。 |
■ ジーク To:エスト、オリバー |
毎日歌うほどのものでもありませんけど(^^ゞ でももし冒険者失業したときは、よろしくお願いしますよ(^^ |
■ オリバー To:ジーク |
ワォーン。 |
■ エスト To:ジーク |
何時でも来いって。 |
■ ジーク To:エスト、オリバー |
はは、ありがとうございます(^^ |
■ エスト To:ジーク |
良かったら、座って休んでいって(^^) 何か飲んで行く? |
■ ジーク To:エスト |
いいんですか? ではお言葉に甘えて・・・エールをいただけますか?(^^) |
■ エスト To:ジーク |
いいんです。 代金は前払いでもらってますから。 |
注文のエールを持って来る。
■ ジーク To:エスト |
前払い・・・ですか?(^^; 何方が? |
にこにこ笑うだけで、答えてくれなかった。
ジークは不思議そうな顔をしつつもエールを口へと運んだ。
ロスフェル市街 2nd Day 16:50- |
イーシャの元を訪問した後。
アルトは、明日コレット達の墓に供える花を求めた。
――寂しげなお墓が明るくなるような、綺麗な色の花を。
路上の花売りが見せる中から、百日草を選ぶアルト。
合わせてかすみ草も付けてもらい、砦に持ち帰った。
ひな鳥亭 2nd Day 17:05- |
エストは親父に呼ばれて、足りない食材の買い出しを頼まれていた。
親父さんは、線の細い優男である。
■ エスト To:ジーク |
ね、まだ店に居るよね? |
■ ジーク To:エスト |
すみません。砦で仲間達が待っていますので、今日はそろそろ引き上げます。 |
■ エスト To:ジーク |
そうなんだ。 なら、またね(^^ |
エールの杯を片付けながら、見送ってくれた。
■ ジーク To:エスト |
ええ、ではまた(^^ |
ひな鳥亭を出たジークは、道端でランヤンパを売る屋台に寄った。
夕食代りに幾つか買い求め、砦に戻る。
砦本館 1階 食堂 2nd Day 17:50- |
夕食前に厨房に行くアルト。
夕食の準備をしているティアードに、声を掛ける。
■ アルト To:ティアード |
えっと………悪いけど、今日の夕食は遠慮させてもらうよ。 出来れば、飲み物だけもらって行きたいんだけど…良いかな? |
置いてある酒の瓶を指差して聞く。
ティアードは肯いた。
砦本館 屋上 2nd Day 18:00- |
酒と残っていたランヤンパを手に、夕焼け空の下で溜め息を付く。
■ アルト |
ふぅ………。 黄昏の城、とはよく言ったもんだねぇ…。 これでようやく一仕事終わったって言うのに、酒が全然美味しくないよ……。 |
夕焼けを眺め、城と一緒に黄昏るアルトであった。
砦本館 1階 食堂 2nd Day 18:00- |
ショックの抜けてないトーラ、対照的に元気なティアード、そしてエデン。
3人だけで1つのテーブルを囲む。
ルドラやアルスの姿はない。
2日目の夕食は昨晩とはうって変わって質素な物であった。
本日死亡者5名、炊事に回す充分な水が無い、セレンはまだ休養中、という 3つの理由に因るもの。
メニューは焼き物、炒め物中心である。
■ エデン To:トーラ |
(……辛気くさい食卓ですわね……。) ……トーラ様……あまり思い詰めない方がよろしくてよ……。 貴女がしっかりしていませんと明日から御領主様が困りますわ。 |
■ トーラ To:エデン |
そうですね。 明日も仕事はありますし。 |
黙って食べる。
ティアードは食べていて(口に物が入っており)、何も喋らなかった。
砦内 離れの塔 1階 2nd Day 18:30- |
夕食後。
エデンとヴェアリアスだけがフォンの住まいを訪れた。
■ フォン To:冒険者達 |
来たか。 報酬は約束の額、用意している。 これだ。 |
銀貨の入った袋を出します。
前金 300ガメルを除いた残りの報酬、1,200ガメルです。
■ エデン To:フォン |
(ちょっと確認して) 確かに受け取りましたわ……。 |
■ ヴェアリアス To:フォン |
そういえば……仕事で来てたのね。 なんだか依頼受けたのが、遠い日のことみたい。 |
■ フォン To:冒険者達 |
まだ、何か用事はあるか? |
■ ヴェアリアス To:フォン |
帰りのことだけど……。 オランまで馬車を用意してくれないかしら? |
■ フォン To:ヴェアリアス |
徒歩で帰ってもらうのも悪いな。 ルドラ様に話しておこう。 |
■ ヴェアリアス To:フォン |
それと……寄りたいところがあるの。 |
■ フォン To:ヴェアリアス |
遠くなければ寄ってやれるだろう。 |
■ ヴェアリアス To:フォン |
………お願いしますね。 |
そう頭を下げて二人は、離れの塔を後にした。
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