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「砂漠の花亭・個室」 |
宿まで帰り着いた一向は、サラの事を気遣い、宴会を自分達の部屋で行う事にした。
下で食べ物と酒を買って、一番広いロッドの部屋へ集まった。
■スレイ To:ロッド |
ロッドさん、例の杖を見せてもらえます? |
飲みながら、ふと思い出したようにスレイが言った。
目が好奇心で輝いている。
ロッドは部屋の隅に置いていた杖を持ってくると、気軽にスレイに手渡した。
スレイはしばらく調べた後・・・
■スレイ To:ロッド |
う〜む、死者をアンデットにしてしまうなんて、やっぱりすごい杖ですね。 この杖を保管するの人も一苦労でしょうね。 近くで生き物が死なないようにしないと(^^; |
そう言って、不死鳥(フェニックスではない)、不死ミジンコ等を想像し、 パニックに陥った。
■ロッド To:スレイ |
全くね。 あの盗賊も、よくこんな杖を盗んだものだと思うよ。 帰り道は、荷物も増え、心配事も増え、行きより大変になったな。 |
”荷物”とはサラの事らしい。
そのサラはと言うと、窓から顔を覗かしてルーイェンの街並みを見ていた。
・・・・・・いや、違った。屋根に登った猫を見て、何か考えているようだ。
話題はスキュラに移った。
■スレイ To:ALL |
それにしても、スキュラが起き上がってきた時にはビックリしましたね〜 |
■リグ To:みんな |
あの時ティトル姉ちゃんも言ってたけど、私達ってもう一度動き出すものに縁があるよね。 やな縁だけど。 |
(GM注:これはシナリオ#12を参照)
こうして夜は更けていった・・・。
「砂漠の花亭前」 |
翌朝、ロッドは一足先にルーイェンを立つ事にした。
危険な杖を一刻も早く父に渡したいのだ。
既に残りの報酬と、保存食は渡してある。
■ロッド To:皆 |
では、私は一足先に戻ることにします。 本当にどうもありがとう。 |
■スレイ To:ロッド |
どういたしまして。一緒に旅を出来て楽しかったですよ、ロッド。 いろんな体験も出来ましたからね(^^) |
■イスカ To:猫 |
ふふっ、似合うよ。元気でお行き。 |
ロッドの足元には、短毛、青目の一匹の猫がいた。
これはサラが昨日見つけた猫で、サラは今この猫に憑依している。
(もっと早くに気づけば、昼間も行動出来たのだが、今まで動物に 憑依することは考えてもみなかったらしい)
ロッドは皆と形式的な挨拶をすませると、最後にイスカの目の前に立った。
■ロッド To:イスカ |
イスカ・・・また逢おう。 私は杖を届けたら、その足で母の行方を追うが・・・ それが終われば、今度はゆっくり貴方と語り合いたいと思う。 |
「語り合う」にスレイの耳がピクリと反応する。
猫も聞き取ったようだ。くるりと大きな瞳でロッドを見る。
■イスカ To:ロッド |
必ず会えますよ。泉にも、そう願いをかけてきました。 短い間でしたが、あなたのおかげで良い旅ができました。 あなたと話したひとことひとことを、 私はこれから長い間、繰り返し思い出すことでしょう。 (ロッドの姿を目に焼きつけようとするように、じっと顔を見つめる) ・・忘れません。決して。 では、また会う日まで。 |
イスカは両手でロッドの手を握った。
ロッドは一瞬驚いたようだが、その手をぐっと引き寄せると、 イスカの唇に軽く接吻をした。
■ロッド To:イスカ |
これで、私の事を忘れられないね。 君にキスをした失礼な奴として、覚えておいてくれるだろう? 文句は次に会ったときに聞くよ。 |
イスカの手を放し、笑いながら言う。
まだ状況がつかめずあっけに取られる皆を残し、 ロッドは猫と一緒に去って行く。
イスカは呆然と立ったまま、泣き出しそうな、嬉しそうな、複雑な表情で ロッドの後ろ姿を見送っていたが、しばらくしてから、はっと 我に返ると、みんなが自分のほうを見ているのに 気づいて頬を赤らめた。
■イスカ To:スレイ |
何、見てるのっ! |
イスカは照れ隠しに、手近なところにいたスレイの胸を両手でぽかぽか殴った。
■スレイ To:イスカ、ロッド |
いえ、別にぃ〜〜〜〜〜(にま) |
とは言うものの、顔はにまにまと笑っていたし、 耳までピクピクさせている。
スレイは全身で笑いを表現しながら、楽しそうに殴られている。
■スレイ To:イスカ |
ええ、なんでもないですよ、ほんと。なるほどねぇ〜〜〜♪ |
と、言いながら後方にスキップ。
―――イスカはますます赤面した。
「酒場」 |
その後、イスカ達の方は急ぐ旅でもないので、もう少しルーイェンで遊んでから 帰る事にした。
キャラバンを見たり、水の祠を見学した後、今は酒場にいる。
誰から言い出したのか・・・リュイ達の事を聞き込む事にしたのだ。
聞き込みの結果、酒場の主人がリュイ達らしき人物を知っていた。
主人が言うには、以前、ルーイェンの3貴族の内、 クラームス家が冒険者を雇って、ウェルザー家が擁立した「水の巫女」の候補者を 拉致監禁するという事件があったらしい(表沙汰にはなってない)。
その時、拉致監禁を実行したという冒険者が3人組で、 そんな格好をしていたと言う事だ。
もちろんこれは噂であり、主人も冒険者の名前までは知らなかった。
ただ、実際に「水の巫女」の候補者が拉致監禁されたと言う話は聞かないので、 この話はデマか、雇われた冒険者が失敗したかのどちらかだろう。
冒険者がリュイ達だったとするならば、失敗しててもおかしくなさそうだが・・・。
■スレイ To:ALL |
あ、相変わらずですね(^^; 今も昔も、人間の本質は変わらないってことでしょうかね(苦笑) |
■イスカ To:ALL |
まったくだね。また会うことがあったら、この話をしてみよう。
「なんでその話を知ってるんや!?」って慌てる顔が目に浮かぶよ。 それにしても、彼らも今ごろはどこでどうしているやら・・ |
■リグ To:ALL |
リュイ姉ちゃん達のことだもの、何処でも元気にやってると思うよ。 |
リュイ達の身を案じながらも、これ以上情報は聞けそうになかったので、 翌日出発することにした。
「自由人の街道」 |
それから約10日後―――一向は来たときと同じ、 自由人の街道を歩いていた。明日にはオランに着くだろう。
イスカは歩きながらふと空を見た。
Vの字型に隊列を組んだ渡り鳥が空の高みを飛んでいくのが見える。
それを見ると、イスカはため息をついた。
■イスカ To:All |
今まで黙っていてすまないけれど、残念ながらこのパーティの
リーダーを続けることはできなくなってしまったみたいだ。 私はもう、家に戻らなければ。 南から、あの海凪鳥がわたってくる季節になったら、いったん 家に戻るという約束なんだ。いつでも足かせつきの自由というわけ。 オランの手前でみんなとはお別れになるね。 |
■ティトル To:イスカ |
えっ? ええ〜っ! イスカさん居なくなっちゃうんですかぁ〜帰っちゃう?? ………やですぅ〜 だってまだ皆で一緒にしたいこと沢山あるんです〜 銀の網亭のマスターにも報告しなくちゃだしっ!オランに帰ったらロレッタさんの ケーキも食べなきゃです〜 それからっ、それから……。 ………………はにゅ〜。 |
ティトルも、自分が無理を言ってるのがわかるので、途中で半泣きになってしまう・・・。
■イスカ To:ティトル |
ありがとうティトル。私だって帰りたくなんかないし、
帰ったとしてもどうせ厄介なもめごとを抱え込むだけ。
でも、それが私のしなければならないことだから・・。 確かにロレッタさんのケーキもすごく魅力的なんだけど、 オランに入ったらずるずると長居してしまいそうでこわいんだ。 だから、ね。 みんなも、今までありがとう。 |
■スレイ To:イスカ |
・・・・寂しくなりますね。 でも・・・・・・・また会えますよねっ? |
イスカとのあんなシーンやこんなシーンが走馬灯のように思い起こされる。
■カナル To:イスカ、スレイ |
この稼業を続けていれば、いずれ何処かで、また会う機会もあるだろうさ。 元気でな。 |
■ティトル To:イスカ |
……イスカさんが帰ってきたらっ、また一緒に居て下さいぃ〜 だって、ちゃんとお願いの泉にそうやってお願いしたんですぅ(;_;) だから、今度イスカさんが帰ってきたらまた…一緒にお仕事しましょぉ |
半泣きから本泣きになってしまった。
■イスカ To:ティトル |
うん、ありがとう。約束するよ。だから、泣かないで・・ ほらほら、かわいい顔が台無しになる。 |
■リグ To:イスカ |
またね、イスカ姉ちゃん。 オランに戻ってきたら連絡頂戴ね。 すぐ会いに行くから。 ・・・・・そだ、これあげる。 (首にかけてたネックレスを渡す。) お母さん特製のお守りだから効果はわたしの保証付きだよ、道中気をつけてね。 |
■イスカ To:リグ |
えっ、そんな・・もらっていいの?大切なものだろうに・・。 わかった。ありがたく、借りていくことにするよ。(^ ^) リグをいつも守ってくれる力が私にも及ぶなら、こんなに 心強いことはない。深い森の奥にもきっと道が開ける。 でも、私は必ずオランに戻ってきて、ちゃんとこれをリグに 返すよ。だから、今は引き換えに、私のイヤリングを渡しておくね。 これが、約束の代わりだよ。また会おう、という。 私が帰るまで、持っていてくれる? |
と言って、イスカの瞳と同じ色をした、翡翠のイヤリングを”片方”、 リグの手の上に乗せる。
■リグ To:イスカ&みんな |
もちろん。 そして、またイスカ姉ちゃんのところに戻れる時まで大切に預かってるね。 (クルッっと、みんなの方を振り返って) その時はみんなも一緒だよね。 ニコッ |
スレイも同意の笑みを浮かべる。
想いは、皆一緒だ。
南の空へ消えた渡り鳥のように、また再びここへ戻ってくる事を信じていた。
その時が新たなDream Weaverの旅立ちだ。
The End.
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