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第七章「到着前夜」 |
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6日目の野営地 |
些細なことに目をつぶれば大した出来事もなく、6日目の夕刻を迎えた。最初にきちんと予定を立てておいたのがよかったのか、レイチェルも無理することなくついてきている。
予定では、明日の昼頃にはアールブルグに着くはずだ。
夕食も終わり、一同はたき火を囲んでいる………
■ジョージ To:レイチェル |
………レイチェルさん。 もうそろそろアールブルグに到着するにあたって、話しておきたいことがいくつかあるのですが………。 あなたのお父上、オーズ=アングラード氏の事です。 これからお話しすることを踏まえたうえで、依頼主であるあなたの結論を伺いたい。 尚、信じる信じないはあなたの自由です。 |
■アーギー To:ジョージ |
もう話すのかい・・・? ・・・まあ、いずれは話さなきゃいけないことなんだろうけど・・。 ・・・・・・そうだな、話すなら今だろうな・・。 (軽くうなずき、話してやれよ、といったしぐさをジョージに見せる) |
■レイチェル To:ALL |
はい? ………なんですの? |
■ジョージ To:レイチェル |
まず、失礼ながらあなたのお父上の政治はあまり街の人に受け入れられていなかったと思われます。 我々が調べた情報によると、街の人はかなりの重税で苦しんでいたようですね。 |
■ヴァーン To:レイチェル &ALL |
お嬢さんには話しづれぇことなんだが、 と、盗賊ギルドでつかんだオーズ子爵の悪評について語る。 ……それとな、お嬢さん、たまたまアールブルク出身の奴に会えてな、そいつから聞いたんだが、 と、クラリスの身の上話について語る。 ……お嬢さんにとっちゃあ優しい父親だったかも知れねぇが、そうは思わない人間もいるってことだ、信じられかも知れないがな。 |
■レイチェル To:ALL |
そんな………お父様が……… |
しかし、全く信じられない、ということでもなかったようだ。
■レイチェル To:ALL |
そう………ですの……… |
■ジョージ To:レイチェル&ヴァーン |
次に、お父上の死因についてです。 公式記録では病死とありますが、毒殺の可能性があります。 ヴァーン君、例の薬品についてご説明願えますか? |
■ヴァーン To:レイチェル &ALL |
ああ、こんな話、お嬢さんは聞きたくねぇだろうが、 と、ギルドできいた毒殺についての推測と「シュガー」と呼ばれる毒の効能について語る。 ……まあ、べつに証拠があるってわけじゃなくて、あくまでも、そうかも知れねぇって話なんだが……。 |
■レイチェル To:ALL |
………「シュガー」……… |
■ドリス To:レイチェル |
ごめんなさい。レイチェルちゃん(←どうやら旅の間に、ちゃん付けで呼ぶようなってしまったらしい) もうすぐ懐かしいアールブ…ううん、あなたにはアングラードといったほうがいいよね。そこに帰り着くんだというときになって、突然こんな話を聞かされて戸惑ってるよね…… あたし達も本当ならこういう嫌な話は聞かせたくなかったの……。 だから、こんなギリギリになるまで言い出せなくて、ずるずると来てしまったけど……。 でも、レイチェルちゃんのお父さんが、領民から恨まれてたらしいということは、娘であるあなたも恨まれてるかもしれないの…… そこを理解して、心構えをしておいて欲しいから。 街の人達の前でうっかり身分をあかしたりすると危険かもしれないということ。 そしてあなたのおじさまである今の領主も味方とは限らないことを。 いきなりいろんな話を聞かせて混乱してると思うけど、レイチェルちゃんにもきちんと状況を理解しておいてもらうことが、レイチェルちゃんの身の安全をまもるためにも必要だと信じてるから、今こうして話をしているの…… 判ってもらえる? |
■レイチェル To:ALL |
………はい……… |
■ジョージ To:レイチェル |
そして、あなたの記憶についてです。 自分の意志で街を出たと仰いましたが、その時の状況とこれらの話は関係があるかも知れません。 まだ、当時の状況を何も思い出せませんか?どんな些細なことでもかまわないです。 |
■ヴァーン To:レイチェル &ALL |
そうだ、その屋敷を飛び出したあたりのいきさつがな、わからない事が多いし、おかしなところもある。それだけにな、正直なところ、屋敷に帰りついてみたところでどういうことになるか、全然わからねぇんだ。俺たちも引き受けたからには仕事はきっちり果たすつもりだが、もうちょっとくわしく話が見えてこねぇとな。そのためにも、もうちっとなにか思い出してもらえねぇかな? |
■レイチェル To:ALL |
………屋敷を出た………いきさつ………。 わたくし……… ………ジャムを……お父様が毎日食べる木苺のジャムを……オランに……? |
半ば上の空といった様子でつぶやき、そしてレイチェルはかぶりを振った。
■レイチェル To:ALL |
………やっぱり………駄目です……… |
■ジョージ To:レイチェル |
そうですか………思い出せませんか………。 これで、我々の知っていることはだいたいお話ししたと思いますが………。 しかし、アールブルグに行くか行かないかは、今決めなければなりません。 以上の話から、今のアールブルグはあなたにとって必ずしも安全であるとは言えませんが、それでも、このままアールブルグのお屋敷に帰ることをご希望なさいますか? |
■レイチェル To:ジョージ |
……… |
レイチェルは少し考えるようにうつむき、そして顔を上げて頷いた。
■レイチェル To:ジョージ |
………はい………おねがいします |
■ジョージ To:おおる |
依頼主であるレイチェルさんの意志は確認しました。 私は、このままアールブルグの領主邸にレイチェルさんを連れていきたいと思います。 そのことについて、何か意見のある方はございますか? |
■ドリス To:ALL |
う〜ん。 あたしとしてはレイチェルちゃんを連れていく前に、今の領主は信頼できそうな人かどうかとか、7年前の領主交代についてとか、半日でも一日でもいいから、地元の人たちの生の声を聞いて見た方がいいんじゃないかと思うんだけど。みんなはどう思う? |
■ヴァーン To:レイチェル & ALL |
……。俺もその方がいいとは思うが、お嬢さんはどうしたいんだ? アールブルクに帰るのはいい。ただ、屋敷に直行したいのか、その前に町の人間に話を聞いてみたりとかしてみるのか。 |
■レイチェル To:ALL |
わたくしは………わかりません。屋敷に帰ることしか考えていなかったから………。
………もし、前もって調べておいた方がよいようなら、お願いします。 |
■アーギー To:ALL |
いや・・・無理に「屋敷に寄る前に調べる」んじゃなくても、町についてからみんなで屋敷に向かうまでの間に、通りすがりの住民か誰かに少し聞くことが出来れば聞いてみる、という感じでいいんじゃないかな・・。 それほど大きな町じゃないから、盗賊ギルドとかも無い気がするし・・。 だから、それだけでも十分情報は得られるんじゃないかと思うんだけど・・。 |
■ジョージ To:おおる |
私もその案に賛成です。 小さな街との事ですし、だれに聞いても同じでしょう。 コソコソと情報収集する方がよけい怪しまれると思いますし、聞きながら領主邸へ向かうということでよろしいのでは無いでしょうか。 |
■ドリス To:ALL |
うん、判った。そうだね、あたしもそれでいいよ。 |
ぐぅ〜〜〜!!
パオルのお腹が突然なった………
■パオル To:ALL |
・・・・・スミマセ〜ン。 なんか道中ずっと、腹四分の食生活っだったんで・・・・。 あ、ボクの意見ですか? ボクもアーギーさんの案に賛成ですよ。 えっと〜・・現領主のディオンさんですか? 一応レイチェルさんの叔父さんなんだし、領主としても至極まともな人なんでしょ? ならそんなに不安がることも無いんじゃないですか? レイチェルさんは血族なんだし、堂々としていけば良いと思いますよ。 ただ・・・問題は、ディオンさんがレイチェルさんを認めるかどうかじゃないんでしょうか? |
■ヴァーン To:パオル & ALL & レイチェル |
たしか、お嬢さんのネックレスには子爵家の紋章が入ってたろ。そいつを見せりゃ、なんとかなるんじゃねぇのかい? まあ、あんまり目立つような事はしないで、屋敷に向かうってのが、妥当なようだな。お嬢さんもそれでいいかい? |
■レイチェル To:ALL |
ええ………おまかせします。 |
■アーギー To:レイチェル他 |
あと、気を付けなきゃいけないことがもう1つあるよ・・。他のみんなには前話したけど・・。 ・・・・それは、もし「悪名高き前領主の娘のレイチェルさん」の顔を知っている住民がいて、もしそんな人に気づかれたとしたら、厄介なことになり得るってこと・・。 ・・だから、あまりレイチェルさんが目立たないように行動する必要があると思うんだ・・。 ・・・・まあ、レイチェルさんは今、冒険者の格好してるからそう簡単には気づかれることはないとは思うんだけど、それでも心配なら頭に何か布みたいなのを付けて髪型とかを変えてみるようなことをしてみてもいいし・・・。 えっと・・(ラクルの方をちらっと見て) ・・例えば、ラクルが今頭につけてるその布を使ってとか・・。 |
■レイチェル To:アーギー |
そういうものですの………? いくらなんでも………その…突然襲いかかってくるような無体なことはないと思うのですけれど……… |
■パオル To:アーギー&ALL |
ボクもそんなことは無いと思いますよ。 そもそも街の人が、レイチェルさんに気づく事はないんじゃないですか? それにこの街で革命が起きたわけじゃないし、街の人に貴族を襲うって考えは無いと思うんですけど・・・。 |
■ジョージ To:アーギー&おおる |
私も、変装までする必要は無いと思いますが………。 レイチェルさんはほとんど屋敷から外に出ていなかったそうですし、覚えている人と会う可能性は低いと思います。 しかも7年も前の話ですし、失礼な話ですが、レイチェルさんは24歳には見えないでしょう。 あまり目立たないようにと心に留めておいていただければ問題ないと思います。 |
■パオル To:レイチェル&ALL |
とりあえずそんなに神経質にならずに、もっと気楽にいきましょう。 レイチェルさんもそんなに暗くならないで、明るくニコニコ笑顔ですよ! え・が・お!! |
■ヴァーン To:レイチェル & ALL |
そうだな、パオルの云うとおりだ、心配ばかりしてたってしょうがねぇ。なんとかなるさ、きっと。それに、いざとなったら、俺たちでしっかりお嬢さんを守ってやりゃあいいんだからな。そうだろ、みんな? |
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