Sword World PBM #18
「追憶の彼方へ」
「ふむ、それでは昼休みとするか」
「お疲れさまです、社長」
社長と呼ばれた男は片手を軽く挙げ、部屋を後にした。部屋には二人の部下だけが残された。一人は男で、一人は女だ。
「なぁ………社長、やっぱかなり参ってるよなぁ」
男の方が自分の椅子に戻りながら、女の方に同意を求めた。
「そうね。今日の商談も、横で見てて冷や冷やだったわ」
「あれで本人は、気にしてないそぶりのつもりなんだよな」
とんとんと伝票の束をまとめ、棚に戻す。女の方も、同じように片づけを済ませ、息をついた。
「そうね。まぁ言っても始まらないわ。私たちも休憩しましょ。おじさんがパダで買ってきたお土産があるの、お茶入れてくれる?」
「………なんだその気持ち悪いシロモノは」
男の方が、自分の好みで職場に持ち込んでいる紅茶を二人分入れながら、女の手元にある物体に顔をしかめた。女は、金属製の弁当箱のようなものから、なにやら緑色の菓子らしきものを取り出している。
「『レイスの右手』っていうお菓子なんだって。ちょっと変わってるけどハマる味よ。本当にレイスの手だったりはしないから安心して」
「………なんだよその食欲減退しそうなネーミング………」
意を決して口に入れる。その物体は何とも名状しがたい味がした。
「………しかも味まで怪しいな………」
「つべこべ言わずに食べなさい」
言い返せず、つべこべ言わずに食べることにする。
しばらく黙々とティータイムが過ぎ、唐突に男が口を開いた。
「………カティちゃん………もう2週間になるな………」
「そうね」
女が頷く。
「やっぱりね、16歳の誕生日とか言って、社長もはしゃぎすぎなのよね。あんだけじゃらじゃら付けさせたら、そりゃさらって下さいって言ってるようなもんじゃない」
「………いや、まだ、さらわれたって決まったわけじゃ………」
物騒なことをさらさらっと言ってのけられ、男の方がもごもごと口ごもるように反論する。
と、そのとき、入り口の方から声がした。
「あのー………」
「社長なら出かけてるわよ」
ごそごそと箱から菓子を取り出しつつ、女は顔を上げずに答えた。そのまま訪問者を無視して会話を続ける。
「もう2週間よ?身ぐるみ剥がれて、殺されたか…殺されるより酷い目にあってるか………。可哀想だけどね?」
「………そ、それを言っちゃぁ………」
「あのー………」
訪問者はまたもや無視された。二人の会話は続く。
「………はぁ」
男が、大きくため息をついた。
「………いい子だったよなぁ」
「ええ」
「………可愛かったよなぁ」
「ええ」
「………時々差し入れてくれるアップルパイがさぁ、美味かったんだよなぁ」
「ええ」
「あのー………」
「………あ〜、カティちゃんのアップルパイ食いてぇ。こんな怪しい菓子食いたくねぇ」
「イヤなら食べなくていいわよ………」
むっとしたように女が呻く。
「あのー………」
「あのねぇ、社長は出かけてるって―――」
うんざりした口調で女が言いかける。二人は訪問者の方に注意を移し、訪問者を二人で凝視する状態で止まった。
「あの………明日………」
その訪問者は―――ちょうど16歳と2週間の少女は、少し照れたようなはにかんだ笑顔で言った。
「……明日……アップルパイ……作ってきてあげるね」
彼は、嘆息し、ペンを置いた。デスクにはかなりの数の書類が積み上げられており、インクが乾くのを待つ分も平積みになっている。細々とした問題と、それに対する対処が詳細に書かれている。ペンの入っていないものは一枚もない、ついさっき一枚もなくなった。
息子に、負の遺産を残すことはなくなったということだ。
彼はもう一度深く息をつき、椅子を引いた。立ち上がり、部屋の中央までゆっくりと歩く。―――と、そこでノックの音がした。
彼の従者だ。盲従と言ってよいほど忠実に従ってくれる部下である。返事をすると、扉が開いた。
「―――勝手ながら…例の冒険者達の居場所を、突き止めて参りました」
「ふむ………」
「例の件を口外しないとも限りません。後顧の憂いは絶っておくべきかと………」
従者の言葉に、彼は苦笑した。心底忠実な従者なのだ………。
「いや、放って置いて構わん。例の件は、私が責任を持って始末を付ける。そういえば………」
片手を振って従者の言葉を制す。黙らせたところで、彼は言葉を継いだ。
「……お前の妹分には、悪いことをしてしまったな。忠誠を確かめると称して、人殺しにしてしまった」
「………ディオン様?」
彼の言葉に、従者が怪訝そうに問い返した。
怪訝そうに、だ。
彼は苦笑した。まさかこんなことを言う人間ではないと思われているのだ。従者にさえ。
(私は結局その程度の人間だったということか………)
今まで気付かなかったのだ。周りの人間の態度が、自分自身を映していることに。しかし、気付くことは、それはそれで残酷なことだと思われた。
「アリルは今休暇を取っているのだったな。ゆっくり休ませてやるがいい」
「………」
「それから、クリスに、1時間経ったら私の部屋に来るように言っておいてくれ」
「………分かりました」
従者は一礼し、部屋を立ち去った。足音が遠ざかるのを確認し、再びデスクに近づく。
引き出しから一枚の白紙を取り出し、椅子に座る。ペンを手に取ると、それはまださっきの作業のぬくもりを失っていなかった。
『息子よ。あの件から3週間になる―――』
さらさらと文章を書き出す。しかし、すぐにぱたりとペンが止まった。
今更何を書くというのだ。
彼は苦笑し、その紙を丸めて捨てた。そして、もう一枚別の紙を取り出し一言だけ書き留める。
『馬から落ちたとでもしておいてくれ』
紙を残し、書類が汚れないように部屋の中央まで椅子を転がす。
そして、彼は懐から短刀を取り出した。
彼女が「臭い」という形容詞が思い浮かべるまで、1分かかった。
そうだ。間違いなく、その界隈は臭い以外の形容詞に相応しくなかった。当然の言葉が思い浮かばなかったのは、その度合いがあまりに理解の限度を越えていたため、他のもっと過激な単語を探そうとしていたせいだ。
きりきりと右前頭葉辺りに痛みを感じ、ハンカチで鼻と口を覆う。頭痛がおさまるまでの間、彼女は周囲の様子を窺った。
なにやら足下にたくさん転がっている。転がっているのは、乞食という一般名詞にて呼称されるれっきとした人間、とされている物体だ。目的の入り口まで、それはもううんざりするほどたくさん転がっている。これが1人や2人、多くとも5人くらいまでなら、銀貨の数枚も投げようかと思ったかもしれない。しかし、今目の前にいる「それら」は、明らかに不自然な集合状態を保ち、一種不気味な威圧感を放っていた。
ようやく頭痛がおさまり、意を決して足を一歩前に出す。
ざざざざざざざ
半径3メートル以内の人口密度が急激に上がった。ぞっとするような威圧感。それは、明らかに物を乞う態度ではなかった。
「へへへへへ………お嬢ちゃん、こんな所に何のよ………ぐぁっ!?」
一番近くにいた一人が足に触ろうとしたので、取りあえず鳩尾に一撃蹴りを入れておく。ついでに三発ほどかかとを後頭部に叩き込んでやるとわりと静かになった。一息つく。
が、のんびり一息ついてもいられなかったようだ。周囲の威圧感が、一気に殺気を帯びたものに変わった。やれやれと嘆息する。
と、突然別の声が割り込んだ―――
「ちょっと、ちょっと、何やってんのよ?」
目的の建物から、栗色の髪の女が出てきた。20歳くらいだろうか。こざっぱりとした服装で、明らかに足下に転がっている連中とは違って見える。身長は、こちらよりも頭一つくらい高い。
現在値から目的の入り口まで、収穫されずに畑で腐ったキャベツのように、乞食がわらわらと群れている。どうも、通してくれそうには見えない。
仕方なく、彼女、アリルはその場で用件を言うことにした。
「クラリスという人を探してるの。ちょうどあなたと同じくらいの年頃で、髪も同じような茶色なんだけど―――」
その初老の男は満足げに紅茶を口に運んだ。一口、二口と飲み込むと、くつろいだ様子で話しかけてくる。
「よい街だ」
「ちっぽけな街ですよ」
テーブルを挟んで正面に座る少年は、まだ咲かないラベンダーにちらりと視線をうつしつつ答えた。その向こうでは、子供がばたばたと走っている。
「領民は皆幸福そうだ。ディオン殿も、この光景を見れば満足したであろうに」
「………」
「お、おっと。済まぬ。お父上のことは残念であったな」
少年が沈黙するのを見て、慌てて初老の方が片手を振った。しかし、少年は首を横に振った。
「いえ、お気になさらないでください、伯爵様」
「―――義父と呼んでくれて構わぬのだよ。クリス殿は、我が娘の婿となるのだから」
伯爵と呼ばれた初老の男は、小さい子供に諭すように言った。少年、クリスは少し淋しそうに頷く。
「……ありがとうございます」
「………ふむ………」
伯爵はそれ以上追求せずに、カップを手に取り一気に残りの紅茶を飲み干した。
椅子を引いて立ち上がり、森の方を見る。
「この庭園は10年ほど前に一度見せてもらったことがあるのだが………」
数歩歩き、続ける。
「もっと華美であったな。だが、今の方がどこか心が和むものだ」
彼はそのまま歩を進め、土の上に降り立った。そして、周囲を見回す。
「それにしても、セアラはどこへ行ったのだ。全く、我が娘ながら………」
ぶつぶつと呟きながら、今度はクリスの方に振り返り、言う。
「少し、散歩がてら娘を探して来よう。クリス殿も一日中街を案内させられて疲れているだろう。私は歩き疲れたら屋敷の方にお邪魔させてもらうことにするから、気にせずに休んでくれたまえ」
と、クリスの返事も聞かずに、伯爵はどんどんと森の中に歩み入ってしまった。背中を見送りつつ、クリスはゆっくりと息をつく。
ゆっくりと肺を膨らませると、空気は森の匂いがした。
庭園の中でも一番大きなその木にもたれかかると、固い感触と少しのぬくもりが背中に当たった。
辺りには誰もいない。庭園の中でも、あまり丁寧に手入れされていない地帯だ。
「レイチェルのための庭園………か」
むせ返るような草の香りを感じながら、クリスは懐からネックレスを取り出し、目の前にかざした。
「………どうして、レイチェルは………最後にあんなこと言ったんだろ………」
両足をのばし、少しうつむきながら呟く。
「………一週間…楽しかった、か」
目を閉じてみた。
「……ひどいよ…僕は七年間待ったのに………最後に一言くらい、何か言ってくれてもよかったじゃないか…。…なのに、たった七日間の方が………」
目を開く。ぽろぽろと涙が出てくるのが分かった。
「父上も父上だよ……いいかっこばっかりしようとして……僕の前でいいかっこばかりしようとして……最後まで……」
指が震えるのを感じる。ネックレスを抱きしめるように、クリスは背を丸めた。
「………ねぇ…レイチェル……淋しいよ……僕一人になっちゃったよ………父上もいなくなっちゃったんだ………僕…ひとりぼっちなんだ………」
「そうねぇ。あ、このマント可愛い♪こんなのどう?」
そのハーフエルフは嬉しそうに赤いマントを広げてみせた。マントを見せられた黒髪の娘は、少したじろいだように後ずさる。
「あの………ちょっと……派手では………」
「そう?あたし、これ買おうかしら」
ハーフエルフの女は、マントを肩に当ててくるくる回っている。
放置される形になってしまったもう一人の娘はうろうろと視線を彷徨わせ、一枚のマントで目を留めた。
淡いインディゴのマントを手に取り、広げてみる。
「レイチェルちゃん!!」
「は、はい!?」
いきなり声をかけられ、びくっと身をすくめる。レイチェルと呼ばれた黒髪の娘は、手に取ったマントを隠すように抱え込んだ。
「隠さなくてもいいじゃない。見せて見せて」
何か言う間もなく、マントは奪われた。
「あ〜、これいいなぁ〜。こっちの方が可愛い〜♪う〜ん、でも一枚しかないわね」
「あの………わたくしは………」
何か言おうとするレイチェルを無視して、ハーフエルフの女は続けた。
「よし、今回はレイチェルちゃんに譲るわ。ほらほら、さっき選んだ服とぴったりじゃない。試着してみましょうよ。こっちこっち」
「あ………あの………」
抵抗することもできず、ずるずると試着室に引きずられていく。
20分後。
レイチェルはすっかり冒険者の衣装に着替えさせられ、残すはマント一枚になっていた。
「はい、マント。………どうしたの、レイチェルちゃん?いや?」
「………いえ………とても…楽しいです………」
少しうつむきながら、小さな声で答える。ハーフエルフの女は、それを見て、くすくすと忍び笑いをもらした。
「あなたに紹介することになってる冒険者ね、とっても楽しそうな人たちだったわよ。きっと道中退屈しないと思うわ」
「………わたくし………」
ふわりとマントを肩にかけられ、言葉を切る。背中からの声に耳を傾けながら、レイチェルはその場で立ちつくした。
「………今は考えなくていいわ。考える余裕もないのに、難しいことを考える必要はないの。今、自分にできることを考えなさい」
「………はい………」
「今できることは―――」
てきぱきとマントの留め金を固定する。そして、レイチェルは、両肩をぽんっと軽く叩かれた。
「お買い物を楽しむこと♪ほらほら、似合ってる似合ってる。でも、まだまだよ。着替えの分もいるんだから」
「…はい」
まだ少しためらいつつも、レイチェルは頷いた。鼓動が早くなり、頬も上気している。
ハーフエルフの女がきょろきょろとあたりを見回しているのに続き、同じような仕草でレイチェルはあたりを見回してみた。
楽しい、と思った。
ぼんやりと木の根もとに座り込む。鳥のさえずりも、草の香りも、孤独を癒してはくれなかった。
と―――
「クリス………?」
「え?」
突然呼びかけられ、クリスは顔を上げた。その瞬間は、誰の声か分からなかった。聞き覚えのある声ではあった。
木の上を見上げてみる。
「………え?」
まず見えたのが、ほっそりとした足だった。
次に見えたのが、目の覚めるような青い色のスカート。
最後に見えたのが、顔に向かって飛んでくる靴だった。
「!?」
「う、上を見るな!!!」
かわいらしい少女の声だ。聞き覚えのある声。今度は誰のものか思い当たった。
―――仕方なく、靴の当たった鼻をさすりながら下を向く。
「………セアラ様」
「な、なんだ………」
木の上から、狼狽したような声が聞こえてくる。
「どうしてそのような所に?」
「わ、わたしは最初からここにいたぞ。クリスの方が、後から来たんじゃないか」
「いえ、つまり、どうして……木の上に?」
「…ち、父上の声が聞こえてきたから………取りあえず…一番大きそうな木に…隠れてた」
「………」
少し大きめに息を吐き出す。クリスは顔を上げた。
「セアラ様………」
「上を見るな!!!」
―――もう片方の靴が額に向かって飛んできたので、下を向く。
「………はぁ、降りてきませんか?」
「…お、おりるから……上を向くなよ。今度見たら殺すぞ」
「はい」
答えると、木の上からごそごそという音がしてきた。
次に、ざざっという葉のこすれる音。
そして、小さな悲鳴。
「あぁ!?」
「え?」
突然のことに、またもや上を向いてしまう。何か思う余裕もなかったし、今度は靴も飛んでこなかった。
青い機能的なドレスと、プラチナブロンドが見えた。それが一気にズームになる。
反射的に身体が動いたと思った。即座に両腕に折れそうな程の重量がかかる。それから、ワンテンポ遅れて派手な悲鳴。
「きゃあああああ!!!」
「………い、痛い………」
プラチナブロンドの少女は、今やクリスの両腕に勝手に収まりつつ、勝手に首にしがみついてきゃーきゃー騒いでいる。当のクリスは、腕の痛みをこらえるので精一杯だった。
「こ、怖かったぞ」
「………腕が痛いです」
クリスの小さな呟きを無視し、セアラ様と呼ばれた少女は、きっとクリスの方をにらみつけてきた。
そして、すぐに、吐息が触れ合いそうなほど顔が近づいていることに気づき、顔を真っ赤にする。
「こ、ここ、こんなの。わたしたちは、まだ、そ、その、きちんと、わきまえてもらわないと………」
セアラがなにやらわけのわからないことをまくしたて、勝手にますます顔を赤らめている。
しなやかで柔らかな感触が伝わってくる。鼓動も。ぬくもりも。少し草の匂いがした。
「い、いつまで…こうしているつもりだ」
「…セアラ様が離してくださるまでです…」
「そ………」
返答を聞いて、今まで自分がクリスにしがみついていたことに初めて気付き、セアラは何か言いかけて黙った。
少し後ろめたそうな表情で、クリスから離れる。靴を拾い、それを履きながら、彼女は小さく呟いた。
「…さっきのネックレス…誰のだ?レイチェルって、誰だ?」
「………」
服の埃を払い、立ち上がり、しかし何も言えずに黙っている。
「そ、そんな悲しそうな顔されると…ちょっと聞きづらいぞ…」
「………従姉………小さい頃に…よくあそんでくれたんです………もう…死んでしまいましたけど………」
「そうか………」
セアラは居心地悪そうに視線を逸らした。ためらいがちに、ちらりとクリスの方を窺う。
「だから…淋しいのか?だから、クリスはひとりぼっちなのか?」
「父上も…レイチェルも…いなくなってしまいました」
気まずい空気が流れる。
セアラはクリスから離れるように数歩後ずさり、両手の拳を握りしめている。
「クリス…」
「はい」
「ちょっとわたしは…怒ってるぞ」
「え?」
クリスの視線を避けるように下を向き、拳を握った両手を伸ばして、何か力んでいるようではあるが、セアラの言葉はたどたどしい。聞き返そうとするまでもなく、彼女は続けた。
「わたしは、クリスの妻になるんだぞ。そうなったら、ずっと一緒だぞ。子供ができたら、もっと増えるぞ。わたしは、クリスの子供たくさん産むから、たくさんになるぞ。だから………その………」
セアラは酸欠の魚のように口をぱくぱくさせている。クリスは答えない。しばらく沈黙が続き、ようやくセアラが言葉をつなげた。
「だから………ひとりぼっちとか言うな………」
くるり、と彼女は背を向けた。表情は見えなくなった。表情を見られることもなくなった。
「屋敷に帰る。おなかがすいたぞ」
「………はい」
「買ってきたわ」
「おう、お帰り」
食器洗いが終わったところで、彼は妻が帰ってくるのを確認した。
妻が買ってきた瓶をテーブルに置く。
「しっかし、あれ以来っつーか、なんで―――」
テーブルの上の分を見ながら、彼は首を傾げた。
「―――なんで、ジャムなんだ?」
「さぁ?」
- END -