成果は?

(1998/06/11 更新)


■道
☆From:マーズ  To:ALL
しっかし、今回はさすがに疲れたな
さすがの俺様ももうヘトヘト・・・・です・・・・
少し休ませてもらいますねぇ・・・・・

■道
☆From:クロス  To:マーズ
ああっ、マーズ、大丈夫っ!?

戦いが終わって、マーズは電池が切れたようにその場に倒れた。クロスは驚いてそばに駆け寄る。命に別状はないらしい。寝顔はいつものマーズだ。
クロスはほっとしたが、ふとさっき戦闘中に耳にしたマーズらしからぬ台詞を思い出した。

■道
☆From:クロス  To:そばにいる人
あの……さっきマーズ、なにか叫んでませんでしたっけ……
……貴様…何しやがんだ…とかなんとか……

さっきのマーズと今地面で寝ているマーズを思い比べながら、クロスはひとり首をひねった。

■道
☆From:クロス  To:
(……ふつうのマーズだよねぇ……やっぱさっきのは聞き間違いかな…?)

■道
☆From:カナル  To:クロス
ま、とにかく生き残ったんだ。それで良いんじゃないか?
(独り言)
……ま、俺達にあのウォーハンマーが向けられない限りはな。

ローンドファルが倒れたマーズを心配しながら近づいてきた。 寝ているだけだとわかって安心して全員の労をねぎらおうと口を開きかけたその時。

■道
☆From:アンナ  To:ローンドファル
ローンドファル様、あの、エヴァンス様は…

■道
☆From:ローンドファル  To:アンナ
エヴァンス様の馬車は来る途中で我々が保護した。 今ごろは安全に館に戻られている頃だろう

■道
☆From:キルティング  To:ローンドファル
オルダス様は…どうなるのでしょう?

■道
☆From:ローンドファル  To:キルティング
うむ…。しかし、そなたたちの証言だけでは、オルダス様がエヴァンス様の暗殺を計られたということは受け入れられがたいだろう。何か確実な証拠でもあれば別だが…

そこで、アンナはしっかりと胸に抱いていた一通の書状を取り出した。 戦闘前にキルティングに渡せと言われていたものがこれだ。

■道
☆From:キルティング  To:ローンドファル
ローンドファル様、これはオルダス様が私に下された、エヴァンス様暗殺を刺客に指示する密書です。まだ開封していません。 オルダス様は私の目の前で、これにサインをして封をされました。 これを以って証拠とすることはできないでしょうか

■道
☆From:アンナ  To:ローンドファル
エヴァンス様はこれを見たらオルダス様をご処分されようとなさるでしょう。でも、私達はそれをお止めしたいのです。ちゃんとお2人で話し合われればきっと酷いことにはならないはず。 私達はそう信じています。
どうか、ローンドファル様からもお口添えを…

そう言って、アンナとキルティングは深く頭を垂れた。
セリスは、権力や欲望と言ったことには関心がないので、この成り行きをただにこにこと微笑みながら見ている。しかし、彼女の心の中ではひとつの決意が固まっていきつつあった。
これが苦難の終わりではなく、彼らの試練は今始まったところなのだ。

アンナはオルダス(弟)の下女として働いていた。

兄派弟派に派閥が別れて城内が殺気立っているある日、アンナはオルダスにつく騎士達が暗殺計画を話しているのを偶然聞いてしまった。常日頃、兄弟仲良くしてほしいと思っていたアンナはそれに心を痛め、恋人であるキルティングに計画のことを相談した。

キルティングもオルダスに仕える騎士の元で修行していたのだが、そういった計画があることは知らなかったので半信半疑でいた。ある日の明け方近くにオルダス直々に密書を手渡され、「盗賊ギルドへ届けるように」と言われてそれが真実であったことを悟った。

一旦ギルドへ向かったキルティングだが、やはりそれを届けることはできず、アンナとともに失踪したというのがこの事件の始まりだったのだ。

ローンドファルは若い2人に力を貸すことにした。

■道
☆From:ローンドファル  To:冒険者達
すまないが、事態は一刻を争う。
諸君は一度宿に戻っていてもらえないだろうか。 こちらの決着がつき次第、連絡をする。

エヴァンスがオルダスの処分を決める前にとりなすため、ローンドファルとキルティングとアンナは大至急シャレゼール邸に戻った。援軍の騎士達も全員、馬に乗ってこの場を去った。
おいてきぼりを食った冒険者は、徒歩で銀の網亭に引き返すことになった。


くたくたになって銀の網亭にたどり着いた頃には昼を過ぎていた。
戦闘後郊外から歩いてきたものだから、服も砂だらけ、傷だらけ、朝から何も食べていない。

全員無事に帰ってきた姿を見て、銀の網亭のおやじは安心したように笑いかけてきた。

■銀の網亭
☆From:銀の網亭のおやじ  To:冒険者達
おお、お帰り。
朝方飛び出していったっきりどうしたかと思ってたよ。
なんだなんだ、皆してひどい格好だな。 とりあえず水桶で手足でも洗って、着替えてきちゃどうだ? それからメシだ。

■銀の網亭
☆From:アフル  To:オヤジ
それもそうだなぁ。
それじゃあ着替えてくるから、メシの用意を頼むぜ。

■銀の網亭
☆From:マーズ  To:オヤジ
はぁい!
僕もうおなかペコペコで・・・・

■銀の網亭
☆From:クロス  To:オヤジ・その他みんな
ああっ、僕も! 今日だけは大食いでマーズにも勝てそうな気がするよ…

■銀の網亭
☆From:シーアン  To:おやじ
(笑顔で)
メシにエールつけてくれよ!特大サイズ!!
今日は乾杯だからよ。

■銀の網亭
☆From:おやじ  To:シーアン
おお、豪勢だな!まかせとけ!
おっと忘れるとこだった。シーアンにはロック=エーテンの武器屋からグレートソードが届いてるぞ。かなりの業物だ。ロックに感謝するんだな!

着替えがすんでこざっぱりとして食堂へ降りると、食事の用意ができていた。熱いシチューとパンと酒がテーブルに並べられている。皿を運びながらオヤジが尋ねた。

■銀の網亭
☆From:オヤジ  To:ALL
で、首尾の方はどうだったね?
仕事はうまくいったかい。

■銀の網亭
☆From:アフル  To:オヤジ
なかなかひどい目にあったんだ。
昨日は、殺人犯に間違われて一晩留置場だったし、今日は何十人にも囲まれて、あの時はもう駄目かと思ったぜ。
ま、なんとか依頼はきちんと果たせたけどな。

■銀の網亭
☆From:カナル  To:アフル
俺達が、受けた依頼を失敗するはず無いだろ?
ローンドファルにも言ったじゃないか。俺達は、有能な冒険者なんだからな。

■銀の網亭
☆From:クロス  To:アフル
ご、ごめん…僕がドジってナイフ見つかっちゃったから……
今度はもっとうまくやるよ……

クロスは、詰め所に拘留されたのは自分のせいだとずっと気にしてたらしい。

■銀の網亭
☆From:カナル  To:クロス
全くだ(^^;;
これは、酒の一杯でも奢って貰わなきゃな。(^^)

そう言いながらカナルはバーボンをちびちびやっている。
クロスは真っ赤になって恐縮している。

■銀の網亭
☆From:クロス  To:カナル
うぅ…もーなんでもおごらせて頂いちゃいます〜(///)

■銀の網亭
☆From:アフル  To:独り言
冒険者がこんなにつらいもんだとは思わなかったな。
母さん達もこんなことがあったのかなぁ。

ため息まじりにアフルはこうつぶやいた。当然冒険者をやめるつもりなんてないけれど。
クロスはふふ、と口の中で含み笑いをした。 今の独り言、聞こえていたけどあえて何も声をかけずに覚えておくことにしよう。

■銀の網亭
☆From:アフル  To:みんな&セリス
それじゃあ、受けた依頼も果たしたし、俺達の最初の冒険の成功を祝って乾杯しようぜ。
リーダー、音頭を取ってくれよ。

「そうだね、それがいいよ」という顔で、クロスはセリスに笑いかけた。
セリスは緊張した面持ちでおもむろにエールのコップを持ち、起立して乾杯の音頭を取った。

■銀の網亭
☆From:セリス  To:
それでは皆さん、お疲れ様でした・・・
私は何の役にも立てませんでした。みなさんのがんばりと、
マーファの加護のお陰で無事にここへ帰って来る事が出来ました。
これからも多くの苦難が待っている事でしょう。
しかしそれも力を合わせていけばきっと乗り越えられます。

この時点で数分経過。皆はカップを持って乾杯の態勢のまま、笑顔で耐えている。

■銀の網亭
☆From:セリス  To:
私達はドワーフの様に頑強でも、エルフの様に賢明で長寿でもなく、
たかだか数十年の寿命しか持たない人間です。

■銀の網亭
☆From:アフル  To:独り言
(ぼそっと)
俺はハーフエルフなんだけどなぁ。

アフルはカクテルのコップを覗きながらちょっとツッコミを入れてみる。
セリスの説法はまだまだ続く。

■銀の網亭
☆From:セリス  To:
それでも私達は営みを続け、それを子孫に託し・・・
(もはや音頭ではなく街頭での説法(笑))

■銀の網亭
☆From:アフル  To:セリス
リーダー、音頭を取ってくれとはいったけど、そこまで堅苦しくなくても良いんじゃないか?(汗)

一同笑い。

■銀の網亭
☆From:カナル  To:セリス
とにかくきっちり仕事は果たせたんだ。それで良いじゃないか。
さあ、早く飲まないか? ありがたい言葉にも聞き時はあるだろうが、
今のこの酒にはそれ以上に飲み時だと思うぞ(苦笑)

今回の仕事の成功を祝して、次の冒険にもマーファの(?)御加護があることを祈って。乾杯。
彼らの祝杯は夜まで続いた。楽しげな笑い声は絶えることなく続いていった。


夜になってようやく晴ればれとした顔のローンドファルが銀の網亭を訪ねた。
夜の食堂は酒場を兼ねて賑やかだ。依頼人と冒険者は部屋に下がって話をすることにした。

■銀の網亭
☆From:ローンドファル  To:諸君

諸君、よくやってくれた。

密書と証人のあの2人が揃っていることから、オルダス様も潔く自らの罪を認められた。エヴァンス様も今回のことで何か思うところがおありのようす、お家の事を深くお考えになっておられる。
今回の暗殺事件が未然に防げたことは、我がシャレゼール家の将来にも大きな意味を持つだろう。

密書とアンナとキルティング、そのどれが欠けてもこうはならなかっただろう。あの勇気ある2人を助けてくれたこと、心から感謝する。

さて、これが約束の報酬の残りだ。500ガメルある。それと、必要経費はわしが持つことになっていたな。一体いくらかかったのかね?遠慮せずに言うがいい

ここで黙っていてはカナルの名が廃る。

■銀の網亭
☆From:カナル  To:ローンドファル
エヴァンス様が無事に館にお戻りになられて、全く結構なことでございます。
今回の件で、ご兄弟が自分の役割という物を自覚されたとしたら、確かに
シャレーゼル家にとってはこれ以上ない結果になったといえるかも知れませんね。
災い転じて福となす、といったところですか。
必要経費と言えば、クロスが情報を得るために幾ばくかの金を必要としたはずです。
そういえば、私たちの仕事は、確か二人を発見保護することだったと記憶して
おりますが……、エヴァンス様が無事に帰られた件、ローンドファル殿が、
お仲間を呼びに行き帰ってくるまで二人を守った件、この二つは依頼外の仕事
ということになると考えるのですが……。
ローンドファル殿は、どう思われますか?

■銀の網亭
☆From:ローンドファル  To:カナル
それで、カナル殿はいくら欲しいと言われるのか?
わしが個人的に依頼したことなので我が主からの出資を仰ぐわけにはいかん。で、あるからしてわしの私費ということになるからいくらでもという訳にはいかんが、お互い納得できる額で決着したいと思う。

■銀の網亭
☆From:カナル  To:ローンドファル
お分かり頂いて嬉しいです。
最初の報酬の1000ガメルに加え、追加で800ほど。
また、今後、ローンドファル殿に可能な範囲で構いませんから、私たちに力を貸していただけませんでしょうか?

■銀の網亭
☆From:クロス  To:カナル
(横からひょいと)
あ、僕、情報料で100…と5ガメル、出てますよ。

高く言ってもローンドファルにはわからないのに、やはりクロスは正直に申告する。

■銀の網亭
☆From:ローンドファル  To:カナル

うむ、そのくらいならわしにも出せる額だ。
そちらのクロス君が必要経費に 105 ガメルかかったと言われたか。 では、切りのいいところで合せて 2000 ガメルということにしよう。

今後、わしで役に立てることがあったらいつでも訪ねてくるといい。 シャレゼール家の門番にわしの名を言えば会えるようにしておこう。

カナルは、報酬を低めであきらめる代りに、貴族(に仕える騎士)へのコネを手に入れるという駆け引きに出た。ローンドファルは、前金を引いた残り 1500 ガメルをこころよく冒険者に支払った。
まずクロスが 105 ガメル取って、残りを6等分すると、ひとりの取り分は 315 ガメル。余った 5 ガメルは、宴会費用と消えた。危険の代償としてはちょっと安いが、一日の稼ぎとしてはまぁまぁだろうか。



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