冒険者シナリオ01 第3章その3 新米冒険者に暇は無し?(後編)


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新米冒険者に暇は無し? (後編)(1998.05.04 UPDATE)

 シーフギルド 

アトールと分かれたシオンは店の建ち並ぶ商業区域を抜け、シーフギルドのある常闇通りを目指します。
さすがに常闇通りに入ると裏通り、という言葉が似合うほど街の雰囲気ががらりと変わります。
ほどなくシオンはその街の中のある一つの邸宅の前へとたどり着きます。
この一見何処にでもありそうな家こそがオランの盗賊ギルドなのです。
ギルドの前で立ち止まったシオンに対し、家の前にいる乞食が様子を伺っているのが分かります。
☆From:シオン To:乞食
やあ、もうかってるかい?
ちょっと野暮用でね、仕事の前に下調べってところなんだけど、いいかな?

☆From:乞食 To:シオン
お恵みを・・・・・。
(そう言いつつ近づいてきた乞食は少しだけ首を動かし、家の中にはいるように示します)

シオンは乞食の促されると門を抜けます。ととたんにシオンは辺りから視線を鋭いを感じます。
彼は一つ身震いするとそのまま家の中に入り、細い廊下を奥へと向かって歩きます。
やがて一つの部屋の前に立ち、彼の緊張の面もちのまま扉を開けます。
扉の向こうには眼光鋭い中年の男が椅子に座り、ナイフを弄んでいました。

☆From:”ねずみ” To:シオン
おっとお客さんか・・・・。
何のようかな?シオン

ギルドの幹部”ねずみ”はそう言って忍び笑いを漏らします

☆From:シオン To:”ねずみ”
「冒険者」として、ちょっと護衛の仕事を請け負うことになりましてね。
今日は依頼の裏を取りに来たのと、あと同業同士でやり合わないよう念押しってとこかな。
フェイっていう雑貨屋の荷運びなんだけど。

フェイの名を聞いてナイフを弄んでいたねずみの手が止まります。

☆From:”ねずみ” To:シオン
ほぉ・・・・まあ頑張ってたっぷり稼いでギルドにも還元してくれ(笑)
で、雑貨屋のフェイということは・・・あのフェイだな。
さて何を聞きたい?情報の買い方はちゃんと知っているだろう?

☆From:シオン To:”ねずみ”
そりゃあ、もちろん。
ただ、僕みたいなひよっこからふんだくってもしょうがないからね。
依頼料自体も多いわけじゃないし。先行投資と思って多少は勉強してよ。
……で、とりあえずはフェイが僕みたいな健全な冒険者(笑)にとって、いい依頼人であるかってことだね。
金払いとか、人使いの荒さとか、そのほか彼に関する噂話をね。
特にその「あの」って強調する部分について教えてもらいたいなあ。
あとルートに問題があってね、ブラードまで間道を使いたいらしいんだけどそっちのほうの治安状況とかなにか問題ある?

☆From:”ねずみ” To:シオン
ひよっこ云々はともかく値切り方はだいぶ板に付いてきてるみたいだな(笑)
で、話を整理すると聞きたいことはフェイの事に関してと、間道の話だな?
じゃあフェイの事に関してはうわさ話や身の上までひっくるめて100ガメルで君の質問に答えて上げよう。 もちろん”あの”の部分も含めてね。
で、間道の方は50ガメルだ。
だいぶ勉強しているだろう?(笑)

シーフギルドで情報を買う場合、大体1質問いくらというような取引になります。
もちろん情報のないことを聞いても”知らない”という答えに対してお金を取られるので、 質問は言葉を選んで慎重に行わないといけません(^^;;

☆From:シオン To:”ねずみ”
ホントに勉強してもらってスイマセンねえ。
では代金先払いで……、どうぞ。
(といって、何枚かの硬貨を出す)

そう言ってシオンは貨幣をテーブルの上に置くが、”ねずみ”はそれを数えようともしません。

☆From:”ねずみ” To:シオン
さて、何が聞きたいんだい?

☆From:シオン To:”ねずみ”
では、まずはフェイについて……。
仕事を請け負っても大丈夫なような、信頼のおける人物かどうかってことを知りたいね。
彼の評判について教えてもらいたいなあ。
特に”あの”部分についてね。
……いくらかな?

☆From:”ねずみ” To:シオン
 先払いの100ガメルでかまわんよ。
もっとギルドに還元したくてしょうがないというなら、嬉しいがね(笑)
で、フェイのことだが・・・・
 まず冒険者への依頼で今まで特に問題があった、という話は聞いてないな。
もっともそう言いきれるほど依頼の数があるわけでも無いみたいだがね。
 で、彼の評判の方だが・・・・まあ可もなく不可もなく、ってところじゃないかな?
付き合いの悪いところはままあるみたいだが、まあ商売もあまりうまい訳じゃないみたいで、 同業者から目の敵にされてるということは無いみたいだね。

 さて・・・お待ちかねのあのの部分だが、まあ大したことじゃない。
フェイはもともとはどこかのギルドのメンバーだったらしいんだ。
だがうだつの上がらない盗賊稼業に見切りを付け、 すっかり足を洗ってからオランへと流れてきて商売を始めたらしい。
まあ盗賊稼業同様商売にも才能があるとは思えんがね(^^;;

ギルドから抜ける、というのは実際非常に難しいことです。
ただシーフギルドと一口に言っても犯罪者の巣窟の場合もあれば、義賊的なところもありと それぞれのギルドが個性を持っています。
フェイの場合どちらかと言えば後者よりなところに所属していたのかもしれません。

☆From:シオン To:”ねずみ”
ふ〜ん、もと同業ねえ〜。
まっ、べつにもう足を洗ったんならかまわないけどね。
一度でもそういうことに首を突っ込んだ人間なら、無所属で「仕事」をする怖さは知ってるだろうし……。

じゃあ、次は間道について教えてもらえるかな?

☆From:”ねずみ” To:シオン
うちの連中はもぐりをのさばらせるほど寛容では無いからね。
シオン君もちゃんと年会費は払っておいたほうがいいぞ(笑)

で、オランからブラードまでの間道だね。
雲の上の街道が整備される前までは、裏道としてそこそこ使われていたみたいだね。
しかし今は寂れちまってあれ放題、といった感じかな。
まあそれでもなんとか荷馬車が通れるくらいの道は残っているがね。

☆From:シオン To:”ねずみ”
う〜ん、やっぱり人通りは少ないかあ……。
まさか、山賊なんかでないよね?

☆From:”ねずみ” To:シオン
山賊?ここ何年かは聞いたこと無いね。
人も通らんのに山賊やっててもしょうがない、という事だろうな(笑)

☆From:シオン To:”ねずみ”
ああ、なるほどね。それはわかりやすい理由だね(笑)
じゃあ聞きたいのはそんなところだから、……さっきのと合わせて、……はい、150ガメルをどうぞ☆

ちなみにここでアトールのPLから
「うーー、しおん〜〜。
多分、一番怪しいローディッシュの事聞くの忘れるなんてぇ〜(^^;)」
と心の叫びが入りますがもちろんシオンに届くはずもありません(^^;;

☆From:シオン To:ひとりごと☆
うん?
(心の声:なんだろ?なんか胸騒ぎがするんだけど……、気のせいかな?)

☆From:”ねずみ” To:シオン
おっとちょい待ち。
ブラードの方へといくのなら少し頼みたいことがあるんだが・・・・。

アトールの心の叫びを知ってかしらずか立ち去ろうとしたシオンを”ねずみ”は呼び止めます。

☆From:シオン To:”ねずみ”
はあ、なんですか?
僕もいまは一冒険者なんで、あんまりへんなこと頼まれても困るんですけど……。

☆From:”ねずみ” To:シオン
 なに大したことじゃない。
実は1ヶ月ほど前オランとブラードの間の雲の上の街道で もぐりが2度ほど山賊まがいの事をしやがってな。
両方とも未遂で被害もなかったんで御上の方は話そのものを押さえ込んだらしいが、 うちらとしちゃあほっておくわけにもいくまい?
 しかし残念なことに未だ見つけられずだ。どっか逃げたのか逃げたのか、それとも隠れてるのか・・・。
もしなんかしらのネタ掴んだら連絡してくれ。価値のある情報なら報酬もそれなりに出そう。
どうだ?難しい事じゃあるまい?
やってくれるのならこの150ガメルを頭金代わりに返そうじゃないか。

☆From:シオン To:”ねずみ”
あっ、はいはい、そんなことでいいんなら引き受けてもいいですよ。
ただしこっちも運搬の護衛に行くんであって、調査に行くんじゃないからね。
特にめぼしいネタがなくても、お金をやっぱり払えってのは無しだよ(^^;)
それから、もしその連中を僕たちのパーティーで撃退したり捕獲出来たら、特別ボ〜ナスを出してね☆

☆From:”ねずみ” To:シオン
ああ、ついででかまわんよ。
それと特に何もなくても前金も返せとは言わないから安心してくれ(笑)
ま、そのもしが現実になったならボーナスの方は出そう。

さて、手間をとらせて悪かったな。
仕事の方頑張ってしっかり稼いでくれよ。

”ねずみ”はそう言って先ほどシオンが払ったガメルをそっくりそのまま彼へと返します。



☆From:シオン To:”ねずみ”
ええ、冒険者としての初仕事だし、精一杯がんばってきますよ。
それでは…………、

(と、いったんは部屋を出ようとするが、なにか思い出したように”ねずみ”の ほうにまた向き直る)

あっ、そうそうもう一つ聞きたいことがあったんだ。
危うく忘れるとこだった(^^;)
僕らの届け先で、ブラードの元商人、ローディッシュって爺ちゃんなんだけど… …。
なにか、知ってます?

どうやらアトールの心の叫びが届いたようですね(^^;

☆From:”ねずみ” To:シオン
おいおい、なにか知ってるかと言われてもな(苦笑)
爺さんというからにはローディッシュ商会の先代だな。
人並み程度には知っているよ。
で、ここから先はただというわけにはいかん。一質問50ガメルで君の問いに答えよう。
さて何が聞きたいんだい?

”ねずみ”は今までとはうって変わってギルドのメンバーらしい狡猾そうな表情を見せます。

☆From:シオン To:”ねずみ”
どんな人物なのかってことだね。 信用のおける人物なのか、その人柄とかをね……。

”ねずみ”は少し考え込んでいる様子です。
おそらく、頭の中で人物ファイルがさかんに検索されてるんでしょう。(^^;

☆From:”ねずみ” To:シオン
う〜ん、数年前に商店を子供に譲ってからは、いわゆる悠々自適という感じ の生活をしているようだな。
なんでもかなり食通らしく、あちこちの珍しい食材とかを金に糸目をつけず に手に入れさせてるらしい。
ただ、元がブラードでも指折りの商人だけに、モノに関する要求はいろいろ 厳しいみたいだがな。
あまり今の商店の経営にも口を出さないみたいだし、裏でなにか動いている というような情報も特には入っていない。
…とまぁ、こんなところだな。

もしそれなりの金を払ってくれるんなら、人をやってもう少し詳しい情報を 仕入れに行かせてもいいんだが、どうするね?
もっとも、その場合は2週間ほど時間をもらうがね。

☆From:シオン To:”ねずみ”
いや、そこまではしなくていいや。 では、ここに50ガメルを置いておきます。 それじゃあ、そろそろ帰りますね。初仕事が成功するようにがんばってきますよ。

☆From:”ねずみ” To:シオン
そうかい。まぁせいぜいがんばんな。
くれぐれも命は大切にするんだぜ。死んじまったら俺たちも上前をはねられ ないからな。

そういってねずみは意地悪く笑います。
でも、もしかしたらこれも彼なりの思いやりの表現なのかもしれませんね。(^^;

シオンはギルドをでたころには、もう日もとっぷりと暮れていました。
彼も明日からの旅の準備をすべく、足早に実家へと足を向けました。


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