冒険者シナリオ

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= test scenario:躍らされし者達 =

■全ては終る、また始まる為に・・・

「・・・・くっくっくっくっ」

 地下室の祭壇の間に微かに倒れた執事の低い笑い声が響き渡る。その声にはまぎれも無く、死の香りとも言うべきものが含まれている。

「『操られし・・・者達』か・・・・どうやら賭けは・・私の・・・負け・・のようだ・・・・」

 賭け?

 誰もが。いや、その言葉が聞えた幾人かの者達は顔を見合わせる。もし今までの事が、すべてその賭けとやらが理由だとすれば、この執事の裏に最低でももう一人はこんどの事件の首謀者とも言うべきものが居る事になる。

「・・・いや・・その・・賭けさえも・・・・『操られし・・者』は・・・・私・・・か・・・・」

 慌てて駆け寄ってきた冒険者達を嘲笑うかの様に、執事の言葉は途切れる。そして、真相はすべて闇の中に消えた。



「鑑定が終りました」

 そう言って一人の青年が一つのポ−ションを持って戻ってきた。
 そのポーションは、あの地下室で見つけたものだ。結局、執事から真相を聞き出す事はかなわなかった。しかし、ミリアの肌の事もある。何か無いかと祭壇のあった地下室や執事の部屋をあら捜ししたところ、執事の部屋の棚から、このポーションが出てきたのだ。
 冒険者達はそのポーションの鑑定を「賢者の学院」に依頼したのだ、受付にいたオーリンと名乗った男にそのポーションを渡して、待つ事数刻。今、やっと戻ってきたのだ。

「かなりてこずらせてくれたので、思ったより時間が掛かってしまいました」

 苦笑いを浮かべながらオーリンはポーションを机の上に静かに置く。

「これはファラリス神の力を持つ聖水『黒の聖水』と言われるものです。効果はこの聖水を浴びた者の肌の色をダークエルフのような黒い肌に変化させますが、強力な魔法抵抗能力を得る事ができます。賢者の中では、ダークエルフの始祖たちはこれを浴びたのではないかという説すらあるものです」

 そこまで読みあげると、鑑定結果のレポートを一枚めくる。

「暗黒神の高司祭が作成できるそうです・・・別に作れる司祭はファラリスに限定されるわけではないようですね。

 その効果は、基本的にカースと同じ質のものなので、リムーブカースで取り除く事は可能なようですよ」

 その言葉を聞いて、何人かがほっと息を吐く。

「ただ、普通は呪いだと思ってもらえない事が非常に多いようですね。もしよろしければラーダ神殿の紹介状を書きましょうか? もちろんお代は頂きますけど」

 笑いながらのオーリンの申し出は、オウガがプライドを掛けて丁重に断り、冒険者達は「賢者の学院」を後にする。次に向かうのは帰るべき冒険者の店。そしてその次はチャ・ザ神殿だろう。別に他の神殿でも良いのだが、一人強行にチャ・ザを推す者がいるし、別にむきになって反対する理由も無い。  自然と彼らの足取りは軽いものになっていた。



「お母さま!」

 ミリアは元気よく、手を広げたミルアに飛びつく。感動の再会に冒険者達がやる事と言えば見守る事だけである。
 全てはうまく行った。そう言っても問題はあるまい。ミリアを探し出し、その呪いを解き、ミルアを助け出し、暗黒司祭を倒した。
 結果として冒険者達は、報酬を得。引き裂かれた親子は、再び元の生活に戻るだろう。
 『黒の聖水』は賢者の学院に売却してしまった。本来は持っているだけで、各神殿に追われても仕方が無い程のものらしい。オウガはチャ・ザ神殿に売却するべきだと主張したが、買い取り金額は賢者の学院が一番高かったのだからしかたがない。商いをも守護するチャ・ザの神官としては、頭の痛いところだろう。

「今回は色々と大変だったな。ほら今回の報酬だ」

 そう言って親父が渡してくれた、小袋には3000ガメルが入っていた。前金を150づつもらっているのを忘れているのではないか? ガメル銀貨を数え終ったシュウに金額を聞いてオウガは首をひねりながらそう呟いたが、だからと言って返すよう仲間にすすめるつもりはないらしい。
 『黒の聖水』の売却値段とこの報酬を合わせて4200ガメルになる。まぁ初めての冒険としてはまずまずの成果だろう。今後もこの6人で冒険していくかは、後で考えればいい。
 まずは鋭気を養う。すべてはそれからだ・・・。


END

そして戦いへ・・・

■闇への誘い
「何を今更」  執事はフィオンの叫ぶような問いを軽くいなす。 「我らが自由神ファラリスが、清らから乙女の生け贄を欲するのは衆知の事実だと思いましたが・・・」  執事は相変わらず目だけで笑いながら冒険者達を見つめる。そして、ゆっくり近づくパスィオンに向かってそっと押しとどめるように手を出しながら、「それ以上は進まない方が身の為ですよ」とその行動を押しとどめた。

■闇との対面
☆From:パスィオン
 『踊らされし者達』だ? ……ずいぶん巫山戯た事を言ってくれるじゃないか、執事さんよ。
 ……ま、お前さんの言葉を借りると、「これ以上『踊らされる』つもりはない」ってところだな。
(と言って、周囲の物陰等に注意を払いつつ、ゆっくり室内に入る)

■闇との対面
☆From:フィオン
あれは・・・奥様!?
女性だけが必要って・・・
あんた一体何考えてるのよ?!

■闇への誘い
 扉は音も無く開いた。

「やっと来ましたか。思っていたより遅かったですね」

 含み笑いと共に振り向いた男は、この場においても未だ、しっかりと執事の衣装を着こなしていた。表情もまた、前に会った時と同じ。ただ、その目だけが暗い笑みを浮かべている。

「さて、躍らされし者達よ。君たちには、感謝していますよ。おかげでお嬢様の居場所も分かりましたし」

 男は親しげな笑みを浮かべて、冒険者達を見回す。

「後は、その身をもって役に立っていただければ・・・。どうです? 私が必要なのは女性だけです。無駄な努力は止めませんか? 我が神は全てを肯定します。 ただあなた達が彼女らを取り押さえるだけ、それだけで全ての望みをかなえる為の力が得られる。悪い話では無いと思いますが?」

 静かに微笑みを浮かべる執事の背後には、祭壇があった。上に、静かに眠る女性の影を写しながら。

■闇の中で
☆From:カヴァレス
(聞き取れないような小さい声で呟く)
 クックク,どぉやら御館様のお出ましだぜぇ。さぁて,穏便に事が進むかぁ?
 クククク,そんな訳ゃぁねぇなぁ・・
(懐のダガーを確認するように探り,体勢を整えた)

■闇の中で
☆From:フィオン
(扉が開かれると、慌てて後ろへ下がる)

さ、後はファイターさん達にまかせたわよ。

■闇の中で
☆From:シュウ
(列の後ろの方でリュートをかかえたまんま)
 ふみゃ? フィオン姉さん扉あけたの? うーん? おや? え? 中見れなーい(;;)
(シュウは中を見ようと、ぴょいぴょい飛び跳ねている‥‥)

■闇の中で
☆From:フィオン
(重そうな扉を見て、後ろから前へ身を乗り出す)

手前へ引っ張って開けるタイプのようね。
ちょっとみんな下がってて。私がやってみるから。

(取っ手を両手で掴むと、思い切りひっぱった)

■闇の中へ・・・
 闇の中に降り立って暫くすると、目がなれてきたのかうっすらとだが周りが見え始めた。
 周囲を見渡す限り、どうやらここには何も置いてないらしい。正方形の部屋だが、それほど大きいわけではなく正面に扉が一枚あるだけ。
 光は漏れていないが、まず間違いなくこの先に居るのだろう・・・。
 ざっと見た限りでは、この扉は引き戸で鍵は付いていない事がわかる。 つまりは蹴り開けて踊り込むなんて事は出来ない、しかし入らねばならないのは確かな事。
 声は、彼らの迷いを嘲笑うかの様に、朗々と響いている・・・・。

■闇の中へ・・・
☆From:シュウ
(リュートをじっと見ながら、一人呟く)
 あ‥‥震えてる‥‥あたしのリュートの弦が‥‥この屋敷の下から響いてくる音で震えてる‥‥。
(耳をぴくぴくさせて)この下に‥‥悪い奴等がいるのかなぁ? あたしの弦を震わせてる奴等‥‥‥あの、黒い肌をした子を震わせてる奴等が‥‥‥。
 うん、いこう♪ この、弦の震えを止めるために。あの子の震えを止めるために。
 大丈夫。震えを止めるのはアタシ一人じゃないもん(そっとみんなの事を見回して)。みんないるから‥‥きっとアタシも大丈夫‥‥♪
(弦の震えが止まらないリュートをぎゅっと抱きしめ、彼女にしては大人しく地下への階段を降りていった‥‥‥)

■闇の中へ・・・
☆From:オウガ
(地下室へと続く暗闇へ消えていく仲間達を、一番後ろで見守りながら…)

「チャ=ザよ、わたしたちに幸運を授けたまえ」

(そう口の中で祈え、自らも暗闇へと身を投じた。)

■地下室へ向かいながら・・・
 音を頼りに屋敷の中をさ迷う事数刻。一行は、物置の奥からさらに下に続く階段を見つけていた。
 音は、いや、もはや声と言って間違いはないだろう。人一人がやっと通れるぐらいの階段の下から微かにもれてくるのは唱えるような声。底は光りも届かぬのか闇に包まれているが、光を灯せば相手に気付かれるかもしれない。
   ・・・ここはそのまま降りるしかないだろう。
 彼らは目で合図すると順番に闇の中へ降り始めた。

■地下室へ向かいながら・・・
☆From:オウガ To:カヴァレス
 ・・・お前は人を殺したことがあるか?
(カヴァレスの目の動きを見逃さないように見つめる・・・)

 いや、なんでもない。
 急ぐぞ、どうやら事態は一刻を争うようだ。
(自分から目をそらせ、カヴァレスから逃れるように仲間のあとを追いかけていった。)

■扉の前
☆From:カヴァレス To:オウガ
 よぉ,“勇敢なる”冒険者様よぉ,いつまでそんな所で武者震いしてるつもりだぃ?
 クク,まぁ大層なお考えがお有りだろぉなぁ? 取り分が要らねぇんなら,何時までもそぅやって考えて居りゃ良いぜぇ・・クッククク・・

■扉の前
☆From:フィオン To:ALL
 いよいよね、地下室で何が行われているのかしら?
 奥様の命が心配ね。奥様の命が失われたら・・・報酬もらえなくなっちゃうもの。

■扉の前
☆From:カヴァレス To:ALL
 クッククク,まさか屋敷で人探したぁ大層なお仕事だぜぇ。 さて,ご一行様よぉ,クズクズしてねぇでとっとと行くとしようやぁ。おっと,俺ぁ今回も真ん中を歩かせてもらうぜぇ?

■扉の前
☆From:パスィオン To:ALL
 これは…………地下室?! そうか、地下室の方から何かが聞こえている!
 (声を殺して)みんな、地下室へ降りよう。そこへ行けば、きっと何かあるはずだ……

 部屋にはやはり誰も居なかった。パスィオンもシュウや仲間達の後に続き・・・ふと違和感を覚える。
「(これは・・・部屋の中と外で静けさが違う?)」
 部屋の中は、ただ単に静かなだけだ。部屋の外のような、不思議な静けさではない。
「(何かが・・・・これは、この波紋は・・・)・・・実際に響いてる音か!」
 慌てて廊下にでたパスィオンには、今度こそハッキリとそのあまりにも低い微かな音が聞き取れた。遥か下から響いてくる微かな音が・・・。

■扉の前
☆From:パスィオン To:シュウ&ALL
 おっと、すまんすまん。ちょうど持ちやすい具合に尖ってたから、つい(笑)
 ……ってなに、私の責任だぁ?! ちょっと待て待てっ……あ、開けてしまった……。
(ぎこちなく仲間を見渡して)なあ……これで何かあった場合、やっぱり私の責任になるんだろ〜か……?(冷汗)

■扉の前
☆From:シュウ To:パスィオンさん
(引っ張られた耳に手をあてて)
 いちちちちちっ! あたしまだ悪いコトしてないのに、耳を引っ張るだなんて酷いなぁーっ! (ぷぅーっとほっぺたを膨らませる)
 パスィオンが引っ張ったから、耳がちょっと尖っちゃったじゃないかぁ〜(笑・もともとちょっと尖ってたでしょうが)
 んで扉開けちゃうよ? でも、ノックもしないで開けていいのかなぁ……。ま、パスィオンが許すって言ったんだから、何かあったらきっと責任とってくれるよね♪(笑)
 見たところ鍵も罠もなさそうだし。んじゃ、あっけよっと☆
(シュウは取っ手に手をかけると、何のためらいもなく扉を開いた……)

 フィオンが吊るしていたシュウを降ろす。シュウはトコトコと前にでて、扉を開けられる位置へ戻った。
 誰かがゴクリと喉をならす。だが、パーティには危機迫るほどの緊張感はない。なんだかんだと言いながらもシュウの腕前を信じているのだろう。
 そして、不思議な静けさの中、シュウがゆっくりと手を伸ばした。

■扉の前
☆From:パスィオン
To:カヴァレス
 (シュウの耳を軽く引っ張って)
信じてもいいんじゃないか? まあ耳の出来はよさそうだし(こらこら(^^;;;))。

To:シュウ
 そうだな、手がかりか証拠にでもなるものが出てくれば儲け物だしなぁ……。
 よし、シュウ、開けろ。私が許す(<おいおい(^^;;;))。

■フィオンに吊るされて・・・
☆From:シュウ To:ALL
(小声で)
 ねぇねぇ。部屋ん中からはなーんも音しなかったよ? 少なくともあたしはあたしの耳を信じているけど‥‥ (と、ここでシュウは種族的特徴であるちょっと尖った耳をぴくぴくと動かした)。
 ねぇねぇ、フィオン姉さんも何にも聞こえなかったんでしょ?  だったらさぁ、ちょっと奥様の部屋見てみない?
 確かにあのいやーな執事の動きとかきになるけど‥‥何かしら手がかりがあるかもしれないじゃん♪
 ね、見てみようよぉ〜☆

(シュウは首根っこ掴まれたまま、ちょっとばかりじたばたしているようだ‥‥)

■扉の前
☆From:カヴァレス To:ALL
 さぁて,どぉするかい? 冒険者諸君よぉ。ここはだぁれも居ねぇみたいだぜ。もっとも,偉大なる大盗賊様達の耳が確かならばなぁ? クッククク・・
 ま,ここは一つ,この部屋を調べて見るかぃ? クク,勇気があればの話だがなぁ。


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